金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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これは、昔話というか落語ですが、古典なので昔話でしょうか


第9章 第五部 蛇の腹がへっこんだ話の正体あるいは、そば清

「もう食べられません。」

「頑張ってください。今はどんどんライバルが減っているのですから。」

「ですが…そのままだと負けてしまいますよ。」

 

ファミリーの順位だと13位。ナンバー4の娘である。

まともにぶつかっては、まつり、海美でも勝てない。

なので、紘我はあることをそば畑で考えてあった。

目の前はそば畑

そのところにあるあずまやのようなテーブルでそばの大食い競争をさせている。

なんとも情緒があるものだから、近所の六道のモノモノが集まりおだてている。

紘我はある変わったルールを採用した。

それは、テーブルを隣り合わせにするのではなく、一枚仕切りを作り、食べ終わったそばのザルを相手の机に置くというものだった。

なぜこうしたか?

理由は不正がし放題だからである。

食べる勝負は13位と近所の人間だが、元々マジシャンという人で、食べるふりをしつつ、そばを違う袋に入れていくという戦法を取らせた。

それだけでなく、ザルを相手のテーブルに置く時、食べてない空のザルもいっぺんに置くことで、ザルの量を倍にしている。

だからと言って、それを非難する観客はいない。

みんなこのあづまやに集まる前に入念なチェックをされている。

それに加えて、片方はファミリーと言ってあるから負けさせるのに反対するモノや人はいる訳がなかった。

13位は完全に騙されていたのだ。

しかし、13位も対策はあったのだ。

実は、この勝負がスタートする前に、まつりから、

「やはり、あなたのものになりたいので、あなたにアドバイスがあります。」

と言って、懐から草を出した。

「これは、私が峠を旅していたときに、大蛇が人間を一飲みにしているところを見た時、大蛇が食べたものです。それまでは腹が膨れていたのに、その草を食べたら急に腹が引っ込んだのです。なので消化を助ける効果があります。これを、ココ!と思うところで使ってください。」

そう言われていた。

「すみませんが、トイレに行っても?」

「良いですけど…どんどん突き放されますよ…」

「…構わない。早く行って、早く戻ればいい。」

そう言って、席を立った。

トイレは、厨房棟の中にある。

慌ててトイレに入り、まつりからもらった草を取り出し、丸呑みにした。

特に味はない。

「よし!…これで。」

 

 

「とくにお腹の調子は変わらない!」

こんなことをしている間にもそばの量は突き放されてしまう。

「放って置けば、勝手に効果が聞き始めるだろう。」

そう言って立ち上がる。

しかしなぜか膝や足に力が入らない。

「どした?」

下を見る。

どうした?

足の先がそばになっている。

「は?」

慌ててトイレのドアに手をかける。

しかしドアは開かない。

ドアに触れた指がそばになった。

そばが飛び散る。

「えっ?指は?」

その時、トイレの向こうを誰か通った。

まずい、人間がどんどん食べているらしい。

「誰か!?」

ドン!

とドアを叩く。

拳がそばになり、ドアに当たったそばが飛び散る。

そしたら、衝撃なことが聞こえて来た。

そばの配膳をしているのはこの近所の人間の女性だが、高齢なために声が大きい。

そしたら、

「…いま食べてる人のそばは少しはじいて量を少なくするんだいな!?」

「そうだって、言ってるだんべ!」

なんだと?

食べているそばの量は人間の方が少ない!?

「早く!あけろ!」

ドアに体当たりする。

ありがたいことにドアが外れて外に出られた。

しかし、体当たりした右肩はそばになってしまった。

「きゃ!」

配膳のおばさんが驚いて声をあげた。

「今、人間はそばの量を少なくしているってのは本当か!」

「わわわわ…」

人間たちは驚いている。

それは、ファミリーに聞かれてしまい、自分達が暴力を振るわれるのではないか?

という恐怖ではなく、ただ顔が怖かった。

頬を突き破り、目玉を押し出し、耳から、鼻から、

にゅるんにゅるん

にょろんにょろん

ちょろんちょろん

そばが出てくる出てくる。

「「わっ!」」

配膳と、そばを茹でる係の人が逃げ出した。

「待ってくれ!体が…」

膝下もどんどんそばになり、その場に倒れ込んだ。

その瞬間、人間の肌が弾け飛び、全てそばになった。

事情を聞いたモノや人は厨房棟へ来た。

「やっぱり。」

まつりがつぶやく。

「「どういうことだ?」」

周りが聞く。

「実は、こちらの方には絶対勝てるように仕向けさせていたんです。それであえて、ファミリーにある草を渡しました。これです。」

まつりはまだ残しておいた草を取り出した。

「これは蛇含草(じゃがんそう)と言います。人間を食べた蛇はこれを舐めると腹が引っ込みます。ただし、それは消化を助けるからではなく。人間を溶かすのです。だから、このファミリーは溶けてしまったんです。」

人間もモノもそばになったファミリーを見下げた。

なんともそばが恐ろしく見えた。

ただ一人、違う見え方をしていた人物がいたとかいないとか。

その人は、言葉で人を笑わせることを生業にしているが、師匠より新作を考えてみろと言われていた。

この、腹が減る草ではなく、人を溶かす草というのは面白いと思っていた。

そば清が生まれたとか生まれなかったとか言われていたり言われていなかったりする。

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