Sentimental Graffiti ~ 2nd Prologue ~ 天使の涙 ~ 七瀬 優 ~ 作:きさらぎむつみ
うすぼんやりと、もやのかかったような頭のなかが何とか目覚めようと動きはじめる。こんなとき、カーテンの隙間からこぼれるように差し込む朝の光というのは、とても優しい感じがして私は好きだ。
「……ん」
やっとの思いで身体を起こすと、鏡に写る自分の姿が目に入る。あ、私、着替えないで寝ちゃったんだ。
気が付けば、そこは自分の部屋だった。あれ? おかしいな……。たしか私、東京に出掛けたはずなのに……。
鏡の中の私が座っているところは、普段使っているベッドに間違えようがない。それどころか、目の前で私を写しだしている鏡やその隣のハンガーラック、部屋のなかにある全てのものは私の部屋のもの、ここは私の部屋なのだ。
どうやら私の頭のなかは、未だにかすみがかっているみたい。
ゆっくりと深く息を吸って吐く。私はベッドに座り込んだそのままで、ただぼーっとしてみる。おぼろげだった記憶が、次第にはっきりとしたものになっていく。
そうだ、私は東京へ向かったんだ。彼に会うために。
*
高校を卒業した次の日、私は彼への想いを言葉にして彼に贈った。そして、それは彼の中にある私への想いと同じでもあることを、私は彼からの言葉で知った。
私は嬉しくて、思わず彼にしがみついた。そんな私を彼は優しく抱きしめてくれた。
そして私達は、初めてのキスをした。
彼と触れ合う唇や重ねるように握りあった手のひらが、まだ春と呼ぶには早い季節を流れる風のなかで、火傷をしそうに熱く感じたのを覚えている。
そう、あの日私は彼との間に、決して見えたりはしないけれども、でも確かに何かが結ばれたことを感じたのだ。
その彼に会いに行くために、私は『旅』に出た。彼の住む街への旅、それは何かを探し求めて旅を続け『彼』という存在に辿り着いた私の、最後の『一人旅』。
列車は定刻通りに到着し、私は東京駅のホームへ降り立った。
だが、改札の向こう側で待っていると言っていた彼の姿はそこには無かった。私は改札を抜けると、すぐ目の前の柱に寄り掛かって彼を待った。
「……」
半分ほど読み残していた本を読み終えて顔を上げる。ほんのしばらくした頃に、私は一人の男性に声をかけられた。
その男性が彼の父親だと、私は一目見たその瞬間に分かることが出来た。優しい印象を与える目元、適度に厚みのある唇、醸しだす落ちついた雰囲気が彼のものと良く似ていたからだ。
男性はやはり感じのいい声で、私が私であることを確認してから自分が彼の父であることを告げた。
あっ……。
何か得体の知れない、ただとても嫌な感じのする何かが私の身体のなかを一瞬駆けめぐった。
無理に落ちつかせたような(いや、おそらくそうなのだろう)その男性の言葉は、私に事実だけを伝えた。
彼が事故に遭った。
えっ? 事故……。事故って、なに? どういうこと? だって、私は何ともないよ……。あっ……あぁ、そうだよね……。事故に遭ったの、彼だった……。でも何で? どうして彼が? 私、よくわかんないよ……。
世界がぐるぐると回っている。私は立っているようで、でも立っていられない、何かに飲み込まれたような、そんな感じ。
多分これが『運命』というものなのだろうと、なんとなく思った。
タクシーが総合病院の正面玄関で私達を降ろすと、私は彼の父親の後をついて入っていった。どこの病院に行っても必ず漂っている、そう思えて仕方のない独特の匂い、というか雰囲気が私を包み込む。
あまり好きじゃないな、この感じ。
彼の父親は廊下を二度曲がって、『救急救命』と書かれた場所の前を通り過ぎてから、二つ並んだ扉の片方の前で立ち止まる。
扉を開けて、私を中へと促す。私はその部屋へと足を踏み入れた。
夕暮れの西日がブラインド越しに差し込むその部屋には、それを専門としている人にしか到底分からないような機械が幾つも並んでいた。例え説明されたとしても、おそらく私にはさっぱり、だろう。
だが、それでも私に分かることが一つだけあった。それらの機械が今は全く動いている様子は無い、ということ。そう、ただの一台も、だ。
私は部屋の中央にあるベッドの上に、彼の姿を見つけた。緑の丸椅子が置かれたベッドの右側へと私は近づいていく。
目の前のベッドに横たわる彼の顔は、驚くほどに血の気が失せていた。
「……」
それまで身体中をかき乱していた嫌な感じの何かが、すうっと消え去っていく。私の身体は急に支える力を失って、気がつけば丸椅子にストンと腰を下ろしていた。
後ろから彼の父親の声が聞こえる。何故だか、どこかとても遠くのほうから聞こえてくるように感じるのだけれど。
彼の自宅からそう遠くない、公園横の幹線道路。ボールを追って少女が公園から飛び出したのは、資材を積んだ大型トラックがそこを走り抜けようとしていた時。偶然、彼はその場に居合わせた。
慌てて追いかけた少女の母親が見たのは、彼の手で道路の向こう側へと押し飛ばされた娘と、その一瞬後にトラックに跳ねられた一人の少年だった。
休日を家で過ごす父親に、彼は私との約束だと告げて余裕をもって家を出た。だが一時間もしないうちに、彼の父親は病院へと呼び出されることとなり、そして自分の息子の身に起きた不幸を知ることになる。
一通りを私に話した彼の父親は医師とともに部屋を出ていった。どういう意図なのかは何となく気がついた。ありがとうございます、声には出さずに呟いた。
私は彼の顔を覆う白い布を静かにあげて脇へとやる。
現れたのは、心なしか笑みを浮かべて眠りについている彼の顔。
気持ち良さそうに眠る彼の顔を見ていると、何だか私の心は優しさでいっぱいになってゆく気がする。そんな気持ちにさせる彼の寝顔が私の目の前にある。
込み上げてくる愛しさに負けて、私の手は彼の頬にそっと触れようとする。
!……。
触れた手から伝わる感覚に驚いた私の身体が伸ばした腕を引かせた。宙をさまようその手は無意識のうちに自分の胸へとあてがわれ、もう片方の手も自然とその手の上へと重ねられていた。
冷たさ、硬さ。それが私の手が伝えた感覚。それはとても奇妙な感覚だった。
あの日抱きしめてくれた彼の身体から感じたぬくもり、そして彼の優しい柔らかさ。今でも私の身体は、その感覚を覚えている。
身体が記憶している感覚と、今触れた手が伝えた感覚。そのギャップに私の思考は少しパニックを起こす。
違和感。食い違い。それらはそのまま、今彼が置かれている状況が過去のそれとは違うという現実に直結していく。
私の中で渦巻いていた混乱は、次第に落ち着きはじめていた。不思議なもので、ヒトという生き物は、自らが置かれた状況に素早く適応しようと無意識に行動するという。
認めたくなんかないのに……、私。
私の手は再び彼の頬を求めた。ひんやりとした感覚が腕を伝わり、私のなかのどこかを小さく凍らせた。
撫でるように動かした手が、その指先で睫毛にかかっていた髪を払いのける。
ああ、多分これから先、二人の絆を深めていこうと私達はお互いにこんな事をするんだろうなぁ。なんとなく漠然と、そう思った。
あ、そうだ……。もう出来ないんだ……。私達二人にはもう、『これから先』なんて無いんだよね……。
すぐにそう気付いてしまった自分を、私は少し恨めしく思う。
もう一方の手を毛布の中へともぐり込ませて、私は彼の左手を探す。すぐ見つかった彼の強張った手を頬よりも冷たく感じるのは、何故なのだろう。
彼の左手に手のひらを重ね、指の隙間に自分の指を絡ませる。無理にこじ開けるような感じで、でもそうしないと絡み合うことのない十本の指。その指は私の身体に、強い現実感を認識させる何かを発信してきた。
少し腰を浮かせて、彼の顔を覗き込む。その表情はあくまでも優しげで、それが尚更に私の心をかき乱している。何だか彼が少しだけ憎らしく思えてならなかった。
「……」
声にならなかった……。もう一度、彼に聞こえるように呟く。
「……痛くなかったんだってね。良かった……」
ほぼ即死だった……、と彼の父親は私に話していた。今の彼の顔からも、僅かな苦しみすらなかったのだろうと伺える。
私の手は彼の頬や髪を優しく撫でていて、何だかほんの少しだけ温かさを感じて、私は嬉しくて、微笑んでみたりする。
これが彼の体温でないことぐらい、分かってる、それでも。
もう片方の手が彼の左手を毛布の下から引き出す。今まで頬を撫でていた手も添えて、私は彼の手を両手で包み込むようにして温める。
私を抱きしめてくれたあの日、彼がそうしたように、私は彼の手を自分の頬へと持っていく。
あっ……。
彼の手が火照った私の頬を冷ましてくれた。あの日と同じように。
目を静かに閉じた私のなかで、記憶がリフレインを始めた。まるであの日の出来事がつい先程のことかのように。彼の言葉、彼の表情、彼の温もり、そして彼が抱きしめてくれたときの力強い、でもその身体の柔らかさ。
ほんの一瞬だったのか、それとも長い間だったのか。私はその心地よい記憶の中から浮かび上がると、目の前の彼に向かって微笑んでみせた。
……良かった。うまく出来たみたい。
彼の手をそっと元の場所へと戻し、少し寄れた毛布を掛けなおす。立ち上がりながら少しだけ前に屈み込んで、そして……。
そして私は、彼の唇にそっと自分の唇を重ねた。
彼と二度目の、そして最後のキスは、凍えるくらいに冷たかった。
どこをどうやって通って来たのか、私はいつの間にか病院の中庭へと出ていた。
緑の多い公園、といった感じのいいその場所も、夕暮れ時のこんな時間では訪れる人もいないようだ。
そこには丸い石を敷きつめて作られたような小川もあって、流れるせせらぎが私の耳にとても心地よい音を届けてくれていた。
木陰を避けて少し広めの芝生の上に、私は腰を下ろした。しばらくの間、そこからせせらぎを眺め耳を傾けていると、何だか夢のなかにいるように思えてならない。
私はそうっと背中から倒れて、芝生の上で手足を伸ばす。素肌に触れてちくちくする芝からは、ひなたの匂いがほんのりと香った。心が落ち着いてゆく……。
目の前に広がる空には、青と赤が綺麗なグラデーションで紫を作りだしていた。その濃さが時とともに少しずつ増していく。
「あ……」
そのグラデーションのなかに白を一つ落としたように、星が輝きはじめた。
「ねえ、一番星だよ」
無性に嬉しくて、そう呟いた。
「私、見たかったんだ。キミの住む街の夜空を。キミと、こうして二人で……」
……。
「たとえそれが東京の夜空でも、キミの住む街だから……」
……。
風に吹かれて揺れる草とせせらぎの奏でる音だけが、私の耳に響いている。
……。
私の視界は、ほんの一瞬で歪んでしまった。現れたばかりの星のわずかな輝きは、夕闇の空のなかにかき消されてしまい、ぼやけた瞳にはもう見ることが出来ない。
「あれ、おかしいな……。星が……、見えなくなっちゃった……」
瞳から溢れる温かな水は、すうっと流れて耳のなかへこぼれる。少しくすぐったい。
私の瞳に映るのは、紫色のより濃くなった夕暮れの空。私はゆっくり瞼を閉じて、その紫を黒へと変えてしまう。水がまた溢れて、私の耳へと注がれた。
「……私」
聞こえた声は上ずっているようで、それでいてくもぐるようでもあって、何だか自分の声でないみたいに聞こえた。
「……私、また一人になっちゃった……」
身体の内側から次々と溢れて流れてゆく温かいものを、私は押し止めることが出来ないでいた。
東京駅で『ムーンライトながら』に乗り込んだところは覚えている。大垣駅で乗り換えて、米原駅……だったかな、『ひかり』に乗ったのは……。実を言うと、その辺の記憶はとても曖昧で、それでも私は何とか自分の家に帰り着いていた。
コートも脱がずにそのままベッドの上に崩れるように倒れ込んで、私は深い眠りの淵に落ちていったのだろう。……やっぱり、よく覚えていない。
まだ記憶のあちこちが白くぼやけていて、中途半端に夢のなかにいるような、宙ぶらりんな感覚が私を包んでいる。
……。
鏡のなかの少女が怪訝そうな面持ちでこちらを見つめていた。
何をそんなに不思議そうにしているの? そう心のなかで訊ねると、それに答えるみたいに少女の胸元で『それ』は揺れた。
「……あ」
自分の胸元でも揺れていた『それ』に、私はそっと触れてみる。金属独特のひんやりとした感覚が伝わる。
「これ……」
たしか病院で。私は箱を二つ、彼の父親から手渡された。小さな箱と、赤いリボンの掛けられた長細い箱。私は小さな箱を開けた。
「……」
中に入っていたのは片方だけのイヤリング。台座の片側で静かに揺れたそれは、差し込む夕陽の赤を浴びて、不思議な輝きを放っていた。
箱を閉じて脇へ置き、もう一つの箱を手にして、リボンを解いて包みを開く。私の手には、どこかの宝飾店と思われる店名の描かれた箱が乗っていた。
「……」
中には、可愛らしいトップの付いたネックレス。翼を広げた天使が星を抱いているような。天使が抱えた星の部分には石が埋まっていて、それは小さな箱の中の、そして私が片方だけ付けているイヤリングのそれと同じものだった。
「あの……、これは……?」
つけてごらん、そう彼の父親に促されて、私はそれを手に取った。とても優しい感じのするそれは、私の胸元でやはり優しく揺れて、そして輝いた。
息子の友達のお姉さんがそこへ勤めていてね、自分でデザインを選んだりして頼んだらしいよ。彼の父親はそう教えてくれた。
世界でたった一人の女の子へ、世界でたった一つしかないものを贈りたい。彼の父親から聞く彼の言葉を、ああ、とても彼らしいな、と思った。他の人が言えば思わず吹き出してしまいそうな言葉が、彼の口からなら不思議と様になるのだった。
ありがとう、大事にするね……。
箱とリボンをまとめて置いて、私は先程の小さな箱を手にとる。開けて取り出したイヤリングが、再び不思議な赤い輝きを放つ。
「これ……、彼にあげたんです。私、もう片方を持ってますし…」
空いた手が自然と、胸元の天使に触れる。
「彼にも、私の想いを持っていてほしいから……」
私の手から箱を受け取った大きな手が、息子も喜ぶよ、と言ったのが聞こえた。
ひんやりした感覚はすでに無い。その理由が私の体温ではなくて、彼の思いの為なのだと思いたい。
私の胸元で輝きを放つ銀の天使……。そういえば、彼と『天使』の会話をしたのはいつのことだったのだろうか。ああ、あの夜だ……。
私のとっておきの景色を彼に見てほしくて、広島中を彼と一緒に回って過ごした昨年の秋のある日の夜、私は彼と湖の畔で星空を見ながら夜を過ごしていた。
お互いに言葉もなくて、時間だけが静かに過ぎていった、そんな時だった。
私たちが見上げる夜空に、一筋の光が流れ、そして消えていった。
「星、流れたね……」
いつもと変わらない調子で、私は彼に向けて呟いた。
本当は違ってた。実はとてもドキドキしていた。彼と一緒に同じ流星を見たのは、あの思い出の日以来だった。だからなのか、何だかとても照れくさくて、でもとても嬉しかった。
そんな思いの私の言葉はどう伝わっていたのか、彼の口調から推し量ることは出来なかったのだけれども……。
うん……、天使が泣いたね……。
えっ、天使?
彼の不思議な言葉に、私は思わず聞き返していた。
そう、夜空を流れる星の光は、天使が流した涙なんだって。
天使の……涙……。
子供のころ読んだ絵本の話なんだ、よく覚えて無いんだけどね。
へぇ……、私も読んでみたいな、そのお話。
それなら今度探してみるね、見つけたら持ってくるから。
うん、ありがとう……。楽しみにしておくよ。
それからは二人とも、今までの沈黙が嘘のように、色々なことを語り合った。幼いころの思い出とか、今の自分のこと、将来への今はまだ漠然とした期待や不安とかを。
しばらく話をして、お互いに言葉が少なくなって、そのうちどちらとも無しに寝てしまって……、気がつくと明け方近くになっていた。
私は彼に、とっておきの夜明けの瞬間を見せることが出来た。彼がとても嬉しそうで、そして彼の感じた思いが私のそれと同じで、私もとても嬉しかったっけ……。
あの日を思い出していた私の胸元に光る天使は、そう思えば泣きつかれて眠る少女のようにも見える。
……。
鏡の中の少女の胸元で眠る天使が、一粒の雫で濡れた。
あ……。
雫は、今度はブラウスの襟を濡らし、続いてベッドに腰掛ける腿の辺りを濡らした。
私の目の前で佇んでいた少女は、次々と涙をこぼしていた。少女の顔に浮かぶほんのわずかな微笑みがとても痛ましい。
何故、泣いているの? 私の問い掛けに、少女は微笑んだまま答えてくれた。
貴女の心がとてもつらそうだから……。
私が……?
貴女の心がとても痛がっているから……。
私が……?
貴女が泣いているから……。
……。
そう、泣いているのは私だ。
彼を亡くして、彼の想いを受け取って、彼との記憶を思い返して、もう二度と彼に会えないことを思い出した私が泣いているのだ。
つきん。
私の内側に響いた痛みが、私の胸を締めつける。
つきん。
それはとても痛くて、苦しくて、悲しみをもたらす痛みだ。
つきん。
痛い、痛いよ、苦しいよ。
声が出ない。とても息苦しくて、私の内側が酸素を求める。いや、違う。おそらく私の内側はもっと他のものを求めている。
どうして……、どうしてこんなに痛いの……?
私はその理由を知っている。
どうして……、どうしてこんなに涙が出るの……?
それは……。
どうしてこんなに……せつないの……?
それは、私が彼を愛していたから。世界中の誰よりも。
「うっ、はぁっ、くぅ……、はぁっ、はぁ……、んっ、うぅっ……」
もう、駄目だった。私は泣いていた。
声をあげて、でも声にはならなくて、耳に響くのは嗚咽となった“元”声だった。
内側からの痛みに耐えようと、私の両腕はきつく私の身体を締めつける。
けれど、私の内側はもっと痛くて、苦しくて、私の心をとても強く締めつけている。
私は腕に力を込めて、もっと強く身体を締めつける。
そうすればこの痛みから、逃れられそうな、少しでも楽になれそうな、そんな気がしたから……。
きつく、きつく。もっと、もっときつく。
……こうやって締めつけて、いつかこの身体が壊れたら、私は彼に逢いに行けるだろうか。もしそうなら……、ううん、そうだったらいいのになぁ。
ふとそんなことを、私は思った。
こんな朝を、もう何度も繰り返している。
私、馬鹿みたい……。