オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「ななぁかいそぉ〜?」
「は、はい!」
怒っている。明らかに怒っている。
ベルは
そんな義母に比べれば虎と猫……ライガーファングと絵の子猫ぐらいの差はあれど、なるほど確かに美人が怒ると怖い。恩恵持ってるベルの方が強いのに逆らえる気がしない。
「き・み・は! 私の話を聞いてなかったのかなあ!? 7階層!? 迂闊にもほどがあるよ!」
「ごご、ごめんなさい!!」
「一週間ちょっと前5階層でミノタウロスに殺されかけたのはどこの誰かなあ!?」
「僕です!」
「じゃあなんで君は下層に下りるの! 痛い目にあってもわからないかなベル君は!」
「す、すみませぇん…………」
バンバン机を叩くエイナの迫力に押され尻すぼみしていくベル。まあ適正階層をしっかり考えてくれたエイナの言葉を無視したのはベルだから、彼女の怒りは当然だ。
「危機感が足りない! 絶対足りない! 今日はその心構えを徹底的に矯正して──!!」
「ま、待ってくださいエイナさん!」
それはそれとしてベルとしても言いたいことはある。
「その、僕っ……あれから結構成長したんですよ!」
適正階層は主にステイタスの数値と先達の冒険者達の報告からこれ、と決められる。絶対ではないが数値が高ければ当然適正階層も深くなる。ベルは少なくとも、己の数値を超えた階層を潜ってはいない。
ちなみに数値無視してサポーターとしてとはいえ中層まで行きやがったのが彼の師だ。似たのかな? やっぱり噂通り実は親子?
「冒険者になって半月。アビリティ評価
「ほ、本当なんです! 僕のステイタス、Dにいったのもあるんです!」
「え………
ベルの口から紡がれたアビリティ評価に固まるエイナ。しかしすぐに疑わしげな視線を向ける。
「そ、そんなでまかせ言ったって………」
「本当です! 本当なんです! なんか僕今、成長期らしくって!」
「………………」
ベルとの付き合いはまだ長いとは言えない。それでも彼が嘘をつくような人間ではないと…
でも、D………エイナはS、A、B、Cと指を折り曲げ数えていく。
エイナの先程のHという評価は決して適当に言ったわけではない。ダンジョンに入って半月の冒険者が到れるのは通常Hだ。それだって腕のいい冒険者に限った話。Gなら出来すぎ、E以上というのはいくらなんでも早すぎる。多くの冒険者達を見てきた受付嬢達から満場一致で才能がないと判断されたベルが?
「………ねぇ、ベル君」
「は、はい」
「君の背中に刻まれている【ステイタス】、私に見せてくれないかな?」
「え!?」
エイナの言葉にベルは思わず叫ぶ。ステイタスは本来秘匿されるべき情報だ。それはLv.1でも変わらない。例外的にギルドがステイタスを確認することはあるが、それは本当に例外的な事例。それこそランク申請を偽っていた疑いがあった時など。
「君が嘘を吐くとは思えないんだけど………」
それでも常識的に考えてDは可笑しい。ヘスティアの伝え間違いとか書き間違いと思ったほうがまだ現実がある。
「で、でも【ステイタス】って一番見せちゃいけないんじゃ」
『魔法』や『スキル』、【ステイタス】に刻まれた情報は本来秘匿されるべき事柄だ。敢えて公開するものや、その強さ故に推察される者もいるが基本的にギルドは不干渉で居るべきもの。
因みにヴァルドは神々からは「5つぐらい持ってるだろ」「剣に関する技能を上げるスキルがあると見た」「思いの力で効果変動するステイタス補正があるに違いない」とか的はずれな考察がされている。
「お願いベル君! ベル君の【ステイタス】が知られることがあったら私、君に絶対服従するから!」
「ふ、服従!? そ、そんなことしなくたって!」
「どうしても確認したいの! じゃなきゃ私、何時までも君の適正階層を更新しないよ?」
もちろん、冒険者がそれを無視することはある。が、ベルは恐らくそう何度も出来る輩ではない。こうして素直に進出階層を教えてしまうだろう。
「わ、わかりました………エイナさんが言うなら、僕………ぬ、脱ぎます!」
ザワッ、とベルとエイナに視線が集まる。エイナは顔を赤くして慌ててベルを談話室に引きずり込んだ。
「…………嘘」
『Lv.1
力:D509
耐久:F398
器用:D524
敏捷:C624
魔力:I0 』
駆け出しの『アビリティ』ではない。熟練の、何ならランクアップに足をかけた冒険者レベルのアビリティ。
これが冒険者として、恩恵を刻んで半月のアビリティだなどと誰が信じるのか。
(………クリストフ氏が見つけた、英雄候補)
エイナはとある噂を思い出す。ヴァルド・クリストフの帰還が報じられると同時に広まった噂。彼の者は【ロキ・ファミリア】に見切りをつけて、都市外で己の後を継ぐ者を見つけたというもの。そして、同【ファミリア】唯一の眷属はベル一人。
まさか、と思った。
【ロキ・ファミリア】でヴァルドの弟子といえば【
前3名は第二級上位のLv.4で、後者2名に至っては第一級Lv.5。特にアイズはヴァルドに継ぐ天才として知られる
(そんなヴァレンシュタイン氏を差し置いて、ベル君を………なんて思ったけど。でも、このアビリティなら……まさか、本当に?)
ベル・クラネルがヴァルド・クリストフの後継者。
(でも、それって………ベル君がクリストフ氏のような無茶をするってことだよね?)
それは、なんか嫌だ。ヴァルドが狂っているとは言わないが、その偉業は異常。誰かが真似できる類とは思えない。ましてやベルのような少年が………。
(でも、この【ステイタス】なら7層どころか10階層以降も………そんな速度で成長する冒険者なんて………もしかして、スキル?)
と、エイナは本来規則違反と解っていてもつい目が行ってしまう。
(………あ、駄目だ)
読めない。ヘスティアの癖か、もしくはプロテクトか…。とにかくエイナには読めない。
「あ、あの………エイナさん?」
「あ、ごめんね! もう服を着ていいから」
ベルはいそいそ服を着直す。エイナはうむむ、と顎に手を当てる。
この【ステイタス】なら7階層以降の進出を認めないわけにはいかない。そうなるとそうなるで、別の問題がある。
「………?」
じっとベルを見つめるエイナ。厳密には、ベルの貧相な装備。
「ベル君、クリストフ氏はベル君が深く潜ることに対してなにか言ってた?」
「えっと、装備を変えろって」
うん、その方がいいだろう。今の装備はどうにも心許ない。
「じゃあベル君、明日空いてるかな?」
「…………え?」
女の人と、待ち合わせ!?
などと混乱しながら談話室から出るベル。と、何やらギルドが騒がしくなる。誰かが入ってくると同時だ。ベルもそちらに目を向ける。
筋骨隆々の、
「っ!」
気配が、違う。上級冒険者特有とか、大きな体とかそういった類ではない。似ているとすれば、ヴァルドに近い気がする。
(なんだろう、あと少し……嬉しそう?)
しかめっ面にも見えるがなんとなくそう感じた。
男が歩けば冒険者達は慌てて道を空ける。
「…………【
「え、【
大丈夫だろうか、目をつけられないといいのだが。
と、オッタルはズンズンと進みカウンターにたどり着く。
「ふえぇ……」
不幸にもそこにいた小柄なヒューマンの少女は涙目だ。
「ほほ、本日はどど、どのようなご要件で…………」
「ランクアップの申請だ」
「で、ですよね!」
アドバイザー制度を利用しない【フレイヤ・ファミリア】が来る理由などそれぐらい…………え? 今なんと? と少女は怯えも忘れ惚ける。
「? ランクアップの申請をしに来たのだが」
「あ、えっと…………Lv.8………に?」
「ああ」
次の瞬間、ギルドが叫喚に包まれた。
(Lv.8…………師匠と同じ……)
ベルはじっとオッタルを見つめる。世界最強の座についた師に追いついた冒険者。しかも師と因縁があるらしい。喧嘩にならないよね?
などと戦々恐々しているとその視線に気づいたのかオッタルがベルを視界に捉える。
「ヴァルドの弟子か」
「は、はい……」
「奴が選んだ男か…………せいぜい励め。お前の行動は奴の名声により正当な評価を受けないかもしれない。そして、お前の零落は奴の名に傷をつけるだろう」
「っ…………はい!」
「………では、奴に伝えておけ。今夜、あの場所で待つと」
ザワッと再び騒がしくなる。まさか、ランクアップして雪辱戦を!? おいおいオラリオどうなるんだ、と。しかし、だからといってオッタルを止められるはずもない。
「そ、そんなことを認められるか!」
と、そう叫んだのは小太りしたエルフだ。エルフとは思えぬほど俗欲にまみれた姿をした男は脂汗を流し足をがくがく震わせながらオッタルに向かって叫ぶ。
「…………何がだ」
「おお、お前と【剣聖】の………ふ、再びなど、認められるはずがない! ギルドから、せせせさ接触きんきき禁止令を出させてもらう!」
「…………何故だ」
「とにかく、これはギルドの決定だ! やぶ、やぶれば罰を………!」
「………………解った」
オッタルがそう言って去ると小太りしたエルフはその場でヘナヘナとへたり込んだ。
「あらオッタル、早かったわね。今日はヴァルドを飲みに誘うんじゃなかったの? また額に
「ギルドに、接触禁止を言い渡されまして」
「ギルドが………?」
フレイヤはギルドとオッタルの認識に大きな誤りがあることに気付いたが、なんか面白いので黙っておくことにした。
ロイド、レミリア。
本来はクノッソスで死ぬLv.3のモブ冒険者。良かったねクノッソス! 彼等を殺せれば【ロキ・ファミリア】に大打撃を与えられるよ!
ヴァルドは映画については知らなかったけどウラノスに復活の可能性がある『秘境の蠍』調査の依頼を受けて、見てくるだけでいいのに精霊を解放するために死にかけて『不死身』手に入れ完治したあと同居してる女に『何故私を頼らなかった』と問われ『(もしお前まで死んだらベルが寂しがるから)お前を俺の仲間として連れて行くわけ無いだろ』と言って吹き飛ばされた。
ちなみにベルの祖父に色々英雄譚を語られて知っているからオリンピアに行ってエトンと話したら「なるほど確かに
………だが、
知られたら普通に「イヤミか貴様!」と言われて斬りかかられても文句言えねえなあ
なんか思ったより筆が進んでヒロインも増えたので聖夜祭デート再アンケート
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