金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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また完成した部分まで投稿します。


第9章 第一部 5人のファミリー

ファミリーナンバー4 最初の子どもの長女 おやっつぁんや、紘我の巻物では、ナンバー2が親と兄に殺されたことで恐れをなして一度逃げたが、また戻ってきたファミリーとされ、もう一度なぜか逃げ出し、ファミリーを分裂させたと言われている。

まぁ、このナンバーのおかけで本部である父と兄の力は半減し、六道のモノたちも優位にファミリー狩りが出来ている部分もある。

しかし、実態は違う。

 

巻物は空想で書かれた部分が多い。

本当は、ナンバー4は、父や兄より先に母を殺そうと思っていたのだ。

妹はナンバー1になりたかったのだ。

せめても女性のナンバー1になりたかった。

だから殺害してナンバー2になりたかった。

しかし、先を越されてしまった。

ただ、なぜ父と兄が母を殺したのかは分からなかった。

そのわりに私はナンバー2と呼ばれず、そのままナンバー4だった。

どうやら、ナンバー4とは名前だったらしい。

それに気づいた時、ナンバー4はアジトを抜け出した。

自分一人で生きていればナンバー1だ!

たしかにそうであった。

たしかにナンバー1であったが、オンリー1でもあった。

人間にも、動物にも、モノにも相手にされず、誰も敬わない。誰も愛さない。それどころか命を狙ってくる。

ナンバー4は逃げ回り、ある時入り江にある大きな船の残骸を漁ると、中から、自分の手にちょうど良さそうな扇子(芭蕉扇)を見つけた。

その芭蕉扇はただあおぐだけでなく、長い棒に変化して、叩く武器になったり、

対象に向かって飛んでいって打撃を与える武器にもなる不思議な扇であった。

それを持ってからナンバー4は早かった。

痛みと恐怖で人間やモノどもを支配できる事に気づいた。

誰もが彼女に頭を下げた。

みんながみんなご機嫌をうかがってきた。

誰でも自分に歯向かうものがいなくなった。

「もう一度だ。」

ナンバー4は父兄のところに戻った。

父も兄もなにも言わなかった。

この二人はそれこそ、「母親の次は自分が殺されると思って、妹が逃げた。」

と思っていたからだ。

そこは当たっていた。

しかし、ナンバー4は、「圧倒的な力を得たから、それで父と兄を超えたい。」

と、思って帰ってきたのだが、父も兄も、歯向かうことも、殺そうとすることもなかった。

ナンバー4は、オンリー1ではなく、実質ナンバー1になれた。

 

 

ただ、ナンバー1は面白くなかった。

みんなを支配して、ちやほやされなかった。

逆に、みんながどうすれば腹を空かさずに済むのか、父と兄から相談されてばっかりだった。

そして、自分が学んだ、「人間を食べるのではなく、人間に貢がせて、それを食べる。使えない人間は食べるというのはどうだ?」

と、提案した。

父は確かにと言った。

しかし、兄は、「それはいい案だが、このアジトの近くには人間が住んでいない。捕らえてきて、住まわせるとなっても人間を養うのに食料がかかる。それはどうする?」

と、言われてしまった。

なので妹は、「もう一度、アジトから出て、人間の住んでいるところを支配して、貢ぎ物をさせるから、それを送るのはどうだ?」

と、提案してみた。

父と兄は、「それは大変じゃないか?」

と言った。まるで、ナンバー1の扱いじゃないかと思った。

しかし、ナンバー1は、ナンバー2.3を守ってやらねばならない。

多少面倒でも…

「大丈夫だよ。」

そう言ってしまった。

しかし、父と兄は、負担を考慮して、妹に似ているファミリーや、いうことを忠実に聞きそうな何人かも選び、ナンバー4と一緒にアジトから出した。

これが、妹の2回目の離反の真相である。

ただ、正しくは、離反というより、分担や独立であった。

 

そして、ナンバー4が住み着いたのが高篠地域にある高篠山のかつて人が住んでいた場所と言われる長者屋敷であった。

それをもじって、高篠女長者と周りの人間から言われていた。

しかし、人間たちも必死になった。

それまでよりキツく、厳しく貢ぎ物や略奪を女長者は繰り返すようになっていた。

その本人だけじゃなく、似たような仲間だけでくることもあった。

高篠の人たちは疲弊しきってしまっていた。

そんな村に、一匹の赤鬼いや、女の子が現れた。

 

高篠地域は、取れるものは何でも取られていた。

ただ、人が生きるのに最低限の衣食住のみがあるだけで、自堕落に生活していた。

 

なにやら、広場になっているところで、何か燃え落ちた跡がある。

そこら辺で、ぼぅっとしている人に女の子は聞いてみた。

「これは、夏祭りの残骸だ。」

「…けれど今は春で、煙も出たましたが。」

「昨日終わったんだ。」

「昨日?夏祭りが?」

「そうだ。例年通り、去年の夏に櫓を組んで、焚き火を燃やして夏祭りをしていたのに、女長者が再び現れて、焚き火をかき消すと、夏祭りを無理矢理中止させやがった。

そして、そのまま中止で、真冬にもう一度再開させられた。

その一日だけかと思ったら、そのまま夏祭りが延長されて、昨日やっと終わったんだ。」

祭りというか、そこまでいけば修行である。

「女長者は?」

「屋敷にでも戻って寝てるんじゃないか?1秒でも体を休めないと…」

これ以上この人に関わるとなんだか可哀想だし、怒って怒鳴られそうだったので離れた。

「作戦は一刻を争うといった感じだな。」

目玉はしゃべる。

「けど、どうやって助けるの?」

「俺を耳元に隠せ。」

「うん。」

まつりは目玉を耳元の髪の毛に隠した。

「いちいち指示する。それまでは絶対にしゃべるな。分かった?」

「分かった。」

そう打ち合わせると、またあることを指示して、高篠山に向かった。

 

 

高篠山は、わらびの名所である。

高くはない山にファミリー、ナンバー4が現れるまでは、集落中の人たちがピクニックにちょうど良い山だった。

そんな高篠山の中腹に、ナンバー4は屋敷を構えている。

今は、昨日で終わった夏祭りの体力回復のために昼寝の最中であったが、なんとなく起き出していた。

「人間が近くにいる。」

ナンバー4はつぶやく。

「なんだって?」

ナンバー4じゃないファミリーが出てきた。

これはいったい。

「大体、こんな時に訪ねてくるなど、命知らずもいいところだ。旅人でも迷い込んだんであろうから、食ってやろう。」

ナンバー4は、芭蕉扇をピシャリ!と閉じるとそう言った。

地獄道に堕とされたファミリーとはいえ、屋敷はとても立派であった。

純和風の畳敷の部屋は、いぐさの良い匂いがして、お香からも良い匂いがしている。

襖の絵も、梁の彫刻も今に動き出しそう。

まつりは静かに座敷の真ん中に正座している。

しばらくすると、ナンバー4が現れた。

「あなた…」

まつりは人が入ってきたらすぐ頭を下げろと言われていたから、すぐ頭を下げた。

正座から綺麗に頭を下げたから、ナンバー4は教養のある…自分より教養のある人間が来たと思った。

悔しい。

「頭を上げてください。」

違う声。

「まつり、頭を上げて元に戻れ。」

紘我の声に従う。

ナンバー4だけじゃなく、男の人がいた。

男に見える人もいた。

男の子も、女の人も女の子もいた。

五人いたのだ。

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

みんな黙る。

まつりは、紘我が指示しないから黙っているが、ファミリーは、また違った理由で黙っていた。

こんなに美しい人を見たことがない。

互いに顔を見ることや、村を襲って顔は見るが、こんなに美しく整ったなり顔は見たことない。

ファミリーには芸術も信仰心もないから、似顔絵やグラビアを見て、美しいと思うことも無ければ、仏像やタペストリーを見て綺麗と思うこともなかったのである。

とにもかくにも、こんなに美しい人を見たことがなかったのだ。

五人のファミリーは嫉妬し、羨み、見惚れ、憧れ、恐怖し、そして、五人全員がこの人を手に入れたいと思った。

「よく来てくれた。早速だが、ここで暮らさないか?」

芭蕉扇を閉じたまま、ナンバー4はまつりを指した。

「ここよりもっと良いところがあるから、こっちに来なさい。」

「いいや、うちがいい。」

次々としゃべった。

「まつり、こうしゃべれ。」

いままで黙っていた紘我がまつりに指示した。

「では、」

「「「「「!!」」」」」

なんと美しい声だと思った。

こんな美しい声は聞いたことない。

まるで○○○○のようだ。(まつりの声優の名前が入る。)

「では、1番小さいあなた。」

「はい!」

子供でいえばまだ10歳ぐらいのファミリーが答える。

「あなたは、この近くにある村があり、その村の1番背の高い女の人が被っている帽子を私にプレゼント出来たら、あなたのものになるわ。」

「わーい!」

まつりは隣の女の人を見つめる。

「そしてあなたは、あるものを食べて。」

「私?」

「大丈夫。手助けを手取り足取りするから。」

「…なら」

なんか照れている。

「そして、あなたは。」

「えっ?俺?俺にも。」

「あなたは、私がここに来る時、大事な赤い毛布を取りに行って欲しい。」

「なんだ。そんなもんか」

「そしてあなた。」

「待ってました!」

「!…あなたは、オート村の近くにある謎の声の正体を暴いて。」

「よっしゃ!そいつを捕まえて、その首をネックレスにしてプレゼントしてやろう。」

「そして、あなたは…」

最後にナンバー4を見た。

「いや、あなたはやらない方が良いわ。私の出すお題が出来なさそうだから。」

「なに?」

部屋の中の空気がグニャんと歪む。

本気で怒らせたようだ。

他の四人は怯えている。

しかし、まつりは冷静である。

「なにを言おうとしたんだ?」

「た…いや、やめましょう。やらない方が良い。」

「言った後で、出来るかどうか決める。言ってみろ。」

「…そうですか。なら…太陽が上がってから沈むまでの間に、高篠山のわらびを一本残らず収穫してください。」

「…なんだ、そんなことか。…そんなこと、私が出来ないとでも思っていたのか?」

「はい。」

「馬鹿にするのも良い加減にしないと、」

芭蕉扇を伸ばす。

本当に、手元から伸びて、まつりの目の前の畳に突き刺さった。

「今度はあなたが畳のようになりますよ。」

「………では、追ってその宝ややることを指示します。帽子と、毛布と、オート村の手前の調査のファミリーはこちらへ。」

そういうと、ゆっくりまつりは立ち上がり、三人と外に出た。

「………。」

「………。」

「綺麗な人だったね。」

「わたしだけ馬鹿にしやがって…私が手に入れて、奴隷にして…あいつの皮を剥いで私が成り代わってやる…」

ナンバー4は芭蕉扇が破れるほど握りしめた。

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