オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ダンジョン地下24階層北
事前の情報通り。これによりモンスターの大移動が引き起こされた。
「ここで師匠が引き返したってわけか。中の情報ぐらい持ち帰ってきてもいいだろうに」
「まあその場合あの人が全部解決してたでしょうけどね」
ポットポックの姉弟の軽口にヴァルドを知る面々がウンウン、と頷く。
「どうする? 取り敢えず、『門』みたいなのはあるが」
緑の肉壁には花弁が折り重なったかのような蕾にも見える場所があった。此処を通れる者は、これを使って通るのだろう。
「斬りますか?」
「発想が脳筋だよな【
アイズの言葉にルルネが呆れる。アイズはシュン、と落ち込んだ。
「私の魔法で焼いてみます?」
「そうですね。炎が有効か試してみたいですし…………長文詠唱の方でお願いします」
アスフィの言葉に早速詠唱を始めるメリル。足元に広がる
「珍しいだろ、
と、何処か嘲りが含まれたかのような言葉は、しかし外部に向けられたようには思えない。それこそ、己を嘲笑っているような………。
「フィンを知ってるの?」
「知らねえパルゥムがいるかよ。どんだけ才能に恵まれてたか知らねえけどな、勝手に英雄になりやがって。頼んでねーっての………
「それは………師匠に?」
「あの人はLv.6で足踏みしても何もしてねえ扱いするだろうがよ。まあ実際、あの人に弟子入してLv.3になれた事考えると、何もして……………いや、うん。あれは普通にやりすぎだ」
顔を青くして震えるポット。この人
「それでも勇者様には追いつけねえけどなあ」
「あの……フィンのこと、嫌いなの?」
「…………………」
と、爆音が響く。振り返れば壁に大穴が空いていた。
「行きます。全員陣形を崩さないように」
アスフィの号令に彼等は穴の奥へと踏み込む。本来なら岩肌が広がる筈の通路は、緑の肉で覆われており光を放つ花が照らしている。
空いた穴が自動的に修復した。まるで巨大な生き物に飲み込まれたかのような、そんな不安が彼等を襲う。とはいえ、進まぬことには始まらない。
地図と示し合わせて本来存在しない分かれ道があったりと、内部が作り変えられていたためルルネが改めて地図を作る。今の冒険者が殆ど忘れた技術。裏を返せば、ゼウスやヘラの到達した未知を越えた時を考えていない事を示す在り方をヴァルドは嫌い、ルルネにその技術を請うた。
ちなみに同居人は先駆者側だったがその手の技能は別の人間に任せきりだったので教えることは出来なかった。
「全員止まりなさい。ファルガーは私と来なさい」
ある程度進み、不意にアスフィが足を止める。全員に待機を命じ、通路に落ちていた灰を盾持ちのファルガーを連れ確認する。
モンスターの死骸だ。門を越えるだけの力を持ったモンスターがここで殺されたのだろう。
「………?」
その死骸に、ふと違和感を覚えたアスフィ。が、それに気づく前にアイズが叫ぶ。
「上です!」
大口を開けた食人花の群れが大量に襲いかかってきた。
「レヴィス、侵入者だ」
異質な迷宮と化した北
「モンスターか?」
「いや、冒険者だ。中規模のパーティー、全員手練のようだ」
白服達がやはり来たかと憎々しげに唸り、レヴィスも肉壁の一部の水膜に映る映像を確認し、金髪の少女を見つける。
「『アリア』だ」
「なにっ!? 【剣姫】がアリア……? 信じられん」
「確かだ。私が行く、『アリア』を他の奴等から離せ……それと、彼奴等も越えてくる可能性がある。『あれら』を使っておけ」
「何だ此奴等!?」
【ヘルメス・ファミリア】にとってはルルネ以外にとって初見の新種。毒々しい極彩色の花弁を持った食人花はその大きさもあり威圧感が大きい。
「魔法はダメ! 打撃は効かない、剣で戦って!」
「相性悪いなあクソ!」
とはいえ戦えないわけではない。25階層に放り込まれた時に比べれば数は少ないし、師の剣よりも遥かに遅い。
勝てないまでも対応はできる。
「ポット、ポック、十分です!」
アスフィの言葉に即座に下がる二人。アスフィは十分な数を取り出した小瓶を投げ、爆炎が食人花を焼き払う。
アスフィお手性のアイテム、
「
「了解!」
見事な連携で残りの食人花を倒していく【ヘルメス・ファミリア】。最後の一体も後一息。エリリーが下がるように言うと、ポックが食人花に向かって飛び出す。
何故走っているのか? 下がれという言葉に、何をムキになっているのか?
ああ、きっとアイズのあの言葉のせいだ。
メリルと比べ才能が劣る自分と姉。稽古をつけられながらも、中々レベルの上がらない自分に嫌気が差し、所詮
「だが彼奴は未だにLv.6で止まっている。もうすぐ40になるだろうに………」
自分の倍以上生きていたことにも、それを到達ではなく止まっていると言い切る師にも驚いたものだ。
「才能の有無はそれだけ生きてから決めるといい。そこまで頑張りたくないというのなら、そも嫉妬する資格もない」
言い返せなかった。言い返せるはずもなかった。
そんな長い時間を戦い続けて、小人の英雄にまでなるような奴が居るから、胸が熱くなるんだ!
小柄な体を活かし、つっかえ棒代わりにしたメイスにより作った口の隙間に入り込み、魔石をナイフで砕く。勇者のものを真似して作らせた短剣。
地面に落ちたポックに駆け寄ってきたアイズもそれに気づく。
「嫌になるよな。頼んでもねえのに、何時の間にか
「……えっと、今度フィンを紹介しようか?」
と、アイズが言うとポックはバッと顔を上げしかしすぐに顔をそらす。
「いや、俺はまだやればできるってとこ見せてねえし……まあ、サインくらいなら………貰ってやっても」
と、そんなポックをニヤニヤと眺める【ヘルメス・ファミリア】に気付きガーッと吠える。
「メリルさんは、要ります?」
「いえ、私は師匠一筋なので!」
むん、と胸を張るメリル。アイズが知らない間にヴァルドの師事を受けていた女性………良いなぁ。
「っ!?」
そんなアイズの視線に何を感じたのか、メリルはビクッと体を震わせた。何か、思い出したくないことでも思い出しているかのようだ。
「………聞いていましたが、あれが例の新種ですか」
と、場の空気が緩みそうなのを感じたアスフィが話題を変える。モンスターの話題ともなればここがダンジョンであることも相まって全員気を締め直した。
アスフィは知っている限りの情報をアイズに求め、アイズも己が知りうる限りの情報、打撃に強く斬撃は有効、魔力に反応する特徴と、魔石を優先的に狙う性質があるかもしれないことを共有した。
これは、正確には【ロキ・ファミリア】が51階層で遭遇した芋虫型の特徴だが、同じ『極彩色』であり、リヴィラの街を襲った際にも交じっていた事を考え話すことにした。
魔石をモンスターが狙う理由は一つ、強くなるためだ。
モンスターは基本的には種族が異なろうとモンスターを襲うことはない。例外は偶然、あるいは何らかの事故で被害を受け逆上して争う場合。時には群れの規模になることもある。
そしてもう一つは、
有名なのは【フレイヤ・ファミリア】により討伐された『血塗れのトロール』。精鋭部隊を返り討ちにし、最終的な被害は上級冒険者50名を超える。
他には『金角の牝鹿』と呼ばれるソードスタッグの変異種にして強化種。強靭な四肢による高速移動に加え無尽蔵な体力で冒険者に攻撃しては逃げを繰り返し、此方はヴァルドに十日十晩追い回され、疲れ切って
ヴァルド曰くその後は2日ほどダンジョンの中で眠っていたらしいが、一体どこで眠っていたというのか。
まあ要するに、強化種とは並の上級冒険者では相手にならない危険なモンスターなのだ。
「…………………」
モンスター同士の能力値には、確かに同種としては差があった。それに、先程の灰の中にも魔石がなかった。
気になるのは同種であろうと食い合うはずの強化種が群れとして行動していること。
(………ううん。それよりも、食人花が居た)
それはつまり、赤髪の
「また分かれ道か。アスフィ、今度はどっちに」
「………いえ、います」
両方の道の奥から食人花の群れが現れる。
「両方からかよ」
「う〜ん、惜しい。後ろからもだ」
完全に囲まれた。
「【剣姫】、片方を任せていいでしょうか?」
「わかりました」
「では!」
第一級のアイズに通路1つを任せ、残りはそれぞれを対応する。アスフィの言葉に駆け出し…………
「!?」
そのタイミングを見計らったかのように、天井から巨大な柱が落ちてきてアイズを【ヘルメス・ファミリア】から切り離した。
オラリオ学園、なんとかやる方法はないだろうか。
ロリヴェリアとヴァルドを合わせたい今日このごろ
因みに金角の牡鹿のモデルはケリュネイアの鹿
なんか思ったより筆が進んでヒロインも増えたので聖夜祭デート再アンケート
-
家族仲良く リヴェリア、アイズ
-
一度実家へ アルフィア、ベル
-
聖夜祭だろ シル、ノエル
-
夫婦水入らず リヴェリア
-
義母義父のみで アルフィア
-
街娘と日常を シル
-
最も美しい女神(ヴァルド評) アストレア
-
聖夜と言ったら聖女 アミッド
-
ツンデレ大和撫子 輝夜
-
一人で過ごす男達の為に オッタル
-
一人で過ごす男達の為に アレン
-
あるいはこんな世界 ディース姉妹
-
聖夜祭は店も大忙し 豊穣の女主人
-
何やらおかしな実験に フェルズ
-
ダンジョンデートだ 椿
-
ドロドロ依存 フィルヴィス