金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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第9章 第四部 約240cmある女(約30cmは一尺)

男の子は夕方に、腹が減ったので、人間たちを呼び戻すと、夕食にさせた。

とはいえ、人間はみんな黙っていた。

耐えきれなくなって男の子がしゃべる。

「そういえば、さっき、生垣より大きな女の人が通ったぞ。」

「!!」

「!」

「…!」

また静かになってしまった。

しかし少し驚いたようだった。

「なにか知ってるか?」

「……。」

「おい、女!」

「知りません。」

「ちっ…おい、男!」

「…知りません。」

「「…」って間はなんだ?知ってるだろ?」

「…はい。」

男の子は箸を投げる。

「知ってるなら、知ってるって言え!」

「合っているか不安だったので…」

「あれはなんだ?仮説で良いから言え。」

「おそらく、八尺様かと…」

 

「なんだそれは?」

「六道ではないと思います。おそらく怪異。見た…見た者をさらうと言われています。」

「なんでそんな危ないものなのに、黙ったんだ。」

「すみません。しゃべっていいのか迷いまして…」

この人間は四人家族だが、さっきからは父親ばかりしゃべらされている。

子どもは44位の男の子とほぼ同じぐらいの見た目だが、黙りこくっている。

「僕が見たってことは僕がターゲットか…倒したりする方法はあるのか?」

「一応…」

「なんだ?すぐやろう。このままでは僕は死んでしまう。」

「…まず、今日は2階の一室におこもりいただきます。」

「それで?」

「外から出るように妨害されますが、それを無視します。奴はどんな声でも出せますので、それでも無視します。」

「で?」

「そして、朝になったら全力で村の外に出ます。」

「ふーん……嘘ついてないよな?」

「いいえ!絶対に…」

「怪しいなぁ。お前ら、もし黙っていれば連れて行かれたラッキー ぐらいに思うつもりだったんだろ?」

「違います。」

「さぁ、どうだかな…では、お前らの子どもと過ごすことに…」

「余計な子どもがいると、二人とも強制的に連れて行かれますよ。」

「………。」

男の子は子ども達を見る。

恐怖に震えている。

「…親は普通子どもを守りたがるのに、その対応とは……」

「本当のことしか言っていないからです。いま、あなたに嘘をつくのは家族を守れません。」

「そうかぁい。」

男の子は全て食べ終わると、茶碗を投げた。

「ならとっとと俺が生き残るよう準備しろ!」

茶碗が派手に割れた。

 

「では、おやすみなさいませ。」

2階の六畳の部屋に布団が敷かれ、隅にオマルが置いてある。

絶対に外に出てはならないということだ。

しかも、四隅には盛り塩までしてある。

「明日の朝、こちらからお開けします。それまではどんなことがあっても外に自ら出ないでください。」

「はーい。」

「では。」

そう言って、男は出ていった。

男の子は一人ぼっちになった。

「とっとと寝ちまえば、朝になるだろ…」

ビガァア!ゴロゴロゴロゴロ!

「なにぃ?」

庭先に雷が落ちる。

窓にはカーテンがひいてあるが、それが雷の光で白く、ビカビカ光る。

「とても寝れる状況じゃない…」

独り言を布団にくるまって言ったとき。

「私の旦那様!」

外から声が聞こえた。

あの訪ねてきた女の人の声だ。

「ここを開けてください。あなたがしっかりやっているか見に来たのですが、この降りで困りました。開けてください。」

「はいはい。」

(開けてはならない!それは八尺様だ!)

あの男のような声が聞こえる。

「…ごめんなさい。開けることは出来ない。」

「どうかしましたか?」

「君に頼まれた高い背丈の女の人の帽子はどうやら、化物の帽子だったみたいで、僕はその化け物に狙われちゃってるから、ここを開けられない。」

「そうですか…けれど、その勝負、もう型がつきそうですよ。」

「なぜ?」

「これはなんでしょう?」

稲妻がピカッと光り、帽子みたいな影絵が出来る。

「これは…」

「これが、あなたに取って来てといった帽子。もう手に入れたから、あなたに。」

「そ、そこに置いておいてくれ。明日になったら取って、きちんと渡す。」

「けれど、そんな悠長、のんびりしたこと言ってていいの?早くしないと、他のファミリーがクリアして、私はそのファミリーのものになってしまうよ。」

「それは困る。」

「それだし、私は、あなたのものになろうとしているのに、他のファミリーと一緒になるしか…」

「そんな…」

「そもそも、私は声を掛けたら出なさいって言ったのに…村の外に出てはダメだって言ったのに…ひどい。」

「それは…」

「せっかく私はあなたのものになろうとしているのに、その私より、ここにいる他人を信じるのですね。」

「違う!僕は、あなたが欲しい!」

その障子をガラッと開けて、まつりに向かって飛び掛かるように外に飛び出した。

その時また雷が鳴った。

また外にいた女の人に光が当たる。

大きな白い帽子

白いワンピース

そして、2mを超える身長

やっぱりまつりではなかった。

「はい バーカ。」

その男の子が言ったと思うが、その化け物が男の子の声を真似したかもしれない。

 

次の日。

その家の主人が起こしに行っても出てこなかったし、2階が開いていた。

慌てて、村人みんなで調べたところ、村の入り口に、体内の血や内臓が全てなくなって死亡した状態で発見された。




この回があることにより、この物語は大昔の日本ではなく、近未来かもしれないという可能性を入れ込みました。
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