埼玉の歴史は知れば知るほど面白いですね。
「なんだ?」
客は倒れた鬼を見る。
青い髪の女の子をしっかり抱いている。
赤いマントと、青い髪のコントラストが美しいと思った瞬間、
どぅぐゎあぐぢゃん!と、
腹部からなにか出てきた。
金属の槍のようだ。
振りかぶって振り回した右手。
それが良くなかった。
身体がひねっていたもんだから、
背中から、心臓、右腕の人差し指側が貫通した。
血もドバドバ出てくる。
「なんだ?…」
倒れる身体を反転させて、この槍が飛んできた方向を見る。
大八車の運転場所に2階から落としたあいつが立っている。
その大八車の左の持ち手の左側から煙が出ている。
後ろ側に小さい女の子が悲しそうな顔をし、イチとか言われてた目の見えなさそうな女の子もいた。
「…あの支柱から発射されたのか。」
どしゃん!と客は倒れる。
心臓に刺さったもんだから、血がジュワジュワと、かポカポと出て行く。
「…みんな…弟妹たち、ごめ」
しゃべらなくなった。
「海美、海美!」
まつりの身体がぎゅっっと締まる。
「大丈夫…だと思う。」
すごく痛そうだ。
だけど、しゃべった。
生きてはいる。
「…杖!」
痛って…と言いながら、起き上がり、関所の中に折れた杖を取りに行った。
「まつり!」
「アヤちゃん。」
まつりは体を起こし、グイッと毛布を顔下まで下ろす。
「大丈夫?」
「大丈夫。合わせてくれてありがとう。ずっと見てたよ。」
「うん。」
そう。まつりは、客の黒と赤の目に睨まれてもアヤを見てたのだ。
海美に耳打ちしたときも、アヤから指示があり、必殺技を使うから、合図があれば知らせるというものだったのだ。
「あの、大八車って、あんなのまでついてるの?」
「そう。2人じゃないと撃てないんだけどね。」
アヤがまつりの手を引っ張り、立たせると、大八車に近づく。
動かなくなった客に刺さっている槍も見る。
金属で出来ているようだ。
海美も杖の割れて飛んでいった部分を持って出てきた。
槍は、パイプを押しつぶした状態で、鋭利になっているから、それで貫いたようだ。
また、槍の反対は、真っ黒に焦げている。
海美は、客の目の前にある折れた杖の突き刺さったほうに近づき、杖をくっつける。
すると、赤い玉から赤い水が流れて、杖の持つ部分を濡らした。
ちょっとすると、海美は杖を抜いた。
すると、折れて、地面に突き刺さっていた部分もくっついて、そのまま抜けた。
海美が改めて、グッグッと力を込めて杖を地面に押し込んでも、折れることはなく、しっかりしていた。
杖が治ったようだ。
さて、大八車だが、荷台の上にスピカが寝ている。
イチが慌てて看病している。
ただ、スピカは意識が戻っているので、多分大丈夫。
「イチ。もう大丈夫だよ。」
「でも。」
「実はな。やられたフリをしただけだよ。客人。結構強いことが分かったからわざと外に投げられて、受け身を取ったのに動かなかったんだ。追撃されたら飛び上がるつもりだったんだが…」
そう言うと、スピカは上半身を起こす。
「まさか、イチと海美さんが戦い出すとは思わなかったし、アヤが瞬間的に槍を使うと思わなかったからな。だったら動かない方がいいと思っただけだ。」
イチの手を取り、「大丈夫」と言うように動かす。
「奴を出し抜くには、みんなの力を合わせた方が強いと思っただけよ。」
イチの手を一回ギュッっと強めると離した。
「で、アヤ。俺たちはこの後どうする?」
「るぇつ?」
アヤはまつりと大八車の後ろに回り込んであれこれこういう仕掛けで発射されたと話している。
「うーん…次のを探すか、お寺を目指すか。」
その時、歩いてきた道が風を切るような変な音がした。
「なんだ?」
スピカが手に手甲をはめながら道を見る。
海美もまつりやアヤより道側に出る。
「人間だ。だけどなんだ?」
黒い格好をして、10人ぐらいが全速力で走っていった。
「あれは…郵便屋だ。旗を持って走っていった。」
海美がつぶやく。
「郵便屋?」
まつりが聞く。
「遠くの人に、用件や手紙を届ける仕事。一分一秒を争うと言われている仕事。」
アヤが説明する。
「だけど、あんな大人数は珍しい。」
「いや、ここを通るからだろう。仮にあのファミリーに見つかっても1人だけでも通れれば良いっていう。」
またなんか変な気配。
「なんだ?」
生垣があり、その奥に一段下がったところに道があるのだが、その道になにかある。
木が組んである不思議がものだ。
スピカが言う。
「ハシゴが立ってる。」
海美がまた、自分の後ろにまつりをアヤを隠しながら言う。
「どういうこと?」
アヤが空に指を指す。
「上!」
「「「………なんだあれ!」」」
一同、声を上げた。
ハシゴの上になにかいる。
いや、誰かいる。
そしてその誰かもこう言っている。
「なんで生きている?」