金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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なんで竹馬がいるのかというと、もともとこの子は槍を二本持っていたのですが、隠すために竹槍にして、遊具に見せかけるために馬がついたわけです。

ウマが流行っているからではない。


第一章第二部 お遊戯 第四話

そっと、猫の面だった女の子から手を離す。

次に杖を見る。

ちょっと離れてる。

足を踏んだままとはいきそうにない。

ヴィーン!

と、足の下でなにか振動がする。

また下を見る。

ヨーヨーから刃物が出て回転している。

「チャレンジャー!飛び道具を使え!」

また、観客が声をかける。

さっきの、面を割った動きにみんな息を殺したが、展開が進み、また声を上げ始めた。

「………。」

海美は踏んでいない足をヨーヨーの糸の上に置いた。

犬の面は糸を引っ張る。

糸を引っ張るビン!ビン!とした感覚が糸を踏む足に伝わる。

海美は目線をそらさずグググっと前傾姿勢になって踏んでいる足の糸を右手で持った。

犬の面が左手を下ろす。

手で持ち、またグググっと状態を戻す。犬の面はすごい力で引っ張っているのが分かる。

左の腕で糸を上から抑える。

目だけで足元のヨーヨーを見る。

刃物がなくなりただのヨーヨーに戻っている。

ヨーヨーから足を外す。

ヨーヨーは動かない。

左腕から、左手に糸を持ち替えて、右手を素早く左手付近に移動させて、糸を掴み、一歩前進して、また左腕で糸を引っ張る。

ヨーヨーは動かない。

「おっ…」

「…ゴクン。」

観客がまさに固唾を飲んで見守る。

スッと一歩、杖の方向に海美が寄る。

ヨーヨーが引っ張られて海美の身体に完全に隠れる形で犬の面と海美の真後ろに隠れる。

「勝ったな。」

馬鹿な観客がフラグを立てた。

犬の面がいきなり左手を振ったかと思うと、もう一つヨーヨーが海美の右側に飛んだ。

左手を下ろしたのは、予備のヨーヨーを探すためだったのだ。

右側からヨーヨーが迫る。

「ちっ…」

海美は持っている糸を前方の犬の面に向かって投げた。

上手いことヨーヨーが犬の面に向かって飛んでいく。

しかし、首に予備のヨーヨーの糸が海美に巻き付いた。

なんとか右手も巻き込んだから首が締まることはない。

しかし、何周かされたら頭にヨーヨーの刃が突き刺さる。

しかし、思い出してもらいたいのが犬の面に向かってヨーヨーが飛んでいる件だ。

海美が投げたヨーヨーはいきなり犬の面の言うことを聞くようになったからか、刃物が高速回転しながら犬の面に戻ってきたのだ。

びっくりした犬の面が左手にギュッと力を込めたものだから、しっかり締まらず、また刃物も引っ込んで、海美にゴチン!と当たっただけだった。

そのままさっと、杖に寄る。

杖からまた刃が出る。

しかし、さっきと違って全然刃が出ない。

カッターの一枚ぐらいだ。

それが首と右手に出来た糸の間を刃物が通り、ヨーヨーの糸が切れた。

素早く杖を持つ。

犬の面を見る。

予備の予備のヨーヨーを取り出して、海美の肩上の左右に向かって二つ投げた。

「んっ!」

海美が杖を前方に突き出す。

今度はカッターとは比べ物にならないほど長い刃が出て、槍が出てくる縦回転ではなく、傘のように横回転させた。

高速回転がヨーヨーの糸をとらえる。

ブチん!

と糸が切れて、ヨーヨーが全然関係ないところへ飛んでいく。

「えっ!?」

「んっ!」

横回転から縦回転へ

犬の面

犬のお面だけが空中に飛ぶ。

犬の面をつけていた子どもはその場に立っている。

海美の杖を持つ左手が犬の面をつけていた子どものお腹に添えた。

「……負けた…」

「私の勝ち。」

犬の面が土俵にパタリ。と落ちる。

「…終わった。」

「…チャレンジャーが勝った……」

「チャレンジャーが勝った…」

「…すげえ戦いだった。」

発狂熱狂な声援が起こるまでの、奇跡的な静寂な時間だった。

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