ダンまち×FGO ~ 許されよ 我らが罪を~   作:はしゅまる

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報告です。FGOフェス当たったんですが、コロナが酷いので行くこと辞めました。7/30のA席だったんだけどなぁ…

第3章のあるところでつまずきました。さらに更新が遅れます。ご容赦ください


第二章
10話


 

 

「ベル君、トネリコくん、ボクは今日の夜...いや何日か部屋を留守にするけど。構わないかな?」

 

 

トネリコが作った朝ごはんを食べ終わった頃、神様が聞いてくる。

 

 

「えっ?わかりました、もしかしてバイトですか?」

 

 

「いや、行く気はなかったんだけど、友神の開くパーティーに顔を出そうかと思ってね。久しぶりにみんなの顔を見たくなったんだ」

 

 

「だったら遠慮なく行ってきてください」

 

 

友達は大切ですからね。

 

 

「ありがとう」

 

 

と神様は頷いて、クローゼットを物色する。何着もない服の中で一番マシなものを選びバッグに詰め、その他の荷物も整理する。部屋の外に向かっていった。ドアに手をかけたところで、もう一度僕達の方を向く。

 

「ベル君、君は今日絶対安静!と言いたいけど、無茶しないなら、ダンジョンに行ってきてもいいよ」

 

 

「えっ、いいんですか?」

 

 

「いいよ。ただし引き際は考えるんだよ?君はまだ本調子では無いだろうからね」

 

 

「はいっ、ありがとうございます」

 

 

「トネリコくん、ベル君を頼むぜ?」

 

 

「任せてください」

 

 

なら安心だ。と言った神様は行ってきますと地下部屋を出ていった。

 

 

「ではベル、ダンジョン攻略の準備をしましょうか」

 

 

「うん、あ...あのさ」

 

 

「はい?」

 

 

「助けてくれてありがとう、今回のことも、あの時のことも」

 

 

少し照れくさい、けど僕はまだちゃんとお礼をトネリコに伝えられていない。今まで何度も君に助けられたことを。

 

 

「ええ、どういたしまして、家族なんですから、助けるのは当然でしょう?」

 

 

「うんッ」

 

 

今度は僕が、君の力になるんだ。よし頑張るぞ!

僕は、やる気に満ち満ちた。装備をつけるために部屋へと向かう。

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

ダンジョンに行く前に僕は、『豊穣の女主人』へと来た。一昨日の件で迷惑をかけてしまったので謝罪をしに。トネリコは少し用事があると先に行ってしまった。

 

 

「ちょっと気まずいなぁ……」

 

 

神様が言うには『大丈夫大丈夫、女将くんは怒ってなんかなかったぜ』と。

 

 

「...よし」

 

 

Closedと札がかかっているドアの前で足を止め。僕はちょっとその場で悩んでから、意を決して酒場へ足を踏み入れた。

 

 

「申し訳ありません、お客様。当店はまだ準備中です。時間を改めてお越しになっていただけないでしょうか?」

 

 

「まだミャー達のお店はやってニャいのニャ!」

 

 

お店の準備をしているエルフの店員とキャットピープルの店員が、僕にすぐ気付いて対応しにきた。

 

 

「すいません、僕はお客じゃなくて......その、シル・フローヴァさんはいらっしゃいますか? あと女将さんも......」

 

 

僕の言葉に少し目を丸くした二人は、何かに気付いたようにこちらを見る視線を改めた。

 

 

「ああ!シルに貢がせるだけ貢がせといて役に立たニャくニャったらポイしていった、あん時のクソ白髪野郎ニャ!!」

 

 

「貴方は黙っていてください」

 

 

「ぶニャ!?」

 

 

「失礼しました。すぐにシルとミア母さんを連れてきます」

 

 

「は、はい......」

 

 

今の一撃全く見えなかった。そのままキャットピープルの少女の襟を掴み、ずるずると引きずっていくエルフの店員を見送る。

 

 

「ベルさん!?」

 

 

すると、階段を急ぎ足で下りる音がして、すぐに店の奥からシルさんが現れた。最後に別れた時のことを思い出すと穴を掘って埋まりたくなるけど、彼女に歩み寄る。

 

 

「一昨日は、すいませんでした。いきなり出ていってしまって」

 

 

「......いえ、大丈夫ですよ。こうして戻ってきてもらえて、私は嬉しいです」

 

 

心配してたんですよと言ってくれる彼女。事情を尋ねようともせず温かく包み込んでくれるこの人の姿に、不覚にも涙が出そうになった。

 

 

「もしかしてこれからダンジョンに?」

 

 

「はいっそうです」

 

 

「では、少し待っていてください」

 

 

「?」

 

 

とキッチンの方へ消える。戻ってきたシルさんは、大きめなバスケットを抱えていた。

 

 

「よろしかったら、これをもらっていただけませんか?」

 

 

「えっ?」

 

 

「これは私達のシェフが作った賄い料理なので、味は折り紙つきです。その、私が手をつけたものも少々あるんですけど.......」

 

 

「いやいやッ!?そんな悪いですよ!何で僕に......」

 

 

「差し上げたくなったから、では駄目ですか?」

 

 

シルさんは、照れ臭そうに苦笑する。その優しい表情を見て、鈍感な僕でも察することができた。応援してくれているのだ。

 

 

「......すいません。じゃあ、いただきます」

 

 

「はい...あ!ちゃんとトネリコさんの分も入ってますから」

 

 

「ありがとうございます、トネリコもきっと喜びます」

 

 

そうして僕はバスケットを受け取ると...。

 

 

「坊主が来てるって?」

 

 

カウンターバーの内側にあるドアからぬっと出てきたのは女将さん──ミアさんだった。

 

突如現れた貫禄のある存在感に、僕は少し後退してしまう。 というか、ドワーフの中でも一層でかい。僕より逞しい。

 

 

「ああ、なるほど、一昨日の件で来たのかい。感心じゃないか」

 

 

「どうも.......」

 

 

「シル、アンタはもう引っ込んでな。仕事ほっぽり出して来たんだろう?」

 

 

「はい。わかりました」

 

 

シルさんがお辞儀をして戻っていく、ミアさんは豪傑な笑みを浮かべて僕の胸をその太い指でどついてきた。

 

 

「いい顔になったじゃないか」

 

 

「え?」

 

 

「目指す場所が見つかっても死んじまったら元もこうもないだろ。冒険者なんてカッコつけるだけ無駄な職業さ。最初の内は生きることだけに必死になってればいい。背伸びしてみたって碌なことは起きないんだからね」

 

 

「!?」

 

 

僕は目を見開いた。

あの時はミアさんもカウンターにいたから、僕の事情を見通しているのだろうか?彼女はニッと笑みを浮かべ。

 

 

「今できることをやって、がむしゃらに足掻いて、最後まで二本の足で立ってたヤツが一番なのさ。みじめだろうが何だろうがね。そうすりゃ、帰ってきたソイツにアタシが盛大に酒を振る舞ってやる。ほら、勝ち組だろ?」

 

 

ミア...母さんッ!

 

 

「気持ち悪い顔してるんじゃないよ。店の準備の邪魔だよ、そら、行った行った」

 

 

今できることを、最高速度で、無茶なく、目標に向かう、後は必死に生きる。これからの方針が固まった。

 

 

「坊主、アタシにここまで言わせたんだ、くたばったら許さないからね」

 

 

「大丈夫です、ありがとうございます!」 

 

 

「あんないい女神様に逢えたんだ。大事にしな」

 

 

「はいッ!」

 

 

店を出る際、僕は深くお辞儀をして、店を出た。

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

それからトネリコと合流して、今はダンジョンの4層にいる。

 

 

「はっ!」

 

 

『ギャィ!?』

 

 

コボルトの群れと相対してる時に、違和感に気づいた。体が思ってるように動かない。悪い意味ではなく、いつもより早く動けるのだ。

 

戦闘が終わり、昼休憩でシルさんから頂いた物を食べている時に、トネリコに聞いてみた。

 

 

「多分ですけど、体の急成長に貴方がまだ追いついてないんじゃないですか?」

 

 

あのステイタスの上昇量なら有り得ますね。との事。

 

 

「なら今日は、ここより上の階で体を動かして慣れることを最優先にした方がいいかもしれません」

 

 

「上で?」

 

 

「はい、体が慣れたら明日からは6層まで行ってみましょう」

 

 

「いいの?」

 

 

「無茶をしないが約束ですけどね」

 

 

「うん」

 

 

ついに6層か...あの時はフライングというか、あまりに無謀だったから今度はちゃんとした準備をして行く。どこまで通用するか、少し楽しみだったりする。

 

 

「それはそうと、直剣の使った感じはどうですか?」

 

 

「大丈夫、問題ないよ」

 

 

そうなのだ。僕の今の得物は、短刀やナイフではなく、直剣。今日の朝食時にもっと長い剣を使ってみたいと神様たちの前で呟いた一言のせいで、わざわざトネリコが朝から別行動を取って、ヘファイストス・ファミリアまで買いに行ったらしい。僕だけでも行けるのに。と伝えたら。

 

 

「ダメです、あなただけで行ったら間違いなくいい鴨にされます」

 

 

いや...鴨って......次行く時は僕も行くと言ったら、渋々と承諾してくれた。剣の長さは約80cの物、最初は重そうとか思ったけど、手に馴染んできたら全く気にならない。

 

 

「ではそろそろ行きましょうか」

 

 

「うん、行こう」

 

 

そうして僕達は、上層へと向かった。

 

 

━━━━━━━━━━

ヘスティアSide

 

今は夜。

 

 

「そこの給仕君、踏み台を持ってきてくれ、早く!」

 

 

「は、はい!」

 

 

ボクは、『神の宴』に来ている。

と言ってもただの同窓会みたいなものだ。毎回主催する神やら日程やらバラバラだけど共通点がひとつあるそれは。

 

 

『俺がガネーシャだ~!』

 

 

『イエーーーイ!!』

 

 

騒ぎたいやつが集まるのだ。

 

 

『本日はよく集まってくれたみなの者!今回の宴もこれほどの同郷者に出席して頂きガネーシャ超感激!愛しているぞお前達!さて積もる話はあるが、今年も例年通り三日後にはフィリア祭を開催するにあたり、みなのファミリアにはどうかご協力をお願いしたく──』

 

 

なんて主催者の声が聞こえるけど、そんなことよりこっちだ!

 

 

「(さっ!さっ!さっ!)」

 

 

目の前にある美味しそうな料理を、持参したタッパーに詰め込んでいく。これが目的のひとつだったりする。ベル君とトネリコくんへのお土産ができるぞ!

 

 

『あれ、ロリ巨乳来てんじゃん』『ていうか生きてたのか』『あいつ北の商店街でバイト頑張ってるぞ。露店で客に頭撫でられてたぜ』『さすが・ロリ・神……!!』

 

 

外野から色んな声が聞こえてきたが無視だ無視。

いやここの料理すごく美味しいな。早く2人にも食べさせてあげたいなと考えながら、料理を口いっぱいに頬張る。

 

 

「何やってんのよ、あんた……」

 

 

「むぐ? むっー!」 

 

 

探していた神友の声が聞こえてきたためそちらを振り向く。

そこには燃えるような紅い髪と真紅のドレスを着こなし。耳につけた貴金属のイヤリングはその炎のような美貌に力負けしている。そしてそんな美貌の中でも目を引くのが、顔半分を覆い隠してしまっている黒色の布だ。そう彼女こそが。

 

 

「ヘファヒフホフ!」

 

 

「ちゃんと飲み込んでから喋りなさい」

 

 

「むぐっ...もぐ......ごくん...久しぶりだね!ヘファイストス!」

 

 

「ええ、久しぶりねヘスティア。元気そうで何よりよ。もっとマシな姿を見せてくれたら、もっと嬉しかったんだけど...」

 

 

ヘファイストス─────ボクがベル君とトネリコくんに出会う前に厄介になっていた神友が、このヘファイストスだ。

オラリオに来たばかりの時に、彼女のファミリアに住まわせてもらってたんだけど今では色々とあって(ボクが全面的に悪いんだけど)追い出されてしまった。でもなかなか上手くいかなくて何度も頼ってしまって彼女の手を焼かせてしまったけど、今のバイト先や教会の隠し部屋を貸してくれたりしてくれる面倒見のいい神なのだ。

 

 

「いやー良かった、やっぱり来たんだね。ここに来て正解だったよ」

 

 

「ふーん、言っとくけどお金はもう1ヴァリスも貸さないからね」

 

 

「失敬な!わかっているよ」

 

 

「えー?ほんとかしらね〜?」

 

 

「ボクがそんなことをする神に見えるかい!そりゃあヘファイストスには何度も手を貸してもらったけど、今はおかげで何とかやっていけてる!今のボクが親友の懐を食いあさる真似なんかするもんかっ!」

 

 

「たった今、タダ飯を食いあさっていたじゃない」

 

 

「うっ...いや、これは、どうせ残るんだし...捨てるくらいならボクが有効利用して2人へのお土産にしようかなって...」

 

 

「ほーほー、立派じゃない、そのケチ臭い精神。...その2人ってあなたの眷属のこと?負担ばっかかけてんじゃないでしょうね」

 

 

「なんだとぅ!」

 

 

むしろ2人の事に(特にステイタスに)ボクが頭を抱えることの方が多いんだぞぅ!!...いや...あれ?そういえばトネリコくんに酒場での出来事を話したら頭抱えてたな…。

 

 

「ふふ……相変わらず仲が良いのね」

 

 

と、ヘファイストスの後ろからそんなコツコツと靴を鳴らす音ともに、声が聞こえてきた。

 

 

「え...フ...フレイヤ...!?」

 

 

その女神は、容姿の優れた神達の中でも群を抜いていた。一線を画してしまっていると言ってもいいぐらいに。きめ細かな白いの肌。細長い肢体は見る者を魅惑するような色香を漂わせている。金の刺繡が施されているドレスは胸元が開いており、完璧なプロポーションだ。もはや超越していると形容してもいいほどの美貌。美に魅入られた神、フレイヤが、長い銀髪を揺らしてボクの前までやって来た。

 

 

「な...なんで君がここに...」

 

 

「ああ、すぐそこで会ったのよ。久しぶりー、って話していてね、じゃあ一緒に会場回りましょうかって流れになったの」

 

 

「軽いよ、ヘファイストス......」

 

 

「お邪魔だったかしら、ヘスティア?」

 

 

「そんなことはないけど.......ボクは君が苦手なんだよ...ふぅ...久しぶりだね(・・・・・・)フレイヤ」

 

 

「ええ、久しぶりね(・・・・・)ヘスティア。...うふふ、貴方のそういうところ、私は好きよ?」

 

 

やめてくれよ......思いっきりその話はするなと眼光で訴えてるじゃないか…。

 

 

彼女は、『美の神』と呼ばれる存在だ、神々の中でも特に見目麗しい者達の中の一人だ。基本的に移り気な神達が、涎を垂らして夢中になってしまうほどの力が...『美』が彼等彼女達にはある。下界の者が一目見ればその瞬間より骨の髄から虜になることだろう。だが、『美の神』達は一様に食えない性格をしている。これも他の神々が霞んでしまうくらいに。程度はあるけれど、あまり関わりたくはないというのが本音だ。

 

 

「そういえば、ファミリアを結成したのねヘスティア。遅くなってしまったけどおめでとう」

 

 

「......あぁ実はそうなんだよ、ありがとう。フレイヤ」

 

 

「ええ、貴方達の活躍を陰ながら応援してるわ」

 

 

『豊穣の女主人』での出来事はきっと彼女は知っているだろうし…何も無いことを願うだけだけど、もしベル君やトネリコくんが『美』に堕とされたらやだな。

 

なんて考えていると。

 

 

「おーい! ファーイたーん、フレーイヤー」

 

 

あまり聞きたくない声が聞こえてきた。

 

 

「あら、ロキじゃない」

 

 

微笑むフレイヤから視線を切ってさらに後ろに注目すると、大きく手を振りながら歩み寄ってくる女神がいた。

 

ロキだ。

 

朱色の髪に朱色の瞳いつもは紐で結びまとめてある簡単な髪型を今日はパーティーに合わせてか夜会巻きにしている。細身の黒いドレスを着こなしていた。

 

 

「あ...ドチビもおったんか」

 

 

「...そうだよ」

 

 

どうやら僕の前にいる2人の影でボクが見えなかったらしい。

あんなことがあったため、いつも以上に彼女には会いたくはなかった。が、出会ってしまったものはしょうがない。

 

 

「......なんかロキいつもと違くない?いつもヘスティアと軽口叩き合って言い合いを始めるのに」

 

 

「...ん...まぁ、ちょっとな...」

 

 

「......」

 

 

ボクからは語ることは無い。あとは当事者の問題だからだ。

 

 

「あぁ...そういえば、ロキ、貴方今ちょっと大変らしいわね」

 

 

とフレイヤが、話を切り出す。

 

 

「ギルドからの重たいペナルティに、遠征もイレギュラーのせいで失敗したんでしょう?大丈夫?必要なら力になるわよ?」

 

 

「まぁ...せやな」

 

 

明らかな挑発だった。でもロキは飛びつかない。ほんとにあのロキなのかとこの場にいる神達は目を疑った。

 

 

「私も眷族から聞いたわ。ロキの所が事件を起こすのは珍しいわね」

 

 

と、ヘファイストスが語る。

それはギルドによって、今日の朝に発表されたダンジョンで起こったある事件のこと。それは『ミノタウロスの上層進出』。これが事件の内容だ。

 

【ロキ・ファミリア】が起こしてしまったこの事件の事は既にオラリオ中に広がっていた。

 

 

「その事なんやけどな...ドチビ」

 

 

「......なんだい」

 

 

「すまんかった」

 

 

彼女は再び、ボクに頭下げた。

 

 

「あの後、ギルドに事件の被害者数を調べさせてな…そんで被害者はお前んとこだけやった」

 

 

そして頭を下げたまま、伝えてくる。

 

 

「そうなんだね...良かったよ、死人が出なくて」

 

 

これは、心から思ってることだ。

 

 

「ヘスティア...」

 

 

ヘファイストスが、心配そうな目を向けてくる。けど。

 

 

「事件の話も、ベル君達が...被害者である彼らがどうするかによるだけだ」

 

 

「それにあの時、君たちから既に誠意を示してもらった。だからもうボクに頭を下げる必要はないよ」

 

 

酒場での話はボクの中では既に終わっていると暗に伝える。

 

 

「それでもや...主神としてのけじめをつけるためや」

 

 

「...わかったよ、わかったからもう顔をあげてくれ、君にそうされてると背中がムズムズするんだ」

 

 

「......恩に着るわ」

 

 

ようやくロキは顔をあげた。

 

 

「そうやドチビ、フィンから伝言を頼まれてるんや」

 

 

勇者(ブレイバー)君から?」

 

 

「例の謝罪の日なんやけどな…『怪物祭』の次の日でどうや?やって」

 

 

『怪物祭』の次の日ってことは約4日後か。

 

 

「あぁ構わないぜ」

 

 

「ならフィンにもそう伝えとくわ、ギルドに話は通してあるから、お前の眷属にも伝わってるやろ」

 

 

「そうなのかい?」

 

 

「で...自分今どこに住んでるん?」

 

 

「え...あぁ...いやー」

 

 

「場所がわからんと謝りにも行けへんから聞いてこいって言われてな」

 

 

「ヘスティアなら今~~~~~に住んでるわよ」

 

 

と言い淀んでるボクの代わりにヘファイストスが答えた。

 

 

「アハハハハッ、貧乏神ここにありやなぁ」

 

 

(うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ)

 

 

さっきまでしおらしいと思ったらすぐにこうだ!口をにへらと...いや二マァと擬音がつきそうなほど口を吊り上げて!!!

 

 

「まっ...その日は空けとき、うちも顔出すからな」

 

 

「へっ?君も来るのかい?」

 

 

「当たり前やろ…主神やぞうち。それに自分が最後に言った言葉が気になってな」

 

 

「?」

 

 

「『ベル・クラネルは必ず強くなる』やったか…一目見てみたくなってな…お前がそこまで断言する理由はなんや?」

 

 

ロキが、見たことない人に興味を持つのは珍しいんじゃないか?

 

 

「ええ、私も気になるわね…ヘスティアの眷属ってどんな子なのかしら?」

 

 

まさかフレイヤまで聞いてくるとは...それに周りの神も聞き耳を立てている。答えたくないけど聞かれたからにはしょうがないか。

 

 

「とても...目が離せない子だよ、ちょっとした事でいなくなってしまいそうなね。でも彼には理由ができたからもう大丈夫。ロキ、断言した理由なんてひとつだよ。ボクが主神(おや)だからさ。それ以外あるはずないだろう?」

 

 

「ロキ...ボクがあの時、なぜ怒ったかわかるかい?」

 

 

「......」

 

 

ロキは何も言わないで、ボクの次の言葉を待っている。

 

 

「【ロキ・ファミリア】はね...ベル君にとって憧れ(・・)の1つなんだよ。冒険者という夢を1番体現できてたのが君たちのところだったんだ」

 

 

「そんな夢である存在に、憧れの存在に、自分が否定されるなんてそんな悲しい話は無いだろう」

 

 

「でも彼は、折れずに立ち上がった。その結果、無謀なことをしたけどね。でもボクは信じてた。それだけだよ」

 

 

「...ますます気になってきたわ。で?あの金髪の美少女もそうやろ?あの娘はどうなんや?うちに紹介してぇや。というか教えろ」

 

 

「ええ、私も気になるわね」

 

 

おい、この北欧コンビ息ぴったりじゃないか!というかフレイヤ、君さっきも同じこと言ってただろう!?

 

『何!?金髪美少女だと!?』『ええやんええやん俺大好き』『いいよなー金髪美少女』『きっと可憐だ』『は?黒髪が1番だろうが!?』『あぁ!?』『戦争すっかオラァ』『ちくわ大明神』『誰だ今の』『つか古い』『ぴえん』『古いわ』

 

周りも騒ぎだしたぁ!?助けてくれヘファイストス!と彼女の方を向くが。なになに...が・ん・ば・り・な・さ・い...口パクで伝えてきたぁぁぁぁぁぁ!?

 

神友にすら、見放されてしまった。まぁボクでもこんな状況に自分から関わろうだなんて思わないけどね。

 

でもトネリコくんのことは、また話しが別だ。彼女のことだけは秘密にしたいけど、ここで答えないと『じゃあ見てくるわ』と軽い感じで、ストーキング行為に走るだろう。なんなんだお前らは!神だよ!くそう1人漫才なんて誰得なんだ。

 

なんて答えるべきか...。

 

 

「彼女は...」

 

 

『彼女は...!?』

 

 

「普通の、どこにでもいるような女の子...だよ」

 

 

「............」

 

 

「............」

 

 

『............』

 

 

え、何この空気。ボクはちゃんと答えたぞぉ!

 

 

「まっ、うちはそんとき会えば良いしな…邪魔したなドチビ」

 

 

「...今日は、確認したいことを聞けたし私もこれで失礼するわ」

 

 

『...酒飲み直しだな』

 

 

ええ...結果的にはいい...のかな。

 

 

「ヘスティア...その誤魔化し方は無いでしょう...」

 

 

ヘファイストスが頭を押さえて言う。

だってしょうがないだろう!?彼女のことはボクもほとんどわからないけど、神が知れば…必ず娯楽の対象になってしまう。それだけは阻止しないといけない。そうしないと彼女はきっと壊れてしまう。そんな予感がするんだ。

 

 

「で、ヘスティア、貴方この後どうするの?私はもう少しみんなの顔を見て回ろうかと思うけど、帰る?」

 

 

「へ?」

 

 

「もし残るんだったら、どう?久しぶりに飲みにでもいかない?貴方のファミリアの話、少しは聞かせなさいよ」

 

 

「う、うん......あっ...えっとー...あのねヘファイストス」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「その......頼みたいことがあるんだけど」

 

 

「……」 

 

 

すっ、と左目が細まる。さっきまでの親しみやすい雰囲気から一変して、厳しさに溢れた空気を、彼女は纏った。

 

 

「この期に及んで、また頼み事ですって? あんた、さっき自分が口にしていたことをよーく思い出してみなさい?」

 

 

「えと、何だっけ...?」

 

 

「私の懐は食いあさらないって、そう言ってなかったかしら?」

 

 

「......そうだね。言ってたね…」

 

 

あんなに啖呵切っておいて、またボクは彼女を頼ろうとしている。今度こそ愛想疲れちゃうかな…でもこのためにボクはここに来たんだ!(実はさっきまで忘れていた)

 

 

「......一応聞いておいてあげるわ。な・に・を、私に頼みたいですって?」

 

 

彼女が作った【ヘファイストス・ファミリア】は、この都市に住む冒険者ならば誰もが知る有名な『鍛冶師』のファミリアだ。ブランド、と言ってもいい。だからこそ彼女にしか頼めない。ボクは深く深呼吸をして、大きな声で自分の願望を、言った。

 

 

「ボクのファミリアの子達に、武器を作って欲しいんだ!」

 

 




ロキの口調がいまいちわからない...
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