ちなみに、この時期なので畠山重忠の像のある重忠公史跡公園で書いてます。
「どうしたんだい?」
「ううん。こっから先はどうなるか分かるし、かわいそうで見てられない。」
「綺麗なものを見せるんじゃなかったのか?」
「…まつりはいまとても楽しんでるから。」
「そっか。」
「そういえば、あなたとアヤちゃんは家族なの?」
「いや。俺はアヤを預かってるだけだ。家族は別にある。俺とはたまたま一緒にいるだけだ。」
「そう。」
「あなたは?」
「まつりは私を頼りにしてるわ。どこへでもついてくると思う。だからって私も彼女の面倒をみてるのは苦じゃないし。」
「時代を恨んでもしょうがないが、どうしてあの子たちはあんな苦労をしないといけないんだ。」
「………。」
海美はカマキリを見る。
コウロギがカマキリに捕まっている。
コウロギはコロコロと鳴いている。
「盛者必衰。人間が負けたからよ。」
「この世界をいじめすぎた代償か。」
「振り返っても仕方ないわ。彼女たちの幸せを考えるしかないわ。」
「…君だって若いだろうに。」
「…私はまだ未来を諦めてないわ。」
「そのいきだ。」
コウロギはもう鳴いていない。
死んだのか、羽をもがれたのか。
ドン!
ドン!と海美スピカになにか突っ込んできた。
2人が振り向くと、海美にまつり、スピカにアヤが体当たりしてきていた。
「敦盛が直実に負けたのね。」
「…うん。」
海美はゆっくり、まつりを撫でる。
「だけど、直実はこれを悔やむんだ。彼は武士を辞めるからな。」
スピカはアヤに言い聞かせる。
どうも泣いているらしい。
「敦盛は、なんで戻ったんだろう?」
まつりが聞く。
「…もしかしたら敦盛は戻りたくなかったかもしれないわ。下手したら今の段階でその武将に殺されることが分かってて戻ったのかも。」
「えっ?」
「仮に、その熊谷直実に勝ったとしても追ってきた直実の仲間に殺されてたかもしれない。」
「じゃあなんで?」
「彼が、平敦盛だったからよ。平家一門だったのよ。」
「…平家だと死ぬと分かってて戻らないといけなかったの?」
「…そう。」
「じゃあ、敦盛は…敦盛は結局死んじゃう…」
「そう。だけど、そうすることによって、敦盛は後の世に残ったわ。」
「………。」
まつりは海美に抱きついたしゃべらなくなった。
スピカも動けなくなっている。
さっきまでカマキリのいたところを見る。
コウロギの残骸しかない。
カマキリはどっかに行ってしまったらしい。
ただ、いままでいなかった蛍がたくさん飛び出していた。
秋の虫も、コロコロ、リンリンと鳴いている。
「スピカ。世界は残酷ね。」
「だけど、美しい。どうして人間はこんなにも世界に嫌われてしまったんだろう。」
「……私はまた世界が戻ることを信じてるわ。私はまだなにもやってないんだから。」
「そうか。」
「…ところで、スピカはなんでこの寺にいるの?」
「それは…帰りながら話すか?」
「そうね。」