なんでしょう
「なんだ、宇宙(そら)と陸人(りくと)か。入ってこいよ。」
2人もどかどかと入ってきて、紘我の左側に2人が座る。
陸人と言われたのは、赤い髪の毛と赤い眼をしている。
宇宙と言われたのは、黒、いや、青みがかった黒だ。綺麗な夜みたいな髪と眼をしている。
「拾ってきたんじゃない。助けたんだ。」
「そんなこと、猫拾ったときも言ったろ。」
「今回は猫じゃない。人間だ。拾ったんじゃなく、助けたんだ。」
「2人とも、いいかい。」
「「はい…」」
「すみませんね。…えっと、俺は陸人と言います。あなたのお名前は?」
「…まつり。だと思う……」
なんか夢の中だと違う名前だったけど、こっちの世界ならまつり。
「だと思う?」
「きっとあれだ。」
紘我がしゃべる。
三人が注目する。
「いや、まつりさんは、水子地蔵のところにいたんだ。」
「あんな山奥に。」
「うん。しかも、あそこは、地蔵だけじゃなく、こんな世界になった影響で、付喪神や座敷童といった家に寄生する妖怪も集まって水子どころじゃないよくないものの吹き溜まりになってるんだ。」
「…つまり、」
「思うと言うのは、夢で見せられたことが強すぎて混乱してるんだ。水子や座敷童は家や子どもの無念もはらそうとして怨霊化してるから、記憶ごと人間を廃人にさせるらしいぞ。」
「そんなんなっちまったのか、あのあたり。」
「座敷童は幸せな家に寄生するのに、幸せな家がなくなってしまった。
だから、それが余計にショックで、座敷童自体が楽しい夢を見せるようになって、本来ならあり得たかもしれない世界の夢を見せるらしい。」
「本来?」
「そう。つまり、この世界にならず、みんなが生活していたら送ったであろう世界。違うかい?まつりさん。いや、まつりという名前じゃない、あなた。」
「はい。…私はまつりじゃない名前で夢の中で呼ばれてました。」
「悲しいけど、その夢が、君が本来進む予定だった世界だ。しかし、残念なことにこっちが現実だ。悲しくても、苦しくても人間はこっちで頑張らなければならない。」
「………。」
「………。」
「けど、なんで私は記憶が混乱しているんですか?」
「おそらく、それは水子の力だと思う。この世に生まれなかった魂がなにか生きている人に邪魔しようとしたのかもしれない。しかもその人はあなたにとってとても大切な人なんじゃないか?例えば…名前が夢で違ったのならこの世界の名前をくれたとか。」
「…そうかもしれないです。」
「じゃあ、その大事な人を早く思い出さないとだな。」
紘我は目線を隣に向ける。
「宇宙、悪いが今から、まつりさんと、水子地蔵に向かってくれ。」
「寝させられたら?」
「すぐ助ける。まつりさんの記憶を逆探知するだけだ。起きたらモノが来るからまつりさんを連れて全力で空に逃げろ。」
「分かった。」
「陸人、30分集められるだけ人を集めて…」
懐から紙を出して、見せる。
「この作戦の通り、ここの釜の蓋を襲撃してくれ。モノどもを水子地蔵に引っ張り込んで、ついでに蓋を閉じる。」
「分かった。」
「まつりさんの記憶は俺が解析する。みんな頼むぞ。」
「「おぉ。」」
そういうと、陸人は出て行った。
「まつりさん、行こう。」
そう宇宙に言われて、まつりもついて行った。