魔法少女Imagine   作:MOPX

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親友変身(Destiny)

ゲームのスクリーンショット

 

体調不良の報告

 

愚痴

 

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愚痴

 

体調不良の報告

 

体調不良の報告

 

……

 

 

 

「何やっているんだろうなあ……私……」

 

ここは自室。

ベッドで横になりながら端末をいじる。

特に理由があるわけではない。

習慣づいてしまったから、というのが大きい。

 

家に帰ったらどっと疲れが出た。

今日はもう何もしたくない。

 

「……」

 

改めて、本当に、清々しいくらい無味乾燥な時間だなと思った。

そんな風に感じるのは気持ちが酷く弱っているからかもしれない。

画面を閉じると小憎たらしい顔面アイコンのアプリが目に入り、余計にゲッソリしてしまった。

 

今日は特別なことが、あまりにも特別なことがあった。

 

親友の桃原桃美ちゃんが魔法少女に変身したのだ。

 

 

 

私、紫王(しおう)(ゆかり)は普通の小学六年生。

多少、漫画やゲームを嗜んでいるが普通の範疇といえた。

後は暇な時間は動画を見たりとか。

 

「あ~そういえば~夢がブイチューバ―って言っちゃった~桃美ちゃん、変に思わなかったかなあ~」

 

今日の発言を思い出し、ベッドの上でゴロゴロと転がる。

つい口から出てしまったが本心である。

 

学校ではクール目のキャラで通している。

今日び、動画を見るの自体は普通だろうが職業にするとなると話は別かもしれない。

 

目指している理由は何てことはない。

記憶がないほどの昔、何となく見て楽しめたから。

熱心に誰かを追っているわけでもない。

 

不思議な話だと思った。

 

 

 

まあ、いいやと私は思考を放り投げた。

きっと、桃美ちゃんもクール目の私が好きだろう。

だから今後もこのキャラクター(紫王紫)を続けよう。

 

桃美ちゃんにとっても、その方が良いだろうから。

 

「桃美ちゃん……大丈夫なのかなあ。これから……」

 

頭によぎるのは発光するビキニの妖精。

唐突に降ってきた真っ黒な狼みたいな化け物。

そして、ピンクの髪でフリフリのドレスに変身した桃美ちゃん。

(私も体を張ったらしいのだが、無我夢中すぎて覚えていない)

 

その別れ際の会話が思い出される。

 

 

 

 

 

「じゃあ詳しい説明とかは明日の放課後やるわ。と、その前に、あなたたち携帯端末は持っている? 機種は何でもいいわ」

 

「持っているけど……」「私も」

 

「よし空き容量は足りているわね……ほい!!」

 

妖精から強い光がぶわああって広がる。

発光が終わると、そこに妖精の姿はなかった。

 

「消えた……!?」「桃美ちゃん、これ!!」

 

私はいち早く端末の異変に気付くと桃美ちゃんに見せた。

何のことはない。

端末について聞かれたので変化があるのでは、と気づいたのだ。

えっへん。

 

端末には満面の笑みの妖精のアイコンで、「鏡の妖精」なるアプリが入っていた。

 

「私にも同じのがあるみたい!! お、お揃いだね……!!」

 

お揃い。

桃美ちゃんに限って他意はないのだろうが甘美な響きである。

変なアプリでなければもっとロマンティックだったのだが。

 

「このアプリを起動してもらえれば私をいつでも呼び出すことができるわ!! 容量はなんとお手軽!! 五ギガバイトォ!!」

 

「ご、五ギガァ!?」「新しくゲーム入れようと思ってたのに……」

 

非難の目を向ける私たちを余所に、妖精は一仕事終えたと言わんばかりにアクビをするのだった。

 

「緊急時なんかに使って頂戴。人生相談にも乗るわ。あ、一日一時間までね。ちなみに戦闘用のドレスは数時間で治るから安心して。じゃあ今日はこれで!! 解散!!!!」

 

早口でまくし立てると妖精はすっと消えてしまった。

後には呆然と立ち尽くす私と桃美ちゃんが残るだけだ。

 

「何だか言いたいことだけ言って帰ったわね……。聞きたいことがいろいろあったのだけど……」

 

モンスターとは何か、妖精とは何か、魔法少女とは何か、魔法少女が危険すぎやしないか、どうすれば桃美ちゃんは魔法少女を辞めさせてもらえるのか。

私は桃美ちゃんの方を確認した。

 

「桃美ちゃんは? 何が一番聞きたい?」

 

「うーん、とりあえず……」

 

すっかり私服とランドセルに戻った桃美ちゃんは自分の前髪をいじりながら言うのだった。

 

「髪の色、ピンクのままだから元に戻したい」

 

「そうね」

 

 

 

 

 

「そうね、じゃあないのよ……」

 

私の意識は端末の画面へと戻っていた。

少しでも役に立てないかとネットの海に質問を流しておこうかと思ったが、適切な文章が思いつかない。

友達 魔法少女 戻り方……。

 

「親友が魔法少女になった件……。なーんて。はあ……」

 

私に拡散力があれば一回質問をしただけでドバドバ返信が返ってきたかもしれないのに……。

ごめんね桃美ちゃん……私がブイチューバ―になってさえいれば……。

 

 

ないものねだりをしてもしょうがない。

 

できることと言えば、と考える。

私は端末を操作する。

画面は桃美ちゃんとの過去のやり取りを映し出した。

面白いと思った動画を送り合ったり、スタンプを乱打してたのが見えたが、もはや遠い過去のようだ。

 

指で軽くなぞれば、一文がもう出来上がり。

 

『今日は大変だったね、お疲れ様』

 

「うーん……」

 

打った文字を全部消す。

他人事みたいで感じが悪いかな、と思ったからだ。

 

思いを伝えるのは難しい。

自分の言葉でなら、なおさら。

 

私はベランダへ出ると外を眺めた。

 

嗚呼、落ちていく夕陽。

光がこんなに強くても。

ほんとは、ずっと遠いのね。

嗚呼、桃美ちゃん、桃美ちゃん……。

 

 

 

その時だった。

空が暗くなったのは。

 

夕陽が急に落ちたわけがない。

普通なら遭遇したことのない事象。

 

でも、私はこれを知っている。

今日、目にしたばかりなのだから。

 

「これって……!!」

 

轟音。

黒い稲妻。

 

一瞬、思わず目を閉じてしまう。

それでも凶兆たる閃光の行方は見逃さなかった。

 

「桃美ちゃんの家の方……!!」

 

あの時と同じなら現れたのだ。

牙と爪を持つ、あの怪物の類が――。

 

背筋に悪寒が走った。

 

そして思い至った。

 

「そうだ!! 時間は……!!」

 

慌ててスマホを取り出し時刻を見る。

午後六時ちょっと。

別れたのは午後四時だったか?

だとしたら経過したのは二時間。

 

記憶を辿れば、憎たらしい声が頭で鳴り響いた。

 

――ちなみにドレスは数時間で治るから安心して。

 

「数時間って何時間よ……!! あ、桃美ちゃんに電話を……!!」

 

電話はかからなかった。

変身した時の桃美ちゃんは衣服、つまり身に付けているもの全てがドレスになっていた。

だとしたらスマートホンもそうなる。

つまり桃美ちゃんはもう戦っている可能性が――。

 

「あっ!! あのアプリで!!」

 

強制的に入れられた鏡の妖精なるアプリ。

使うことなんてあるのかと思っていたが早速出番がきた。

初めてあの妖精に感謝すべきかもしれない。

 

私はアイコンを勢いよくタップした。

 

……。

 

私はアイコンを勢いよくタップした、もう一度。

 

……。

 

私はアイコンを勢いよくタップした!!!! もう一度!!!!

 

……。

 

「役に立たないじゃない……!! これ……!!」

 

私の足はもう動き出していた。

 

行ったところで、どうするのかはわからない。

何もできないのかもしれない。

 

それでも胸の鼓動はばくばくと音を増していく。

その脈動はやがて全身を覆いつくし、体を完全に支配していた。

 

 

 

 

 

細い体で、風を切る。

桃美ちゃんの家まで、まだ半分もある。

 

「桃美ちゃん……!!」

 

暗くて道を間違えそうになる。

全身から汗が滲む。

 

今、私がやっていることは正しいのか。

何か、とんでもない思い違いをしているのではないか。

 

正解など、誰も教えてくれない。

だったら――。

 

ころころと笑みが浮かぶ。

いつも隣にいる、それだけで安心できる存在。

 

消えてしまうのなんて、嫌だと思った。

ただ、それだけだった。

 

視界が光った。

 

向かう先、ちょうど黒い稲妻が落ちたあたりで桃色の光線が撃ち上がる。

斜めに放たれたそれは、空気を切り裂くような音とともにどこまでも遠くへ伸びていった。

 

「あの時と同じ……!!」

 

胸が歓喜なのかよくわからない感情に沸き立つ。

非日常による興奮。

きっとポジティブな方向での。

 

もしも、あの攻撃が怪物に命中したのなら事態は全て解決するはずだった。

 

 

 

待つ。

 

期待は焦燥に変わり、最後には諦観となった。

空は依然として、黒で閉ざされていた。

 

「駄目だったの……? 桃美ちゃんは……!?」「大分まずいわよ」

 

「ひょあ!?」

 

心臓がびくっと跳ねあがる。

いつの間にか真横には緑の発光体――妖精が姿を現していた。

 

「な、何!? いくら呼んでも来なかった癖に!!」

 

思わず声が裏返ってしまった。

とはいえ、独りで不安だったのも事実だ。

 

「さっきまで桃原さんに戦闘のアドバイスをしてたからね。こっちに向かって来てくれて助かったわ」

 

「も、桃美ちゃんは……?」

 

「止めとけって言ってるのに焦って大技を撃とうとした。案の定、外して大ピンチに陥った」

 

「……!!」

 

十字路を突っ切る。

突き当りを鋭く曲がる。

直線を駆け抜ける。

 

見えてきたものは――。

 

 

「桃美ちゃん!!!!」

 

 

ドレスに身を包んだ桃美ちゃんが、黒いものに巻き付かれ宙ぶらりんになっている姿。

黒い導線を視線で辿れば、いくつもの触手を持った巨大な軟体生物らしきものが見えた。

二階建ての家と同じ程度の大きさのそれが、道を塞いでいる。

 

怪物自体は鎮座している風だったが、計八本の触手はセンサーのように絶えず動いている。

ぐねぐねと有機的な動きが、気持ち悪い。

 

「うえぇぇぇぇん!!!! 私、食べてもおいしくないよー!!!!」

 

桃美ちゃんの悲痛な叫びがこだまする。

腕ごと、ぐるぐると触手に巻かれている。

頼みの杖も、地面へと落としていた。

 

あれでは抵抗など全くできない。

 

「早く助けないと――」

 

何か、何かできるはず。

そう思って必死に周りを見渡した。

そして目が合った。

タコのような怪物の目と思しき部分と。

 

ドクンと心臓が震えた。

 

妖精が追いつき耳元で声を上げる。

 

「機能の再構築完了……。間に合った。紫王紫、あなたを魔法少女にするわ。寝覚めが悪いから一応聞くわね。――覚悟はできてる?」

 

止めろ!!!!

 

頭の中で何かが叫ぶ。

思えば自分はいつも傍観者だった。

 

 

世界がどんなにめまぐるしく変わっても、一人は無力だ。

まるで大海に投げ込まれた小石。

だからいつしか諦めてしまっていた。

 

自分が変わることを。

 

 

「ゆ……紫ちゃん……」

 

黒い触手に巻かれた少女が必死に何かを訴える。

 

「に……げ……て……」

 

 

私は緑に発光するそれに向かって叫んだ。

 

――覚悟なんてもうできている(いいからさっさとしろ)

 

 

妖精の周りに魔法陣が浮かぶ。

私の体が、紫の光に包まれる。

 

「特殊魔法力疑似誘発装置作動。機能圧縮。情報伝送。領域展開。第二セット内容確認……良し。合言葉は――」

 

耳をつんざく振動が、空気を切り裂いた。

 

「魔法少女!!!!」

 

求めたのは鎧。

弱い自分を覆うための。

 

求めたのは盾。

大切な人を守るための。

 

求めたのは剣。

眼前の敵を消すための。

 

 

光が終わった時、私は紫の甲冑に身を包んだ戦士へと変身していた。

 

 

「ゆ、ゆかり……ちゃん?」

 

「――悪夢横断(ナイトメア・スラッシュ)

 

紫焔一閃。

 

私が振るった剣が空間を歪ませる。

生み出すは紫の断裂。

 

桃美ちゃんを捉えていた触手を真っ二つに引き裂いた。

化け物がのたうつように、体を震わせた。

 

「きゃっ!!!!」

 

両の足に力を込める。

爆発させるように推進力を生みだし、飛び込む。

しっかりとした感触を確かめ、距離を取る。

 

私の両手は、桃美ちゃんの体を抱えていた。

 

「あ、ありがとう紫ちゃん……!! お姫様だっこ……ぐへ……、ぐへへへ……」

 

低いうめき声を上げる桃美ちゃん。

ダメージはドレスが肩代わりしているはずだが……。

見たところ外傷はないようなので、一安心する。

 

私は桃美ちゃんを下ろして、一歩前へと進んだ。

 

怪物が平静を取り戻し、こちらと相対する。

 

触手は唸るようにも、怒っているようにも見えて、攻撃性を露にしていた。

 

妖精が耳元でささやいた。

 

「気を付けなさい。触手、結構早いわよ。抜け出すのは難しいから絶対に捕まらないで」

 

言われなくても――。

 

そう思う前に、きた。

 

 

二本。

 

 

正面と斜め上。

 

 

悪夢交錯(ナイトメア・クロス)!!!!」

 

 

紫の剣が燃え上がる。

伸びた刃が斜め二度、前方で交わる。

 

迫っていた黒い触手は跡形もなく消滅していた。

 

いける。

漠然とそう思う。

 

「安心するのは早いわよ……!!」

 

触手は八本だったはず。

三本、斬ったから残りは五本。

 

簡単な計算。

 

しかし現実は、ぱっと見で二桁を越える数。

……どう見ても増えている。

 

率直な感想こそが正解だった。

怪物の本体からは枝分かれするように、リアルタイムで手を生産していた。

 

「桃原さんがチャージするから!! それまで耐えて頂戴!!!!」

 

「紫ちゃん!! 待ってて!!」

 

桃美ちゃんの声が背後から聞こえる。

「任せて!!」と啖呵を切る。

 

来い、怪物。

触手が何本を生やそうとも桃美ちゃんの前へは一本も――。

 

 

怪物の本体が急に顔を上げる。

全ての触手の接点は口のようになっていて――。

 

「え?」

 

真っ黒な煙をこちらに噴射した。

 

「わああああぁぁぁぁ!!!!」「きゃあああああ!?!?」「桃美ちゃん!! 桃美ちゃん!!」「紫ちゃん!?!? どこ!?!? どこ!?」「大丈夫!?!?」

「あなたたち落ち着きなさい!!!! 落ち着きなさいってば!!!! 落ち着くのよ!!!! 落ち着いて頂戴!!!!」

 

黒い煙に覆われた空間で私達の声かけ(混乱)だけがこだまする。

自分の腕の先すら見えない。

 

何もわからない。

桃美ちゃんも、妖精も、敵の位置も。

 

次の瞬間。

 

聞こえたのは、乾いた音と悲鳴だった。

 

「ぐえええぇぇぇぇ!!!!」

 

「桃美ちゃん!? どこ!? どこ!?」

 

「自分のことに集中なさい!!!!」

 

妖精の声と胴体に何かが巻き付く感覚が同時だった。

この距離ならはっきりと見える。

紫の鎧に、黒いものが巻き付いていた。

 

「しま――」

 

言い終わる前に、触手は我先にと押し寄せる。

不快な感触だけが伝わってくる。

 

黒い煙は完全に晴れた。

視界に入ったのは全ての触手で私の体を持ち上げる怪物。

 

桃美ちゃんは体を弾かれたらしく、後方でうずくまっていた。

 

 

 

 

 

やっぱり無理だったのだ(私には何もできない)

誰かを救うなど、思い上がりだったのだ(最初から何もすべきじゃなかった)

都合よく上手くいくなんて、早々ないのだ(何で世界はこんなに残酷なの)

 

それでも助けたいと思ったのだ。

 

大切な親友を。

 

 

 

 

 

もう一度、敵を見据える。

もう一度、親友を見る。

 

力を込めても、無数に巻き付いた触手はびくともしなかった。

 

剣は落としてはいない。

盾はどこかに落とした。

 

どうすればいい?

 

どうすれば敵を切り裂ける?

どうすれば桃美ちゃんを守れる?

 

どうすれば――。

 

やっと思い至った。

 

眼前の敵を消すための剣。

大切な人を守るための盾。

 

 

 

 

 

鎧が、必要ない。

 

 

 

 

 

悪夢破裂(ナイトメア・パージ)!!!!」

 

紫の光が溢れた。

無数に解き放たれたそれは、かつて鎧を成していた一つ一つ。

黒いものといっしょに、全て巻き込んで消えていく。

 

空中に自由落下で解き放たれる。

 

迷いも、私を縛るものも、もうない。

 

着地の衝撃を、前方向の勢いへと転化する。

 

狼狽える怪物は、最期を悟ったか、闇雲にこちらへと突っ込んできた。

 

 

「――浄化コード認証(下がれ、下郎)

 

剣を持ったただの少女。

今はそれだけで十分だ。

 

「――悪夢驚咲(ナイトメア・クレイジー・ブルーム)

 

剣閃が、十字に横断する。

勢いを付け、斜めに打ち下ろし、薙ぎ払う。

 

跳ねるように距離を取り、剣を正面へと突き出す。

体が紫の光で包まれる。

 

紫の弾丸のごとく。

 

瞬時に加速し、どこまでもまっすぐに――。

 

 

 

怪物の体を突き抜けていった。

 

 

 

夕陽はもう沈もうとしている。

それが確認できるのは、怪物が完全に消滅したことを示していた。

 

「紫ちゃーん!!!!」

 

その声を聞いて、私は振り返った。

すっかり節々が千切れてしまったドレス。

そんなこともおくびに出さず桃美ちゃんは私に飛びついてきた。

 

体重を支え切れず、私の体がくるりと半回転する。

背中へと回った手の感触が何だかくすぐったい。

 

「紫王さんよくやったわ。あなたは正直、戦えないタイプかと思ったもの」

 

したり顔の妖精の嫌味も、今は気にならない。

もっと大事なことが、今まさに私を包んでいるのだから。

 

「あ……」

 

気が抜けて私もその場でへたり込んでしまう。

桃美ちゃんと私。

 

傷んだドレスと普通の私服。

とてもじゃないが、立派には見えないけど。

私達が、どっちも頑張った証。

 

今なら言える気がした。

 

「今日はいろいろあったけど……桃美ちゃん、お疲れ様!!」

 

「うん、紫ちゃんもお疲れ様!!」

 

 

 

今日は特別な日。

 

桃美ちゃんの親友の私が、初めて変身した日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん」

 

「もう朝? あれ夕陽が沈んでいる」

 

「ふわあ……何だか長い時間、眠ってたみたい……」

 

「さ、活動を開始しなきゃね……」

 

「この世界の謎を解き明かし、平和を守る正義と道徳のヒーロー……」

 

「名探偵、きえちゃんの活動開始だよ!!」

 

 

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