スーパー戦隊が大好きなので、デカマスターを目指そうと思います 作:ペペック
別の地点ではフェザーが掲示板を確認しながらある森を散策していた。掲示板によるとこの先の小さな森でクエストが発生し、そこではAGIを強化できるスキル【超加速】を取得できるらしいとのことだ。
フェザー
Lv20
HP 35/35
MP 20/20
【STR 50〈+15〉】
【VIT 0】
【AGI 100】
【DEX 0】
【INT 0】
残り10
装備
頭 【空欄】
身体 【空欄】
右手 【初心者の片手剣】
左手 【空欄】
足 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品
【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
【電光石火】
取得条件は【AGI 70】以上。AGIが100を超えているフェザーならば取れると判断し、今回訪れたのだった。
「え~と……あ、ここか?」
森の奥まで進んでみれば、小川のそばに建つ水車つきのログハウスが見えてきた。小さな畑と薪割りという特徴的な風景からこの場所で間違いないだろう。
「よし………」
フェザーにとってはゲーム内初のクエスト、なるべく一回で済ませたいと願いながらログハウスの扉を叩くのだった。
老人NPCとのイベントを終え、早速フェザーは泉に向けて走っていた。道中モンスターが何体も襲いかかってはきたが、フェザーは余裕でそれらを躱して先を急ぐ。
タイムリミットは一時間だったのだが、フェザーはなんと往復30分でログハウスに到着してしまった。
「なんだ、思ってたより簡単だったな」
掲示板を見る限りかなり難しいと聞いていたが、そんなに苦労したという感覚がなかったことに内心で拍子抜けする。フェザーは余裕で攻略したが、これは彼のAGIが【電光石火】の効果で実質200を超えていたからこそできた芸当であるのだが、本人はそんなことを知るよしもない。
「お待たせしました」
扉を開けてあとは老人に【魔力水】を渡せば【超加速】が手に入る。そのはずだった。
「!?」
入るや否や、老人はフェザーを見て驚いたように立ち上がったのだ。
「お前さん、もう戻ってきたのか!?」
「え? はい」
ずかずかと早歩きでフェザーに近づく老人は、信じられないと言わんばかりに彼の身体を頭の天辺から爪先まで凝視しだす。掲示板ではこんなやり取りはなかったはずだ。何か手順を間違えただろうかと不安になるフェザーをよそに、老人は顎に手を当てて何やら考えこむ仕草をしだす。
「………ちょっと待ちなさい」
「?」
するとチラリとテーブルの上に置かれた砂時計を見てから、老人はログハウスの奥へと行ってしまう。数秒ほど時間がたち戻ってくれば、老人は左右の手にそれぞれ丸めた巻物と羊皮紙を持っている。
「お前さんならば、もしかしたらこのスキルを扱えるかもしれない」
そう言うとまず右手の巻物をフェザーに渡す。
「これが【超加速】………?」
戸惑いながらも巻物を受けとるのを見届けてから、老人は今度は羊皮紙をテーブルの上に広げ始める。それはNWOのゲーム内の地図で、彼はその中の赤い印が記されたある部分を指差す。
「この場所に行ってみよ。さすればお主にさらなる力が授かるかもしれぬ」
「ええ……?」
真剣な表情を浮かべる老人に戸惑いながらも、フェザーはまず巻物を広げてスキルを確認してみる。
【賢神】
片手にボウガンを装備できるようになる、片手剣使い専用スキル。与ダメージが10%減少する。
命中率はDEX依存。
取得条件
専用のクエストを規定時間以内に成功させる。
「【賢神】? これって……」
てっきり【超加速】を得られるのかと思っていれば、全く知らないスキルを手に入れてしまったらしい。
「え? あの………【超加速】は?」
「健闘を祈る」
「【超加速】……」
「健闘を祈る」
同じ言葉しか喋らないということは、クエストはここで終わりらしい。仕方ないのでフェザーはその地図をじっと眺めてみると、それは町から北西に位置する切り立った崖が多いエリアの全体図だった。確かここは濃い霧が漂うせいで視界が悪いうえに、崖から転落すれば即死判定してしまうためにこのゲームの中でもかなり危険と評判だったはず。探索する場合は【跳躍】を必ず取得しておかなければならないとも聞くほどだ。
「ここに何かあるのか………?」
ひとまず入手した巻物を広げてスキルを取得してみることにした。
『スキル【賢神】を取得しました』
ログハウスを後にしたフェザーは一度町に戻ってきた。【賢神】の効果を試してみるために、所持金ギリギリの値段のボウガンを一つ購入してみる。
「本当に装備できるのか……?」
NWOの仕様では武器は最初に選んだ種類のものしか装備できない。ましてやフェザーの初期装備は片手剣、遠距離攻撃特化型のボウガンとは全く正反対の武器である。不安になりながらも一度森に出てから、インベントリのボウガンを装備してみる。
「! できた……!」
なんと本当に片手でボウガンを装備できたのだ。右手にボウガン、左手に片手剣という近距離・遠距離両方が可能になったことにフェザーは少しだけ感動する。
「キュイイイイイイイ!」
とそこへフォレストクインビーが飛び出してきた。
「あ、いいタイミング」
試しにボウガンを射ってみるが、フォレストクインビーの動きが素早いせいか矢はなかなか当たらない。
「そういえば命中率はDEXに反映されるんだったな……」
やむなくフェザーは一度攻撃を止めてみる。接近する際に放たれる毒をギリギリで躱しつつ、フォレストクインビーを敢えて懐に誘い込んでみたのだ。突進攻撃で距離が数㎝に迫った瞬間、フェザーはギリギリで躱してからその頭に向けて矢を射った。
頭を狙ったおかげかクリティカル判定が出されたものの、フォレストクインビーは一回では死ななかった。
「なるほど、確かにSTRが下がっているな」
もう一度同じ方法で頭を狙えば今度は倒せた。
これを受けてフェザーは【電光石火】の効果でどれに振るべきか悩んでいた残りのポイントを、全てDEXに振ることに決めたのだった。
「しかし【賢神】か……」
フェザーがその言葉で連想するのは彼が好きなキャラクター『賢神トリン』だが、果たしてこれは偶然なのだろうか?
となるとあの老人が見せてくれた地図も気になる。
「もしかして、ありえるのか……?」
以前クルーガーが取得した【アヌビス】のことを思い出して少しだけ期待しつつも、フェザーはまず崖の探索に必要になりそうなスキルやアイテムを準備しなければならないと判断する。
願わくばトリンに関する要素を発見したいと、彼はレベリングとゴールド稼ぎのために再び森の奥へと進むのだった。
ボウガンは捏造です。