スーパー戦隊が大好きなので、デカマスターを目指そうと思います   作:ペペック

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忍び足の取得条件とフォレストクインビーの巣穴捏造です。


特撮ファンとレアアイテム

翌日、ゲームにログインしたクルーガーは更なるレベリングのために森の中を散策していた。

 

「キュルルルル!!」

 

「こっちだ!」

 

現在彼が相手にしているのは、この森に生息するモンスターであるフォレストクインビーやオオムカデなどが数十体だ。普通ならレベル10が相手取るには荷が重い数だが、【物理特化】のおかげでAGIが常に50越えのクルーガーはそれらの攻撃を紙一重で躱す。

 

「うおおおおおお!!」

 

剣でモンスター達に攻撃すればHPの四割が削られるも、クルーガーはそのダメージ量を見て不満そうに顔を歪める。

 

(………やっぱり一撃で倒すには、まだまだレベルが足りないか)

 

クルーガーが目指すのは、『デカマスター』の名シーンの一つである『百人斬り』である。なので出来ることならば、一撃で弱い敵を倒せるくらいには強くなりたいのが彼の願望だ。そのためにはレベルを上げてステータスを上げていかなければならず、彼はひたすらストイックにモンスターとの戦いを続けるほかない。

 

 

『レベルが14に上がりました』

 

 

最後のフォレストクインビーを倒したところでレベルアップの通知が鳴り、すかさずクルーガーはポイントを振っていく。そして腕を組んでしばし考える。

 

「………やっぱり、あの蜂が一番経験値が多そうだな」

 

ここまでクルーガーが何度も森のモンスターと戦っていたのは、単純なレベリングのみではなく『最も経験値が多く取れるモンスター』を見極めるためだっだ。そして倒した際に取得した経験値の数値をモンスターごとに比べてみた結果、フォレストクインビーが一番多いことに気づいたのだ。

 

「昨日のリンゴウサギの群れみたいに、あいつらが多くいるポイントとかってあったりしないか?」

 

そう上手い話が何度もないだろうなと思いつつ、クルーガーは今後の狙いをフォレストクインビーに絞り、辺りを散策し始める。そんな彼の願望が叶ったのかどうかわからないが、彼の耳に蟲の羽音が聞こえてきた。

 

「!」

 

それに気付いたクルーガーは、今度は息を潜めて音の出所を探しだす。見れば木々の上を一体のフォレストクインビーがゆっくりと飛んでいる姿があり、こちらには気付いていないようだった。それを見つけたクルーガーはなるべく物音を立てないように近くの木の枝にジャンプする。

 

(もしかしたら、蜂の巣穴を見つけられるかもしれないな)

 

クルーガーは見失わないようになるべく視線をフォレストクインビーに固定しつつ、気付かれないよう静かに木々に飛び移りながら移動する。なぜ木から移動するかというと、地上から追いかけたのであれば途中で別のモンスターに出くわしてしまい、フォレストクインビーを見失う可能性が高かったからだ。そして彼の判断に間違いはなく、地上ではモンスター達がその辺を走っている姿が横目に見える。そうやって付かず離れずを繰り返して数十分。

 

 

『スキル【忍び足Ⅰ】を取得しました』

 

 

(ん、新スキルか?)

 

新しいスキルの取得通知が来たものの、クルーガーはフォレストクインビーの尾行に集中しなければならなかったため、ひとまずスキルの確認は後回しにする。そこからさらに尾行を続けていくと、進行方向に岩壁が現れフォレストクインビーは岩肌にポッカリと空いた洞窟の中に入っていった。

 

「ここか………」

 

見たところはどこにでもありそうな洞窟、しかしクルーガーには確信があった。この穴こそがフォレストクインビーの巣穴に違いないと。その証拠に数秒の間隔を開けた後にフォレストクインビーが一体出てきたのだ。

 

「蜂がモチーフのモンスターだとするなら、巣穴の近くで暴れたら仲間を呼ばれるかもしれないな……」

 

クルーガーはテレビで見た雀蜂の襲撃を思いだしつつ、フォレストクインビーが主にどの方向に行くのか観察していく。

 

 

 

何回か出入りを繰り返すのを見届けてから、クルーガーは巣穴からギリギリ離れていてなおかつ必ず通るルートを探りだすことに成功する。

 

「よし………行くか!」

 

剣を構えてそのルートに沿って走れば、たった今出てきたばかりのフォレストクインビーに追い付いた。

 

「キュイイイイイイ!!」

 

フォレストクインビーもクルーガーの接近に気づいたようで、素早い動きで彼の背後を取ろうとする。

 

「おっと、その手には乗らないぞ!」

 

しかしクルーガーもこの森に来てからフォレストクインビーと何度も戦ったおかげで、その攻撃パターンはすでに覚えている。振り向きざまにその首目掛けて剣を振るえばダメージエフェクトが出る。

 

「………あれ、ダメージが多い?」

 

しかしここでクルーガーは、フォレストクインビーのHPが先ほどの倍の量減っていることに気付く。

 

「あ、そうか。『クリティカル』か」

 

戦闘においてはモンスターの急所を攻撃した際にクリティカル補正が入ることがあり、DEXが高ければそのクリティカルを発生させやすくなる。しかもクルーガーは【物理特化】の効果でSTRとDEXが50を超えているため、首などの急所付近を攻撃すれば高い確率でクリティカルを出しやすくなっているのだ。

 

「よし、それじゃ遠慮なく!」

 

クルーガーは再びフォレストクインビーの首付近を攻撃し、またもクリティカルを出して大ダメージを与える。三撃目でHPがゼロになったフォレストクインビーはそのままポリゴンになって消えたが、そのポリゴンから小さな何かが地面に落ちた。

 

「?」

 

膝をついてよく見れば、それは銀色の指輪だった。

 

「これは………ドロップアイテムってやつか?」

 

指輪を拾ったクルーガーはその詳細を確認してみる。

 

 

 

フォレストクインビーの指輪【レア】

【VIT +6】

自動回復:十分で最大HPの一割回復。

 

 

「レアアイテム! しかも自動回復効果付きか! これは助かるな」

 

未だ所持金が3000Gしかないクルーガーにはポーションを買う余裕はないため、自動回復はありがたい効果だ。

そうこうしている内に上空から別のフォレストクインビーが飛びかかってくる。

 

「キュイイイイイイ!!」

 

「ナイスタイミング!」

 

しかしクルーガーからすれば鴨が葱を背負って歩いてくるようなもので、すかさずその個体にも三連クリティカルを与えて倒す。

倒せば次の個体、また倒せば次の個体と、計17体のフォレストクインビーをクリティカルで倒した時だった。

 

 

『レベルが20に上がりました』

『スキル【剣豪】を取得しました』

『スキル【頑強】を取得しました』

 

 

「あ、また新しいスキルか」

 

再びスキル取得通知がかかり、クルーガーはここで一度モンスターと戦うのを中断するべくその場から逃げた。

 

 

 

 

 

 

ほどなく弱いモンスターしかいないエリアまでたどり着くと、安全な木の上に乗って取得したスキルを確認してみる。

 

【忍び足Ⅰ】

モンスターに接近する際に気付かれにくくなる。

取得条件

一定時間、モンスターに気付かれずに一定の距離を保つ。

 

【剣豪】

繰り出す攻撃の全てにクリティカルが発生する片手剣使い専用スキル。補正ダメージはDEX依存。

取得条件

一日の内にクリティカルを50回連続で出す。

 

【頑強】

MPを10消費することでどんな攻撃にもHP1で耐える。MPにポイントを振れなくなる。

取得条件

ゲームを開始してからMPに一度もポイントを振らず、レベル20までにHPが500を超え、魔法・MPに関するスキルを一切取得せず、かつ攻撃の際にスキルを使わない。

 

 

「おー! なかなか良いスキルが取れたじゃないか!」

 

クルーガーは素直に喜んではいるが、実は【忍び足】以外のこれらのスキルは取得条件がかなり難しいのである。

 

まず【剣豪】は50回連続でクリティカルを出すことが条件なのだが、この時点で普通のプレイヤーにはまず不可能だ。基本的に剣士や大盾使いなどの戦士職にとって、DEXは一部の素材を採掘・採取するのに必要なだけで、基本的には10か20くらいしか振らないし、そもそも大ダメージを与えたいなら運が絡むクリティカルよりも安定して高い攻撃力を出せるSTRに多く振ったほうが無難である。彼がこの条件をクリア出来たのは、【物理特化】の効果で50を超えたDEXと彼が常に相手の急所を的確に狙い続けられたのが大きい。

 

次に【頑強】は20レベル以内に条件を全てを満たさなければならないのがポイントである。『MPにポイントを振らない』『HPが500を超える』『魔法とMPに関するスキルを取得しない』は、一般の戦士職でもギリギリ満たせただろうが、問題は『攻撃の際にスキルを使わない』が極めて厳しいのだ。20レベルに至るには当然強いモンスターを倒さなければいけない、そのためには強いスキルを使用しなければならない以上、20レベル以内で攻撃系スキルを一切使用せずに戦うのはまず無理だ。対するクルーガーはまだ初めてから二日目であるため、攻撃系スキルは取得していない。前日にアルミラージ百体を倒して一日の内にレベル10になったこともあり、今日一日は経験値の多いモンスターに狙いを絞り、剣一本とスタミナとクリティカル補正のみで一気に20レベルに到達したのだ。

 

「いや~、今日は大収穫だったな。レアアイテムが結構取れたし」

 

クルーガーの右手に握られているのは【フォレストクインビーの指輪】が5個。17体も倒したことでレアアイテムが5個もドロップされていたのだ。その内の三つをグローブの下の指に嵌めてから、クルーガーはレベルアップによって増えたステータスポイントを振ってから自身のステータスを確認する。

 

 

 

 

 

 

クルーガー

Lv20

HP 675/675

MP 20/20

 

【STR 32〈+15〉】

【VIT 32〈+18〉】

【AGI 32】

【DEX 32】

【INT ×】

 

装備

 

頭 【空欄】

身体 【空欄】

右手 【初心者の片手剣】

左手 【空欄

足 【空欄】

靴 【空欄】

 

装飾品

【フォレストクインビーの指輪】

【フォレストクインビーの指輪】

【フォレストクインビーの指輪】

 

 

 

スキル

 

【跳躍Ⅰ】【物理特化】【忍び足Ⅰ】【剣豪】【頑強】

 

 

 

 

「さて、今日はこの辺で終わりにするか」

 

う~んと大きく伸びをしてから、クルーガーはログアウトしてその日のプレイを終えたのだった。




フォレストクインビーを三つ装備した場合、回復の効果は変わらないんだろうか?
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