特に、砂浜海岸と、火山。歴史は縄文と弥生。(ぶっちゃけ縄文と弥生の勉強はこれだけでも大丈夫かもしれない。)
そんなことはない。
綺麗な部屋だった。
板間で、部屋の中央に立派な囲炉裏があり、上を見ると、鍼が黒々としていた。
「お〜!」
まつりは上を見上げて溜め息をつき、ぼぉっと見上げている。
海美も見渡す。
「…とても綺麗な部屋だと思いますが。」
お坊さんに話しかける。
「そうなんですが…」
「今は私しかいません。どうか聞かせてくれませんか?」
「…はい。実は、お化けが出るのです。」
「お化け?」
「はい。」
「どんなお化けですか?」
「顔を隠せるほど大きなキノコの笠みたいな網代笠を被り、身体は白細く、ただ、足が巨大です。」
「それなら…「ただ、」はい。」
「…1人じゃないんです。」
「と言いますと?」
「…夜更けから朝まで行列になって現れるのです。」
「そんなに。」
「我々は、持ち込んでくださる食糧とわずかに山菜を取るのみで、畜生道に迷惑はかけていません。また、餓鬼道に施し、地獄道には法要を行なっています。なぜそのような化け物が出るのか…」
「他に…なにか対策は?」
「そいつら、『シオトミソオッカネ』と言っています。おそらく、オッカネはこちらの地方の意味で恐ろしい、怖いを意味しますから、塩と味噌が怖いのだろうと思い、全ての部屋には塩と味噌を四隅に置いてあります。おかげで、化け物が出たという話は泊まっている人から聞いたことはありません。」
「なるほど。」
まつりはスルスルっと梁に登った。
彼女は駅の時計台の裏に潜み住んでいたので、木登りは生きるための呼吸に等しい。
「ただ、この部屋は何をしてもダメです。なぜか塩と味噌を怖がりません。塩と味噌を備えてもお経を唱えても全然やめません。」
「なにかしてくるのですか?」
「なにもしません。ただ、シオトミソオッカネと言いつつ、壁を突き抜けてどこかへ言ってしまうのです。」
「そうですか。」
お坊さんは天井を指差す。
「しかし、なにかあると困ります。お二人には梁の上で寝ていただきます。」
なるほど。たしかに布団みたいなのが敷いてある。しかも落ちないように縄が何本も天井と布団を固定してある。
「そんなことなさらずとも…ではお坊さんはいつも梁の上で?」
「はい。ですが今日は下で。」
お坊さんは天井に通じるハシゴをおろす。
いつもは上げて隠してあるし、細いハシゴだ。化け物が上がってきても踏み外すのを狙っているのか。
「さぁ、こちらから上へ。」
「…お坊さん。私に考えがありますので、私が下で寝ます。」
「えっ!?ですが…」
「なにもしてこないのでしょ?」
「まぁ…はい。」
「なら。」
「いえ、それは…」
「もしかしたらあの化物の正体を暴けるかもしれないんです。」
「本当ですか?」
「うまくいけばですが…」
「………。」
「なら、作戦を伝えます。とても長い糸と針を一本お願いします。金属の、服を縫い合わせるはりです。」
「長い糸と針を…」
「その糸はその化物の住処まで続くほど長く。」
「なるほど!化物に糸をくっつけてそのまま家まで追いかけようということですね。…なら、私が……」
「それは危ないです。」
「それはあなたとて同じことです。」
「…私たちは猿を倒したのです。しかもあなたはここで人間たちを泊めてやるという重要な仕事があります。あなたは危険を犯すわけにいかないでしょう。」
「ですが、お客様に危険な目にあわせるわけには…」
「…なら。」
海美は杖を右手で構え直すと、懐からジャラジャラと小銭を鳴らした。
そして数枚をバッ!とお坊さんの頭の上に投げた。
「わっ!」
お坊さんは小銭を見つつも受け身を取る。
すると、お坊さんの視界に海美の杖がニュウと伸びるとお坊さんの頭の上の小銭をスパスパスパンと斬った。
杖の先端から刃が出て、小銭を切ったのだ。
お坊さんの周りに真っ二つになった小銭がバラバラと落ちた。
「おぉ…」
「いかがですか?」
「…分かった。」
まつりは海美の隣に来た。
足元や手の周りが煤だらけになっていた。
「ちゃんと洗わないとね。」
海美はマントを脱がそうとまつりの顔を覆うマントをグイッと下げた。
「さっきのお坊さんの周り、綺麗だった。」
「そうね。今度はもっと美しいものを見に行きましょう。」
ワイワイとどっかで声がする。
「すみません。」
スピカの声がした。
「瞽女衆が仕事に行くと申しております。」
「そうですか。ご案内します。」
お坊さんが出て行く。
「綺麗なものを見に行きましょう。」
海美はまつりの汚くなったマントをもう一度着させると2人で外に出た。