スーパー戦隊が大好きなので、デカマスターを目指そうと思います   作:ペペック

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魔法戦士と炎の修行

クルーガーのおかげでゴールドが貯まったブレイズは、まずスキルショップに立ちよった。ズラリと並んだスキルの巻物の内、彼が物色するのは魔法系スキルのコーナー、その中から一つを選び購入する。

 

「ついに買えた……」

 

今回ブレイズが購入したのは魔法の基本スキルである【火魔法】である。【魔法戦士】の効果で魔法は一種類しか選べないが、ブレイズとしては炎の戦士ウルザードファイヤーを意識しているので大したデメリットにはならない。

 

早速巻物を開けば文字が輝き羊皮紙が光となって消えていく。

 

 

『スキル【火魔法Ⅰ】を取得しました』

 

 

 

 

ブレイズ

 

Lv20

HP 35/35

MP 660/660

 

【STR 30〈+15〉】

【VIT 30〈+10〉】

【AGI 30】

【DEX 0】

【INT 30】

 

装備

頭 【空欄】

身体 【空欄】

右手 【初心者の片手剣】

左手 【鉄の盾】

足 【空欄】

靴 【空欄】

 

装飾品

【空欄】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

【魔法戦士】【火魔法Ⅰ】

 

 

 

ステータスを確認してから、ブレイズは一度だけ深呼吸する。

 

「んじゃ早速……」

 

取得したスキルの効果を試すべく、手始めに南の休火山地帯に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いていけば、草原が広がっていた景色がゴツゴツとした黒い岩肌へと変わっていく。まず手頃なモンスターがいないかと周囲を見渡して見れば、石の塊が動いているのを発見する。

 

(いた……!)

 

この辺りでは弱い部類に入るモンスター、ロックリザードだ。手始めにこのモンスターを倒してみようと、ブレイズは十分な距離をとってから魔法を放つ。

 

「【ファイヤーボール】!」

 

剣の先から炎弾が放たれ、ロックリザードは真っ赤な炎に包まれてから消えていく。そこまで強くなかったおかげか一撃で倒せた。

 

「あ~……だいぶ減っているな」

 

MPを見れば確かに、掲示板に記載されていた【ファイヤーボール】の消費量に対し、ブレイズのは多めに消費されている。しかしブレイズのMPは剣士職としてはかなり多いので、一般的な剣士職に比べて消費率そのものはそんなに高くはない。そんなことを知らない彼はほかにも倒せるモンスターがいないかどうか探索していると、死角である後頭部に突如熱が当たる。

 

「あっづ!?」

 

後頭部を擦りながら慌てて振り返ってみれば、岩影から真っ赤な体色のスライムが顔を覗かせていた。炎属性に特化したモンスター、ファイヤースライムだ。

スライム自体の攻撃力はそんなに高くはないものの、このファイヤースライムは状態異常の炎上をかけてくる面倒な部類のモンスターである。スライムの赤い身体がブレイズに当たるたびに、ジリジリと炙られるような痛みを感じる。

 

「まずいっ、戦略的撤退!」

 

ブレイズはゲームを初めてからHPにポイントを振っていないため、最大値は初期値のままだ。炎上の継続ダメージでドンドンHPが減っていくのに焦り、ひとまずその場から逃げだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ……」

 

ようやく休火山地帯から脱出したブレイズは、どうやら走っている間に時間が経過していたらしく、炎上状態はすでに解除されていた。

 

「まさか炎攻撃でダメージを受けるとは……」

 

【魔法戦士】の効果で【VIT】が高めなおかげかそこまでダメージがないが、ウルザードファイヤーに憧れる彼としてはなんだか悔しかった。

 

ここでブレイズの中で一つの目標ができる。

 

「よし、次は【炎上耐性】を取得してやる!」

 

そこに深い意味はなかった。

強いて言えば、好きなヒーローに少しでも近づきたかっただけである。

 

 

 

 

 

 

 

一度町に戻ってから残りのゴールドを使いきり【炎上耐性・小】を取得し、ブレイズは再度ファイヤースライムに挑戦する。スライムの核を剣で斬ろうとするも、体内で核が動き続けてなかなか倒せない。実はこのファイヤースライムは剣などで攻撃する際、ほかのスライムに比べて核の当たり判定がかなり厳しく、弱いくせに無駄に倒しづらいモンスターと評判なのだ。少なくとも【DEX】0のブレイズではなかなか削れない。

 

「だあああああああ! もうめんどくさい!!」

 

倒しても倒しても次々に湧いてくるスライムにいい加減苛立ってきたブレイズは、もうヤケになって魔法を放った。

 

「【ファイヤーボール】! 【ファイヤーボール】! 【ファイヤーボール】! 【ファイヤーボール】!」

 

【ファイヤーボール】は炎属性のモンスターにはあまり効果がないのだが、もう知ったことではないとブレイズはMPギリギリまで広範囲に【ファイヤーボール】を乱れ打つ。しばらくしてからやっと視界にいたスライムが全て消えた。

 

 

『スキル【炎上耐性・小】が【炎上耐性・中】に進化しました』

 

『スキル【貰い火】を取得しました』

 

 

「え?」

 

【炎上耐性】の進化に続き、何か新しいスキルを取得したという通知が入り、ブレイズはステータスを開いて調べてみる。

 

 

【貰い火】

魔法でダメージを与えた際、HPが10%回復する。

取得条件

【火魔法】のみを取得した状態で、炎属性のモンスターを規定数【火魔法】で倒す。

 

 

「つまり魔法で攻撃すれば、HPが少しだけ回復するってことか?」

 

これは回復魔法を使えないブレイズとしてはありがたいスキルだ。ただヤケクソで魔法を連発しただけだったのだが、思わぬ掘り出し物をしたと喜び、スライムからドロップされた素材を広う。ブレイズは何気なくファイヤースライムが集まっていた付近に視線を向けると、二つの赤い大きな岩を発見する。

 

「ん?」

 

よくよく見れば二つの岩には大きな裂け目があり、僅かに火の粉が漏れでている。ゆっくりと近づいてその裂け目を覗きこんでみると、真っ赤に熱せられた石の階段がチラリと見える。ブレイズがおそるおそる岩に手をかけてどかそうとすると、岩の温度はかなり熱いようで僅かにダメージが入る。それでもなんとか岩を動かせば、ブレイズの前に地下へと続く赤い階段が現れた。

奥から熱風が吹き荒れ、壁一面の岩が熱で赤く光るそこは見ているだけで熱そうだが、どう見てもダンジョンへ続く道にほかならない。しかしこの辺りにダンジョンがあるという話は聞いたことがない、ということは未発見のダンジョンだろうか?

 

「まさか………!」

 

そう思い至った瞬間、先日クルーガーが話していたユニークシリーズのことがブレイズの脳裏を過る。もしかしたら、この階段の先にユニークシリーズが!?

 

(お、落ち着け………何もウルザードそっくりな装備とは限らないだろう)

 

ドクンドクンと早鐘を打つ心臓を抑えるように、一度深呼吸する。しかし仮に全然違うデザインの装備だとしても、ユニークシリーズを手に入れられれば今後のゲームの攻略が有利になるのは間違いない。

 

「………ひとまず、今日は出直そう」

 

まだスキルが数個しかない今の状態では、初見攻略は無理だろうとブレイズは判断した。念の為、他のプレイヤーが見つけないように岩を元の位置に戻してから、ブレイズは一度町に戻ることにしたのだった。

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