マシンガントークとキラキラオーラには負けそうだな、そんなキャラ居たっけ、緑谷出久ピッタリじゃんと考えて書き始めた作品です。
なのに、マシンガントークとキラキラオーラを出せない着地点になりました。消すのも勿体ないので供養。
本編開始より前の時系列から始まりです。
皆キャラがブレてる。特にかっちゃん。
誰の需要だ、これ。
僕、緑谷出久は無個性である。
世界は不平等なのだと突き付けられた、あの日。
ヒーローにはなれない、そんな現実を受け入れられずに居た。
これは僕なりの意地だ。
目を逸らす為に沢山のヒーローの事を調べて纏めた。
だからこそ分かる。
今、目の前で良く分からない生き物から助けてくれた人物はヒーローじゃないという事に。
え?襲われたばっかりなのに冷静だって?
あまりにもビックリして一周回って冷静なだけだよ。
「無個性なばかりに災難だったな、少年。」
見た目に反して流暢な日本語。
日本人では無さそうなんだけど実は日本人とか?
まあ……見た目は当てにならない超人社会だ。
もしかしたら日本人なのかもしれない。
「なんで僕が無個性だって分かったんですか?アレはなんです?そもそも、さっき移動してきた方法は?後、貴方はヒーローじゃないですよね。なんで個性使ってるんですか?違法ですよ。」
「質問が多いな。無個性と分かったのはアレは無個性しか狙わないからだ。アレの正体は……分かりやすく言えば宇宙人だ。安心しろ、アレで最後の一匹だ。後、私が使っているのは個性じゃない。」
「宇宙人……まあ、そう言われても納得は出来る姿でしたけど。個性じゃないなら、なんですか?」
「まあ……巻き込まれた以上は説明すべきか。私は地球を宇宙からの侵略者から守ってる魔術師だ。表立っていないだけで、実際にそういう組織がある。私達、魔術師は個性を持たず魔術で戦っているんだ。近頃は無個性が少なくなり、魔術を求める者が少なくなって人手不足になった。だからヒーロー達に宇宙人の対応も引き継ごうとしている名も廃れた組織さ。」
「そんな組織があったんですか……。」
「私達、魔術師は目立つのは嫌いだ。こうなるのも必然だったのだろう。私達の仕事に巻き込んで済まなかった。」
助けてくれた人は去ろうとする。
色々聞いて、まだ理解が追いついてない。
けど個性じゃない方法で戦えると分かったんだ。
なら、僕は!
「待って下さい!その……僕に魔術を教えてくれませんか!?」
「断る。」
「お願いします!僕、無個性でもヒーローに憧れていて!ずっとヒーローになりたかったんです!でも無個性じゃ出来ないのは分かってて。僕はヒーローになってオールマイトのような存在になりたいんです!ずっと諦められなかった!無個性でも魔術が使えればヒーローを目指せる可能性がある!お願いします!僕の夢の為に協力して下さい!その為には何だってします!あ、大金とかは流石に用意出来ないですけど出来る限りで何でもします!だから僕に魔術を教えて下さい!」
「……まず初めに聞くがヒーローになる為に、どれくらい努力をしたんだ?その身体、鍛えてる訳でも何でも無いだろう?その努力は本当に足りていたのか?戦闘に向かない個性のヒーロー達は、どう戦っている?私には君の努力は不足している様に思える。やれるべき事もやらずに、魔術に頼るな。」
「確かにヒーロー分析しかして無かったです。確かに身体を鍛えるとかしてませんでした。だったら一ヶ月後、この近くの海浜公園を綺麗にしていたら認めてくれますか!?ゴミの処理には体力を使う。きっと身体も鍛えられる筈だ。中々ヒーローが手を出せてない現状で、このままゴミが増えるのを見過ごすのもヒーローらしくない。出来てたら考えて下さい!」
「分かった。出来たら考えてやる。一ヶ月後、変なのが宇宙から来てなかったら海浜公園を訪れると約束しよう。」
「ありがとうございます!あ……僕の名前は緑谷出久。貴方は?」
「スティーブン・ストレンジだ。では一ヶ月後を楽しみにしている。」
今度こそストレンジさんは去った。
よし、怪我に気をつけながら頑張るぞ!
それから死にものぐるいで浜辺のゴミを片付けた。
粗大ゴミのゴミ出しは流石に大人を頼る。
きちんと分別してゴミを片付けて、浜辺を綺麗にしていく。
クラスメイトに見られるとかは無く、その事を何か言われる事も無かった。
かっちゃんは気付いているかは分からない。
普段と態度も変わらなかったから気付かれてはいないと思う。
こうして一ヶ月後、浜辺は綺麗になる。
食事面とか運動のペース配分に気を付けていたから、無理せず筋力を付けられた。
きちんとストレンジさんは来てくれる。
来ない事だって選択出来たのに。
「正直、来てくれないかと思ってました。口約束だけだって後から気付いたので。」
「あのアドバイスは仕事に巻き込んだ詫びのつもりだったが、本当にやってのけるか気になってな。まあ、結果は目の前に広がっている訳だが。」
「これで考えてくれますか?」
「これを渡す。この本を読んで一週間後、火花を散らせるくらいになったら検討しよう。正直に言えば魔術は本人の才能に左右される。それなりに魔術師を志望した者は居るが目安としては一週間だった。人手不足になる原因は、ここにもある。」
僕は本を開いてギョッとする。
全部英語だ!
「英語じゃないですか!」
「言語が英語であるだけ有り難いと思え。魔術の書籍は数あるが、言語も書籍の数だけバラけているんだぞ。ドイツ語やスペイン語、ロシア語といった今でも使われている言語から消滅した言語まで幅広い。中にはルルイエ語まであるが、あれは読めば不特定多数の廃人が出来上がる言葉にするのも憚れるような内容だ。そんな物を読みたいとは思わないだろう?これでも優しい方なんだ。日本語の魔術書もあるが残念ながら高等魔術を纏めた物で基礎を抑えてない。基礎が出来なければ、どうにもならないと考えて渡したのだが。」
「あ、ありがとうございます。後、聞き間違えでなければ読めば不特定多数の廃人が出来上がるような物を読んだ様に聞こえたんですけど?」
「読んだ。あれは読まない方が幸せだ。大体世界を危機に陥らせるのばかりで役に立たん。」
「ひぇ……なんで正気なんです?」
「既に私は正気では無いのかもな。」
「それって……?」
「この続きを聞きたかったら頑張るんだな。」
ストレンジさんは去ってしまう。
僕の手元には一冊の魔術書。
ストレンジさんは、切っ掛けしかくれない。
でも、それで良い気がする。
この努力すら試されている気がするから。
魔術書を自宅で解読する。
そこに書かれていたのは常識すら壊れるような事ばかりだった。
けれど常識だと思っていた事が違うなら、それを受け入れるだけだ。
英語辞典やグーグルと、にらめっこして拙い翻訳。
呪文の後に注意事項が書かれている事に気付く。
これ……注意事項読まずにやる人居そうだな……。
僕なりに理解し、行う。
全く何も無くてもめげずに何度も何度も。
ある時、火花が散る様になった。
その綺麗さに、僕は心惹かれる。
だから夢中になって、練習していた。
その光を長く見ていたくて。
一週間後、海浜公園でストレンジさんを待つ。
ちゃんと来てくれた。
「さて。本を返して貰おう。何か分かったか?」
「返します。僕の常識って、ちっぽけだったんだなって。間違ってる事も多いんだなって。そう思いました。」
「魔術を習得するとなると、一度はそう思うものだ。かつての私も思ったよ。君より頑固だったがね。」
「それで見て下さい!盾が作れる様になりました!」
僕は堂々と魔術の盾を見せた。
ストレンジさんは盾を見つめると溜息を吐く。
「……君には魔術の才能があるようだな、それも高いレベルで。仕方ない、魔術を教えてやろう。だが一つ。君に聞きたい事がある。」
「はい。何でしょう?」
「……人間から遠ざかる事になったとしても魔術でヒーローを目指す覚悟はあるか?」
「……え?」
「魔術は多種多様。強力な魔術を使う代償に人間と掛け離れていく法則がある。私も色々魔術に手を出したし、無茶をかなりした結界で不老だしゲテモノを時々食さなければ生きていけなくなった。流石にゲテモノまで手を出す無茶は君に降りかかる事は無いだろう。」
「どんな無茶したんです?」
「あるアイテム無しに幾千の未来を無理矢理覗いて、特定の未来にしか行けなくしただけだ。他の未来を全て魔術で壊さなきゃいけなかった。そんな無茶など君はしなくていい。私が請け負うものだ。なんたって私は至高の魔術師だからね。」
「そう、ですか。ゲテモノは流石に嫌だけど不老くらいなら大丈夫です!その分、長くヒーロー活動出来ますから寧ろ歓迎です!」
「そ、そうか……。なら魔術の世界へ、ようこそ。歓迎するよ。緑谷出久。」
ストレンジさんに手を引かれて、輪っかを潜る。
全くの知らない場所。
ここから、僕の魔術練習が始まった。
色んな景色を見せられたり、雪山に放り投げられたり、体術でボコボコにされたり、魔術の為に色んな言葉覚えて喋れるようになったり、時々本当に宇宙人と一対一で戦わされたり、いつもの学校で色々言われたり、宇宙人の大軍と戦ったり……あぁ、嫌だ。色々モザイク必須の宇宙人達思い出してたら震えてきた。ストレンジさん曰く、見たら速廃人行きな物が来てないだけマシなのに。いや、アレで優しいとか何それ聞いてない。震えるな、僕。ヒーローになるには朝飯前だ。だから震えるのを止めるんだ。
そんなこんなで気が付けば進路希望調査の時期。
目指すのは雄英高校。
その事に、かっちゃんから問い詰められる。
結局、爆破されてしまった。
意外と避けれそうなのに気付く。
あれ?かっちゃん遅くなった?
放課後、ノートを取り上げられる。
散々の言われように、なんだかムカついてきた。
「いいから返せよ!」
ノートを掴んでる手を掴んで背負投げした。
よし、ノートは無事だ!
かっちゃんがポカンとしていると思えば、いきなり起き上がる。
「デク!てめぇ、何しやがった!」
「え?ノート返して欲しいから背負投したんだよ、かっちゃん。ノート爆破されたくなかったし。」
「この!調子に乗りやがって!」
突っ込んでくるのを避けながら足を引っ掛ける。
かっちゃんは盛大に転んだ。
僕もストレンジさんに良くされるんだよねぇ、これ。
「もう帰るね、かっちゃん。」
かっちゃんを置いて僕は帰る。
その道中、ヘドロが現れた。
乗っ取ろうとしてくるのを避ける。
「なんで大人しく乗っ取られねぇんだ!」
「え?寧ろ、なんで大人しく乗っ取られてくれると思ってるの?」
「この……ムカつく野郎め!」
避け続けていたら、そこにオールマイトが駆けつけた。
スマッシュしてペットボトルに詰め込む。
ちゃんとサインをお願いすれば、してくれた。
今の僕には魔術があるから、前までは会えたら聞きたかった個性がなくてもヒーローになれるかの問はしなくて良い。
だからオールマイトを見送った。
あ、しまった!オールマイトといえば限定フィギュアを予約してたんだ!今日受け取れる様になるから行かないと!
お店に急がなければ!
お店の方面に走れば爆発が起こる。
走る速度を上げて到着すると、野次馬を掻き分けて前に進む。
そこにはオールマイトが捕まえた筈のヘドロと、捕まってるかっちゃん、そして周囲に裂け目が出来て宇宙人が此方を伺ってる。
待って?なんでヘドロ居るの?
慌てて携帯を出して連絡する。
『どうした?』
「宇宙人がまた出現しました。」
『生憎、私達もソレに対応中だ。緑谷。魔術師としては駆け出しだが宇宙人とは何度か交戦しただろう?一人でやってみせろ。君の腕ならいける筈だ。』
「はい!」
ストレンジさん達も対応してるなら僕だって。
一番前に出ると魔術を展開してから、こう叫ぶ。
「お家に帰りなさーい!」
言葉にすればイメージが付きやすい。
宇宙人を元の次元まで詰め込むと、裂け目を閉じた。
「あんた、魔術師か!?助かった!宇宙人まで居るとなると、手を出しにくくてな!」
「ごめんなさい、まだ見習いです!かっちゃん、今助けに行くよ!」
「おい、待て!」
僕は駆け出すと魔術でヘドロを固める。
それから、かっちゃんから引き剥がした。
そしてヘドロから距離を取ると、固めたヘドロをステゴロが慌てて集めて袋に入れてくれる。
「なんで俺を助けた!?」
「だって助けを求める顔してたから!」
「つかデク!無個性って俺を騙してたのか!?」
「今も無個性のままだよ!」
「はぁ!?じゃあ、アレは何だ!?」
「魔術だよ!あんまり有名じゃないし、表立ってないから僕も最近まで知らなかったけど。」
「ま、魔術?はぁ?オカルト入ったんか?」
「まあオカルトに近いのは認める。」
「頭イカれたんか?」
「イカれてないよ!酷い、かっちゃん!」
「ストーップ!二人とも口喧嘩は、そこまでだ。それから魔術についてはヒーロー側が存在すると保証しよう。」
いつの間にかステゴロが警察にヘドロを引き渡したみたい。
そんなに喧嘩してたんだ、僕たち。
「いくら魔術師見習いとは言えど無茶はするな!それで今回は助けられたが、見てる方がハラハラしたぞ!」
「す、すみません。」
「それから君は素晴らしいタフネスだ!だからといって助けてくれた人に礼を一つも言わないのは、どうかと思うぞ。私達だけでは、いつ助けられたか分からなかった。」
「……チッ。……デク。あんがとな。」
「うん!かっちゃんが無事で良かったよ!」
「まだ何かあるといけない。念の為、二人で帰りなさい。」
「はい!」
僕達は帰路に着く。
二人だけの帰り道。
かっちゃんは静かだ。
「デ……出久。」
「へ?いきなり、どうしたの?」
「いいか!一回しか言わねぇぞ!」
「う、うん!」
「……あの時、あんな奴に取り込まれそうになって悔しかった。苦しくてしんどかった。でも、それ以上に怖くてたまらなかった。もう俺は……コイツに乗っ取られて生きていくのかって怖くてたまらなかった。裂け目から出てきたアレに殺されるのかと思うと怖くてたまらなかった。」
「……うん。」
「助けて欲しくて、すがっても誰もヒーローは動いてくれなくって怖かった。このまま、見捨てられるのかって絶望した。そんな時に、テメェがアレを片付けてくれて。そんでヘドロから助けてくれて。凄く安心したんだ。」
「……うん。」
「そんとき、確かにテメェは俺にとってヒーローだったんだ。もうヒーロー目指すのを止めろなんて言えねぇ。俺にとっちゃ、あの場の誰よりもヒーローだった。だから、これからも誰かを必ず助けるヒーローになれや。俺は、どんな敵にも必ず勝つヒーローになってやる。いいか!俺はここからだからな!」
「……うん!分かった!かっちゃんには負けないよ!必ず助けるヒーロー、目指してみせるよ!お互いにトップ目指そう!」
「おう。後、地味に心配もしたから心配させるような戦い方も止めとけ。」
「う、うん!気を付ける!」
「じゃあな。」
「うん、明日も学校で会おうね!」
かっちゃんと僕の関係が変わるなんて信じられないや。
でも、これからはライバルだ。
負けてられないや!
そうだ、言い忘れていた。
これは僕が魔術師として最高のヒーローになるまでの物語だ。