賢者の冒険   作:賢者さん

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アランの冒険6

 

 

「ノヴァ…」

 

リンガイア王国を襲っていた超竜軍団の軍団長が倒された事でドラゴンたちの脅威が去った王城の一室にて、アランの指示によりいち早く兵士によって連れ帰られた物言わぬノヴァくんの遺体と父親であるバウスン将軍が悲しい対面をしていました。

 

父親1人で育てたせいなのか、それとも戦う力を持ち勇者などと持ち上げられたせいで増長してしまったのか…全身打撲や火傷だらけの姿でもう二度と目を覚まさない息子を見ることになったバウスン将軍の心中は計り知れないものです。

 

本来は悲しむ暇もなく国を守るため気丈に振る舞わなくてはならない事態です。しかし幸いにもアランがリンガイアを襲っていた敵の親玉を倒してくれたという報告もあり、またすぐに戦わなくてはならない状況ではない事がバウスン将軍に悲しむ時間を与えてくれたのでした。

 

「あれ?将軍はこんなところで何してるの?」

 

そこにやってきたのは戦地からルーラで一足先に戻ってきたアランです。アランのほうもノヴァくんに用があったのでバウスン将軍がいることに驚いたのでした。アランは普通に質問しただけなのですが、悲しみの中にいるバウスン将軍にとっては「将軍ともあろう者が魔王軍の脅威が消え去ったわけでもないのに何を立ち止まっているんだ」と叱咤されているように聞こえています。

 

息子の死を悲しむ時間すら与えてくれないのか…と口に出したい気持ちではありますが、アランはカール王国からわざわざ援軍として来てくれてリンガイアを救ってくれた相手のため強くは言えません。そして戻ってきて早々にノヴァくんのもとに来てくれたということは、そうは見えないが少なくとも悼んでくれているのだろうと判断しました。

 

「アラン殿、この度はリンガイアを救って頂き感謝致します。これで息子も…ノヴァもきっと安心して眠れるでしょう」

 

「それだけどさ、俺からも言うけど将軍からもちゃんと教えてあげないとダメだよ?できない事を意地張っても良いことないんだからさ」

 

「それは……一体どういう……?」

 

バウスン将軍に言いたいことを言って、ノヴァくんの横に立つアラン。まるでノヴァくんが死んでおらず、今からお説教をするために起こすとでも言っているように聞こえます。「有り得ない…」という否定する気持ちと「まさか…」という一筋の希望がバウスン将軍の胸にせめぎあう中、アランはノヴァくんに手をかざし魔法力を込めながら唱えました。

 

「ザオラル!……失敗か。もいっちょザオラル!まだ起きないのかよ…ザオラル!」

 

蘇生呪文などバウスン将軍の長い人生でも一度も見た事がないため黙って見守るしかありませんが、おそらくこんな何度も唱えるようなものではないという事だけはわかります。蘇生という常識を覆すような大呪文を、ホイミなどと同じように連呼して使用するなどアランくらいのものでしょう。

 

本来のザオラルとは蘇生の確率は50%以下であり、力及ばず失敗してしまったのなら「ごめんなさい…あたしの力が足りなくて…」と希望が絶望へと一転するものなのです。しかしアランにとってザオラルとは確率で蘇生するだけの呪文でしかありません。そして1回唱えて失敗したからといって諦めるという常識は持ち合わせていません。

 

失敗したなら成功するまで何度も使えばそのうち成功するという認識でしかないため、次に失敗したらもうザオリクで生き返らせてやるとバウスン将軍には理解が及ばないような事を考えていました。最初からザオリクを使用しなかったのは、全快で生き返るよりも瀕死で生き返ったほうが説教しやすいだろうという極めて個人的な理由からです。

 

そんなザオラルは1回目2回目と失敗しましたが、3回目に成功しノヴァくんは蝋のような皮膚に赤みが差し始めました。この奇跡を目の当たりにしたバウスン将軍は信じられないという表情でノヴァくんに近づき…息をして心臓が動いていることを確かめると泣き崩れてしまったのです。戦死した息子との無言の対面から一転し、今は目を覚まさないまでも生きているのは間違いありません。

 

「あぁ…アラン殿…私は貴殿に何とお礼を申し上げればよいのか…」

 

「お礼はいいからちゃんと子育てしなくちゃダメだよ?たぶんだけど…過保護なくらいでちょうどいいんだからさ」

 

子供がいないのになぜか偉そうに子育てを語るアラン。一応身近にディーノくんとシンシア王女がいるので間違ってはいないのでしょう。もし彼らが飛び出していこうものならアバンもバランも間違いなく止めるはずです。そしてアランだって止めるか止めないかはその時になってみないとわかりませんが、止めない場合は一緒に付いていくという自信があります。

 

ついでにザメハでノヴァくんを起こそうかと思っていたのですが、バウスン将軍から「少しノヴァと2人にしてほしい」と言われてしまったので部屋を後にすることにしました。きっと他人からとやかく言われるよりも親からお説教されたほうがノヴァくんも理解してくれるでしょう。

 

リンガイアでの仕事も終わり次はアルキード王国に向かおうとしていたアランでしたが、バウスン将軍をはじめ兵士たちに強く引き止められ一泊することになりました。そして夕食には戦時とは思えぬほどに豪華な食事を提供され、見る人見る人がアランにお礼を言いその偉業を称賛してきました。

 

その翌日……アランはなぜかリンガイア王国で『神々の遣わした聖者』などと呼ばれるようになっていました。

 

どうやらノヴァくんの蘇生は既に多くの者たちに知らされているらしく、戦場に立ち多くの兵士を癒やし、皆が希望としていた北の勇者が敗れた相手であるドラゴンの軍団という最強の生物たちを相手に打ち破っただけでなく……無念の内に倒れた皆の希望を蘇らせるという奇跡の御業まで起こしてしまったのだから当然かもしれません。

 

そしてそれは噂レベルの話ではなく…多くの兵士たちが戦地でノヴァくんの死を目撃しており、更に生き返ったノヴァくんを見ることになったのですから疑う余地がありませんでした。彼らにとってアランはまさしく救世主のような存在となってしまい、何やら祈られたり拝まれたりまでするようになってしまったのです。

 

これに困ったのは言うまでもなくアランです。語られている事に何も間違いはないので訂正する事もないのですが、お礼を言われる事はあっても信仰されるとは思ってもみませんでした。「そりゃイベント戦で死んだままだったはずのノヴァくんを生き返らせたけどさ…」と戸惑いを隠せません。このままだとハーゴンの代わりにアラン教団とかできるんだろうか…?などと考えてしまうあたりにアランがかなり混乱している事がわかります。そして教主など柄じゃない上に祭り上げられても困ると考えたアランが捻り出した答えは……遠い地にいる友人への丸投げでした。

 

「みんな!ひとまず魔王軍がいなくなってノヴァくんが生き返って嬉しいのはわかる!でもこれは俺だけのおかげじゃないんだ!」

 

「アラン殿…それはどういう…?」

 

「俺がここまで出来たのは……カールのお姫様、フローラ女王のおかげなんだよ。アバンが勇者として魔王を倒せたのも、リンガイアが救われたのも、全部全部フローラ女王のおかげなんだ」

 

「おお…カール王国の女王様はそれほどまでに……」

 

「そう!すべてカール王国のフローラ女王のおかげなんだよ!」

 

アランの言い分だとアバンの力もアランの力も全部フローラ女王が与えたかのような感じになっていますが、当然の事ながらそんな事はまったくありません。しかしこのままだと信仰されそうだし余計な問題になりそうだと悩んだアランが出した答えは『すべてフローラ女王のおかげ』という捉え方によってはアラン自身がフローラ女王を信仰していそうな内容でした。

 

これはアランなりに考えて、他国の女王ならさすがに信仰の対象にしないだろう…という考えと、恩義を感じるならカール王国にしてね?という国の事を考えた結果なのです。これなら平和な世の中になったとしてもカールとリンガイアは仲良くやっていけるだろうと善意で出したのです。

 

こうしてアランはリンガイアの人々に自分を抜いた様々な事を大袈裟に話し、それを聞いた者たちがフローラ女王に畏敬の念を送っている中そそくさとリンガイア王国を後にするのでした。

 

 

……

………

 

 

オーザム王国とリンガイア王国を巡ってきた次にやってきたのはアルキード王国です。

 

こちらもモンスターと激闘を繰り広げているのかと思っていたアランですが、魔王軍はモンスターの手が足りないのかそこまで大規模に侵略してきていない様子でした。そのため今も出入り禁止状態であるアランは門前払いを受けたので、襲われてないならソアラ王女も安心だろうとそのまま引き返すことにしたのです。

 

 

「ただいまー」

 

「お疲れ様です。その様子だと問題はなかったようですね」

 

アルキード王国を早々に出てカール王国の王城に戻ってきたアランを出迎えてくれたのは留守番という名でカールの守護を担っていたアバンでした。カール王国もアルキード王国のように侵略がなかったら良かったのですが、さすがに魔王を倒したアバンの待ち受ける国だけあってシャドーやゴーストなど暗黒闘気の生命体が多く襲ってきたそうでした。

 

残念ながらそれらの親玉を倒すことはできなかったらしく、また言葉を交わすことすらなく撤退したせいで情報も得られなかったのだとアバンは悔しげに語りました。そしてアランのほうの話を聞き、やはり同じように敵の本拠地などといった情報が得られなかったという事で残りに期待することになるのでした。

 

その後アランの帰還からそれほどかからず全員が王城へと戻ってきます。まずバランとディーノくんが戻ってきて、その後シンシア王女とヒュンケルがオマケと一緒に戻ってきて事の経緯を説明することになりました。

 

バランとディーノくんはパプニカ王国へと出向いており、アンデッドモンスターを主体とした軍団が襲っていたのでそれを倒してきたという事でした。その際にパプニカ王国の王城に招かれ王様や王女様とも話し「ぜひ礼を」と言われたそうですが、それはカール王国に言ってくれと伝えたらなぜか苦虫を噛み潰したような表情をしている者もいたそうで面倒事を察したバランが早々に城を出てきたそうです。

 

なぜそんな表情をしている者がいたのかと言えば、それは当然ながらアランのせいです。

 

パプニカ王国といえば魔王ハドラーの居城であった地底魔城がある国です。当時敵の本拠地があったのですから国の被害もそれ相応にありました。それは運が悪かったとしか言いようのない事なのですが、それを倒した勇者アバン一行に賢者を名乗る人物がいた事が一因となります。

 

それまでは世間的には『パプニカ=賢者の国』と思われているほど数多く賢者を輩出しており、パプニカ王国にも当然その自負があります。そのためパプニカ王国の賢者たちは「自分たちがアバン殿と一緒に戦っていても魔王を打ち倒せた」という考えを持っており、そのプライド故に他国の自称賢者の事はあまり快く思っていませんでした。しかしそれでも魔王討伐後にアランがやってきた時は内心はともかく普通に接していたのです。

 

ところがその燻る嫉妬の炎に油を注いだのが大魔道士マトリフです。彼は宮廷魔道士となった際に自分たちでも共に戦えたと虚勢を張る者たちを前にして「お前たちじゃアランの足元にも及ばねぇよ」というパプニカの賢者たちの自尊心を傷つけるような事を普通に言っており、パプニカの重臣たちからどころか周囲の賢者たちからも疎まれていたりしていました。

 

最終的に色々と面倒になっていたマトリフはアランと賢者たちを立ち合わせる事にしたのです。それでも正々堂々と1対1で手合わせしようとしていたのに「お前たちが1人でアイツに勝てるわけねぇだろ。この大魔道士マトリフ様がすべてを叩き込んだ男だぞ」とこれまたマトリフが歯に衣着せぬ物言いで煽るものですから、パプニカの賢者は頭に血が上りきってしまいました。

 

そしてマトリフによってそんなゴタゴタなど何も知らないアランが呼び出され、他国の賢者との手合わせということで話が広がり国王や王女までもが観戦する大きな催しになっていったのです。賢者の才を持ち『賢者の卵』としてすでに知られている王女様と一緒にいずれ『三賢者』と呼ばれるようになるかもしれない者たちも見ていたのかは定かではありませんが、そんな中でアランは相手を立てるという事などせずにすべてを薙ぎ払ってしまいました。

 

マトリフからの「遠慮なんてせずにやっちまえ」という言葉をそのまま実行したアラン。本人的にはまったく興味の外なのですが、対外的に『カールの賢者のほうがパプニカの賢者よりも上』という事を知らしめたのです。そしてこの出来事を丁度よいキッカケとしてマトリフは宮廷魔道士を辞め、この一連の出来事によりパプニカ王国は大魔道士を手放し賢者の質もカール王国より劣っているという事を認識する苦い思い出になってしまったのでした。

 

マトリフとしては頼まれて引き受けてやったというのに、魔物の危険がなくなった途端に裏でコソコソと相手を引きずり落とすような陰険な大臣たちに辟易していたのです。そのため仮にアランがいなくても結局のところそう長く王城にいることはなかったでしょう。

 

それに悪い話ばかりでもありません。

 

アランがカール王国の賢者としてその力を見せつけた事で、パプニカ王国内で権力闘争をしている者たちの考えにも影響が出ていたのです。それはつまり『あまり強引な策謀で地位を奪ってもカール王国が介入してくるかもしれない』という事です。各国の重臣であっても誰もが王族に忠誠を誓っているわけではありません。中には自分が王に……という野心を秘めている者だって存在するのは当然です。

 

普通ならば内乱で済む話なので他国が手を出す事などないのですが、見せつけられた大きな力と行動は大丈夫だろうという楽観的な思考を許しませんでした。通常王族まで観覧するような催し物の場合はそれぞれの国に配慮しつつ立ち回るものです。今回であればパプニカで行われパプニカの王族が見ているのだから、多対一であれカール王国のほうが負けるのが筋だというのが重臣たちの考えでした。

 

そして最後に「さすが魔王を倒した賢者殿ですね。これだけの人数を相手に素晴らしい動きでしたよ。こちらも良い経験になりました」「いえいえ、パプニカの賢者さんたちもよく鍛えていらっしゃる。さすが賢者の国と呼ばれるだけありますね」とお互いを称え合って終わるものなのです。

 

ところが大魔道士の連れてきた賢者はそんな茶番に興味ないとばかりに圧倒的な力の差を見せつけてくれたのです。それはパプニカの大臣たちにとってはカール王国がパプニカ王国を下に見ているということに他なりません。つまり内輪で揉めている場合ではないのです。もしかしたら将来『対カールの賢者対策』としてキラーマシン的な物が登場するかもしれませんが、パプニカ王国の大臣たちはひとまず水面下の争いから対アランへとシフトしていったのでした。

 

しかしそれらは一部の固執した人間の話であり、幼い子供であった王女様や将来を期待されている側近の子供たちにどういった影響を及ぼしたのかはわかりません。自らが持っていた賢者像を壊され、近接格闘もできる賢者を目指すのかは本人たち次第でしょう。マトリフもあえてアランが武神流を使いこなすとは言わなかったのです。このあたりがマトリフの性格が出ているのかもしれません。

 

パプニカ王国とそんな過去があった事など知る由もないバランとディーノくんはパプニカ城を出た後「マトリフも心配だから会いに行きたい」という優しいディーノくんのお願いを叶えるためバルジ島のほうまで足を伸ばしてきたという事でした。

 

アランに連れられてシンシア王女とディーノくんは大魔道士マトリフとも面識があります。しかしバランとは初対面だったため、マトリフは今まで普通の王族だと思っていたディーノくんの正体をそこで知ることになり驚愕するのでした。とはいえ、だからといって何が変わるわけでもないので普通に「頑張れよ」と応援されただけです。

 

マトリフにとってアバンの子であるシンシア王女とロカとレイラの子であるマァムは孫みたいなものです。そこにもう1人ディーノくんが加わったところで「ヤンチャ坊主が増えたな」程度の男の子の孫ができたようなものなのでした。

 

パプニカを後にした次はテラン王国へと向かった2人。テラン王国は侵略価値が無さそうではあるのですが、アルキード王国を飛び出した後にバランとソアラ王女が過ごしていた場所なだけあって荒らされたくないという気持ちもあり念のため向かうことにしていたのでした。ディーノくんに自身の生まれた場所を見せてあげたいという事もあったのでしょう。そこでついでとばかりに湖の底にある竜の騎士の神殿に立ち寄り、竜の騎士が子を授かった事を報告したりしてからカール王国に戻ってきたのです。

 

 

問題はヒュンケルとシンシア王女のペアのほうでした。

 

 

この2人が担当したのはロモス王国とベンガーナ王国です。ロモス王国にはネイル村があり何度も足を運んだ事のあるシンシア王女のルーラで行けるからという理由で選ばれた場所でした。

 

ベンガーナ王国のほうはカール王国から近いという理由もありましたが、バランとディーノくんペアよりも『わかりやすい王族』であるシンシア王女がいたほうがベンガーナの国王には良いだろうという判断もあります。他国に比べ商業に力を入れている国なのですが、商業が栄えれば経済が回り軍事力もそれなりにあります。

 

自身の国の力に絶対の自信を持っているためなのか、ベンガーナの国王は少々傲慢な性格をしているのです。そのため説明しても信じてもらえるかわからない竜の騎士のバランやアルキード王国でどのような扱いになっているのかわからないディーノくんよりも、カール王国の王女であるシンシア王女とその護衛のヒュンケルといったペアのほうが話が通りやすいのでした。

 

カール王国の王女で勇者アバンとフローラ女王の娘であるシンシア王女とヒュンケルはすぐに王城へと招かれ国王と対談したのですが、国王は「魔王軍などベンガーナの最新兵器で蹴散らしてくれる」と聞く耳を持ちません。現状魔王軍のモンスターが襲ってきていても撃退できているため助力は必要ないという判断だったのです。

 

自国の力にそこまで自信があるのなら別に問題ないかな…ということで無理に力を貸そうとは思わない2人は次のロモス王国に向かうことにしました。お人好しであれば食い下がって「みんなで協力して戦うべき」と説くのでしょうが「戦えるって言うんなら無理に手伝う必要ないよ」というアランの適材適所の教えを受けているため、助けを求めてきたらルーラで行けばいいという判断を下したのです。

 

そしてこの判断はベンガーナを襲っている妖魔士団モンスターが悪魔族が多く気持ち悪かったため、シンシア王女が拒絶して戦いたがらなかったからではありません。「戦略的判断による合理的な結論なのです…」という事を引きつった顔で述べるシンシア王女をヒュンケルは見逃しませんでしたが…

 

そのままヒュンケルを連れてロモス王国へと向かったシンシア王女は百獣魔団と戦うことになります。ロモスの王城で救援に来た旨を告げればそのまま国王と面会することになり、そしてベンガーナとは違いすぐに助勢の申し出は受け入れられました。シンシア王女の名はロモス国王も『カール女王第一子誕生』の報を受けている事もあり知っていましたが、それ以外にも以前アランがこの国にやってきた時にも聞かされているのです。

 

しかもなぜかこの国の兵士たちと『うちの子が一番可愛い』論争を繰り広げていたらしく、そこから飛び火してネイル村のマァムにまで話が及んでいたりとロモス国王としても微笑ましい戦いに頬が緩んでいた事を昨日の事のように思い出していました。そこにはなぜかカール王国の元騎士団長がいたという話もありますが真実はわかりません。

 

まさかそんな事を話しているとは思わなかったシンシア王女は赤面していましたが…

 

そんな穏やかな会談を終え、2人は森の多い国土を手当たり次第に飛び回りモンスター退治を始めました。それにより2人を手強いと見たのか軍団長を名乗るリザードマンが現れ、言葉を交わした結果何か通ずるものがあったのかヒュンケルが1人で戦うという事になります。

 

戦いの結果ヒュンケルが勝ったのですが、その武人気質を気に入ったのか何なのか…ヒュンケルはクロコダインと名乗る軍団長に投降を呼びかけました。そんな様子を見ていたシンシア王女はなぜかそこにいたザボエラと呼ばれる魔族に人質にされそうになり、そんな卑怯な手段を講じた魔族に憤りを感じたクロコダインが魔王軍を離反したりと紆余曲折あったとの事です。

 

 

つまりシンシア王女とヒュンケルの2人がカール王城に戻ってきたのではなく…クロコダインも一緒に連れ帰ってきたのでした。

 

 

ちなみにクロコダインを見た一同はすぐさま戦闘態勢に入りましたがシンシア王女とヒュンケルがそれを止めたり、またまた通ずるものがあったのかバランやアバンは一定の理解を示したりと互いを労う前にバタバタしており忙しそうな一行です。アランは「なるほど、これで敵の本拠地を知る事になるのか…」と相変わらずゲーム脳で解釈しており、クロコダインを戦力ではなく情報源として見ています。

 

そして「それならスライムとかもう少し可愛いモンスターでも良かったんじゃないのかな」などと下らない事を考えている間に、アバンがクロコダインから魔王軍の情報を引き出してくれていました。それによってクロコダインから齎されたのは6つの軍団が組織されており、リンガイア王国の南側でテラン王国の東側に位置するギルドメイン山脈の奥地に鬼岩城と呼ばれる本拠地があるという貴重な情報でした。

 

 

これによりアランたちは敵の本拠地である鬼岩城に乗り込む事を決めたのですが…しかし魔王であったハドラーから続く伝統なのか、今回はまさか敵の本拠地がやって来てくれるとは思いもしませんでした。

 

 

 

 

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