金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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今度は昔話というより落語かもしれません。
ただ、まだオチはなく、今後オチが来ます。


第四章 第五部 蛇の腹がへっこんだ話

真っ暗闇の山道中を提灯が一つゆらゆら揺れている。

月が出ているはずだが、曇っているのか木のせいか暗い。

「海美、頑張って。これを超えると集落があるってアヤが言ってたから。」

「うん。ありがとう。」

提灯も大荷物もまつりが持ち、海美の手をひいている。

いつもは海美がひいているのに、今はまつりがひいている。

よーく見ると、海美は目をつぶって歩いている。

「海美、ちょっと広くなってるから、ちょっと休もう。」

「う、うん。」

ありがたいことに峠のすっ天井についたらしい。

倒れた木が腰掛けて休憩出来る様になっている。

ここで呼吸を整えさせればあとは降りだ。

海美が腰掛けた瞬間、

「「助けて!」」

と、進行方向から大声が聞こえた。

「なに!?」

まつりは前方を見る。

海美は、…驚いた。

足をちょっと上げて、杖を掴んで震えている。

通常であれば、すぐ立ち上がり、木の影に隠れるかすぐ進行方向に走っていくのに。

「!まつり。」

それを思い出したのか、すぐまつりの手を引いて、木の影に隠れた。

「助けて!誰か…」

「だれ…」

複数人声がする。

まつりが様子をうかがう。

月が雲から出た。

なんと、頭が人間の身長よりある大きな蛇(ウワバミ)が人間らしき影を追いかけているのが分かる。

しかも蛇の口から舌ではなく、人の足みたいなのが飛び出している。

足が出ていることもお構いなしに、2番目の人間にかぶりつき、足とその人間を一飲みにした。

先頭の人間、いや、あれはモノだ。

ファミリーかもしれないが、それは峠の一本杉を無理やり登っていく。

しかし相手は蛇。

木に体を巻き付けると、スルスルスルっと登っていく。

海美とまつりも木を見上げる。

なにか追われている人間みたいなものがしゃべった。

「やい!俺はファミリー50番目だぞ!お前のようなケダモノでも聞いたことあるだろう。」

偉そうなこと言っているが、逃げ場がなくなり、木の真上にジャンプしている。

「俺の兄弟や父さんを怒らせたらどうなるか…」

バクン!

食べられてしまった。

空中にいたのが悪かった。

ジャンプすれば真下に落ちるのだから、蛇が真下にいたのだ。

木から飛び降りた方が助かったかもしれないのに。

しかしもう後の祭り。

蛇はゆっくり降りてくる。

ただ様子がおかしい。

お腹が膨らんで、ビール瓶だか、ツチノコみたいになっている。

しかも膨らんだ部分はなんか動いているようにも見える。

さすがファミリー。中で暴れているのだろう。

蛇も手があれば腹をさすりたいだろうというような顔をしている。

すると、なにか思い出したのかのように、海美とまつりが隠れている木の方に来てしまった。

木を挟んで反対側に蛇がいる。

海美は、震えている。

まつりも身を隠し、刀に手を当てているが、蛇は襲ってこない。

「…どうしたんだろう?」

まつりが見ていると、蛇は、木の皮を剥がして食べ始めた。

まだ食べられるのか。

とまつりが見ていると、みるみるうちに、蛇のお腹がへっこみ、通常の太さに戻った。

「あれは…」

蛇は満足したのか、海美やまつりを見つけることもなく、山を下っていった。

「海美。」

返事はない。

「海美?」

海美を見る。

なんか杖を持ってぐったりしている。

目も瞑っている。

「だれ…」

だめだ!

蛇に見つかってしまう。

それどころか、今まで人が食べられていたのだから人間なんかいるわけない。

「どしたら…」

そのとき、かすかに、

テンテンテンテンテンテン

と、締め太鼓を叩くような音が聞こえた。

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