出来れば春に咲く花がいいかな。
「まつりちゃん!」
鬼のような動く七夕飾りみたいなルッコラに呼ばれる。
手に竹を持って、頭に三角の紙を巻いている。
と、思ったら、そうじゃない。
そんなよう化粧をした人がまだいる。
「よし。みんな頼むぞ。」
「「おぉい。」」
そういうと、その場にいた化粧をした人は散っていった。
「まつりちゃん、こっちだ!」
ルッコラだけ残っていたが、竹ではなく、木の枝を持っている。
枝だけでなく、青々とした葉っぱもついている。
そして、その枝にはなにか紙があり、そこにもなにか書いてある。
「悪病退散 将鬼大明神」
と書いてあるが、読めないので、あとで海美に読んでもらおうと思っていた。
「まつりちゃんはこれを使ってくれ。」
なんか箱を渡された。
いや、箱じゃない。
被るようになっているところから布が垂れているから、箱に見えただけで、正面が見えない箱みたいな形になっている。
そして、その上の部分には花が植えてあり、いい匂いがする。
「これは、花笠と言って、モノを呼び寄せるんだ。」
「へぇ…呼び寄せ?」
「大丈夫。いまはこれを持っているが、俺も花笠を振る。まつりちゃんはこれを頭から被って、俺についてきてくれ。」
「ちょっと待て。」
ルッコラがまつりに花笠を被せようとするのをナポレオンが止める。
「俺も花笠をやる。1人じゃ心配だ。」
「…頼むぜ。」
ナポレオンは獅子頭を後ろに下げて、背中で支えるようにすると、花笠を被った。
獅子が花を吸っているようだ。
「じゃ、行くか。」
ルッコラに連れられて、2人は建物を出る。
アスファルトの庭に出る。
耳を澄ますと雑多な音が聞こえている。
しかし、それより音楽が鳴り響いている。
気がつけばもっと音楽が早くなっている気がする。
「来たな。見てみな。」
枝で斜め上を指す。
建物の3階部分がガラス張りになっているのだが、そこに赤いアバジャがいるのが見える。
そのアバジャが赤い旗を掲げて、入ってきたトンネルの方向を旗で指している。
「あっちから敵が来るっていう合図だ。」
「そこから来るなら我々はどうするんだ?」
ナポレオンはいつもの風車も持っている。
「馬鹿正直にトンネルに突っ込んでくるよう誘導する。」
「どうやって?」
「そので、まつりちゃん。君の出番だ。これを鳴らしてくれ。」
「これは?」
「これはサザラっていう楽器だ。これを鳴らすとモノにとっていい匂いがしてモノが寄ってくる。これを使えば、頭のいいモノ供も匂いに惹かれてトンネルに突っ込んできやがる。そうなりゃハチの巣だ。」
「なるほどな。まつりさん。やってくれるか?」
「はち。」
そんなこと言いながらまつりは渡された竹を構える。
左手で竹を持ち、右手でバチを持つ。
この竹、音が通るようにギザギザになって音が出るようになっている。
「まず、竹をゆっくり叩いてみて。」
カチャリ!
叩くと竹が小さい音を立てた。
すると、なにか甘く、春っぽい、ピンク色のような匂いがあたりに広がった。
「これが、やつらの好きな匂いだ。」
ナポレオンは驚いたように何回もまばたきして、そのあと匂いを目で追うように嗅ぎ始めた、
「人間はこの程度だが、モノどもは飛びつきたくなるほど良い匂いに感じるらしい。まつりちゃん。もっと何回も叩いてみてくれ。」
カチャリ!カチャリ!カチャリ!
なんだかどんどん匂いの空気みたいなモヤがドンドントンネルの方向に向かっていった。
ピンク色の優しい匂いだ。
すると押し寄せるモノどもの野太い怒号や歓声が大きくなり、それに負けないようにか対抗する銃撃の音も大きくなっているように感じる。