「あなたには悪いんだけど、あなたはこの世にいてはいけないのよ。」
「そんな…うぇ…」
腹の中になにかある。
冷たい。
痛い。
刃物が動き回っているようだ…
青い髪の女の子は、そのまま乱暴に杖を貫通した羊をそのまま杖の先にくっつけたまま、庭にぶん投げた。
まるでほうきで掃き出されるように羊は庭に転がった。
青い髪の女の子の持つ杖の先に、刃物が付いている。
刃のついている方向から見るに、あの刃、冷たく、ぐるぐる自分の内臓を引っ掻き回していたのは、あれか…
青い髪の女の子がこちらを見ている。
頭からすっぽり赤い毛布を被った鬼もいる。
鬼がもっと小さい女の子の手を引いている。
あのコブを斬った瞽女さんもこっちに耳を傾けている。
「ちくしょ…あ、兄貴…」
羊の首がガックリ下がった。
ボソッとこう言った。
「助けて…」
ドタン!バタン!
ドサン!
となにか海美たちの目の前に降ってきた。
スピカがボロボロ、鼻血だらけで落ちてきた。
「なに?」
まつりとアヤが手を握り合う。
「やっちまった…強すぎる…」
スピカがしゃべった。
アヤがスピカに寄ろうとする。
「行っちゃだめ」
海美が刃物を閉まった杖で止める。
海美はギロっと天井を睨みつける。
「まつり。」
海美はまつりを手招きで呼ぶ。
まつりは海美に近づく。
「敵をこの部屋に誘き寄せるから、みんなを避難させて。」
「うん。」
そう言うと、海美から離れて、
「みんな、そっとゆっくり外に出ましょう。」
と声をかけてまわった。
「イチ。」
「はいはい。」
イチは、海美の腕を組むと海美の顔に自分の顔を近づけた。
「多分、上の敵が降りてくる。あなたはどうする?」
「戦うことは出来る。だけど、庭の男も助けないと。」
「敵はスピカを使って、助けに来る人を殺そうとしてると思う。私がここに二階の敵を引きつけるから、まつりやアヤちゃんとスピカを助けて。」
「分かった。」
「だけどその前に。」
「うん?」
「天井を破壊し尽くすのを手伝って。」
「………。」
チッチッチッとイチは声を出した。
耳で聞いている。
「分かった。高さもわかった。やろう。」
「よし。」
イチは仕込み杖をさっきの逆手持ちでなく、通常の順手持ちで天井を斬りつける。
海美も天井に杖の赤い物体を押しつけて部屋中走る。
赤い球から刃が回転して、天井を破壊する。
イチがよろけて、柱にぶつかる。
「…柱か。…天井を落とすならちょうどいいか。」
素早く逆手持ちにして、全身全力で柱を斬る。
勢いをつけるため、全身でグルリと回転しながら斬った。
柱が斜めに斬れて、天井がグランと歪む。
バキっ!
と足が見えた。
大きな黒い足だ。