(それは月自体が退治したことになっていました。)
そしてこれで、過去編が完全に終わり、いよいよナンバー4との決戦に入りますが、まだ書けていませんので、またしばらくお待ちください。
「……じゃあ、教えてほしいんだけど。」
「はい。」
「青い髪の女の人を見たことないかしら?」
「青い髪?」
「本当に青なの。黒が薄くて青に見えるんじゃなく。」
「それは珍しい。けれど、見たことないなぁ…すみません。」
「そうですか…」
「その人はお一人?」
「…いえ、実は連れさらわれて。」
「えっ?じゃあ、モノ?」
「ファミリーって知ってますか?」
「ファミリー…そっちか…」
「ファミリーで知ってることは?」
「行商をしている人たちの間でも話題になっていて、なんでも、六道はみな奴らに食べられてしまうとか。」
「なので、急いで助けないと食べられてしまうかもしれないんです。」
「なるほど……いや、でも…」
「なにか知ってるみたいだな。」
紘我の目がしゃべった。
「男の人が?」
父親は見渡す。
「この目玉です。」
まつりは手の上の目玉を見せる。
「害がなさそうなものは怖くないですよ。あの化け猫の目は怖かったてすけど。」
「なにを知っている?」
「はい…ここからすぐにある高篠山…」
「…あの山か。俺も教えるのか迷ってはいたんだが。」
「高篠山?」
「………。」
「教えて良いですか?」
「まぁな。」
「ここから、すぐの山で、高篠山という山があり、その中腹に、地元の人たちは女長者と呼んでいる長者…いや、ファミリーが住んでいます。
その女長者は、命令一つで、夏祭りをやめさせ、命令一つで、雪降る真冬に夏祭りの続きをやれと命令するんです。」
「地元の人たちは?反抗しないのですか?」
「昔はしたようですが、その女長者、ものすごく体が大きく、人の大きさほどある芭蕉扇を持っているんです。」
「人の大きさほどある芭蕉扇。」
なんか聞き覚え見覚え、使い覚えがある。
「その芭蕉扇を使い、不思議な術を使って、反抗する人たちを全員やっつけて服従させたんです。」
「…それが、ファミリー」
「たしか…噂によると、ファミリーは50人いるけれど、ナンバー4の強さとか。」
「「なに?」ですって?」
まつりと紘我は声をあげた。
ナンバー4ということは、最初の兄妹の最初の妹で、独立したが、帰ってきたという最強の女。
「そんな女が高篠山にいるのか…」
「しかも、しょっちゅう家族を呼び、宴会をしているとか。」
「…それは。」
「それは。」
「「ビックチャンスじゃないか」」
まつりと紘我はまた一緒に声を上げた。
「え?」
「ファミリーを実質操っているナンバー4、いつか倒さなくてはと思っていた相手だ。こんな近くに潜んでいたとは。しかも、その家族が集まるとなれば一網打尽にできる。」
目玉は目玉だが喜んでいる。
「あの…」
「もしかしたら、手柄をお姉さんに見てもらいたくて、海美もいるかも。」
「あの!」
「「?」」
「…恐ろしくないのですか?」
「怖くないと言ったら嘘ですが、それより海美に繋がるかもしれないというのが嬉しいです。」
「………。」
父親は、「まだその人がいるとは分からないですよ。」
と言いたかったが、この元気さが伝わって言わなかった。
たしかに、高篠山の麓はえらいことになっていた。
いつ、山の長者が無理難題を押しつけて、無理だと自分達をいじめて喜ぶのだ。
そしていじめられてものはその長者が飽きると捨てるように山から転げ落ちてくるのだ。
その体でまともな体のものはいないという。
しかも、老若男女問わず、長者はいじめるのだ。
父親もその里を通ったことはあるが、全員が全員、いじめの対象な訳で、みんなビクビクしている異様な感覚だった。
もしかしたら目の前の人がそれを解決するんじゃないか?
父親は出来るだけ、この女性と目玉に有益な情報を話すことにした。
「あと、言われているのが…」
「なに?」
「そのナンバー4は、もう結構な歳なので、たしかに人間をかっさらうのに、美しい男女から連れて行くと言われてます。それは年齢に関係なく。」
「なるほど。」
「あと、よく宴会をしていると聞きました。」
「宴会を?誰と?」
「その高篠山のほかに、山を要塞化させて近くの里を襲撃して生きているという一族がたしか…5人ほど。」
「ますます大チャンスだ。うまく呼び出せば6体倒せる。」
「その5人がそれぞれ住んでいる里にも行きましたが、これも美しい男女をさらい、帰ってこないとのことでした。」
「なるほど。」目玉はしゃべる。
「ちなみに、参考だが、君から見て、この女性は綺麗か?」
「は?」
「俺は綺麗だと思っていて、うまくいけば囮に使えると思っているが、君はどうだ?」
「…き、このままそう答えると、彼女は囮にされてしまのでは?」
「では決まったな。」
「はっ?」
「だから、囮作戦でナンバー4とその仲間を倒す。」
「そんな…」
「慌てるな。囮というより、取り合いに巻き込ませるだけだ。」
「でも…」
「仮にあなたが言わなくても他の誰かが綺麗だと言えばこの作戦はやったさ。」
「………。」
「大丈夫だ。だって彼女の強さは知っているだろう。」
「それはそうですが。」
「もし心配なら、…あなたはこれからずっと23夜の化け猫の目とこの女性の冥福を祈ってやってくれよ。」
「…はい……」
「それじゃ善は急げだ。まつりちゃん、小屋を出たら左だ。」
「はい。」
まつりは歩き出す。
「ちょっと待ってください。」
父親は持っていた風車を差し出した。
「なんだかんだ、この風車で遅れたために化け猫に襲われ、あなたに助けられ、あなたを危険な目に遭わせているのです。なにも渡せる物がないので、せめてこれを。」
父親は息を吹きかけてみせた。
風車がシャコシャコ回った。
「いいの?」
「もちろんです。」
「ありがとう。じゃあお礼に。」
そういうと、頭のお面を外した。
「これあげます。」
「そんな」
「もらったんですから。」
「これは助けていただいたお礼です。」
その時、風車が回転しながらまた留め具が吹き飛び、車がただの切り込みのある紙に戻った。
「あっ!すみません…これじゃ…」
「…じゃあ!」
まつりは、留め具の部分にお面の目を突っ込んでみた。
見事にぴったりだった。
「これから、目の部分を切り取ってまた差し上げます。そうすればお返しになるでしょう?」
「でも…」
「いいからもらっておけば良いじゃないですか。」
目玉が言う。
「お礼をしたいひとがそうしたいのなら、それを受け入れましょうよ。」
「はい。」
そんなことを親父たちが言ってる間にもまつりはお面の目を斬って、風車を直し、父親に返した。
「これからも、オサンヤ様を敬い、あなた方も思い出します。」
「それだけでも嬉しい。例え、もう合えなくてもそれなら、私は…」
大炊御門尊正に、父に会ってまつりもこう思った。
この世界の尊正。例え、その人がいなくなっても、反逆者呼ばわりされてしまっている。
それは、尊正がどれほど日本のためを思って起こした行動だとしても、結果的に後々の世界が崩壊してしまったのだから、叩かれ続けてしまうのだ。
しかし、行動一つで、彼は、あの世界の尊正さんは英雄になっていたのだ。
「私は、相手に、この人は良かった。と思われたいの。」
「…分かりました。では。」
父親は風車を受け取った。
「では、急ぐとするか。月が出ている間なら、化け猫も来ないはずだ。あんたも家に帰れ。」
「そうさせていただきます。」
父親は風車を回しながら出ていった。
まつりと目玉の紘我も出ていった。
後、月齢23夜の宵越しには風車を回し、悪いものを吹き飛ばすという風習が出来たとか出来なかったとか、もうその山には化け猫が出なくなったとか言うとか言わないとか。
みなさんはお気づきになられたてしょうか?
あれだけ海美の後ろにいなければなにも出来なかったまつりがベラベラほとんど知らない人としゃべっているんです。