スーパー戦隊が大好きなので、デカマスターを目指そうと思います   作:ペペック

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特撮ファンと謎の入り口

数日後、クリアミスリルを売ってある程度ゴールドが貯まったクルーガーは、新しい剣とポーションを買えるだけ買ってからまたあの鉱脈に来ていた。

今回の目的はレベリングでも素材採取でもない。『クリアミスリル採掘のための、安全かつ適度な手順』を検証するためだ。

 

この鉱脈はまだ掲示板に情報がないため、他に採掘しに来るプレイヤーがいない穴場だ。採れる素材もレアであり、生産職のニードルのレベリングにもうってつけである。とはいえいつでも自分が護衛として動向できるとは限らないため、彼が余裕を持って行けるように一人でも採掘できる方法がないかをクルーガーは模索しにきたのだ。

 

まず道中のモンスター、状態異常攻撃に特化したカラフルフロッグをいかにして避けて通れるかの検証だ。

この手のゲームによくある、入ったり上ったりできないオブジェクトがどれだけあるのかを調べていきながら、モンスターが出てこない道を探すこと数十分。森の入り口と洞窟を三回ほど往復したのち、ついにクルーガーは確実にカラフルフロッグ達が現れないルートを発見した。かなり遠回りになるし歩きにくいものの、モンスターが出ないのを考えればまあ妥協できる範囲だろう。

 

次に縦穴に入る方法。

クルーガー自身は【跳躍】で難なく入れるが、スキルを持っていないニードルはそうもいかない。何かいい方法はないだろうかとNPCショップを物色していた時、探索向けアイテムのコーナーに置いてあった『鍵縄』が目に止まったのだ。

この『鍵縄』は高所に登る際に使うアイテムで、狙った場所に引っ掛かるかは使用者のDEXに左右されるそうだが、生産職のニードルはDEXが高めなので使用に問題はないはず。思った通り鍵縄は縦穴の端にしっかりと掛かり、ロープを握って壁を登ることができたのだった。

 

そして一番重要なのが、どのくらい採掘するとアラクネ達が出現するかだ。前回来た時は黙々と採取していたが、今回は採取の回数と素材の個数をそれぞれ数えていく

 

 

 

『キュアアアアアアア!!』

 

 

 

クルーガーはアラクネの咆哮が上がったのを確認してから回数をメモし、洞窟からジャンプしてログアウトし町に戻る。これを何度か繰り返し、ついにクリアミスリル採掘の法則を導きだした。

 

「なるほど、だいたいこのあたりが限界みたいだな」

 

 

 

 

今回の周回でクルーガーはついでにカラフルフロッグの塗料も入手し、さらには【採掘】がⅡに、【毒耐性】【炎上耐性】が大に、【麻痺耐性】【氷結耐性】【睡眠耐性】が中に進化した。あの時よりもレベルが上がり、新しいスキルも手に入ったために余裕を持って戦えたのが功を奏したのだろう。

 

 

「さて、そろそろログアウトするか」

 

洞窟から出て空を見れば、外はすでに夜の時間帯になり月が辺りを照らしている。何気にNWO内で初めて夜を迎えたクルーガーは周囲を見渡す。辺りには昼間は見かけなかった光る虫のモンスターが飛び交っており、沼や木々が鮮やかに光って幻想的な光景が広がっている。おそらく夜にしか現れないモンスターや夜にだけ活動する植物なのだろう。ほう…とため息をついてその美しさに見惚れていたクルーガーだったが、

 

「ん?」

 

ふと洞窟の横に目をやると、草むらの一部が水色に光っているのに気づいた。

なんとなく気になってその部分を掻き分けてみると、その向こうには細い獣道があった。草むらで隠されていたせいでパッと見は気づけないだろうその道は、水色に光りつつ一本道で奥に続いている。興味本位からクルーガーはしばらくそこを道なりに歩いていくと、背の高い草が彼の行く手を阻むように生い茂っている。草は破壊可能なようで片手剣で難なくなぎ払えば、クルーガーの眼前に石造りの古びた遺跡のような建物が現れた。

 

 

「………!」

 

 

荘厳さに圧倒されながらもクルーガーは敷居に足を踏み入れ、建物をより細かく観察していく。石造りの遺跡は経年劣化のせいか表面には皹が入り蔦が絡まっており、一部分に至っては崩れて瓦礫の山になってしまっていた。その遺跡の入り口と思われる正面の左右には、鳥の頭を持つ人間の石像と首のない人間の石像が、剣と杖を手に神社の狛犬のように向かい合って佇んでいる。だがよくよく見ると首のない石像の足元には犬の頭の形をした石が転がっており、おそらく犬頭の人間の石像だったと思われる。

 

「?」

 

しかしクルーガーはここであることに気づいた。瓦礫となった犬の頭の下から、ここに至るまでに見た獣道の光と同じ水色の光が漏れていたことに。おそるおそる像の像に近づき、犬の首をそっと持ち上げて瓦礫をどかせば、その下から地下に繋がる階段が現れたのだ。

 

「これは………ダンジョンの入り口か?」

 

クルーガーはランプで照らしてみるも、階段の奥は暗くて何も見えない。掲示板にはこの湿地帯エリアに、『シルクスパイダーの洞窟』以外のダンジョンがあるという話は聞いたことがない。状況から考えるに、おそらく隠しダンジョンというやつなのだろう。

 

「ん~……今日はやめておくか」

 

個人的には入ってみたい気持ちのクルーガーだったが、今日は三時間もゲームして疲れている。それにアラクネのような厄介なモンスターが大量に出る可能性も高かったので、あまり危険な行動は避けたかったのだ。幸い今回の周回でクリアミスリルを大量に採掘したので、ゴールドはたんまりとある。これらで装備を整えてから、後日改めて挑戦してみようと決意する。

 

一度ここに通じる道なりを確認してから、クルーガーはログアウトしたのだった。

 




防振り二次創作チュートリアル、オリジナルダンジョンの発見・探索です。
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