金剛杖物語~雄鬼のまつりの章~   作:仲村大輝

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みなさま。
これで9章は終わります。
良いお年を。


第9章 第七部 昔話として残る

天人がまつりに地図を渡した後、不思議なことが起きた。

天空からなにかふわふわと落ちてきた。

扇だ!

まつりの頭の上にヒラリヒラリと扇が落ちてくる。

取れそうだったので、そのまま扇に合わせてあっちにフラフラこっちにフラフラ扇の下に回り込んでいたら、変わっていたことが分かった。

「大きくない?」

第4位が持っていた時は片手サイズだったのに、まつりと同じぐらい大きさがある。

「うわっ!」

なにかにけつまずいて倒れた。

扇がパサり。

とまつりの上に降りた。

意外と軽い。

扇から這い出す。

「あっ!」

まつりは見覚えを思い出した。

夢だ。

夢の中で私は空を飛んだ。あの扇だ!

「天人さん。これは?」

まつりは紘我の指示がなくしゃべった。

「まつり。これからは自分で決めてしゃべり、行動しなさい。扇もそれに答えることでしょう。あなたが夢の中で使ったことがある使い方はその扇も出来ます。

持ち主のところへ戻っただけなのですから、あなたがあなたの通りに使いなさい。」

「はい。」

そういうと、神々しい光は消えていった。

まつりは高篠の人たちに協力してもらい、背中に扇をかつげるように細工してもらうことにした。

その間にどうしても確かめなければならないことがあった。

慌てて、オート村の近くの崖へ向かった。

 

 

もう何日たったのか分からないが、29位はまだ崖にくっついていた。

食べ物もなく、落ちる恐怖から寝ることも出来ず、心身共に疲れ果てていた。

しかも、これは本人が知るもしもないが、オート村ではまた、

あの峠に化物が現れて、昼夜問わず叫んでいるという噂が立っていた。

化物ではなかった。

この29位が助けを求めて叫んでいる声なのだが、遠いから、化物が叫んでいるように聞こえるだけだったのだ。

「はっ!」

崖の上で29位は居眠りをしてしまったが、すぐに目を覚ました。

その時、崖の一部が欠けて、下に落ちていった。

それが29位にはふわふわゆっくり落ちていくように見えた。

 

29位は立ち上がった。

彼は正常な判断が出来なくなっていた。

いま飛び降りればあのかけらのようにふわふわ降りられるのではないかと思った。

 

空を見る。

太陽が沈みかけて、今日が終わろうとしている、美しい夕日だ。そして美しい森、川。

世界は美しく

なんと残酷なのだろうかと思いつつ。

彼は崖から飛び降りた。

彼の身体は地球に引っ張られてどんどん加速していった。

ふわふわ落ちる訳がなかった。

 

そして森へ消えた。

 

観音様が降りた。

 

そしてあるものを見届けて、天に戻っていった。

 

 

 

 

後書き

観音様は何を見たのか。

29位は崖に背を向けていたのが幸せだった。

美しい空

美しい自然を見ながらいけた訳だ。

後ろを見ていたら最悪であった。

 

崖の上には、

アバジャ

ルッコラ

おやっっあんの部下たち、総勢20数名が見下ろしていた。

そして、空に飛んだ瞬間に20数名は歓声を上げ、拍手を送り、祝福した。

29位はずっと一人だった訳でも、誰かが助けに来てい…いや、一人ではないが、助けてくれる人たちではない。

なにが言いたいかと言うと、29位は死ぬことで多くの人やモノから喜ばれ、祝福され、感謝されたのである。

生きていることが罪であり、死によって感謝される。

それがファミリーである。

なので、この話は後世にも残った。

 

なぜ、一人崖に取り残された29位の最後は語り継がれているのか。

それは、29位が命を無くす瞬間まで多くの目撃者がいて、死ぬことで祝福されたからである。

そして、その死を観音様が注意しなかったいや、出来なかったのは…(それを書くことは出来ない。)

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