【書籍化!】『君は勇者になれる』才能ない子にノリで言ったら、本当に勇者になり始めたので後方師匠面して全部分かっていた感出した   作:流石ユユシタ

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第40話 現代最強対五代目指南役

 僕はサクラと言う勇者パーティーの一人だ。二つ名は【覇剣士】である。

 

 大層な二つ名がついているが正直勇者君を見ているから、本当に大袈裟であると思う。

 

 勇者君と旅をしてきたからわかるけど、本当に彼は生物として別格であると感じる。

 

 剣技、身体強度、恩恵、何一つ叶うことがない。昔は僕が勇者になるって言われたけど、結局なったのは勇者君だったし。

 

 そんな勇者君はいつも鉄仮面をかぶっている。素顔など見たことがない。気になってはいたんだけど、絶対に彼は見せなかった。

 

 気になる。ものすごーく彼の素顔が気になる。と言うか身元も気になる。結婚とかするならご両親に挨拶をしないといけないし。

 

 

 勇者君は両親が死んではいないと言っていた。だからどこかにいるはずなのだ。彼の両親が。

 

 挨拶をして、彼について聞きたい。何を思っていたのか、どうやって育ったのか、些細なことでいいから一つでも多く知りたい。

 

 だけど、素顔が身元がわからない!!

 

 

 そんな時だ。一人の男の人を見かけたのは。最初はトーナメントの時にリンちゃんと一緒にいた。違和感、違和感、違和感。

 

 僕の中にそれがあった。なぜなら可笑しいのだ。強さが尋常ではない。

 

 

 そして、騎士学校のある速さ。目にも止まらぬなんて、よくあった。だけど、時間が飛ばされたように気づいたら決着がついていた。

 

 これでも、元勇者パーティー。さらに言えば【今代の勇者】は彼がいなければ僕だったのだ。

 

 その僕の瞳が、捉えられない?

 

 

 実力を隠している猛者は数多いる。しかし、だとしても、これは異常ではないだろうか。そして、それに対して、あまり実感がなさそうな感じ。

 

 周りとの強さにあまりにも隔離がありすぎて、強さの基準がぶれてしまっているこのチグハグさ。

 これを持ち合わせるのは……勇者ダン、彼なのだ。

 

 

 バン、と言う彼は覇気は感じない。だけど、時折感じる、隔離された異次元の強さの波を。

 

 

 もし、勇者君ではなかったとしてもこの強さが野放しなのは理解できない。一体全体どこに今まで隠れていたのか。

 

 引きこもりとか言ってたけど、いくらなんでも嘘だ。引きこもりでどうやってあの実力がつくと言うのだ。

 

 確かめなくてはならない、この都市ラムダにて。

 

 

「夜に亡霊は出るらしいわよ」

「なるほど」

 

 

 今はリンちゃんと彼が話している。リンちゃんって、あんなに他人にフランクにならないけど。そこも気になる。どことなく彼女も彼の正体を勘繰っていたり、もしかしたら、勇者君である可能性をすこい見極めているのかもしれない。

 

 

「ちょっと、都市ぶらぶらしましょ。ほら、サクラも」

「あ、うん」

「二人とも素顔隠して大変ですね」

「あ、うん。そうね、アンタにだけは言われたくないけど」

 

 

 僕とリンちゃんは素顔がバレると色々と騒がしくなるので仮面をかぶっている。バン君は口笛吹きながら呑気にしている。

 

 とりあえずは都市を夜まで三人で歩くことに決めた。

 

 

「バンは昼何食べたいの?」

「あー、肉ですかね。今日は脂質を抑えて、胸肉を……」

「脂質? 勇者君がよく使ってたよねその言葉」

「あ、なんでもないです」

「そうね、なんでもないと思うわ。サクラは今のスルーしてあげて」

「あ、うん」

「隠すのが雑なのよ」

 

 

 リンちゃんがボソボソと何かを言っている。それにしても脂質か、勇者君がたまに言ってたけど。まぁ、これは勇者君が広めた言葉だし、使う人がいてもおかしくはないか。

 

 

「よぉ、そこの兄ちゃん、喧嘩祭り参加しないかい?」

「いえ、いいです」

 

 

 バン君が喧嘩祭りに参加を促されている。これは参加するのを見れたら、何かわかるかもしれない。

 

 

「でてみたらいいんじゃないかな。腕の良さは僕が保証するし」

「やめておきます。面倒だし」

「優勝したら異性からモテモテだよ」

「出ます。フツメンでもモテますか?」

「モテるよ」

「出ます」

 

 

 

 出場しかけていたが、リンちゃんが止めてなんとかそこの場は流れた。そして、なんだかんだで三人で過ごしていると夜になった。意外と話しやすい対象であったことに驚きもあった。

 

 

「さーてと、亡霊とやらを探しにいくわよ」

「そうだね、バン君眠くない?」

「平気です」

 

 

 

 三人で都市の周辺を歩いていると、

 

 

「いるわね。やたら魔力がある対象が急に出てきた」

「そうだね」

 

 

 リンちゃんと僕はすぐに気づいた。微かに遠くに骨だけの人体が動いていた。ローブを纏い、こちらに向かって迫ってくる。

 

 

「【勇者サクラ】だな」

「……サクラは確かに僕だよ」

「そうか、そうかそうかそうか。よかった、これも神の作った通路の一つ。さぁ、私を倒し、成長せよ」

「倒すよ。そのために来たし」

 

 

 亡霊、これが五代目の指南役の亡霊なのかな。雰囲気は強めだ。そして、気になるのがあの手に持っている武具だ。魔道具の類で、前に本で読んだことある。

 

 五代目の指南役が使っていた魔剣といえばきっと、【魔剣ソレランダート】。魔力を斬撃として飛ばすことができて、その攻撃が必ず必中となる。

 

 

 気づいたら体に斬撃があるらしいから、面倒だな。

 

 

「……待て、勇者サクラひとつ聞きたい」

「なに?」

「なぜ、お前は片耳が欠けていない?」

「は? どういうこと」

「神の神託では、お前は戦闘にて片耳を失うはず。そして、そこにいるのは神の子、リンリン・フロンティアだな。なぜお前も五体満足で生きている。なぜ、神託では四肢が微かにもげている。瞳も片方失われているはずだ。なぜなぜ、どうやって背いた? 神の予言から」

 

 

 

 リンちゃんと僕は顔を見合わせた。確かに、【神託】にて僕達の体の一部が欠けると言われていた。

 

 【神託者ボイジャー】がそう言っていたのだ。でも、その予言の敵を勇者君が倒したから……

 

 

「なぜなぜなぜ、神の道は完璧なのだ、なぜ、いや違う。どうやって背いたッ!!! 神の道から!!!」

 

 

 激昂を飛ばす、亡霊……リンちゃんが目を鋭くした。何かを感じているようだ。僕もきっと彼女と同じ気持ちなのだろう。

 

 

 

「サクラ、あれ、ただの亡霊じゃないわよ」

「うん。なんとなく、分かるよ」

 

 

 

 亡霊は僕達がそう言うと微かに顔を落とす。そして、次の瞬間、背中の白骨から白銀の翼が生えた。それは夜に輝きを灯すように美しく恐ろしい。

 

 

「天使……」

「サクラ知ってるのね?」

「超古代文字にあったんだ。神と魔神の対戦、神に仕えていたのが……天使」

「いかにも、私は天使。今はこの亡霊の体を借りている。だが、だがこれも勇者サクラ、お前のためだ! お前がなるのだ! 魔神を撃つ存在と!! そして、神の子リンリンお前もだ! お前は神が作った爆弾にすぎない!! なぜのうのうと生きているのだ! 怒れ、憎め、魔力をそれにて高めろ!! なぜなぜ、のうのうと生きる! 神の期待を背負うのに!!」

「……悪いけど、僕達そう言うの嫌いだからさ。それに、僕は勇者じゃないよ。今代の勇者は、勇者ダン、歴代最強の勇者だよ」

「……誰だ、それは?」

 

 

 勇者君を知らないんだ……。世間知らずの天使だね。ただ、少しわかった、この天使は最近目覚めたんだ。だから、神託頼りの知識だから彼を知らない

 

 

 

「まぁいい。ならば神託通り、今ここでお前らの四肢を剥ぎ、耳を借り、眼を潰す。神託から叛くのは許されることではない!」

「勝手なことを言わないで欲しいな」

 

 

 僕が剣を抜いた、必中の魔剣は厄介だから。速めに潰そう。本当は彼が勇者君かどうか確かめたいけど、これはあまりに危険だから違った場合は危ないし。

 

 

「バン君、君はそこから逃げて」

「……大丈夫。僕がやります。少し、戦ってみたい」

「え?」

「……天使、一応知識としてはあったんで。一回だけ戦っておきます」

「え、でも」

「戦い基本意味ないからしたいって思わないですが。まぁ、天使は戦ったことなかったし。経験として持っておきますよ。神はあんまり僕も好きじゃないし」

 

 

 彼はゆっくりと天使のもとに歩いていく。近づく彼に先ほどまで見向きもしなかった天使も気づいた。

 

 

「なんだ、お前は」

「まぁ、気にしないでよ。互いにもう会うこともないから」

 

 

 少しだけ、声音が下がっている。怒りが微かに滲んでいる感じはないけど。冷めている。

 

 

「死ね」

 

 

 魔剣を天使が振るった。必中の魔剣は彼の服を斬った。

 

 

「あぁ、そう言うやつね……」

 

 

 彼は涼しい顔をしながら止まらず歩き続ける。必中の攻撃に気づいたがそれがどうしたと言わんばかりだ。

 

 

「ふん、既に攻撃はお前の元にある。殺してやるさ」

「やれるなら、構わないけど」

「消えろ。神託の邪魔だ」

 

 

 

 数十の斬撃が一瞬のうちに放たれる。だが、それが彼にあたるが、何もないように歩みは止めない。

 

 

「……なぜ、体の形を保てる」

「さぁ、使い手が未熟だからじゃないか」

「この、私は神の分身である天使だぞ!! たかだが、神に生かされている人の分際で!!! 超高位種族の私を馬鹿にするな!!」

 

 

 再び、彼に向かって斬撃を飛ばすが。今度はそれが当たることはなく掻き消えた。

 

 

「……は?」

「え?」

「どう、いうこと?」

 

 

 天使、リンちゃん、そして、僕、全員が口を開いて驚いた。確かにあれは必中の攻撃であったはずだ。

 

 

「な、なにをした?」

「当たってたよ。皮膚に触れた瞬間に、全部斬っただけ」

「……あ? ははは? は? おい、何言ってるんだ? お前?」

「そう言うのいいから」

 

 

 気づいたら、彼の手に小型ナイフがあった。あれで全部斬ったのだろうか。驚くまもなく彼はゆっくりと歩き続ける。この瞬間にこの場にいる全員が気づいた。

 

 彼は天使よりも、圧倒的に強い。格が全く違う。それに気づいた天使は一瞬にて魔力を高める。

 

 

「あ、ありえん、こんなことは許されん!!! 神の啓示にすら載っていない、存在など絶対に許されん。異分子は異分子はここにて削除をする!! これだけはしなくてはならない!!!! 超古代魔法・暴王爆破!!!!」

 

 全ての魔力を限界以上に引き出し、命と引き換えに数百倍の力を引き出す魔法である。だが、不思議と安心感があった。

 

 彼は絶対に死なない

 

 

 その突撃を彼は片手で受け止める。

 

 

「な、なんだとぉ!! こ、これは……神を、魔神を……神々を凌駕している力だと言うのか!! お、お前、何者だ!!」

「別に、ただの冒険者だよ」

 

 

 

 一瞬、それにて天使はかき消えた。彼がナイフで軽く斬ったのだろうか。

 

 

「神様の手下か。こんなもんか」

「……ねぇ、君何者?」

「冒険者です。駆け出しです」

「いや、そのごまかし無理だから。無理だか、ねぇ、勇者君じゃないの? ねぇねぇ」

「違いますね」

「ねぇ、リンちゃん。この人絶対勇者君、じゃなかったら誰なの?」

「さ、さぁ、誰なのかしら」

 

 

 リンちゃんが頭を抱えている。彼は目を逸らして天を仰いでいる、色々と食い違っているような気がするけど。

 

 

「あ、バン君服切れてる……筋肉やば……え?」

 

 

 彼の着れた服から体が見えたが、もう人の体じゃないほどに筋肉が密集していた。うん、これ、勇者君だ。

 

 だって、知ってる。昔、寝てる勇者君の服捲ったことあるし、こんな感じだった。

 

 

 あ、え? 本当に勇者君だったの!?

 

 

 

 

 




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