スーパー戦隊が大好きなので、デカマスターを目指そうと思います   作:ペペック

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アニメ版運営さん、確か青色が玄田さんだったと思うけど、それ以外が何色が誰の声だったのかわからない……;


特撮ファンと運営

クルーガーが【物理特化】を取得したのと同じ頃、『NWO』運営ルームでは絶叫が鳴り響いていた。

 

「うわあああああああああ!?」

 

「どうした! バグが見つかったか!?」

 

二頭身のぬいぐるみのような姿のアバターをしたゲームスタッフ達の内、青色の模様で野太い声の男に居合わせたメンバーが振り向く。

 

「あ………ああ……嘘だ……こんなこと……」

 

子供のラクガキのような顔からは感情は読み取れないものの、声や身振り手振りから彼が絶望の表情をしているのは同僚達も理解できた。そして続けて彼が発した言葉に一同は驚愕することとなる。

 

「【物理特化】を取得したやつが出たああああああ!!」

 

『………はあああああああ!?』

 

スキル【物理特化】は、ステータスを決められた数値に設定した上でモンスターを一日の内に百体倒すことで取得出来る、いわば『運営の悪ふざけ』の一つだ。ただこれの取得通知がゲーム発売日からだいぶ月日が経っていたのであれば、彼らはここまで驚くことはなかったことだろう。

 

「ちょっと待て! まだ発売日当日だぞ!? 一番レベルの高いペインでもやっと10を越えたばかりだってのに!!」

 

問題はこの通知が来たのが、発売日である今日だったことだ。プレイヤースキルの高い熟練ゲーマー達は一日の内にレベルを上げてはいるものの、それはあくまで経験値が多いモンスターを倒したからこそ得られたものだ。MMO界枠でも有名なゲーマーのペインでさえ、発売日の内に倒したモンスターの数はそこまでではない。

 

「まさか不正改造か!?」

 

考えられるのはそれしかない。まだ発売当日ならば運営の目を盗んで初期装備を改造し、ありえないステータス数値にした上でモンスターを倒したのならば不可能ではないだろう。これはすぐさま犯人を探しだし、アカウント凍結措置をしなくてはならない。

 

「誰が取った!?」

 

「今映像出します!」

 

慌てて中空にモニターを表示すれば、そこには片手剣を装備した青年のプレイヤーが写し出される。

 

「こいつか。早速凍結措置を………」

 

「……え? ちょっと待て!」

 

ところがここでオレンジ色の模様の男が一同を静止しだす。

 

「今度はなんだ!?」

 

「こいつ、不正改造なんてしてないぞ!?」

 

『はあ!?』

 

オレンジがプレイヤーのステータスやデータを同僚達にも見えるように映し、一同はそれら一つ一つを余すことなく確認する。確かに初期装備の片手剣の補正値は『+15』のままだし、ステータス数値もゲーム開始時に配布される100とレベルに対する数値分しかない。念のためプレイヤーのスキルやインベントリ内部も調べてはみたが、特に怪しい改造をした部分は見られない。

 

「名前は『クルーガー』。初期装備は片手剣で、INTとMPにはポイントを振らず、HP・STR・VIT・AGI・DEXにのみ均一にステータスを振っている」

 

「ステータスだけなら【物理特化】取得のための条件は満たしているな………」

 

実際このスキルはINTかMPに僅かでもポイントが入っているか、四つのステータスの数値に僅かでも誤差があれば絶対に取得できない。しかもクルーガーの場合は初期ステータスが全て20というかなり器用貧乏な数値になっているため、もう一つの条件である一日の内にモンスターを百体倒すには心もとないはずだ。

 

「ならスキルを取得した瞬間を映像に出せ!」

 

「了解!」

 

だとすればモンスターを倒す瞬間になんらかのクラッキングを行ったのかもしれない。急いで彼がスキル取得する前後の映像を調べてみれば、そこには信じられないものが映っていた。

 

『…………え?』

 

それはおびただしい数のウサギに囲まれた状態で、がむしゃらに剣を振るうクルーガーの姿だった。

 

「………おい、アレって確か」

 

「『俺達の悪ふざけ』の一つ、『アルミラージの群れ』です!!」

 

アルミラージとはリンゴウサギの姿をしたモンスターの名前で、このゲームで最も弱い初心者向けのモンスターだ。しかしこの『アルミラージの群れ』は、およそ50から60までのアルミラージが一斉に襲いかかってくる特殊なエリアであり、最弱モンスターが数の暴力で迫ってくる上に、このアルミラージ達はある程度時間が経つと森から追加で集まってくるという、序盤のプレイヤーからすれば鬼畜な仕様となっている。

 

「まさか………ここのアルミラージ達を全部倒して条件を満たしたのか!?」

 

「いや不可能だろ! いくらなんでも絶対途中でバテるって!!」

 

ではここで不正改造による範囲攻撃を行ったのかもしれない。そう思って身構えていた一同だったが………

 

 

 

「………嘘だろ。全部剣一本で倒しやがった」

 

なんとクルーガーは攻撃系スキルすら使わずに、およそ六時間かけてアルミラージ達を全滅させてしまったのだ。

何度か木の上に飛び乗り、休憩・ポイントの振り分けなどを行ってはいたようだが、それでもログアウトせずに六時間ぶっ続けでモンスターと戦い続けて勝利した。

 

「………ステータスや与ダメージに異常は?」

 

「一切無かったよ………せいぜいDEXの効果でクリティカルが何回かあったくらい」

 

検証の結果、『不正は何一つ見受けられない』と出た。つまりクルーガーは単純に、自身のプレイヤースキルとスタミナのみであの数のアルミラージ相手に戦い続けたわけだ。

 

「やべえ………やべえよコイツ………絶対ペインやドレッドの同類だろ……」

 

クルーガーの異常なまでのスタミナに、運営サイドは驚愕を通り越して引いてしまっている。これはとんでもないダークホースがいたものだ。

 

「おい! しかもコイツ、【物理特化】の効果でINT以外が実質50超えているぞ!!」

 

「うっそだろおい!?」

 

クルーガーのレベルがまだ10であることを踏まえると、同じレベルのプレイヤーのステータスの内二つが10を下回っていなければありえない数値だ。こんなPSお化けのステータスが四つも50越えなど、普通のプレイじゃまずありえない。

 

「最悪だ………発売初日からとんでもない化け物が出現した……」

 

「次のメンテナンスでは、『アルミラージの群れ』は消したほうが良さそうだな……」

 

頭を抱える一同。だがその中で、白い鳥の翼を生やした女性スタッフだけがクルーガーを見つめていた。

 

「クルーガー……ボス……百人斬り?」

 

ウンウン唸る同僚達は気づかなかったが、彼女はクルーガーが発した呟きを偶然耳にしていたのだ。

 

「もしかして、あの人………」




アニメ版女性声優の運営さんて、リアルでも女性とボイスチェンジャーで高い声にした男性のどっちなんだろう?
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