*筆者は吹雪の事は嫌いじゃありません。むしろ好きです。
吹雪ファン、すまねぇ…
あと他に付けた方が良いタグ、消した方が良いタグがあったら教えて欲しいです。
"吹雪ファンの人!引き返すなら今のうちだからね!“
イロハモミジが紅葉する季節。海が見える丘の上で木の葉が向かい合う二人の青年と少女を包むように空を舞う。その中で青年は小さい箱を取り出し、目の前の少女に渡す。
「吹雪、俺とケッコンしてくれ!」
吹雪と呼ばれた少女は顔を紅くし、俯く。やがて小さく頷き、顔を上げるとそこには花が咲いたように可愛い顔が涙ぐんで顔をほころばせていた。
「司令官っ!これから先、ずっと一緒にいましょうね!」
その一言で二人は抱き合った。
__________
嬉し涙を流して結ばれたあの日からニヶ月、鎮守府はいつも通り平和な雰囲気だった。あの日から変わった事は秘書艦がずっと吹雪な事くらいだ。
鎮守府が平和な今、提督は吹雪と執務という名のある種の戦闘をしていた。
「あ、吹雪。そこの書類を取ってくれ。」
「これですね。あと書類は五割くらいです。頑張りましょう!」
「なんでこんなに書類が多いんだよ!」
「大規模作戦前だからですよ。」
「はぁ……また皆が無事に帰れるように作戦を練らないとな。これ、責任とプレッシャーで胃が潰れそうになるんだが。」
「それでもしっかり作戦を練って誰も轟沈させてないじゃないですか。」
「そりゃあ艦娘と言えど人と同じだと思っているからな。死なせたく無いから真剣に作戦は練るさ。だけどこんな書類もあるんだが?」
そう言いながら司令官が私に見せた書類はここの鎮守府が採用してる悩み相談箱と言う箱に入っていた書類で内容はとある駆逐艦がとある戦艦に追われるといった内容でした。
「あはは……。司令官、鎮守府の責任者として頑張って下さい…」
話しながらも書類を捌く司令官と私。すると廊下を走る足音が聞こえてきました。
その足音の人物は荒々しくドアを開け、司令官に詰め寄っていきます。
「提督よ!何故私は駆逐艦達に避けられているのだ!私の可愛い天使達が!」
「落ち着け長門《ロリコン》。まずお前の天使ではないし避けられているのはお前がそんなんだからだろ。」
「何!?この長門の何が駄目だと言うのだ。全く分からんぞ。」
「いやお前、いつも駆逐艦にどんな態度で接してる?思い出せ。」
「愛情を持っ「そういうのはいいから」……甘いものを手に持って怖くないと説得しながら近づいてるくらいだが?」
「アウトだろ!?」
「提督も吹雪とケッコンした時点で同類だろう!」
「こっちは合意の上での話ですぅー!怪しく無いですぅー!」
「司令官、少しウザいと思いますよ?」
「ごめん……取り敢えず、明石。」パチン
司令官が指を鳴らした瞬間、突然部屋の中のスピーカーから明石さんの声が流れてきました。
『なんでしょうか提督?』
「盗聴器が置いてあることに関しては不問にしてやる。長門を新兵器の実験台にする許可を出す。」
『良いんですか!?今すぐ長門さんを捕まえに行きますね!』
「待て!ていと「ただいま到着しました。明石です!」」
挨拶と同時に長門さんを明石作のナニカで気絶させ、引っ張って執務室から去って行きました。
「長門さんは相変わらずですね……明石さんも一体何を作っているんですか…」
「俺も明石の発明品に関しては把握出来てないからな……」
明石さんはよく訳がわからない物を作るので最早誰も止められません…
「それより少し休憩にしませんか?」
「そうするかー。妖精さーん!コタツ出してー!」
提督が妖精さんと呼ぶ小人を呼んでコタツを出すよう指示する。指示を受けた妖精さんは仲間を集めてせっせとコタツを運んでいます。
その中でリーダーらしき格好の妖精さんが提督の耳元まで近づいて耳打ちをしていました。
「ていとくさん、こたつはいちゃいちゃするものではありません。それをりかいしてつかってください。ほかのかたのめいわくになるので。」
「妖精さんから注意を受けたんだが…」
「あはは……」
作業を終えた妖精さん達はやれやれといった感じで執務室から去って行きました。
(俺ってそんなに他の奴に迷惑かける程イチャイチャしてはないと思うんだが?)
司令官が何か考え込んでいたので既にコタツに入っていた私から声をかけました。
「司令官、コタツ入らないんですか?」
「ああ、すまん。よいしょ………あったかいな〜」
「司令官、確かにあったかいですけど……なんでこんなに近くに///」
コタツは四角い形で普通は私の向かいや隣に座るのですが今回、司令官が座った場所は私の真横。そのためかなり密着しています。
「なんでってそりゃあケッコンしてるんだし少しくらいは距離を縮めたいなーと思って」
「物理的に距離を縮めるんですか……最近司令官は私と距離(物理)が近すぎませんか?」
「嫌なのか?ならやめるが…」
「嫌じゃないですけど……///」
私がそう言った瞬間、唇に柔らかい感触を感じました。
「なら良かった。それじゃあ少し疲れたから仮眠とるね。20分後くらいに起こして。」
「し、司令官っ!きゅ、急に何をするんですか!?」
「キスだけど?」
「ど、どうしてですか!」
「そりゃあケッコンしてるんだしキスくらいしても良いでしょ?」
「そうですけど〜///やっぱりまだ慣れないですね///」
「戦争が終わったら本当の結婚もするんだから慣れてくれなくちゃね」
そう言いながら顔がニヤけている司令官。明らかに私をからかっていますね…。やっぱりまだまだ恥ずかしいです///
「もう!からかわないでくださいよ!それより司令官はどこで寝るんですか?執務室には布団や毛布は無いんですよ?」
すると提督はコタツに入りながら寝転がり、私の膝に頭を置いてこのうとしました///
「て、提督?まさか…///」
「吹雪の膝枕で寝るけど?」
「恥ずかしいです…///それより!布団も毛布も無いんですから風邪ひきますよ、司令官?」
「そんなのコタツに入りながら吹雪の膝枕に決まってるじゃん!」
「えっ!?それは恥ずかし「よいしょ!お邪魔しまーす、と」
私が抗議し終わる前にすでに膝に頭を乗せられました…///
「司令官!恥ずかしいですよ〜///」
「あ〜。お嫁さんの膝枕は最高だ〜。」
「お嫁さん…///」
私が顔を赤くして思考が止まっているとどこからか声がして意識が戻ってきました。
「ほうほう、司令官と吹雪さんが二人きりの時はこんな雰囲気なんですね……これは面白い記事が書けそうです!」
それを聞いた司令官の顔つきは先ほどまでのと打って変わって怒りと焦りが合わさった表情をしていました。声の主、青葉さんはメモを取り終え写真を撮って走って部屋を去っていった。途端、提督も走って追いかけ始めました。
「青葉待てや!ゴラァァア!!」
「青葉は逃げ切って見せますよー!」
「さあ始まりました!我らが鎮守府名物、ゴシップ鬼ごっこ!実況は私、衣笠さんでお送りしまーす♪」
「それでは皆さん、賭けるなら大淀に資材を渡して下さいね。」
「私は提督に鉄400!」 「私は青葉に燃料600!」
「私は青葉さんにボーキ300です!」
「赤城、それ外したらボーキ《食べ物》無くなるで?」
「あ……」
ギャラリーが騒ぐ中、必死に逃げる青葉とそれを追いかける司令官。いつもの平和な日常。私はこの時がとても大好きです。私たち艦娘は常に死と隣り合わせで、悲しいことですが昨日まで普通に話してた娘が翌日には居なくなってるなんて他の鎮守府ではそう珍しくもない話らしいです。
ですが司令官は違いました。未だ一人も轟沈させていないのです。私はそこに惚れたんですよね///
まあそれは置いておいて、そのおかげで鎮守府は毎日が明るくて居心地がとてもいいです。本当に司令官の艦となれて良かったです!
「さあ、試合が白熱してきました!」
「青葉待てやぁぁあ‼︎」
「待てと言われて待つ人なんかいませんよ!」
「提督、執務の時間です。仕事してください。」
勝負は大淀さんの宣言で終了し、青葉さんの勝ちでした。
司令官も大淀さんには逆らえないので渋々執務室に戻って行きました。
「さて、私は訓練しないと!」
私は演習場に向かって行きました。
__________
あれから数日が経ちました。
今、私達の鎮守府は緊張した空気が流れていました。理由は大規模作戦が始まるからです。
「よって今回のサブ島沖海域奪還作戦はここのポイントとここのポイント、この二つを取って維持するのが俺達の鎮守府の役目だ。そうすることで味方主力艦隊が後ろを気にせず敵主力に集中出来る戦場を作る。何か質問はあるか?」
「提督に一つ聞きたいことがある。」
「なんだ?」
「今までと比べると今回の作戦は簡単すぎないか?」
「それがそうでもない。ここは俺達の鎮守府が出来る前の話だが海域奪還作戦が失敗した場所の一つなんだ。だからどんな強敵がいるかわからない。よって油断はしないでくれ。」
「了解だ。」
「皆、絶対生きて帰ってくるんだぞ!それでは各自、体調管理などを気をつけて明後日までは自由にして良いぞ。それでは解散!」
「司令官!とうとう来ましたね……」
「ああ、しかも今回の所は吹雪と因縁があるサブ島沖だ…。だが大丈夫。絶対誰も沈めないからな」
「はい!信じていますよ、司令官」
「それじゃあ俺も明後日までは休暇なんだ。一緒に出かけないか?ついでに結婚用の指輪も買っておきたいからな!」
「勿論です!」
「さて、今回のサブ島沖海域奪還作戦のメンバーは二つの艦隊に分ける。それと作戦行動時間は夜の間だから空母は参加させない方針で行く。」
そうして読み上げられて行くメンバーの中には私、吹雪の名前も入っていた。
「それじゃあ私達も出撃するよ!夜戦だー!」
僚艦の川内さんが夜戦だからか異様にテンションが高かった。
「ぽい!」
「いやー、初雪さんはいないけどまさかこの海域でまた皆さんとご一緒するとは。でも今度は違いますよー!青葉も活躍しますからねー!」
「衣笠さんも頑張っちゃうよー!」
訂正、殆どの人がテンション高かったです…いつも通りなのは私と古鷹さんだけか…
初雪はなぁ…何故かまだ私達の鎮守府に居ないんだよなぁ……早く会いたいよ…。
そのまま航行し続けて指定エリアに着いた時だった。
「っ!皆さん!前方に敵影発見!戦闘態勢に移行してください!」
古鷹さんの一言で皆が集中する。前方の敵艦隊は夜偵の情報によると敵の編成はネ級elite、ネ級、ツ級、ロ級後期型、イ級が二隻とのことだった。
「敵はまだこちらに気付いてない感じだね…それならこっそり雷撃して魚雷が当たると同時に砲撃する感じで良いかな」
川内さんの提案に全員が異論が無かったのでその案で行くことになった。
皆が一斉に魚雷を撃つ敵はまだ気付いておらず敵に真っ直ぐと魚雷が進んでいく。少ししたら爆発音が聞こえた。
「よし当たった!砲雷撃、始め!」
最初の雷撃で四隻を沈めたのでかなり優位になった。それに敵はまだこちらの位置は分かっておらず砲撃が当たりそのまま沈んで行った。
「敵艦隊の撃滅を確認。それでは私たちはここで待機です。明日の昼まではここで待機ですが頑張りましょう!」
その夜は全く襲撃はなく、後は主力艦隊が敵主力艦隊を倒せばここの海域は奪還出来る!
そして現在は1000。古鷹さんの声が響いた。
「敵艦隊発見!こちらに気付かれました!」
「待って!青葉、あれこっちを無視してない?」
「言われればそうですね?なんか変です…まるでなにかから逃げてるような……っ!ガサ!偵察機をあの敵艦隊の後ろに送って!早く!」
「えっ!?わ、分かったわ………っ!嘘でしょ?皆、撤退するわよ!」
「え?何があったんですか!?」
「そうっぽい!勝手に撤退するのはダメっぽい!夕立達はここで敵を食い止めなきゃ!」
すると衣笠さんが無理矢理夕立を引っ張って帰投し始めました。
「もうここを守る意味は無いわよ!あれは資料で見たけど敵主力艦隊の旗艦よ!つまり作戦は失敗!早く撤退するわよ!」
「ガサ…どこで見たんですか?」
「今は気にしない!」
そうして皆で鎮守府に向かって全速力で航行するが敵には軽空母がいるらしく艦載機が飛んでくる。
「やばい!そろそろ敵の艦載機に追いつかれるよ!」
川内さんが言葉を発した時には既に真上にまで来ていた。そこから爆撃機が落としてくる爆弾がこちらに向かって降り注ぐ。
……
__________
作戦中に急に打電が届いた。とてつもなく嫌な予感がして冷や汗が止まらない。恐る恐る見れば案の定、海域攻略の失敗。姫級がいたため攻略は戦力を整えてからもう一回との事だった。
すぐに我が艦隊に知らせなければ!撤退だ、と。
「大淀!今すぐ艦隊に撤退命令を!」
「了解です!」
頼む、間に合ってくれ!ただひたすらにそれを思い続けた。
__________
「吹雪ちゃん!大丈夫っぽい!?」
夕立の視線の先には敵の艦載機の爆撃によって大破した吹雪がいた。幸いにも沈まなかったがこのままだと逃げきれない!そう思った夕立は危険を顧みず吹雪を曳航しようとした。しかし出来なかった。
「夕立、ちゃん……大、丈夫だよ…動けるから…」
今の現状は青葉が通信を取って現場を報告し、味方主力艦隊がダメージを与えて大破近くまではしていたため吹雪を逃すよりかは倒す方が生存率が高いと判断した。そのため夕立、吹雪以外は交戦中で他の艦隊が到着するまで時間を稼いでいた。ただ、敵主力艦隊旗艦、南方棲戦姫はそんな簡単に沈むはずがなかった。大破しようと沈む気配が一向に無い。
そんな時だった。
「只今、到着しました!」
戦場を動かす一言が聞こえた。これで敵は残り南方棲戦姫とヌ級が一隻だけ。対してこちらは吹雪以外は中破以外。
最後の力を振り絞るように大破したヌ級は発艦し終えた残りの艦載機を操作し、攻撃する。
……
いつもの万全な状態なら避けれた。だが今は先ほどの攻撃で頭から血が出て視界が塞がっている。先程隣にいた夕立も運悪く対空のために吹雪と離れている。殆どの艦娘は南方棲戦姫と交戦中で気付いていない。唯一近くにいた夕立だけが気付いた。だから叫んだ腹の底から声を出して。
「避けるっぽい!!!!吹雪ちゃん!!!!」
間一髪、攻撃機の雷撃を避けた。残った力を振り絞って。
「夕立ちゃん…ありが……あ、」
相手は機械ではない。深海棲艦とて知能はある。ヌ級の艦載機には少量の爆弾しかない。それに火を噴いて高度が下がっている。攻撃の手段はほぼ無いと思った。だが違う。視界をほぼ塞がれている吹雪の目に映ったのはこちらに真っ直ぐ向かってくる艦載機。武装など無いも同然の空飛ぶ的と化した鉄と爆弾の塊が一直線に飛んでくる。
夕立が叫ぶ。主砲と機銃で落とす。だが落としきれなかった。そして大破状態の駆逐艦にぶつかればどうなるなど考えるのは容易い。
「ああ、もうダメなんだ…ごめんなさい、司令官。……嫌だよ……沈みたくない…」
轟音が鳴る。爆弾が爆発した音と沈んでいく南方棲戦姫の断末魔だ。夕立はその場で崩れ落ちた。
「そんな……どうして………」
力なく言葉を溢すしか無かった。
夕立の先には吹雪が身に付けていたネックレスに通していた結婚指輪が浮かんでいた。
__________
執務室に打電が届く。
「敵主力艦隊ノ撃滅ニ成功。損害ハ中破多数、……吹雪、轟沈」
大淀が力なく、悲しげに読み上げる。
途端提督は膝から崩れ落ちた。最愛の人を失った。何が行けなかった。どうすれば良かった。どれが正解だった。
様々な感情が渦巻く。悲しみ、怒り、絶望、憎しみ。
悔やんだ所でどうにもならない。もう失ってしまったのだ。もう二度と帰ることはないのだろう。
気付いたら吹雪いている外に立っていた。かつてプロポーズしたイロハモミジの木の前だ。
「どうして……クソッ‼︎」
泣きながら苛立ちの声を上げる提督。その姿を隠すように雪は舞っていた。
まずこの世界線は一発轟沈があります。そして艦これゲームのマスみたいな区切りはありますが主力艦隊は最初はボスマスにいるというだけで攻撃すると別のマスに行ったりします。そして大規模作戦はこっちでは深海棲艦に奪われている海域の奪還作戦の事を指します。
説明したい設定はこれくらいです。
続き(ハッピーエンド)はリクエストがあれば書きます。
殆ど知らないと思いますがイロハモミジの花言葉の一つに大切な思い出とあります。後は察して下さい。
それではここまで見て下さりありがとうございました。