金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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前回は三社祭りごろだったようですね。
もう、年の瀬です。


第9章 第三部 化け物のすその正体、または、古寺の化け物

「こ、こんばんわ。」

まつりほどではないが綺麗な人が入ってきた。

なにかの不満がなくなっていった。

「こ、こんな遅くに…」

「実は、道に迷ってしまいまして、一晩泊めていただきたいのですが…」

「別に私の家でもありませんので、どうぞ。」

「ありがとうございます。実はこの子どもは夜、寝る前にうんと遊ばせないと寝ないので、少し遊んでやってください。」

そう女の人が言うと、子どもを床に置いた。

そしてデンデン太鼓を打ち始めた。

デンデンデンデン

それに合わせるように子供が、男の膝の上に上がった。

そして、なにやら謎の踊りを始めた。

デンデンデンデン

「…あの、この子どもは。」

「私の子どもです。器量が良いでしょう?」

「…はぃい。」

多少疑問の残る「はい」であった。

デンデンデンデン

「もう旅は長いのですか?」

「そうですね。

女は話し始めた。

さっき、まつりに逃げられた男は、不満を解消するかのようにたっぷりと話した。

「どうも子どもも眠そうなので、これで勘弁ください。」

子どもが女の腕に帰ったら、女は言った。

「そうですか…」

「もし良かったらまた話をしましょう。」

「ぜひ。」

「ではおやすみなさい。」

「はい。おやすみなさい。」

女と子どもはまた違う別室へ移動していった。

言い忘れていたが、この女、まつりの毛布を着込んでいた。

 

男は火を見つめながら、さっきの子どもを抱えた女と、まつり、どっちを手に入れようか考えていた。

さっきの女の方が話しやすかっただとか、後から来た女の人から自分のものに…とか、

すると、不思議なことが起きた。

囲炉裏の火を見ながら考えていたのだが、ジリジリと火から遠ざかっている。

「あれ?」

座ったまま囲炉裏に近づいた。

しかしまた、少しずつ後ろに動いているのが分かった。

「どういうことだ?……うわっ!」

廊下に引っ張り出された。

「なにぃ?」

そのまま廊下を引っ張られていく。

「なにが起きてる?」

素早く、建物の柱に指をかけたが、自分を引っ張るのはすごい力。

あっという間に引き離されて、廊下を飛ぶように引き摺られて行く。

「ちくしょうめ!」

懐から、まつりに話した鎌を取り出して、建物に突き刺した。

見事に止まった。

「なんだって言うんだよ…おーい!誰か?」

シーン!

 

「誰かいないか?助けてくれ!赤い服の女の人!ま、女の人!いないか?俺のものになる女の人はいないのか!?」

怒鳴るが返答はない。

ガキっ!

と鎌が欠けてまた廊下を引き摺られて行く。

「誰か!俺を助けろ!ファミリーなんだぞ俺は!」

誰も出てこない。

「あの女…」

欠けた鎌をまた、無理矢理家に突き立てる。

両手で力いっぱい突き立てた。

止まる。

両手で鎌の持ち手を力いっぱい持ってやっと止まる。

「おい!女!出てきやがれ!そして俺を助けろ!なにやってんだ!寝るな!起きろ!」

「そんなに大きな声を出さなくても聞こえてますよ。」

まつりが男の後ろ、なにか引っ張られている方向から現れた。

「お前!なにやってんだ?はやく助けろ!」

「ええ。助けます。」

まつりは男の服の後ろの空間を掴む。

服が後ろに引っ張られる。

「これ、大変ですよね。どうなってると思います?」

「しるか!?はやく、はやく楽にしろ!」

「そうですか…そういえば、真後ろの板間が一箇所外れていましてね。

それを覗き込んだら、女の人と子どもがいたんですけど、分かります?」

「…さっ、さっき会った。それが?」

「あの女の人は、女郎蜘蛛、そしてあの子どもは蜘蛛の子どもです。その蜘蛛があなたの服に細工をしたので、それに引っ張られているんです。」

「じゃあ…早く服を脱がせろ!」

「嫌です。」

「なんで?」

「あの女郎蜘蛛の母子はお腹が空いているんです。」

まつりは、股の間に挿している刀を抜いた。

「おい!」

まつりの身長より長い刀を素早く、美しく抜く。

そして抜刀で、鎌を抑える両手首をスパン!と斬った。

「なにを…」

両手首のない男は少し宙に巻いつつ、板間に引きずり込まれていった。

「ぐぁ…」

なにか叫ぼうとしたのか、口を抑えられたのか、すぐ音がしなくなった。

次の日、まつりは両手首のついた鎌を持って、近くの寺のお坊さんたちと一緒に床下を見た。

すると、何人もの人間の白骨が出てきた。

そして、大きな女郎蜘蛛が綺麗に折り畳んだ赤い毛布の上にいた。

「それは、私のものなので返していただけませんか?」

まつりは聞く。

蜘蛛に通じたのか、蜘蛛は降りるとガサガサと子どもたちとどこかへ行ってしまった。

まつりは赤い毛布を取り出してみる。

まさに誰かが直前まで使っていたように、汚れている感じはしなかった。

そして、地下を探すと、昨日の男の服も出てきた。

天道のモノに確認すると17位のファミリーであることが確認された。

 

そして、同じ日に44位のファミリーが、体内の血や内臓が全てなくなって死亡した状態で発見されたことが報告された。

44位は、あの村に置いて行かれた男の子である。

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