お楽しみに
まつりは、早々と3人と出かけた。
3人はなんとかまつりと話そうとしたが、紘我が絶対反応するなと言っていたので、まつりにとっては快適な移動になった。
オート村の近くにある、あの時は大蛇に乗っていたあの別れのところに来た。
「この近くに変な音が聞こえるから、調べて欲しいの。」
「おうよ!」
「で、ここが良いんじゃないかって場所があって。」
で、連れてこられたのは、その分岐点が見える崖。
だいぶ離れているが見晴らしが良く、遠くには地平線も見える。
「もしかしたら、長期戦になるかもしれないから、この崖に生えているイワタケを取ったらどうかしら?」
まつりは適当な長さの縄を差し出した。
「そうしよう!」
男は縄を近くの木に繋げると、するする降りて行った。
「じゃあお願いね。」
ファミリー2人とまつりは去った。
「俺のためにこんな縄まで用意してくれるなんて、やっぱり俺のこと…」
そんなのを考えて降りていったら、急に縄が軽くなった。
「わっ!」
慌てて男は崖にしがみついた。
ずるずる降りて、ちょっとした横になれるかなれないかの崖っぷちになんとか降りられた。
「なんじゃ?」
上を見る。
なんと、さっきのまつりが見下ろしている。
そして、手には縄と見たことないほど長い刀を太陽の反射でキラキラさせている。
「チッ!」
舌打ちが聞こえる。
「ちょっ…ちょっと!なにするんだ!?まつりちゃん、助けてくれ!」
「………。」
「どうしたんだ?助けろ!俺はファミリーだぞ!」
「………。」
「はやく縄をおろせ!」
「…。」
まつりは縄を伸ばし出した。
「言うことをきちんと聞けば良いんだ!俺のものになるんだからな!」
ある程度縄が降りてきたところで、また伸びるのが止まった。
「おい!まだ足りないぞ。なにやってんだ!」
まつりは出てこない。
「はやく縄をおろせ!俺を引き上げろ!そしてお前がなにかやったんだろ!それを謝れ!」
まつりは出てこない。
「謝れ!俺を上げろ!」
まつりは出てこない。
彼は29位
まつりは出てこない。
29位は叫ぶ。
まつりはでてこない。
まつりはでてこない。
まつりはでてこない。
「あっ!来た来た。」
まつりが2人のところへ戻った。
「すみません、縄の結びが甘いと思っていたので特殊な結び方に直してあげてました。」
「そうか。まぁ、勝つのは俺だけどな。」
「じゃあ、小さいあなた。」
「うん。」
「あなたはここから先の村に行って、1番大きい女の人の帽子を取ってきて。」
「分かった。」
「ただし、ここにお地蔵様があるけど、絶対ここよりこっちに来てはダメ。私が迎えに行くから、必ず出るの。私を手に入れたいなら、私の言うことを聞くよね?」
「うん。」
「じゃあ、いってらっしゃい。」
「はーい!」
男の子は、村の中に入っていった。
男の子とはいえ、ファミリー。
近くの二階建ての家をあっという間に奪い、家の人たちを隷属化させた。
「村で1番大きな女の人の帽子を取って来い。」
と、命令して、探しに行かせたあと、自分は家の縁側でダラダラしていた。
縁側からは、2mぐらいある生垣と、玄関に通じる門が見えた。
自分がまつりを手に入れたらどんなことをやってもらおうか考えていた。
すると、生垣の上になにか現れた。
真っ白な帽子だ!
しかも女性用のツバが広いやつだ!
生垣は2m以上ある。
明らかにこの帽子のことだ!
帽子はスタスタと門の方へ向かう。
「ちょっと、お前!」
男の子は声をかけた。
しかし、帽子は止まらない。
それどころか、門のところに来たため、正体を表した。
人だ。
これもまた真っ白なワンピースを着た人だけど、帽子を深く被っているので、顔は分からなかった。
その白い帽子の人はそのままスタスタ行ってしまった。
「おい!俺はファミリーだぞ!」
男の子は追いかけた。
しかし、門から外を見ても誰もいなかった。
「あのまま一人にしていいのか?」
「…あなたは私が欲しくないの?」
「いや、欲しい。だけど、あんな子供を一人でなんて…」
「なら、あの子と変わる?私は自分の毛布をあなたと」
ギュッと手を握り、目を見る。
「あなたに取り返してほしいんですけど。」
「………。」
まつりと、男はまつりが毛布を取られた関所まで戻った。
もう、辺りが真っ暗だったので、囲炉裏に火を起こし、なにもしゃべらず、じっとしていた。
「あんた…」
「あなたは、どんなものを武器にして獲物を取るの?」
「俺は、この鎌だ。農民が持っていたのをぶち殺して永久に借りた。」
「……それだけ?」
「あぁ、そうだ。」
「そう。」
「あんた…」
「あなたは、子どもは好き?」
「…好きっちゃ好きだ。肉が柔らかいからな。」
「食べるの?」
「きちんと処理してからな。中にはいきづくりを食べるのもいるが、かわいそうで見てられない。」
「……。」
「あんた…」
「私、もう休みます。」
まつりはまた正座し直した。
「ちょ…」
「失礼したします。」
男が止めるのも聞かず、すぐお辞儀すると声をかけられる隙を与えず、さっさと違う部屋へ行ってしまった。
「………。」
男は、なにもこちらが話す隙も与えられずさっさと寝られてしまったことに驚きと、せっかく二人きりなのに話せなかった不満があった。
それなら、さっさと寝てるところを襲って、自分のものにするのも手かと思った時、
「こんばんは。」
ある女の人が入ってきた。
その女の人は赤ん坊を抱えていた。