スーパー戦隊が大好きなので、デカマスターを目指そうと思います   作:ペペック

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勢いに任せて書いてしまいました……


特撮ファンとゲーマー少女

久我透。

近所のフィットネスクラブのジムトレーナーを勤める彼は、現在自室のパソコン画面に映る少女とテレビ電話をしながら苦笑を浮かべていた。

 

「んで、姉さんにゲームを禁止されちゃったわけか」

 

画面に映る少女は机に突っ伏した状態で明らかに落ち込んでおり、まるでこの世の絶望を直面したかのような目で透を見返してくる。

 

『もう最悪だよ~。次に買う予定のゲームは大手ゲーム会社が新しく発売するって話だから、予約が殺到しているって評判なのに……』

 

「まああれだけゲームしてたら学力が落ちるのも仕方がないと思うぞ? 理沙ちゃん」

 

彼女、白峰理沙は透の姉の娘………つまりは透の姪っ子にあたる。まだ高校生でありながら数多くのゲームに挑戦してきた、その道では有名な筋金入りのゲーマーである。しかしそんなゲーマー根性が災いしてか、ここ最近は学力の伸びが悪くなりかけているそうで、次のテストで好成績を出すまでゲーム禁止と母親から言われてしまったらしい。

 

「ちなみに次はどのゲームに手を出すつもりだったんだい?」

 

『『New World Online』ってタイトルなんだけど、先行無料版を体験したプレイヤーによると自由度がかなり高いゲームなんだって』

 

「ふ~ん」

 

しばらくため息をつくだけの理沙だったが、ふと何かを閃いたかのようにガバリと頭を上げた。

 

『………あ、そうだ! 私がゲーム解禁するまで、試しにおじさんがやってみてよ!』

 

「は?」

 

キラキラした目で言った内容に、透は思わずまの抜けた声を出して固まってしまう。

 

『それでゲームの感想聞かせて!』

 

「い、いや………俺はゲームなんてポ○モンをちょっとかじったくらいで、VR系はおろかMMO自体やったことがないんだが……」

 

『お願~い! お金はこっちで出すし、つまらなかったらやめてもいいから!』

 

両手を合わせて必死に懇願する姪の姿に、透はぐっと言葉がつまってしまう。どうにも昔から理沙に『お願い』されると、断る気になれないのだ、

 

「………しょうがないなあ」

 

『ありがとう~!』

 

ここはかわいい姪っ子の頼み、人肌脱いでやろうと透は肩をすくめる。

 

『じゃあVRMMOの初心者向け使用方法をそっちに送るから、よろしくね!』

 

そう笑顔で言い残すと、理沙はテレビ電話を切るのだった。

 

 

 

「はあ………ついOKしてしまったけど、オンラインゲームなんて出来るかあ?」

 

とはいえ一度引き受けてしまった以上は仕方ない。ひとまず理沙が欲しいと言っていた『NWO』というゲームについて調べるべく、ネットで検索してみる。

 

「えっと『NWO』は……ああこれか」

 

剣と杖を持つ男女のイラストが描かれた、いかにもファンタジーなゲームのパッケージ画面が検索結果に出る。カーソルでイラストをクリックすれば、値段と起動に必要なハードが記載されていた。VRゲームとしてはまあまあな値段だと思われる。

 

「理沙ちゃんは金払うって言ってたけど、やっぱり良い大人が高校生に買ってもらうのもあれだからな……」

 

購入画面の『予約する』をクリックし、いつも使っている宅配サービスで届くように設定する。後は発売日に自宅で受け取れば、すぐに遊べるだろう。とここで理沙からメール通知が来たので開いてみる。

 

 

 

 

『ゲーム初心者の心構え!

一、本名プレイは厳禁!

二、オンラインゲームにおける主なステータスは七つ。HPは体力、MPは魔力、STRは攻撃力、VITは防御力、AGIは素早さ、DEXは器用度、INTは知力。ちなみに知力は魔法攻撃力で、器用度はクリティカル率と素材のドロップ率に左右されるよ!

三、貴重なスキルやアイテムは他言しちゃダメ!

eto………』

 

 

 

「はは………熱意が凄いなあ」

 

理沙のゲームに対する拘りは前から知ってはいたが、今回はわをかけて気合いが入っているように見える

 

(きっと理沙ちゃんにとってのゲームは、俺にとっての『彼ら』みたいなものなんだろうなあ……)

 

一通りメモに目を通してから、透は椅子をクルリと回転させてテレビに向き直る。テレビのリモコンを手に取り画面とレコーダーの電源を入れ、中に入ってあるDVDを再生させる。

 

 

『特捜戦隊、デカレンジャー!!』

 

 

今回透が視聴するのは大人気特撮シリーズ『スーパー戦隊シリーズ』。中でも透が最も大好きな作品である『特捜戦隊デカレンジャー』だ。タイトルコールとナレーションが終わり、スタイリッシュな主題歌が見る者のテンションをあげる。

 

 

 

 

『ざっと数えて百体か………勘を取り戻すにはちょうどいいな』

 

物語の前半部分が終わって後半部分に差し掛かろうした時、青い犬獣人のキャラクターがサングラスを投げ捨てて構えるのを見て透の興奮が最高潮に達する。

 

『エマージェンシー! デカマスター!!』

 

ヒーローのお決まりである変身音と共にスタイリッシュなスチールブルーのスーツ姿となった。

 

『百鬼夜行をぶったぎる、地獄の番犬! デカマスター!!』

 

ヒーローが決め台詞と決めポーズを終えたタイミングを見計らい、透は画面を一時停止してから深く深呼吸する。

 

 

「………やっぱりかっこいいなあ、ボス」




ハイヌーン・ドッグファイトは何回見ても飽きない
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