鎌倉殿の13人の善児、トウ、一幡の暗殺ファミリー
ちょっと前、
大八車が、寺に着く前の、瞽女衆を車に乗せた直後、まつりはアヤといたが、海美は、一番後ろで、一人で座っている女の人に興味を持っていた。
仲が悪いという訳ではなさそうだったが、一人で杖に寄りかかっていたので気になったのだ。
海美は大八車を押しながら、その女の顔が見えるところに近づいていた。
「もし、なにかあっしにようですか?」
「ごめんなさい。目が見えないから、顔を見てもバレないかと思って。」
「そうですか。こんな顔で良ければよく見てやってください。」
「ありがとう。……けど、あなた。ただ、歌を歌う瞽女ではないわね?」
ちょいと首をかしげる。
わざとらしく。
「なぜそう思うんです?」
「…いくら杖が大事でも、三味線を持った状態なのに両手で持たないでしょ?」
「…バレましたか。いかにも、」
そう言うと女の人は、杖を両手で持つと、両手の隙間からキラリとなにか光った。
「…その杖はどこで?」
「旅に出る時、親に持たされたもので、なんとも…」
「…けれど、あなたはそれでモノが斬れるのね。」
「モノ…そうなんでしょうね。耳や肌では人と違うなにかは分かります。それで杖を振るうとドサン!と倒れる音がして、みんなに褒められます。」
「あなたは、いろいろなところを旅しているのであれば、ファミリーを知ってる?」
「ファミリー?…あぁ、家族。なんか、人様だけでなく、天人様ですら、暗殺して食べてしまうものがいるという噂は聞いたことあります。しかも。」
「しかも?」
「しかも、家族というだけあって、自分達の力だけで一族を広げてきたと聞いたことあります。目の分、耳が働いてくれてます。」
「…ファミリーのなかで、男と女がいれば、「一年でファミリーが1人増えます。」か?」
海美がしゃべっているあいだにイチが重ねた。
「おっしゃる通りです。」
「…だからファミリーって言われるのね。」
「ファミリーです。結束…血束(けっそく)はヤクザなみです。手を出せば死ぬまで追いかけてきますよ。」
「ですよね…」
まつりは走って海美の腕に抱きつく。
「危な…どうしたの?」
「ううん…なんでもない。」
「そう…」
「どうしたの?」
女の人がしゃべる。
「いいえ、一緒に旅をしてる子が抱きついただけ。」
「そう。」
そして、お寺に向かうわけである。
「だから、あなたたちファミリーは人間道から追放された。」
「…やめろ。それ以上しゃべるな。」
「…あなたも被害者なのよ。」
「しゃべ…なに?」
「あなたの髪の毛も目も、口もしゃべりかたも、人間道を落ちたバツではないわ。近親相姦の子どもはそういう病気にかかる確率が高いの。だから、あなたは。」
「やめろ!」
やめろと言ったと思うが、ほぼ叫んでいる。