メジロマックイーンだと思ってスカウトしたら、おばアサマの方でした。   作:風神・雷神

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なんとかなれッ!


彼女は苦悩し、彼は感謝している

あれから食事を終え、店を後にし、マックイーンと別れた二人は、現在、最初に自分たちが居た家への帰る途中で、家への近道であった河川敷を歩いていた。

 

ふと、トレーナーは、つい先ほどまでいた店でのことを思い出していた。

 

アサマが顔を赤くしてから、マックイーンが外から戻ると、マックイーンに対しての態度が一変していた。

 

敵意は消えさり、純粋な笑顔で彼女の為に追加で料理を注文をしていた。

 

その姿は、素顔が似ていることもあって、周囲にはまるで心優しい姉のような存在に見えるほどであっただろう。

 

だが、トレーナーを驚かせたのはこれだけではなく、アサマが何故かマックイーンが頼んだ分の代金を支払うと言ってきたのであった。

 

最初は、トレーナーも急なアサマの提案に動揺するが、アサマの『この子は、もはや私の娘のようなものです!』と言われ、渋々説得されてしまう。

 

ただ、払った金額が思った数倍高かったのに驚いていたが、トレーナーは何とか払いきった。

 

 

しかし、席を外していたマックイーンは、二人が店を出た後で、支払いが終わっている事に気付き、お礼も言えずに別れてしまったのだった。

 

別れる前にそんなドタバタがあったが、今はそんなことがあった後とは思えないほど、周りは穏やかであった。

 

だが、そんな夕焼けが周囲を赤く照らす中、二人は横に並び歩いていると、トレーナーの隣にいたアサマが急に止まってしまう。

 

アサマは、話したりせず俯き、ウマ耳はペタリと元気なく倒れ、尻尾にも力が入っておらず、一目で何か思い悩んでいるように見えた。

 

明らかに店にいた時と比べて元気がないように思えたトレーナーは、不思議に思いアサマに聞いた。

 

「どうした?急に止まったりして。気分でも悪いのか?」

 

「そんなことは……。いえ、やはり言うべきことがあります。」

 

そう言うと彼女は、頭を下げ始めてしまった。

 

「先ほどは、申し訳ありませんでした。舞い上がって私欲を優先し、軽率な行動をしてしまいました。すみません……。」

 

アサマは、先ほどの店での自身の行動についてトレーナーに謝りだしたのだった。

 

これは、彼女なりのケジメであり、もしあの時に正体がバレてしまっていたら、この偽りの日々も終わっていたかもしれない。

 

自分が最も大切だと思う人を、自らの行動のせいで危険に晒してしまった。

 

このことに気が付いたアサマは、自分がしてしまったことに後悔しながらトレーナーに謝るのであった。

 

突然、アサマが謝りだしたことに、トレーナーは驚き数秒間止まったままになってしまうが、直ぐに今の状況を把握し、言葉を返した。

 

「おい。止めてくれよ。頭を上げてくれ。」

 

「いえ。そういう訳にはいきません。私の迂闊な行動であなたの命を危険に晒してしまいました……。」

 

「いや。マックイーンについてなら、大丈夫だ。あっちはこっちの正体に一ミリも気づいていなかった。だから気にすんなって。」

 

「ですが、私は自分自身が許せないのです。目先の私欲を優先してしまい、あなたの事を何も考えていませんでした。」

 

アサマは謝り続けるが、トレーナーからの気遣いの言葉が逆に、彼女の心へ響いた。

 

「ですから、お願いです!どうか、私の事をキライにならないで下さい!怒って頂いても結構ですから……。どうか……。」

 

アサマは、弱弱しく声を震わせながら言葉を続け、その姿は彼女自身が理想とする気品と自信に満ちた姿とは、真逆のモノであった。

 

だが、彼女はそんな今の自身の姿に何か思うほどの余裕はなかった。

 

アサマは、最悪の返事を思い浮かべてしまい、スカートの裾をギュッと握り必死に涙をこらえる。

 

「あなたに捨てられてしまったら私は……生きていけません。」

 

「……」

 

まるで、神に祈るような、その言葉を聞いたトレーナーは、頭を下げて謝るアサマから目を離し、夕日が沈んでいく街並みを見ながらゆっくりと話し始めた。

 

彼自身、アサマが思っていた怒りなどの感情は全く無く、むしろ逆であったとも言えた。

 

「アサマ……。俺は、今も感謝してるんだよ。」

 

トレーナーの急な発言に驚き、アサマは頭を上げ彼の横顔を見つめる。

 

「……感謝、ですか?。……それは一体どうして……。」

 

「……前は、一人だったから。誰にも相談することだってできなかった。だから、全て一人で考えてた。」

 

トレーナーは、この時代に来る前は、自身の担当のウマ娘でさえ、真に心を許してはいなかったが、今は違った。

 

「だけど、今回は違う。相談して、迷った時は二人で考えて決められる。アサマがいなかったら、最初に心を折られたままで、立ち上がれなかったと思う。前の環境とは雲泥の差だ。」

 

彼の本音ともとれる言葉に、アサマは目を見開き、聞き入ってしまう。

 

「だから今、この瞬間にも助けられてるよ俺は。」

 

「そ、そんな大げさです……。」

 

「いや。そんなことない。それに、アサマが謝る事じゃない。真に悪いのは、こんな状況にしくさった自称『神』って奴だしな。」

 

「ですが……。」

 

「それに……今からおかしなこと言うぞ。」

 

そう言うとトレーナーは、視線をアサマへ戻すと、ばつが悪そうに頭の後ろを掻く。

 

「俺は、自分の命が掛かっているってのに……今が楽しいんだ。」

 

「へぇ?」

 

トレーナーの言葉の意図が分からず、アサマは頭にクエスチョンマークを浮かべる。

 

「……おかしいだろ。失敗すれば、死ぬかもしれないって言うのに、お前が楽しそうにしてると何故だか、こっちまで楽しいんだ。」

 

そんなアサマを見ながら、トレーナーは気まずそうに話す。

 

「だから、今のままでいい。自分を責めずにそのままの【メジロアサマ】でいてくれ。そんで、一緒にこのふざけた試練をクリアしよう。相棒!」

 

「あ……あなた……。」

 

「だから……まあ……あれだよ……。」

 

 

「いろいろと……感謝してる……。……あ、ありがとな。」

 

 

その瞬間、アサマは見た。

 

今まで見たことが無いほど、トレーナーの頬が赤くなってる所を。

 

夕日の光に照らされ、トレーナーの顔が更に赤さが濃く見えた。

 

「……すまん。今のやっぱナシだ。わ、忘れてくれ。」

 

そういったトレーナーは、反対側を向き、帰り道を足早に歩きだしてしまう。

 

「はぁ……。本当に、あなたという人は……。」

 

その姿を見たアサマは、小走りでトレーナーに追いつき隣を歩く。

 

「……分かりました。それでは、早く帰りましょう。」

 

いつの間にかアサマには、謝罪しようとする考えは綺麗に消え去り、今自分自身がやりたいことをやろうと思っていた。

 

そう言うと、アサマは彼の腕に自身の腕を絡め、彼の腕にもたれ掛かり、トレーナーにウマ耳が当たる距離まで二人は近づく。

 

この行動が原因か、アサマの顔も真っ赤になっていた。

 

「少しだけ……。帰る間だけでいいですから……今だけ……このまま帰ってもよろしいですか?」

 

「……分かった。」

 

「私、あなたのそういうところ、好きですよ……。」

 

「……。」

 

「お顔、真っ赤でしたわよ。」

 

「……あ、あんまり、揶揄わないでくれよ……。」

 

夕焼けに照らされた二人の後ろには、一つの影がその後をゆっくりと付いて行く。

 

そうして彼女たちは、この先どんな未来が待っているのか分からない明日へ不安や期待を胸に秘め、夕日に照らされながら帰路につくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

場所・メジロ家所有の邸

 

お風呂に入った後、髪を乾かし終わり、いち段落ついた今、私はライバルであり友でもある、彼女へ通話をしていました。

 

『へー、そのお店そんなに良かったんだ……。じゃあさ、今度チームのみんなと一緒に行こうよ!マックイーン!』

 

『それはいい考えですわ!そうしましょう。ですが……。』

 

『ん?どうしたの。マックイーン?』

 

『いえ。今日お店に行った際、席に余裕が無かったので、知らない方達と相席をしたのですが……。』

 

『へー。珍しいね、マックイーン。僕、今までそんなこと一回もないよ。……ってなになに。一緒になった相手がどうしたの?』

 

『その……。とても親切な方々で、私が席を離れている間に私の分の代金を払ってくれたのです。戻ってきた時には、もうお帰りになった後だったので、ちゃんとお礼を伝えられずに別れてしまいましたの。ですので、もう一度何処かで会えたらいいのですが。今思えば、どうして見ず知らずの私にそこまで……』

 

『ふ~ん。ちなみに、一緒になった人って男の人だったりした?』

 

『え?はい。男性でしたがあと……。』

 

『ええええ!!じゃあ、マックイーン!その一緒になった人の事好きになっちゃたの?ご飯奢って貰っただけで!?流石にちょっとチョロすぎだよ!!』

 

『そ、そんな訳あるわけないでしょう!!全く違いますわ!別に好きになったりしていません!あなたは何を言ってるんですか!!』

 

『え?そうなの?なんだ、つまんないの。』

 

『ですが……。何と言いますか……。あの方々、初めてお会いしたのですが、何故か初めて会った気がするような、しないような……。」

 

『ん?どういうこと?まさか、運命の人とか言うんじゃ……。』

 

『違います!!全く、どうしてあなたはそう結論を急ぐのですか……。それに、一緒になったのは、男性の他にお連れのウマ娘の方がいらっしゃって二人ですわ!』

 

『ふ~ん。二人組ってことは……。もしかして一緒になった人達、カップルだったりしたのかな?』

 

『ええ。私の見た限り、そういう関係だと思います。もしかしますと、私達が想像もつかない次元へ進んでいるのかもしれません。私の目の前であんなことをしてたのですから……。』

 

『え?あんな事って……。まさか!?』

 

『ええ。察しがいいですわね、“テイオー”。まず最初に……。』

 

自身がこの目で見た光景を思い出し話すマックイーンは、話していく内に湯船でのぼせたような真っ赤な顔になりながら、今日の出来事を詳細に伝えた。

 

それを聞いていた“トウカイテイオー”も、テレビや本などでしか見たことがない事が、現実で行われていると知った途端、彼女も顔を真っ赤にして熱心にマックイーンの話を聞いていたのだった。

 

 

 

 




お気に入り登録、誤字脱字、高評価、感想書いてくれた兄貴、姉貴達感謝します。

次回、書けたらいいコケね。
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