また怖い昔話です。
10番目がしゃべり始める。
「で、現状、倒されたファミリーだが、一人で街を支配していた20位の猿みたいなのを誰かが、」
まつりがニコニコしている。
「で、ここにいた。36位、コブのある40位、羊みたいな45位そして、客として来ていた7位を討ち取った。」
ここで11人目(郵便屋の10人目)がしゃべろうと立ちあがろうとした。
しかし、リーダーが立ち上がってしまった。
11人目はとりあえず立ち上がり、話が終わるのを待つ。
「これは幸先の良いスタートだ。モノもファミリーも追い出せば人間の支配できる範囲が増えるわけだ。人間たちよ。これは人間の主権を回復することにもつながるんです。頑張りましょう!」
11人目がしゃべる。
「…ということだ。」
座った。
「なんだ?最後のは?」
瞽女衆がくすくす笑い合っている。
夕方。
郵便屋は関所を1人もかけることなく走り出した。
ブーツは梯子を高跳びの選手のように使い、飛んでいった。
瞽女衆はスピカとアヤと一緒に、昨日の寺と、その先、すなわちまつりたちがお世話になった猪の親分のところを目指し、出発して行った。
まつりと海美は関所でダラダラしていた。
海美の鈍痛が止まらないらしい。
言われてみれば、郵便屋がしゃべっている時も黙って脇腹をさすっていた。
7位からくらった一発がこんなことになるとは思ってもみなかった。
さいわいにも、関所には布団も薪もあったので、一晩関所で過ごし、ファミリーと関わらない方へ行こうとなった。
その日の夜。
夕食を取って、海美は早々に寝てしまった。
まつりは囲炉裏の灰に絵を描いて遊んでいた。
すると、急に奥の座敷から女の人が現れた。
歳はまつりとそうは変わらないぐらいだ。
この女の人、一歳ぐらいの子供を抱いている。
「こんばんわ。」
女の人がしゃべる。
まつりはいじっていた火箸を握りしめる。
自分の刀は自分の左側に丁寧に置いてある。
一瞬隙をつくれば抜くことも出来る。
しかし、女は音もなく、すぅと囲炉裏のそばに座ると、子供を床に置いた。
「この子と遊んでやってください。」
「………。」
まつりが答えるより早く、女は懐よりでんでん太鼓を持ち出すと、でんでんビャンビャン鳴らし出した。
怖くなったまつりは慌ててマントを着込む。
しかし赤ん坊はお構いなしにまつりに乗ってくる。
そして妙な踊り見たいな動きを始めた。
遊んでいるわけでもなさそうな、手をグルグルっと回している。
まつりは火箸を掴んで震えていたが、すぐ赤ん坊は女の元に戻った。
女もでんでん太鼓をやめた。
「今日はもう遅いので帰ります。」
そういうと女の人は赤ん坊を抱き抱えて、元来た方へすぅっと足音を立てずに出ていった。