ダンまち×FGO ~ 許されよ 我らが罪を~   作:はしゅまる

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ガチャラッシュきつい


15話

 

周りからの歓声によって僕は改めて実感する。

 

勝てた...あのシルバーバックに僕は勝ったんだ!

 

 

「やりました!神様!トネリコ!」

 

 

そう言おうと、彼女たちがいるであろう方向を向いた時。地面が揺れ爆発したような音と共に、僕の後ろにそれは現れた。

 

 

『ジャアアアア!』

 

 

蛇のような胴体の先から花が開く。

 

 

「...え...」

 

 

花の中心にある牙が僕に向き、僕を捕食するためその口をいっぱい広げる。その姿はまるで人食花。僕にはその攻撃を逃れる体力はもう無く。ただ貪られるだけだ。

 

人食花の口が僕に近づき食べられると思った時、僕の横を一陣の風が吹く。その瞬間、目の前の人食花はバラバラになっていた。

 

その片手剣を持つ後ろ姿、風になびく美しい金色の髪はとても見覚えがある。僕達を救ってくれた人であり、僕の憧れの人。

 

 

「...おめでとう...強くなったんだね」

 

 

アイズ・ヴァレンシュタインさんは、僕の方を見てそう言ってくれた。

 

 

「あ...ありがとう...ございます」

 

 

「...うん...あのね......」

 

 

ヴァレンシュタインさんが何かを言おうとした時、さらに地響きがなり、先程倒された食人花が今度は三体現れた。

 

 

「......あとは任せて...【目覚めよ(テンペスト)】」

 

 

そう呟いたヴァレンシュタインさんの周りに風が集まり、彼女の体が風を纏う。そこからは圧倒的だった。魔法を発動し踊るように剣と舞う彼女に為す術なく人食花は切り刻まれた。強い...と思ったし綺麗だと思った。あれが【剣姫】...あれぐらい強くなりたい。僕も彼女のように強く...なるんだ。

 

 

「神ヘスティア!?」

 

 

その声が聞こえたと同時に、僕は振り向くとそこには路上に倒れた神様の姿があった。

 

 

「神様っ!?」

 

 

恐ろしい程体が冷える感覚がする。僕はすぐさま神様のもとへ駆け寄って。力なく横たわる体を抱き起こし、何度も神様を呼ぶが返事は返ってこない。閉じられている両目を見てより一層不安になる。

 

 

「ベル、神ヘスティアが休めるところに運びましょう」

 

 

「や...休めるところって」

 

 

休めるところと言っても僕には宛がない。ここの近くは全く来ないから、どこに何があるかわからないし、頭がパニック状態で何も浮かばない。

 

 

「ベルさーん!トネリコさーん!」

 

 

こちらに手を振りながら僕達を呼ぶ声が聞こえた。僕達を呼んだのは。

 

 

「「シルさん!」」

 

 

「女神様を休ませるところを探してるんですよね?だったら豊穣の女主人(うち)はどうでしょうか?」

 

 

「「...そこだ!」」

 

 

そこからは迅速に行動した。

東のメインストリートからは距離があったけど、辿り着き次第ミアさんに、状況をお話してお店の奥で休ませて貰えることになった。(トネリコはなんか怒られていたがすぐ解放された...というか神様と一緒に寝かされた)

 

 

━━━━━━━━━━

ちなみにこの時、アイズ・ヴァレンシュタインはまたベル達に逃げられたと思っている。

 

 

「ロキ」

 

 

「な、なんやアイズたん?」

 

 

「...明日私も行く」

 

 

「明日?ってどチビのとこか!?」

 

 

「行くから」

 

 

「わ...わかった...フィンに言っとくわ...」

 

 

そんな事があるなんて思いもせず、ベルはただヘスティアの容態を案じていた。

 

━━━━━━━━━━

 

 

パタンと扉を閉める音が鳴る。部屋から出てきたシルさんに、僕は慌てて駆け寄った。

 

 

「シルさん...か...神様は?」

 

 

「安心してくださいベルさん。ただの過労です」

 

 

「過労...じゃあ命には?」

 

 

「はい、なんの問題もありませんよ」

 

 

「よ...良かったぁ」

 

 

全身から力が抜ける...。

 

 

「急に倒れちゃったから、すごく心配で」

 

 

「ふふ...お疲れ様です、ベルさん」

 

 

安心して脱力するに僕に微笑むシルさん。

 

 

「今日は本当にすいませんでした。私がお財布を忘れてしまったせいで、とんだ災難に巻き込まれてしまって...」

 

 

「い...いえいえ、そんな。別にシルさんのせいじゃないですよ」

 

 

慌てて僕は否定する、あの事件『モンスター脱出事件』と呼ばれるようになったそれは一体誰が、なんの為に、そんなことを行ったのかは何もわかっていない。他にも暴れていたモンスターがいたらしいけどそのほとんどはヴァレンシュタインさんに討伐されたらしい。

 

それはともかくとして。決してシルさんのせいではないと説明するとシルさんはしばらく申し訳なさそうにしていたが、やがて頰を緩めて口元を和らげてくれた。

 

 

「でも今回の騒ぎで、街のみなさんは口々に言われてましたよ。ベルさんはとても勇敢だったって」

 

 

「え」

 

 

「私もそう思いますよ。実は私...あの大通りでベルさんがモンスターと戦うところを目にしていたんですけど......」

 

 

「そんな勇敢だなんて。僕だけじゃ勝てませんでしたし。それにモンスターにも全然歯が立たなくて...」

 

 

僕だけじゃダメだった。神様がいて、トネリコがいてくれたから僕はシルバーバックに勝てた。運が良かっただけだ。

 

 

「それでも、格好良かったですよ?」

 

 

「え?」

 

 

「...少し不謹慎かもですけど、あの時モンスターへ名乗りを上げて立ち向かっていたベルさんに...私、見惚れちゃってました」 

 

 

そっと近付いてきたシルさんは、手で壁を作りながら、そっと耳元で囁く。その内容とその行動に僕は目を見張る。

 

僕から離れたシルさんの顔は夕日によって朱色に染められていながら、にっこり、そして艶やかに微笑んだ。

 

 

「早くお店の方を手伝えと言われたので、失礼しますね」

 

 

「あ、はい...」

 

 

「ベッドは使って貰って大丈夫ですから。それじゃあベルさん、どうかお大事に」 

 

 

パタパタと廊下を進むシルさんを見送った後、僕は何とも言えない顔で頭をかいた。

 

 

「からかわれちゃったのかな...」 

 

 

シルさんの見せた表情の何を信じていいかわからない僕は、顔が赤くなっているのを自覚していた。

 

 

「随分楽しそうですねー。ベル」

 

 

「......ッ!!??」

 

 

そっと扉を少し開けてこちらを見ているトネリコ。その僕を見る目からは少しの呆れを感じ取る。あまりに気配が無く思わず肩がビクッ!となってしまった。

 

 

「...いえ...違いますね…まずはこちらに来てください」

 

 

トネリコは扉を開き僕を手招きする。

 

 

「もういいの?」

 

 

「神ヘスティアも起きてますよ。まぁ...あんな状態ですけど」

 

 

そう言うので扉をくぐり部屋に入るとそこには...。

 

 

「や...やぁベル君...全員無事で何よりだよ」

 

 

顔面を枕に埋めてあられもない奇天烈なポーズを取っている神様の姿が。

 

 

「え...何をしているんですか神様?」

 

 

「どうやら力が入らないようでして」

 

 

「ち、力が入らないって...あの、過労って聞きましたけど、この三日間の間、何をなさっていたんですか?」

 

 

ふっと神様は遠い目をする。

 

 

「土下座だよ」

 

 

「...ドゲザ?」

 

 

「首を全く縦に振ろうとしない頑固な女神の前で、土下座を三十時間も続けるという耐久レースをしてたのさ」

 

 

「さっ、三十時間って1日以上!?ご、拷問なんですか、そのドゲザって!?」

 

 

「いや土下座は最終奥義なんだよ」

 

 

うわごとのように奥義さ奥義だよ奥義なんだよと呟く神様に、僕とトネリコの頭に?が浮かぶ。けど僕は1つ思い当たることがある。

 

 

「全く貴女という人は...何でそんなことを......」

 

 

「...もしかしてこのためですか?」

 

 

「...まぁそうだね」

 

 

僕は、黒い剣を両手で神様の前に出す。そして片膝を地面につかせる。

 

 

「ありがとうございます神様。おかげで僕はモンスターに勝つことが出来ました」

 

 

「うん...でも勘違いしちゃあいけないよ、ボクは君の背中をちょっと押しただけ。あれはほとんど君の力さ」

 

 

「......はい」

 

 

「よく頑張ったね」

 

 

「はい!」

 

 

「感動的な場面を邪魔するようですが、その剣ってどういったもの何ですか?」

 

 

ヘファイストス・ファミリアのロゴがあるんですけど...。とトネリコが聞いてくる......そういえば。

 

 

「そういえばトネリコくんはいなかったからね、今説明するよ。この剣はね」

 

 

そう言って神様は僕にしてくれた説明をトネリコにもする。

 

 

「なるほど...つまり私が握ってもこの剣の効果は発揮すると?」

 

 

「そういうことだね」

 

 

さすがトネリコ飲み込みが早いな。

 

 

「ベル君、トネリコくん」

 

 

こっちこっちと手招きする神様、呼ばれた僕達はお互いを1度見合ってから神様に寄った。すると神様は僕達を力いっぱい抱きしめた。

 

 

「ボクは神だからダンジョンには潜れない、だから代わりにこの剣をボクだと思って欲しい。ボクの想いを沢山込めたからねきっと加護があるはずさ。この剣を通してボクは君達をずっと見守っている。君達の道を切り開く。そしていつも通りただいまと言って欲しい」

 

 

「「はい」」

 

 

僕達の言葉に呼応するかのように剣に刻まれた神聖文字が紫紺に光る。

 

 

「よし、じゃあ明日は人が来るから早く帰ろうか。君達もたくさん休んでおかないといけないからね」

 

 

「そういえばそう...で...した......」

 

 

「......あっ」

 

 

今日やろうとしていた作業に手をつけていない。朝からあんなアクシデントがあったから当たり前なのだがこれはまずい。

 

 

「ど、どうしよう...トネリコ」

 

 

僕は今とても顔が青くなっている。中が廃墟のままではやっぱり失礼だろうし、今からやるべきか...。

 

 

「......大丈夫...きっとなるようになります」

 

 

トネリコーーーーーーー!?

 

 

「ねぇねぇ2人とも、今思いついたんだけど、今日はみんな頑張ったってことでここで晩ご飯を摂らないかい?疲れた体には美味しいご飯が1番さ!」

 

 

と1人はしゃぐ神様...まぁそうだよね...なるようになるよね(諦め)

 

 

「そうですね。ぱーっとやりましょう」

 

 

「おっ!乗り気だねトネリコくん、さぁさぁベル君も早く立つんだ」

 

 

「はい神様」

 

 

僕は2人の後ろをついていく。きちんと明日を乗り越えるために今から栄養を取っておかなくては!

 

 

その後、所持金すらも素寒貧になった僕達は教会で泣いた。

 

 

 

 

第二章 是は、生きるための戦いである

 




この時アイズは、デスぺレート(剣)で食人花を倒しました
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