幼稚園に入り1ヶ月ほどが経った頃。
桜にとってはやや衝撃的でもある新しい情報が入ってきた。
「ねーねーさくらちゃん」
綱吉と2人きりで静かにお絵描きしていたところ、可愛らしい第三者の声が割り込む。
声がした方向を見ると、そこには桜が個人的に仲を深めた少女が控えめな様子で立ちすくんでいた。
「なーに?どうしたの??」
言おうか言うまいか悩んでいる様子の彼女に桜は脳内で疑問符を浮かべる。
比較的他の子達より親しい間柄のため、今さら何か言いにくいことがあることに少々違和感を覚えたのだ。
「どうしたの?なにかこまったことでもあった?」
桜がそう問いかけると、彼女は小さくふるふると首を横に振る。
「えっと、さくらちゃん、くろねこさんってしってる……?」
唐突な謎の単語に桜の脳内はさらに疑問符で埋め尽くされる。
ただの黒猫ならば毛の生えたあの動物と解釈すればいい。
しかし、わざわざご丁寧にもさん付けしているところが不自然で、さらに知ってるか否かを聞くのもまたおかしな話だ。
「くろねこさん……?なんのこと?」
「そ、そうだよね!あのこずっとやすんでるし!」
人間かよ、と静かに呟いてツッコミしたのも彼女は気づかなかったようで、お構いなく話を続ける。
「さくらちゃん、いつもつなくんといるから、くろねこさんがきたらきをつけてね」
突然の忠告に桜は面喰ってしまう。
こんな幼い子がわざわざ忠告しにくるとは、そのくろねこさんという子は何者だろうか。
得体の知れないうっすらとした悪予感に、桜は何とか対策を立てて回避せねばと質問を投げかける。
「えっと、そのくろねこさんってなに?どんなこなの?」
「くろねこさんはね、かみのけがまっくろで目がこーんなで」
こーんなで、と彼女は言いながら目尻を吊り上げてみせた。
要するにつり目ということだろう、桜の悪予感は加速していく。
「みんながいっしょにいると、むれるな!っていってはいってくるの」
「……えーっと、それで?」
「あと、うでのここらへんに、ふうきってかいたやつつけてるの!」
ここらへん、と指したのは二の腕部分だった。
「……あぁ、うん……ほかには……?」
「えっとねぇ……あっそうだ、むかつくひとに、かみころすっていってる!」
決定的とも言えるその特徴的な単語により、散りばめられたピースがまるでそれが必然かのようにぴったりと合わされた。
脳内の片隅では手足の生えた某太鼓が「フルコンボだドン!」などと高らかに告げたため、桜は思わず握りこぶしを作ってしまう。
複雑な感情が混じった顔を、忠告した彼女が心配そうに覗き込む。
「さくらちゃん?だいじょーぶ?」
「あ、うん!だいじょうぶ!それで、そのくろねこさんはいつくるの?」
「んーとね、なんか、みんなといると、じんま……?なんだっけ?からだわるくしちゃうから、たまにしかこれないんだって」
恐らく蕁麻疹のことだろうか。
あの人そんな小さい頃から人嫌いこじらせてるのか……と遠い目になるものの、たまにしか来れないという情報で桜はいくらか安堵した。
そんな頻度なら会う可能性は低そうだと考えるが、油断大敵ということもあるだろう。
「ありがとう、きたらきをつけるね!」
一応お礼を言えば、彼女は満足したのかにっこりと笑って元の遊びへ戻っていった。
しかし何故この教室に雲雀恭弥が?と桜は思案する。
原作では明記されていないものの、おそらく雲雀恭弥はツナ達とは1つ上の15歳であったはず。
しばらく考えたところで、そういえば・と幼稚園に来た日を思い出した。
一般的な幼稚園は満3歳になれば入れるらしいが、正式な学年としては4月からになるらしく、その前に入った子は一つ上の子達と3月まで一緒に過ごすらしい。
そんな説明を母と共に聞いた気がするな、と過去を振り返り、それならば雲雀恭弥が同じクラスにいても不思議ではないと1人納得するのだった。
(「まぁすでに今が2月も下旬だし、ちょっと頭の隅で覚えておくくらいでいいか」)
そう結論付け、それは桜の予想通り同い年の子達と合流する4月まで、雲雀恭弥とはただの一度も遭遇することなく穏やかに時は過ぎた。
その予想通りの結末が、自身を安心させたと同時に慢心でもあったのだと桜は後に知ることとなる。
―――***―――
梅雨も近づいてきた、5月の温かな休日の昼下がり。
昼ご飯を食べ終えた桜の目に飛び込んできたのは、テレビで放映されているとある番組だった。
《ご覧ください!小学3年生のお兄ちゃんに手を引かれ、1年生の女の子が懸命にお使いを頑張ってます!》
現地リポーターと思われる男性が紹介するのは、いわゆる“はじめてのおつかい”という大人の企画に挑戦する幼子の特別番組である。
1年生ならば丁度お金の数え方を学ぶ頃だろう、親が企画に参加させるのも最もということだ。
そしてそれを見た桜の脳裏にはとある計画が立てられていた。
これを口実に思う存分、外を観察しよう……と。
ここで桜はまたもや失念していることに気付かないのだった。
自分が花の高校生ではなく、転生しただけのまだ幼い3歳児だということに。
「うーん……それは流石にダメねぇ」
普通に承諾してもらえるとばかり思っていた桜の計画…もとい願望は、至極当然な奈々の返答によって未遂に終わった。
「それにさくちゃん、幼稚園じゃ数の数え方はまだそんなに教わってないでしょう?」
「え……まぁ……うん」
「そうよねぇ、幼稚園のカリキュラム読んでもまだだものね」
カリキュラム、という単語を聞いて軽く側頭部を押さえる。
(「そういえばそんなのがあったな……」)
幼稚園でまだ教わっていないなら、流石にできることがバレるのは不味いだろう。
本で読んだ、と以前通り誤魔化すことも一瞬考えるが、今のところ家でも金銭授受を学べる内容を含んだ本は見かけていない。
もちろん幼稚園にも年齢的に向いていないためそんなものは存在しない。
桜が現時点で幼稚園で教わった内容も、数の数え方はせいぜい1から5までだ。
やはり諦めるしかないだろうか。
そんなことを考えた桜の脳裏にあるアイデアが思い浮かんだ。
何も幼稚園で学べるタイミングを待つことはない。
教えてくれる大人ならまさに今目の前にいるのだからだ。
「じゃあママがおしえて?」
「えっ、えー……うーん……」
想定外の要求だったのか、それとも我が子の知識欲に驚いたのか。
おそらくその両方だろう、奈々はそこまで教えていいものか思い悩んだ。
しかしそれもまたほんの少しのことだった。
子供の好奇心に蓋をして押さえつけることほど、愚かで無駄なことはないと気づいたからだ。
「……分かったわ」
諦めたように小さくため息を一つこぼし了承した奈々に、桜はそれまでの不安げな表情を一変させパッと嬉しそうな顔を見せた。
「ただし!」
「?」
「お使いは3つまで、とりあえずママが後ろからついていくことにするわね」
「うん、わかった!」
出された条件に一瞬落胆するものの、今の年齢を考えたら妥当かと飲み込む。
「じゃあ後はお金の数え方ね」
そう言った奈々が財布を取り出すと、それまで見向きもせず遊んでいた綱吉が興味を示してきた。
「さく、どこいくの?」
「さくちゃん、ママのお使いに行きたいんですって」
「ぼくもいきたい」
予想外の発言に目を見開く桜。
しかし奈々はそれは名案だとばかりに笑顔を見せた。
「それがいいわ!流石にさくちゃん1人じゃ行かせられないし、ツナも1人でお留守番なんて嫌よね!」
「えっ……?つなもいくの?」
当然のように自分1人だけで行くつもりの桜は、完全に予想外だったようで面食らう。
だが一方の綱吉も綱吉で、桜のその反応が予想外なのか目に涙を浮かべた。
「だめなの……?」
潤んだ瞳の上目遣いで見つめられ、桜はその可愛さで僅かに身悶えする。
原作では常に人気投票のトップ3以内を独占した主人公だ。
その主人公の幼少期が当然可愛くないわけがなかろう。
数十秒ほど見つめられたのち、桜はついに白旗を上げ降参する。
あまりの可愛さに自分の精神が保てないと判断したのだ。
「わかったよ……つなもいっしょにいこうか」
桜がそう言えば、先ほどの半ベソ顔から途端に花が咲くような笑顔に変わるのだった。
―――***―――
翌日の日曜日。
天候に恵まれたこの日、賑やかな並盛商店街に小さな2人の影があった。
「おっ、沢田さんちの双子じゃねえか!」
「こんにちは!」
「偉いねぇ、2人でお使いかい?」
「うん!」
行く先々で店主や同じ買い物客に声をかけられ、桜と綱吉は上機嫌だった。
「いらっしゃい、さぁカゴの中身を見せてごらん」
奈々から預かった買い物のメモを見ながら、書いてある通りの商品を入れた買い物カゴを駄菓子屋のおばあちゃんに渡す。
同時に受け取ったメモを見比べカゴの商品をレジに通すと、にっこりと笑いメモだけ桜に返した。
「偉い偉い、ちゃあんとメモと同じものが選べたね」
「えへへ、ありがとう!」
たどたどしく財布を取り出し店主に向き直る。
「えっと、いくらになりますか?」
「あいよ。30円もらえるかい?」
奈々が密かに根回ししたと思われる買い物客からの温かい視線を感じながら、桜は拙い動きでがま口の財布を開いた。
10円玉を3枚取り出し、目の前に差し出された釣り銭トレイにお金を置くと、店の空気に合わせた控えめな拍手と歓声が湧き起こる。
頭に乗せられた温かい感触に桜が視線を戻すと、店主が2人の頭を優しげな目で撫でていた。
「よく頑張ったねぇ。また2人でおいで」
誇らしげに笑う綱吉を見て、やっぱり2人で来て良かったと桜は安堵した。
無事にお使いを済ませ店を出ると、背後でずっと見守ってくれていた奈々の姿が見当たらない。
もしや先に帰ったのだろうかと思案していると向かいで花屋を営む男性店主が見かねて声をかけてきた。
「奈々さんなら、今日はありがとうございましたって言って先に帰ったよ」
最後まで見てるわけではないのか、と思いつつも花屋の店主にぺこりと頭を下げる。
商店街の出入口に建つ時計台を見上げると時刻は4時過ぎを指し示していた。
普段ならおやつを食べ終え昼寝か遊んでいるような時間帯だ。
現に桜の肉体は年齢に見合うように疲労を感じ取っている。
まだ出かけてから1時間ほどしか経ってないのに、もうこんなに疲れてしまうものなのか……と、桜はままならない幼児の我が身に歯がゆい思いを抱く。
隣の綱吉に視線を移すと、やはり同じように疲労が溜まり始めているのだろうか立ったまま眠たそうに目をこすっていた。
奈々から預かった所持金も最低限の金額だったため、これからの選択肢に他の買い物で社会勉強なんてものはなく、残された道は帰るしかないようだ。
「つな、かえる?」
「うん……」
こっくりと頷いた綱吉の手を握り、桜は帰路へとついた。
こうして2人の初めてのお使いは平和に――……終わるはずがなかった。
油断は禁物だと、桜は自身に言い聞かせているつもりだった。
太陽が赤く染まり始め、終わりに近づくその油断し始めた時間にトラブルに見舞われる。
「そこのチビ2人、いいもん持ってんなぁ」
馴染みの公園を過ぎ、あと少しで我が家というところで桜と綱吉は第三者の声に呼び止められた。
振り向くとそこには小学3年生か4年生頃の少年2人が佇んでいる。
意地の悪そうなニヤニヤとした笑顔の2人に、桜は嫌な予感を抱く。
「オレらさぁ、小遣い少なくて困ってるんだよねぇ?キミ達のお菓子とさぁ~、お金も持ってるんでしょ?それ全部置いてってくんない?」
その予感は的中し、小学生2人はドラマでしか見かけなさそうなカツアゲを要求してきた。
めんどくさそうなのに絡まれたな……と桜は気づかれない程度にため息をこぼし、買い物袋から棒状のスナック菓子を2つ取り出し少年2人に差し出す。
「えと、おかねはもうないから、これあげるね」
あくまでも穏便に済ませようとするが、少年2人はその行為で舐められたと思ったのだろう、桜を突き飛ばし激昂した。
「ふざけんな!全部置いてけって言ったんだよ!!」
「オレ達の言ってること分かりまちゅか~??」
4歳にも満たない小さな体では衝撃は受け止められず、桜はそのまま住宅街の塀に打ち付けられてしまう。
「……けほっ、いったぁ……」
「さく……!だいじょうぶ……?」
すぐさま駆け寄ってきた綱吉に平気そうな顔を見せ取り繕うが、少年2人は幼児に手を上げたことも構わずに詰め寄ってくる。
「オレ達の言ってる意味分かった~?これ以上痛い思いしたくなかったら持ってるもの全部置いてけよ」
体格的にも常識的にも通用しない2人に、桜がどうするかと思案していたところに思いもかけないことが起きた。
なんと綱吉が桜を守るように立ちはだかったのだ。
「ぼ、ぼくは……さくのおにいちゃんだから……だから……っ」
恐怖で目に涙を溜めながらも、必死に妹を守ろうとする綱吉の後ろ姿に桜は申し訳なさでうなだれる。
自分が我儘を言って綱吉を連れ出さなければこんな目に遭うこともなかったのだ。
責任と落とし前は自分でつけなければ――
そう決心するも、意識は突然の笑い声に中断された。
「ギャハハ!!おにーちゃんだってよ!」
「ぼくちゃん偉いね~!でも手ぶらのお前なんかに用はねぇんだ…よっ!!」
「……っ!」
振りかぶった拳に成す術もなく、綱吉は殴られた勢いで後頭部を壁に打ちつけてしまった。
衝撃が強すぎたのか、それとも打ち所が悪かったのか、綱吉はそのまま意識を失ってしまう。
「お前ら……よくも……!!」
年下の幼児を傷つけてもなお下品な高笑いを続ける少年2人と、自身の対応が遅れたせいで招いてしまった不甲斐なさで桜の怒りは頂点に達していた。
服の下に隠し忍ばせていた鍵のチャームを取り出し、死ぬ気の炎を灯せば小学生と言えども多少は怯むだろうと考えたのだ。
しかし、いざチャームを取り出そうと少年達から視線を下げたところで桜はある違和感に気づく。
目の前に立つ少年2人の、その向こう側に別の誰かと思われる新たな足が見えていた。
そして高笑いをしていしていた少年2人も、やはり桜の表情に不自然さを感じたのか笑うのを止め問いかけようと声をかけたが――……
「おいお前、一体どこ見「ねぇ、通行の邪魔なんだけど」
誰もいないと思っていただけに、少年達は突如としてかけられた聞き慣れない声にギョッと振り向く。
そして桜もまた同様に、2人が振り向いた際の隙間からチラリと見えた腕章にギョッとした表情を浮かべた。
一瞬見てとれた“ふうき”という文字に嫌な汗が背中を伝う。
そんなまさか、とも思うが、今しがた聞こえた特徴的な口調と僅かに見えたその腕章が桜の緊張を加速させた。
「なんだよお前!邪魔すnう゛っ」
ここがあの並盛といえど、10数年前ではその名が知れ渡っていないのだろう。
唐突に現れたその邪魔者を排除しようとしたのか、少年の片方が目の前のその小さな肉食動物に掴み掛かる。
現実を知らない哀れな少年は、紡ぎ出した言葉を言い終わることも許されず一撃でその場に倒れ込んでしまった。
1人が倒れたことで桜の視界は半分ほど広くなり、残されている少年に未だ半分ほど隠れている肉食動物をその目で捉える。
丸い頭の黒髪に鋭い眼光を宿したつり目という姿は、やはり桜が前世でこれでもかと読み漁った作品のキャラクターだった。
原作では愛用の武器であるトンファーを使用していたが、さすがに幼稚園児の時点では持たされていないようで、しかし逆に言えば武器も無しにどうやって自分よりはるかに大きい少年を沈めたのか。
そんなことを一瞬気にする桜だったが、その思考は震える叫び声ですぐさまかき消される。
「お、お前よくもオレの友達を!それになんでオレ達の邪魔するんだよ!!」
横で無様にも地に伏す友人を見て恐怖を感じたのだろう、やや後ずさりながらも怯えを孕んだ声で問いかけると幼い肉食動物は不機嫌そうに口を開いた。
「さっき僕が言ったの聞こえなかった?通行の邪魔って言ったんだけど。……それから僕の前で群れたからその罰」
身長ははるかに彼の方が劣るが、それ故に下から突き刺すようなその双眸は少年を萎縮させるには充分であった。
その睨みで何もかも勝てないとようやく悟ったのだろう、ヒィ、と情けない声を漏らし恐怖で怖じ気つつも少年は友人を半ば引きずるように担いで走り去ってしまう。
(「何とか一難去った……かな」)
相手が自分でなくて良かったと安堵する一方、桜はそれまでの緊張が取れないのか身動きできずにいた。
どくどくと早打ちする心臓音に落ち着かねばと深呼吸しようとし、何故か立ち去らない彼に違和感を覚える。
まさか気絶した綱吉と2人でいるから群れているということだろうか。
未だ武器を持ち得ず攻撃力は原作の時点より劣るとはいえ、今さっき自身の目で見て分かる通り性格も凶暴性もあの雲雀恭弥そのままと言える。
幼い見た目には不釣り合いなほど冷め切った目で見下ろされ、桜に再び緊張が走る。
声をかけられてからかなり時間が経過したようで、赤い夕焼けはいつの間にか桃色を薄めた藍色へと変わっていた。
(「そろそろ帰らないと不味いのに……」)
そもそも彼は何の用でこの場に留まっているのか。
咬み殺すならさっさとやっているであろうし、興味が無ければわざわざ留まる理由などない。
雲雀恭弥とはそういう人間だと、作品の中で何度も描かれている。
そして、その血気盛んな肉食動物から、気を失ったままの綱吉を抱えていかにこの窮地を乗り越えるか。
高まる緊張で身をこわばらせる桜に雲雀恭弥は唐突に小さく笑みを漏らした。
「……なるほどね」
いや何がだよ、と密かにツッコミつつ次の言葉を待つ。
「君、小動物みたいな見た目してるのに子供を守るような獅子の目をしてるね」
「……え?」
「決めた、君を咬み殺すのは今度にしてあげる」
言われた意味がよく分からず、理解が追いつかないうちに雲雀恭弥はくるりと背を向け藍色の闇へ消えて行った。
しばらくポカンとする桜だったが腕に抱える綱吉がもぞもぞと動いたことでハッと我に返る。
「つな?」
「んー……さく……?」
脅威が立ち去り、綱吉も目覚めたことで桜はやっと一安心したかのように深いため息をこぼした。
「つな、だいじょうぶ?あるける?」
「うん」
心配する桜とは裏腹に何ともなさそうな顔の綱吉だが、殴られて気絶までしたのだ。何もないはずがない。
念のため頭を触ってみると僅かにたんこぶらしき膨らみが出来ている。
「さく、かえろ。おなかすいた」
食欲には勝てないのかグイグイと手を引っ張り強引に歩き出す綱吉に、桜は先ほどのトラブルと綱吉のたんこぶを奈々にどう説明すべきか悩んでいた。
一方で、偶然にも雲雀恭弥と接触できたのは収穫とも言えそうで、なるべくキャラクターとは非接触でいるつもりだったものの生身の美形に会えたことに桜は心なしか気が緩んでしまう。
帰宅後に何が待っているのかも予想し忘れるほどには。
そして案の定、帰りが遅かったことより桜にはお使い禁止令が言い渡された。
___ to be continued.
*後書き*
活動報告なるものを書いてみたのでそちらも興味あったらぜひ読んでみてください。
あと頭の出来が大変残念なレベルで弱いので、これまでもこれからも小説内に矛盾するところがないかビビり散らかしながら書いております。