郡カズキは英雄である   作:真の柿の種(偽)

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 傷つけ合う事さえ可能性に満ちている。
 かつて神様はそう言った。


「きっと分かり合えない」とかたくなになるほど

 そもそも敵とは何なのだろう。

 何故、人は狙われるのだろうか。

 

「……」

 

 スフィンクス単体を塵に灼いたすぐ後、増援として新たにやってきた敵の群れすら大した数には及ばない。鎧袖一触と無へ還し、状況が終わって早々に独り座り込んだなら、空を見上げる。見上げて、思案の海へ更に沈む。

 バーテックスとフェストゥム。この二つは、勇者達のアプリが示していた通り、確かにイコールの存在だ。黄金のシリコンの肉体に、各個体がワームスフィア現象を駆使して、それを応用したシールドを展開もでき、また、最大の特徴とされる同化現象すらも扱う。種としての話なら両方の存在は同一種と見做せるだろう。

 しかし、例えばアザゼル型やスフィンクス型、それらと獅子座を比べてみれば些細で細やかな違いはあれど、明確な相違点が一つだけあった。

 感情の起伏、とも言うべき揺らぎ。

 クローラーは昆虫のように静かで、静謐さに隠した悪意は冷酷無比だった。ロードランナーはじっとりとした悪意を絶やさず、皮肉を込めた意趣返しは老猾とも感じた。アビエイターは子供のように感情のまま、それでいてより残酷で非道に愚弄を繰り返す悪辣さを持ち合わせていた。人間のように取り繕おうとはせず、堂々とその悪意を振り撒く姿は、いっそ人類の理性を取っ払えばこうなるのだと、敵から見せつけられている気すらした。

 これほどに強大な敵がお前達を苦しめるのは、人の悪意が巡り巡って翻って来ているだけ。そんな風に指を刺して嘲っている。

 

「……切れてきたのか」

 

 じんわりと暗がりの空は滲んでいき、見える世界はブレていく。樹海化の終わりなのかと根の大地へ目線をやれば、世界の輪郭すら朧げだった。

 白い無機質な機械腕で懐へ手を伸ばしかけて――思いとどまる。地下から出る間際に、マリアと名乗る老婆から渡された拮抗薬もそう多くはない。次に打つならもう少し時間が経ってから。せめて乃木の元へ向かう直前がいいだろう。

 ――――閑話休題。

 

「……憎しみの、器」

 

 彼等にも心はあった。けれどただ一つへ集極した敵愾心のみ。それだけだ。敵を蹂躙する悦びも、敵へ苦痛を与える達成感もない。作業のように高密度の殺意だけが渦巻いていた。

 敵を、この場合は人を憎むだけに全てを注ぐため作られた存在。憎んで、人を殺して、人を潰して、人を疾く虚無へと誘うべく、戦だけの尖兵。それが星座を冠したバーテックス達への所感だ。

 まるで機械のようで、なるほど確かに、   が自分と似ているなんて思いつきもする。戦うために生まれた者として、同族意識に近い共感を抱きもする。

 これらを踏まえれば、星座を冠したバーテックス=フェストゥムと、その他のフェストゥムは本質的には違うモノ。

 

「なんて……どうでもいいか」

 

 逃避の思考は、頭を振って物理的に消し去る。整理しかけた事実は脳細胞ごと振り回されて、再びグチャグチャに散らかった。

 敵が違うから何だというのか。そんなのは   の事情とはなんら関係がない。カズキの製造理由と存在の本質を考えたなら、フェストゥムとは切っても切り離せない事情の一つや二つもありそうだが、しかしやはり、この苦悩とは無関係な事情だろう。

 

 ――戦いは、きっとまだ続く。

「……いつまで」

 ――残った時間が潰えようと、きっと、まだまだ。

「……でも、無駄じゃない」

 ――なら何が残る?

「俺が……戦った、証……が」

 ――なにもない自分を、果たして誰が覚えている?

「それ……は」

 ――帰る場所が無く、どこにもいない者を、果たして誰が覚えてくれる? 

「……」

 ――戦うために生まれて、しかも代わりのある人形に、みんなが覚えてくれる価値なんてあるのか?

「…………」

 

 自問を自答で、無理矢理に引き裂いて納得させようと努力を続けるのは、結晶舞い降る地下から出てきてずっとだ。頭の中を這い回る悩みは、押し寄せる事しか知らない波のようだ。それを必死に掻き分けて、自分を落ち着かせられる妥協点を探し続けて。

 それでも苦悶は、しつこくいつまでも絡みつく。

 絡みつく感情はコールタールのような色をして、奥底で手招きをする思念が苦悩を咀嚼して、ぐつぐつとした憎しみの唸りを徐々に大きくしていく。

 

「…………でも、戦うって決めた」

 

 戦うための理由は、三つ()()()

 優しい勇者部の暮らす平和を守り、彼女達を戦わせないため。

 忘れていた自分を取り戻し、大切な約束を果たすため。

 信頼できる恩人の求める希望の未来を、現実のものへと近づけるため。

 理由の一つが消え去っても、根幹となる信頼に亀裂が入ろうと、それでもまだ戦うに値する理由は残っている。

 

「俺が、自分で選んだ」

 

 選ばされた選択でも、他に余地がない選択でも。時間が残っている限りは戦い続けると決めたのだ。製造理由に沿って、押された背中に従って、逃避のための手段として、自分は命を使い続けるのだろう。

 理由がある限り、信じた道をどこまでも突き進む。

 

「……」

 

 乃木は、三ノ輪は、なんて答えるのだろうか。怖いというのが率直な意見だ。

 乃木達に聞くだけでも怖い。根底が揺らぐのだから、二の足を踏む恐怖が止まらない。だから、千景には聞けない。

 聞いて、もしも老婆の言った通りの現実があったなら――むしろそうなるのが自然なのだろう。()()()怖い。

 

「……確かめるのが、怖い……」

 ――だって、千景さんが見ていたのは、三百年前の『真壁一騎』。

「……あの人に言われるのが、何よりも……!」

 ――   は威を借りただけの『人形』で、望んだ未来を手にするために使う『道具』。

 

 力は、依然として育っている。ザインとニヒトに成らずとも、クロッシングを通わせることは容易なくらい、人の身体からファフナーの機体へと成り代わっているのだろう。

 だから、その声も聞こえたのだ。

 

 ――――そう言われたの?

「え……?」

 ――――千景がそう言ったの?

 

 夢の中じゃなくてもその声が届く。それほどに   の力は増しているのだろう。それともまさか、届くほどにその場所が近い――――?

 

 ――――『人形』、『道具』、その答えはカズキの答えであって、千景の答えじゃないよ。

「そんなのっ……」

 ――――千景を見て。

「……できない」

 

 目が見えない、なんて口実以前の話。

 郡千景という人間を直視するのができないのなんて、二年前からずっとそう。

 

 ――――千景の声を聞いて。

「……できないっ……!」

 

 まともに耳を傾けられる訳がない。

 それを避けていた二年間だったのに。

 

 ――――どうしてカズキは

「――やめてくれ!」

 

 ――俺に、あの人を認識させないで。

 盲目に信じたいだけだ。あの人を知りたい訳じゃない。知ったところで何もない。   の想像したままで、それが全てでいいじゃないか。

 千景さんは優しい。千景さんはかっこいい。千景さんは強い。千景さんは責任感がある。千景さんは未来をより良いものへ導こうとしている。千景さんは過去の遺志を無駄にはしないために尽力している。千景さんは『楽園』で過ごす時間を慈しんでいる。千景さんは『真壁一騎』を大切に想っている。千景さんは島に帰りたがっている。千景さんは島のためならなんでも頑張れる。千景さんは――千景さんは――――千景さんは――――――千景さんは――――――――千景さんは――――――――――千景さんは   を拾ってくれた恩人。

 それが全て。それでおしまい。   から見た千景はそれだけだ。勝手な想像で塗り固めて、本当の姿なんていらない。本当の声なんて、本当の千景なんて知りたくない。   が知っても傷つくだけだ。ただ、怖いだけなんだ。

 

 ――――千景の望んだ未来を叶えようと思ったの?

 

 沈殿する面持ちと比例するように、左目の橙はその光を暗く増した。

 右目の水色は曇り、橙が少し混ざったようだった。

 

 

『ちーちゃんはこれから……どうするの?』

『……どう、って?』

『ずんくんのこと』

 

 病室まで送り届けてくれた彼女は、何も答えず踵を返し。

 

『……あの家で、帰りを待つ』

 

 いたそうな顔を隠すように。さびしそうな背中を向けてそう言った。

 

『私があの子にしてあげられるのは……それしかないから』

『……ちーちゃんは、もっとずんくんの助けになれてるよ』

 

 曖昧な労いしか言葉にできない。これを人は、無責任というのだろうか。

 

『……そんなのも、あの子は必要としてないのかも』

『そんなことっ……!』

『――――『ただいま』って、三ノ輪さんはどんな時に使う?』

『え? ……家に帰ってきたらとか?」

 

 突然の問いに、ミノさんは至極当たり前の認識を口にした。

 

『二年間、一緒に暮らして私は――『ただいま』って言われたことがない』

『…………そっか』

『『いってきます』だって、私はっ……聞いたことがない』

 

 悔いた声。懺悔とも取れるニュアンスだ。

 もっと何かできたのではないかと、今になって考え始める自分を責めている。そのような感じ。

 

『……私では、カズキの帰る場所には、なれないのかしらね』

 

 泣いていた。涙は見えなかったが、それでも彼女は悲しんでいた。

 それ以上に何もできないことが苦しいと、酸素を求める魚のようにあえいでいたのだ。

 そんな背中をミノさんが見送りに行って、すぐ後――――小さな暗黒の球体が、ワームスフィア現象が病室内に発生して膨らみ、少年は突如として目の前に姿を顕した

 

「……さっきぶりかな?」

「……そうだな」

 

 数分違えばこの場には彼女もいた。彼がどのような目的でここへ来たのかを考えたなら、彼女もいてくれた方がよかったのだろうか?

 だからこそ、彼はこの瞬間を狙った。そうとも考えられる。

 

「確かめるために、ここに来た」

「うん。……あの場所では中途半端になっちゃったからね」

「……さっきは、その……悪かった」

「んーん。ぜんぜん気にしてないんよ〜……むしろ、ごめんなさいするのは私」

 

 素直に言うなら結晶が全身を覆った時には、もう死んだかと思った。でもそれが彼の齎す祝福だったなら――――『それもしかたないかなぁ』なんて、達観していたけどそれはそれ。そもそもあの場所の管理を徹底すべきだったのは私達であって、彼の動揺の元となる要因はもっと排していなければならなかった。そうして初めて、彼へ真実をゆっくりと手渡せる。せめて矢継ぎ早に詰め込ませるなんて事にはならなかっただろう。

 つまり非があるのは私を含めた島の者達と、人類軍の者達――マリア・H・ギャロップだ。

 

「それで……ずんくんは、何を確かめたい?」

「……『パペット:モデルSal』」

「――――そこまで、知ったんだね」

 

 冷たい事実を冷めたまま、彼へと伝えたのだとすぐさま理解した。

 だから、彼に『軍』の人達を会わせたくはなかった。

 

「俺には、何もなかった」

「……」

「求めていた過去も、どこにも無かった」

「…………」

「……どうなんだ?」

「……間違って、ない」

 

 どれだけ言い繕ったとして、どれだけ温めたとして、事実は事実だ。

 ずんくんには、過去がない。

 それは、つまり――――

 

「なら、やっぱり嘘だったんだな」

「っ……」

「探しても見つからない。記憶なんてそもそも失ってすらない。それもそのはず、俺が生まれる前の『真壁一騎』はもう、世界のどこにもいない」

 

 それはたった一つの嘘だ。けれど、そのたった一つに縋っていた人がいたなら、ただ一度でもその嘘を信じられなくなってしまえば、それは文字通り生きる意味が崩落したようなもの。足場が崩れるようだなんて比喩も安い絶望感は、私には分からない。彼の悲しみは彼だけのもの。彼の絶望も彼にしか理解できない。

 クロッシングで感情を覗いたって、人一人を丸ごと理解するには程遠い。

 

「…………ずんく」

「――――その呼び名をやめろ!!」

 

 激情に駆られた紫電が、天井を焦がした。

 きっと無意識だ。無意識にニヒトの力が漏れ出ている。それは、その兆しは、あまり善い話ではなかった。

 

「どうして……?」

 

 気に障った部分が分からないから、聞いてしまった。

 

「……お前も、そうなんだろう」

「……?」

「――――『ずんくん』って、前の真壁一騎にもっ、そう呼んでたんだろ……?!」

「……――――」

 ――やったぁ~! ずんくんのカレーだ~!

 

 過去を、ふと思い返して、自分が、とんでもない間違いを、犯し続けていたことに、気づく。

 自覚が無かったなどと言い訳にしてはならない。よりにもよって、そんな目線を向けてはならない存在に、ダメ押しの目を向け続けていたのは誰だ。

 ずっと、過去にいた別人と、まったく同じ名を呼んでいたのは。

 

「お前だけじゃない」

「――……ずんっ…………」

「結城も、東郷も、三ノ輪も……千景さんも、見ているのは『真壁一騎』だけだ。…………それは、俺じゃない」

 

 彼は、私が考えていた以上に繊細だったのだ。

 みくびっていた? 生まれて間もない存在だと? とんでもない勘違いだった。彼は一人の人間だ。以前にいた『真壁一騎』じゃない。皆城総士でも、三百年前の真壁一騎とも決定的に違う。その前提を私は、本当に知っていた? 理解していた?

 

「俺は、『真壁一騎』に命を返せたならそれでよかった。何者でもない空の器が、本当の英雄で満たされるなら、心が無くなっても、誰からも忘れられても…………か、かまわないって」

「……」

「――でも違った。この席は俺の物じゃないって信じて生きてきたのに、その存在はもうどこにもいない。なら、だったら……俺はなんだ」

 

 郡カズキと名乗っていたのに、本当に私は、『郡カズキ』を見れていたのだろうか――――?

 

「俺は、いったい何なんだ」

「…………私達の希望、かなぁ」

「答えになってない……!」

「……ずんくんは、ずんくんだもん」

 

 無意識に口をついた言葉に気がついた時、もう遅かった。痛みに耐えた表情は、更に苦しさを増して、息をするのが痛そうでも堰きを解き放って言葉を吐き出した。

 

「っ、俺が……っ縋るしかないのを、知ってたんだろ!?」

「うん。……必死に、欲しがってたもんね」

 

 過去があれば、帰る場所があると信じた。

 希望を抱いて、彼は必死に生きていた。

 

「それなのに、乃木も千景さんも、全部ウソばかりを……!!」

「……」

「この二年間ずっと、俺を騙し続けてたのか!!!!」

 

 そんな彼に私は真実を紡ぐことを恐れ、目を合わせないように言葉を噤いだ。

 そんなのは、彼に対する誠意とは程遠い。

 

「なんで、何も……言わないんだ……」

「……」

「…………………ああ、そうか――」

 

 自分への糾弾を恐れたその態度は、絶対にしてはならなかった。

 

「――――否定、しないんだな」

 

 後悔なんてもう遅く、押してはならない方へ背中を押す一助となってしまった。

 

「否定も、例えば肯定しても意味がない……もうすぐ壊れる人形だから」

「……っ、違っ」

「何も、違わない!!!!」

 

 戦いを繰り返すことへのストレス。それを助長させるのは、孤独に戦う寂しさと、命を削る実感への恐れ。平和で暖かな日常とは悍ましいほどに遠ざかる自分の身体。そんな重たくへばりつく精神負荷を飲み干して、誰にも打ち明けずに耐え抜こうと沈黙し続けていた。

 でも実年齢より精神年齢が高かろうとも、彼はまだ、中学生の身。

 子供が全てを背負っていたのなら、どこかで中身が噴き出る瞬間が必ず来る。

 

「……最初から、戦わせるために作り出したなら、ずっと人形として使えばよかった!!」

「そんなこと言わないで! ずんくんは――「俺は真壁一騎じゃないっっ!!!!」

 

 もう、慟哭は止まらない。

 

「でもっ、俺はっっ誰でもない!!!! 真壁一騎とは違うんだよ!!!!!」

 

 もう、時間は戻せない。

 

「『郡カズキ』なんてどこにもいない!! ここにいるのはっ、人と思わされた、怪物だけだ!!!!」

「っ――」

「心臓を! 内臓を抉られても死なない! 頭を抉られても死なない! 血を流しすぎてもすぐに治る! この手は、人間よりも強度のある敵を、いとも簡単に握り潰せる!! ()()()()を普通の人だなんて言える訳がない!!!!」

 

 人ではない証を、彼は右腕を掲げてこれでもかと示した。

 ファフナーの腕に成り代わった機械の異形こそ、人との最大の相違点。

 清廉な光沢が、力なく光る。

 

「っ…………三好は正しかった」

 

『軍』は彼を人形と呼び、『島』は彼を英雄と呼ぶ。けれど神樹を信仰する者達は、彼を『島の怪物』と呼んでいた。

 不必要とまで思えるくらいに恐れていたのは、その力が神樹へ向かう可能性を考慮してのこと。しかしそれにしては、あまりに過剰に恐れていた。憎しみすら抱く者も少なくはない。

 

「俺を怖がってた人達も、間違ってなんかなかった……!!」

 

 怨敵と見做す理由は、一つ。

 

「……――――もう、希望なんていらない」

「え……?」

「絶望するのは……希望を抱くからだ。幸せを夢に見て、いつか叶うかもしれないって期待するから、底に突き落とされる。なら」

 

 その力に脅かされた過去があったから。

 真実を知った英雄の器が、全てを無に帰そうとしたから。

 思念が湧き立つ。歓声を上げている。ようやく悲願を汲んでくれるのだと、その力は優しく手招いていた。

 少年の橙の光は両目に灯り、歴史が繰り返そうとしている。

 

「ダメ……! 違うよっ、ちーちゃんはそんなこと望んでなんか……!」

「――――――――あの人は、ずっと俺が戦い続けることを望んでばっかりだった」

「ちーちゃんはずっと、ずん――アナタを心配してたんだよ!?」

「一度も、たったの一言だって!! ……戦わないでいいと、言わなかった。いつ壊れてもどうでもいいって、そう考えてたんだ」

「……っ違うのっ! ちーちゃんはいつだって、アナタの無事を願って――「もういい」

 

 何度もだ。

 何度も。何度も、何度も。何度も何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度でも。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度でも。

 戦いの中で、人が人である限り、希望はどこかで芽吹く。そして希望へ向かわせる決意は犠牲を積み重ねて、新たな絶望を作る。だけど犠牲を無駄にさせないため、また誰かが希望を手にする。その希望を遂げようと力を尽くせば、斃れて再び絶望に膝を突く。そうしてまた、希望を手にして立ち上がって。でも繰り返す戦いの中で、憎しみは必ずどこかで生まれるのだ。

 澱みは溜まり、膿は酷く腐り、人の業が瘡蓋を引き剥がし、とめどなく悪意は垂れ流される。

 同じことを繰り返す。同じこと。全く同じことを、人はいつまでも繰り返す。

 

「未来なんて――――――――消して、やる」

 

 その螺旋を壊そうと決起するのは、いつだって絶望に打ちのめされた英雄だった。

 怨念の声を受け止めて、彼はその場から姿を消す。

 最後までその瞳は、否定の意志に染まって、ただ虚無を見つめていた。

 

 

「電話にも出ないし、どこ行ったってのよ……」

「家に先に帰ったとかは……やっぱり無いよね」

「何も言わずに帰っちゃう三人じゃないし、それは考えられないわよね」

 

 何より荷物は部室にあった。なら少なくともアタシ達よりも先に樹海から戻ってきたなんてことにはなっていないだろう。

 ならば別の場所に連れて行かれたと考えるのは自然だろうか。

 この想像が当たっていたとして、問題となるのは何者が呼んだのかだ。あの三人だけを呼び出す理由に心当たりはない。あの三人にある共通点を強いて言えば、一、二年ほど前からの交流があったくらいだろうが、それにしたってその三人を大赦ひいては神樹が呼びつけるなど首を傾げる。

 

「ったく…………カズキも、どうしたって、あんな……」

「カズキ先輩、大丈夫かな……?」

「分かんないけど……戦えるくらいには、余裕はあるって事かしら……?」

 

 断言はしきれず、どうしても疑問系になってしまう。

 あの腕を見てしまえば、どうしても楽観にはなれない。勇者部の部長である私には、みんなを集めた責任もある。

 左はどこにもなかった――――右は白い機械に。

 カズキのあの腕を、心配するなと言われる方が難しい。

 

「……あいつ、ほんっとに気に入らないわね」

「か、かりーん?」

 

 初っ端はともかく、ここ最近の関係性は徐々に落ち着いたものへ変化していたように思えたが、いたく不機嫌な彼女はいったいどうしてしまったのだろうか。

 上履きの先は床を何度も叩き、人差し指は組んだ腕を延々と突き続ける。口はへの字に曲がり、先ほどから悪態を突いてばかりだ。

 

「どうしちゃったのよ?」

「……二人は郡の身体の変化、気が付いてた?」

「変化って……そりゃまぁ、元気なくなってたけど」

「目に見えて体力が落ちてました、よね?」

 

 だがそれは最後の死闘後に起こる、一時的な代償。それもじきに良くなると、大赦からの報告ではそう聞いている。

 

「――その前から、戦いの後ってあいつどうだった?」

「えっ、と……ダルそうにはしてたけど……」

「毎回?」

「毎回」

 

 そもそもが扱う力の規模がとんでもないのだ。人智を超えた勇者ですら霞む力を奮って、一騎当千をたった一人で体現してのける圧倒的さだ。使いこなすのに苦労するのも想像に易い上、あれほどの規模を人の身で出力すること自体に無理がありそうだ。

 疲労の一つや二つ、自然な話だとは思った。

 

「……あいつ、ずっと戦っていたんじゃないの?」

「へ……?」

「夏凜さん……? 何を……」

 

 一瞬、何を言ったのか分からなかった。

 

「戦い続けて休む間もなかったから、あんなに」

「ちょっ、ちょっと待って夏凜、それはおかしいわよ!?」

「そ、そうですよ、だってそれなら、私たちも樹海の中に呼ばれてたはずです……!」

「あいつは……郡カズキは、大赦から嫌われていた……ううん、アレは憎まれてたって表現が正しかった」

 

 ――憎悪されていたから、だから、孤独に戦わせた?

 

「そんな、こと……あるわけがっ……!」

「私だって考えたくないわよ! ……でも、もしそうなら、日に日に弱っていったことも腑に落ちる。……少し見ない間に姿が、その……変わっていた事も、説明できる」

 

 つまりはこうか。

 最後の戦いとされていたバーテックスの大攻勢、その()()という部分は嘘だった。そして大赦から憎まれるほどに嫌われていたカズキには白羽の矢が立って、体良く戦いへと駆り出される日々を送らされた。そうしてアタシ達の知らない間に戦って、戦って、戦い続けて傷ついて、消せないくらいに深い傷を負って、今日アタシ達はそれを知った。

 正直ありえないと言って捨てれる。だって憶測が殆どで、確信的な事実を掴んだわけでもない。もしもを組み立てて、展開をしてみただけ。だから大赦とは関係がない。

 しかし。

 

「……あいつ、私達が樹海にいた事に驚いてたでしょ」

「……――――っ!?」

「それって……カズキ先輩は、自分だけで戦うつもりだった……?」

「じゃないの? ……あんた達をよっぽど戦わせたくなかった様子もあったし、仮にあいつが一人で戦うって言い出しても、私は驚かない」

 

 大赦がアタシ達に嘘をついている――――かどうかの断言はまだできない。でも隠し事をしていると疑うくらいに、大赦への信頼が揺らぐことは確かだ。

 ――――その揺らぎを、さらに大きくする一件が舞い込んできた。

 

「……ちょっと席外す、ごめん二人とも」

「う、うん」

「……後で内容教えなさいよね」

 

 震えるスマホを持って、廊下へ出る。

 メッセージではない。何度も震えて応答を要求するこれは、通話だ。

 

「……もしもし」

 ――……、……、、…………。

「……………………は?」

 

 何を言われたのか分からない。唖然と、スマホが滑り落ちなかったのは奇跡に近い。

 何故それをアタシに言うのか、意味が分からなかった。知っているはずだ。報告だってしていたはずだ。アタシたちは同じ部室の中で、平和を共有した友人であり、極限の状況を助け合った仲間だ。それを、何故、よりにもよって――――!?

 

「…………ぃ、意味が、言ってる事の全部、分か、わかりません……!」

 ――、――。

「ちょっと!?」

 

 端的に伝えられて、電話は切れた。

 あまりに一方的だった。まるで無駄なことを考えさせないように、情報だけを叩きつけたようだ。

 

「なんて顔してんのよ……」

 

 部室へ戻って、夏凜からの開口一番がこれだ。

 

「――――…………訳が、分っかんないわよ……!?」

「お姉ちゃん、なんて……?」

 

 すると丁度よく、大赦からのメッセージが届いた。

 無機質な文字列は事務的を心掛けているようで、それがとても、恐ろしいものに見えた。こんな冷徹に、こんな内容をどんな神経でなら送れるのか。この内容を、本当に二人に見せてもいいのか、とても悩む。

 悩んでいたら、横合いから飛び出た手がアタシのスマホを引っこ抜く。有無を言わさない手際だった。

 

「……………………は?」

「ぇ――――う、そですよね、こんなの……?」

「…………嘘だって、願いたいけど……!!」

 

 

『郡カズキによる叛逆。

 結城友奈、東郷美森の両名は郡カズキによって深刻な被害を受け、大赦の者にも明確な危害を加えた。

 以後郡カズキを、フェストゥムザルヴァートル型=コオリカズキと断定。その力の凶悪性は神樹様への、ひいてはこの世界への深刻な脅威である。

 勇者達へ、至急コオリカズキの討伐及び処分を要請。郡千景を援護し、討滅の助力を。』

 

 

 この日、郡カズキと呼ばれる存在は四国内から消えた。

 これを本格的な反旗の前兆と見做して、大赦の者たちは迎撃を急がせようとした。勇者達を集め、乃木園子や三ノ輪銀すらも戦力として扱い、フェストゥムザルヴァートル型=コオリカズキを討たんとして。

 勇者達はその様子を懐疑で捉え、とかく()()()になれば本人を問いただそうとした。

『島』の者達は事態を静観し、あくまでも行く末を勇者達と英雄と戦士に託そうとする。『軍』の者達は神樹信仰派の者達を支援し、英雄の力の奪取を抜け目なく狙う。

 そして、四国にて、英雄とはまた違う唯一無二の戦士は――――迷う。

 誰もが、その日にはまだ遠いと考えた。彼の残り時間を知る者も、まだ猶予はあると考えた。

 郡千景以外が、その瞬間を見落とした。

 

 

 終わった世界だと聞いていたが、その言葉に嘘はなかったようだ。

 どこまで行っても、どこへ曲がっても、網膜に着いてくる景色は炎の色だけ。果てがあるようには見えず、老婆の話が真実なら、この星を一周したところで四国以外は同じ景色が続くだけだろう。

 

「本当に竜宮島があるのか……?」

 

 島なんて軽く飲み込む地獄が、四国を取り囲んで顕現している。

 絶望視が普通だろう。炎獄の領域だけではなく、見やればそこかしこにバーテックスが産声を上げて回っている。蛆虫のように大量に、小さな、されど人を食らうには充分なサイズの醜悪な小物。アレは――――『星屑』と、そう呼ぶ個体らしい。

 これら初見の物も、真壁一騎と皆城総士から不定期に補充される、記憶や知識と照らし合わせれば理解も速い。

 

「この炎が敵のフィールド……そのど真ん中に四国、か」

 

 右にも左にも逃げ場は無い。この世界は、もう、どうしようもない。

 何もかもが詰んでいると、膝を屈して諦観を受け入れるに相応しい地獄だ。むしろこの地獄に囲まれて三百年となれば、手放しの賞賛すら浮かぶ。

 ああ、そうだ、崖っぷちなのだ、この世界は。どうしようもなく行き詰まって、袋小路でジワジワと真縄で静かに殺されていって、最期の時を今か今かと身構えることしかできない。一般人達は何も知らずに、ある日突然、今日まで永らえた日常を喰らい潰されて、恐怖に包まれて命を終えるのだろう。

 哀れだと、思った。可哀想とも、思った。悲しいと、感じた。苦しそうだと、辛くなった。

 

「人が、同じことを、繰り返すだけなら……」

 

 自分の事を言った――だけではない。

 勇者とて、過去から続く希望の螺旋の内だ。

 乃木も三ノ輪も、本来ならただの中学生だ。結城も東郷も、三好も先輩も犬吠埼も、本当だったら世界の命運だなんて重荷を背負うべきではなかった。そんなものは、大人が必死に頭を使ってどうにかするべきだ。子供に背負わせるなんてどうかしていて、そんな狂った考えを恒常化させようとしているこの世界もまた狂っている。

 必死なのは分かる、けれど。選ばせる余地なく戦場へ向かわせてしまうのも仕方ないかもしれない、けれど。やはり彼女達には、教えるべきことはつつがなく教えるべきだった。

 満開の真実も、散華の真実も、精霊バリアの意味も、全てを知ってもらって、その上で選び直してもらうべきだ。ただ流して騙すように戦わせるだけでは、不穏が膿む――――だから   のような怪物が生まれる。

 

「……なにもかも、たてまえ」

 

 自棄になった自覚はある。でもそれすらどうでもいい。

 もう何も考えたくないから、いなくなりたい。でも、ただ消え去るだけには彼女達が気に掛かりすぎる。だから、いっそ自分ごと、過去を裏切り現在を踏み躙り未来に唾を吐きかける、その全ての咎を誰でもない   に押し付けて、    はここからいなくなる。

 そのためには、神樹がどうしても邪魔だった。

 アレがあるから、人はいつまでも同じ苦しみを続ける。

 アレが人を生かすから、人はいつまでも同じ過ちを繰り返す。

 アレがいたせいで、戦わなくてもいい存在が戦いへと駆り出される。

 

「いなく……なりたい」

 ――――ほんとうに?

「もういやなんだ」

 ――――あなたは、ここにいたい?

「いた、く……………………ない」

 ――――それとも、いなくなりたい?

「……そんなの……………………どうでもいい」

 ――――それとも、なにもえらばない?

「えらんだんだ、だからおわらせる」

 

 彼女と会話をするのも、これが最後。

 顔も直接見られなかったのは、少しだけ悔いる気がするような。

 

 ――――ちゃんとわたしを認識して、わたしと会話をしてくれてたんだね。

「……」

 ――――嬉しいなぁ、ありがとう。

「……言われるようなことじゃない」

 ――――ありがとうカズキ。

「――その名前で呼ぶな」

 ――――どうして?

「俺は、誰でもない人形だから。心があると思い込んだ、道具だから」

 ――――でも、わたしとの話に向き合ってくれている。……知ってる?

 

 結界の内へと戻り、神樹の気配を探り当てた。

 狙いなど、定める必要性がない。大まかな方角だけでいい。

 その方角へ、大きな、とても大きな力を浴びせれば、それで終わる。

 

 ――――会話は自分が自分である事の、

「……」

 ――――そして、他人が他人である証なんだよ?

「……よく、わからない」

 

 生と死の概念を――――皆城総士は、存在と無の地平線と表現した。

 なら、きっとそうなる。   は地平線を越えて無に帰る。そこが本当の帰るべき場所なのかは分からないけれど、自分はそこへ帰るべきなのだろう。きっと、そんな気がしたような。

 そう思い込めれば楽だから、努力を続ける。

 

 ――――帰る場所を探しているの?

「ずっと、俺がいてもいい理由が欲しくて」

 ――――だから、ただいまって言いたかった?

「そんな場所があったなら、俺が存在してもいいんだって、俺が心から信じられる」

 ――――カズキはすっごく頑張ったんだね。

「俺は   じゃない、人形だ。……結局は何もかもが無駄だった」

 ――――そんなことないよ。

 

 右腕は散った。

 そして、左腕に結晶が顕現する。

 不自然に肥大化して、禍々しく、凶々しく、なのにエメラルドの手甲は美しい光沢を煌めかせて、暴竜の爪が如き根源的恐怖を見る者へ縫い付け、気が狂う美しさを宿した紫紺の左腕。

 そんなグロテスクと宝石を混ぜ込んだような異質が、結晶を内から破って出現する。

 

「大事なことだったのに、嘘だった」

 ――――それは悲しかったね。

「裏切られた」

 ――――もっと怒ってもいいと思うよ。

「もういなくなりたい」

 ――――なら千景がどうして嘘を言ったのか、カズキは知ってる?

「人形だから、何を言ってもどうでもよかったんだ」

 ――――それはカズキの答え。千景に千景の答えを聞いたの?

「……昨日と同じ話に戻ってる」

 ――――あ、本当だ。ふふ……誰かと話すのって楽しいね。

「そうか」

 ――――カズキは……

「   じゃない」

 ――――……カ・ズ・キは、わたしと話すのは楽しくない?

 

 紫が放電し始める。

 なんとなしに上へ掲げた左手には、絶対の歪みが暗黒となって集っていく。

 膨らみ、膨らんでいき、膨らみを続けて――――少なくとも学校の屋上から、遠目からも確かに視認できるくらいには、その暴虐は膨らんだ。

 

「……楽しくないことはない」

 ――――そうなんだ。

「ああ、そうだ」

 ――――こんな時なのに、なんだか嬉しいね。

「……――ああ、そうだな」

 

 灼熱の悪魔から奪った力(アビエイター)凍獄の悪魔から奪った力(クローラー)。その二つを更に纏わせて、より確実な力を固定させていく。

 左手を、振りかぶった。

 

 ――――カズキは、この世界をどう祝福したいの?

「……みんな終われない。キツくても、苦しくても、泣きたくても、素直に終われない最悪の呪い(希望)に蝕まれてる」

 ――――だから、終わらせるの?

「それを払う。そのために戦う。平和の内に、平和なままに。……それが多分まだ俺の命が、ここにある理由だから」

 ――――何度でも選び直せるんだよ? ……誰にだってその権利はある。もちろんカズキにも。……それでも?

「それでも終わらせる」

 ――――そっか……会えなくなっちゃうのは、とっても残念。

「…………へ? ……――――ご、こめん」

 ――――でも、それがカズキの選択なら……それが貴方の祝福なら。

「……ああ……これが、俺の…………――――――――」

 

 未練を、振り払う。

 心配をする声を、振り払う。

 壁の下の湖が干上がって、凍りついて、液体という存在を間に帰していく。

 

 ――――せめて、わたしは覚えてる。

「祝福だ――――!!!!」

 

 破滅が振り下ろされたのは、大赦がその存在を察知した瞬間とほぼ同時だった。

 

 ――――カズキのことは、ずっと忘れないよ。

 

 

 炎の海を突き進む、一機の巨人。

 沈むことなく、滑るように海を渡るそのワインレッドをした巨躯。

 炎の明かりが本来の色を奪いつつ、機体を苛まんと熱で炙る。しかしソレはモノともせず、焼けたそばから機体の損傷はゼロへと立ち戻る。

 その機体は、ただ一つの場所を目指して進んでいく。道中にバーテックスから襲われようと、手にしたレヴィンソードをすり抜けざまに食らわせて、その命を喰い散らかしていく。

 英雄の器を迎えに行く。それがこの機体を動かす命令だ。

 その行く手を遮るが如く、進行上に現れた黄金の巨躯。獅子座の名を冠した、とっておきの存在。小型が未だに集い、未完でありながらもその力の総量は多種のバーテックスをものともしない。アザゼル型には届かずとも、ディアブロ型には匹敵するその存在へ、大して効きもしないレヴィンソードを突き刺し――――――――喰った。

 砕けて飛び散った欠片には見向きもせず、その存在は人類最後の生存圏へと、ただ、向かう。

 島の――――そう、()()()()()()()()()が、英雄を迎えに来た。




 車椅子で過ごす間も、差し伸べられた手は意図して無視した。だって、手なんて出されたって、どうすればいいのか分からない。彼女が見ているのは自分ではなく、その先にある存在。
 だから拒絶した。
 けど拒絶した理由も消えてしまった。というよりは元々どこにも無かった――――いいや、それすらもきっと違って、最初から彼女は、三百年前の過去しか見ていない。
 希望ある未来をと、縋った相手は () () ()なんて劣化品じゃない。   を通して真壁()()と皆城総士の二人だけに目を向けていた。   は最初から視野にすら入れられていなかった。
 英雄の代わりでさえない。だって潰れるだけの消耗品へ、人がどれほど誠意を抱けるのだろうか。使い捨ての電池を使う際に、もし電池が切れたらどうしようかなんて心配はしないし、電池が切れても無感動に捨てるだけ。
 なら同じだ。
 だって   は、パペットと銘打たれた道具――――そのための人形なのだから。
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