金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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とりあえず、過去編の本編はほぼ終わります。
日本昔話をモデルにしていないから余計に難しかったです、
しかし、まだこのまま続き投稿します。


第7章 最終部 夢から覚めるとき

「…じゃあ、私が芭蕉扇を持って家から出なければ。」

「そうでもない。宇宙の攻撃から逃げようとしたんだから、全て宇宙の責任だ。」

「そうだな!」

急に違う声が聞こえた。大人の男性の声だ。

聞いたことある。

「宇宙!まつりちゃん!起きろ!」

目の前が暗くなる。

立っている足元がなくなる。

宙に放り出され、さっき芭蕉扇もなくなり落ちている感覚になる。

誰かに抱きしめられている感覚はある。

怖くなり、ギュッと目を閉じる。

 

「なんだ!」

 

改めて目を開ける。

木の壁が見える。

だけど、大きな腕に抱き抱えられている。

腕の反対を見ると、宇宙も見える。

「大丈夫か?二人とも。」

尊正さんじゃなく、紘我さんだった。

紘我は二人を抱えたまま浮かんでいる。

「どうなっとんだ?」

「なに言ってる。作戦はうまくいったんだ見ろ。」

「ほんとだ!」

紘我さんの木のマントの間、下を見ると多くのモノどもが、水子地蔵に見つめられながら次々に眠りについている。

「まもなく、天人の結界と人間の足では越えられないよう壁をつくって、ここは半永久的な眠りにつく。」

紘我は基地の方向に向けて飛び始める。

「水子地蔵や座敷童の欲望を満たし、この周辺のモノは永遠に夢を見て、活動しなくなることで、人間は助かる。二人のおかげだ。」

「だけど…これで…」

「なにか?」

「あの夢の続きはどうなる?あの記憶は?」

「詳しく聞こう。」

「あちらの世界の俺はグレているらしい。」

「それで?」

「各地でテロ行為をすることで、親父に認めてもらおうとしてた。それで、このしずかさんの家を攻撃してた。」

「しずか?…あぁ!まつりさんの本来の名前か。なんでまた?」

「まつりさんのお父さんは政治家の大炊御門尊正氏」

「なに?…大炊御門尊正。…そうか。…そうか…」

「なにかあるのか?」

「……あるっちゃ、ある。」

「なんだ?」

「…言いづらい。」

「…おそらく、」

まつりがしゃべる。

尊正の名前を聞いてから、紘我さんの手が強く握り痛い。

「…おそらく、私は駅で一人でいた記憶しか無いので、言ってください。この世界で尊正さんに会っても親だと思わないと思うので。」

「…尊正氏はもう亡くなられている。これは確定している。だから、このことはまつりさん。気に止むことはない。これを前提に聞いてほしい。」

「なんでしょう?」

「尊正氏は、モノどもからは英雄視され、人間たちには売国奴とされている。けして、君は君で、その罪はない。」

「…なんで?あの世界では、みんなから。」

「…その世界ではあなたは何歳ぐらいでしたか?」

「…さほど変わらなかったはず。」

「……では、あなたが生まれてから数年たったぐらいですね。

ある事件が起きたんです。

吸血鬼が、ある村に住んでいたら、心臓をある人間に取られて、地獄に逃げたんです。

地獄のモノたちは怒り、そして大義名分が出来たということで、モノどもによる侵攻が起きた。

だから、大炊御門尊正は、まず、モノが地上で生活することを許す足がかりをつくったということで英雄に、その時毅然とした態度で、モノ共の要求を飲まなければこんなことにはならなかったと、人間からは売国奴よばわりされているんよ。

そして、最後は…おそらく、人間によって殺されてるはず…

モノが殺したという風に報道されたが、モノも負けじと、尊正の遺体を盗むと、盛大な葬式と墓までつくって祀ったと言われている。

そして、俺たちは、その墓と骨を奪還している最中だ。」

「そんな…だって、あのときは、鯨船の前に、軍艦も戦車も、なにも、敵わなかったから、仕方なく…」

「軍艦や戦車を使って対抗したという記録はこの世界にない。その世界の方が報道も自由だったみたいだな。」

「そんなこと。…そんなこと許させるの?お父さんは、…お父さんは人間たちがあのままだと皆殺しにされそうだったから…」

「まつりさん!」

急に取り乱し、暴れる。

「それが、人間が殺したなんて…なんで!」

「まつりちゃん!危ないから…落ち着い…」

「お父さんは、人間たちのために活動してたのに、なんで!」

「落ちる!」

「ちっ…」

紘我が手を滑らせた。

「あっ!」

まつりが落ちる。

「あっ!やば…」

「待て。」

紘我はまつりを持っていた左手を左眼に持っていく。

手で押さえてこう言う。

「左眼よ。俺の分身になり、モノやファミリーから彼女を守り、彼女の記憶を正して、俺の元に帰ってこい。」

そう言い、なにか左手で包むと、下に向かって投げた。

「親父、俺に行かせろ…」

「宇宙。悪いが、前方にお客さまだ。」

「なに?」

空を飛べるモノが大移動している。

「方向的に、あのオート村の方だ。俺たちにも気がついているのがいる。」

「…あれと戦うしかないか。」

「陸人はうまくやったから、宇宙いや、天才の見せ場だぞ。」

「分かったよ。」

「さあ、行け!」

宇宙は、紘我の肩に立つと、翼を広げて、爆発する槍を準備した。

「…あの世界の俺は、こういう親父に会えば、グレなかっただろうに。」

「多分俺は変わらない。それこそ尊正氏のやり方も変わってない。悪いのは環境だったはずだ。この最悪な世界はある意味、宇宙の行きやすい世界だったのかもな。」

「最悪だ。」

「だけど、このステージ」

目の前に広がる真っ黒な物体軍団

「最高だろ?」

「あぁ、最高だ。」

 

それから2時間後のオート村上空。

「ルッコラ、どうだ?」

「おやっつぁんか。おかしいぞ。空襲しに来たのになんであんなにヘトヘトなんだ?」

「しかも数が…10体もいない。少ないな。なんだ?」

「あれ?」

「………。」

「………。」

「全部落ちたな。」

「死んだのか?」

「そうっぽいな。」

「なんだったんだ?」

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