オラリオに失望するのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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保護者達

「リヴェリア?」

「ヴァルドか………」

 

 今日は一日修行だというベルの様子でも見てこようとしたヴァルドは、道中コソコソしている人影を見つけた。滅茶苦茶知り合いだった。

 

「………アイズか」

「ああ、最近どうにも様子がおかしくてな。レフィーヤと二人で何やら隠しているようだが」

「…………こっちだ」

 

 鉢合わせるとアイズが色々困惑した挙げ句壊れそうなので、別の市壁に案内する。

 素直に後に続いたリヴェリアは少し離れた市壁の上に来る。

 

「彼処だ」

「あれは…………」

 

 ヴァルドが指差した市壁の上で、アイズとベルが戦っていた。いや、戦いと言うには一方的に過ぎるが……。

 

「………修行をつけているのか?」

「そのようだな」

「…………………」

 

 アイズの戦いのいろはは【ロキ・ファミリア】の経験(ざいさん)であり、おいそれと他派閥にあたえていいものではないのだが………。いや、それを言うなら元幹部が彼の師だが…………それに………

 

「…………はぁ、仕方ない」

「許すのか?」

「私が許すと思っているから連れてきたのだろう? 全く白々しい」

 

 と、ヴァルドの頬を抓るリヴェリア。Lv.6でも魔導師の力では内出血すら起こさない。

 

「否定はしない。お前が俺を理解しているように、俺もお前を理解しているだけの話。隠すようなことでもない」

「……………………」

 

 何でこいつは恥ずかしげもなくこういう台詞が言えるのだろう、と僅かに頬を染めながら睨むリヴェリア。

 ヴァルドとて他人からの好意は理解しているが、それ以外は弟子に劣らず鈍感なので今の発言のどこに照れさせる要因があったのか解らず首を傾げる。

 

「…………む?」

「ん?」

 

 と、ふと見るとアイズ達が横になっている。あれは、寝ている。

 

「恐らく連日早朝から起きて、疲れが溜まっていたのだろう」

「だろうな。絶対どこでも寝られる特訓とか言ってるだろうアイズは…」

 

 ヴァルドの言葉にはぁ、と頭を抱えるリヴェリア。年頃の娘が男の横で眠るなど。レフィーヤもアイズに素直に従い寝てるし。

 いや、これもいい変化なのだろう。アイズも、そしてレフィーヤも………。

 

「…………おい、お前の弟子が何やら悶え始めたぞ?」

祖父の教育(心の闇)に飲まれかけているな、あれは。なんとか抵抗しているようだが」

 

 

 

 

 隣で眠る美少女二人。幾ら義母(はは)が美人だろうと、だからといって女に慣れるわけでもなく、ベルはガチガチに緊張していた。

 

『ゆけ、ベルよ』

 

 ………ん?

 

 突如頭の中にひびいた懐かしい声。聞き間違えるはずのない、ベルの育て親の一人の祖父の声が何故か頭の中に響き、気が付くとアイズが近付いていた。

 

『ゆくのだ、ベルよ。行けぇーい!!』

「!?」

 

 自分から無意識に近づいたと漸く理解したベル。それでも体が離れてくれない。むしろちょっと近付いた!?

 

『寝込みを襲えぇぇーい!』

(いいぃっ!?)

 

 祖父の教えがベルの体を動かす。

 あどけない寝顔のアイズ、その睫毛もよく視えるほど顔が近付く。

 

(いやいやいやいやいや!? 駄目だよ、おじいちゃん!!)

『え? じゃあそっちのエルフにする? ベルったら相変わらずエルフスキーなんじゃからー』

 

 レフィーヤサァン!?

 違う、違うよおじいちゃん! 寝込みを襲うのがいけないんだ!!

 と頭の中で祖父の言葉と言い合うベル。

 

『問題ない。寝込みの接吻程度、お前の義母(はは)も──』

『【黙れ殺す(ゴスペル)】』

『ぐあああああああ!?』

(お、おじいちゃぁぁぁん!?)

『ベル………解っているな?』

 

 頭に響く義母(はは)の声に、スンと平静を取り戻すベル。そのまま横になり微睡みに沈んでいった。

 

 

 

「………ふむ、必要なかったか」

「ああ。弓を下ろせ、リヴェリア」

「お前もその石を捨てたらどうだ?」

 

 両親(保護者)は各々の獲物をおろし、暫く様子を見守る。

 

「…………あの子は、変わってきている。いい傾向だ」

「それが見ず知らずの男によるもので、少し不満のようだな」

「………よく解る」

「お前のことならば」

「別に私だけでもないくせに」

「まあ、そうだな」

 

 5年ほどともに過ごした女とか友人とか二人で組んだ回数が一番多い妖精とか一番抱いた回数の多い娼婦とかともに競い合った獣人とかの機微は大体察せる。

 

「………戻るぞ」

「許すのか?」

「ああ。あの子に………いや、あの子達にとっていい刺激になるだろう。知っているのは私達だけ、一先ずそれで良い」

 

 そう言って仲良く眠る三人を見るリヴェリア。

 

「お前の弟子だ。不埒な真似もすまい………いや、先程揺れていたがまあ、いざ実行に移す勇気もないだろう」

「……………否定はしない」

 

 いざという時間違いなくヘタれるだろう。というかさっきの葛藤は祖父の教えに対するヘタレが自分を止める誰かの形で頭に響いたのだろうし。

 

「そういえば、もうすぐあの子のランクアップが公式に発表される」

「そうか。ベルのいい刺激になれば幸いだ」

「並び立ちたいと思った相手がLv.6に昇格したのだぞ? いい刺激にはならんだろ」

「…………そうだな。だがきっかけにはなる」

なんか思ったより筆が進んでヒロインも増えたので聖夜祭デート再アンケート

  • 家族仲良く リヴェリア、アイズ
  • 一度実家へ アルフィア、ベル
  • 聖夜祭だろ シル、ノエル
  • 夫婦水入らず リヴェリア
  • 義母義父のみで アルフィア
  • 街娘と日常を シル
  • 最も美しい女神(ヴァルド評) アストレア
  • 聖夜と言ったら聖女 アミッド
  • ツンデレ大和撫子 輝夜
  • 一人で過ごす男達の為に オッタル
  • 一人で過ごす男達の為に アレン
  • あるいはこんな世界 ディース姉妹
  • 聖夜祭は店も大忙し 豊穣の女主人
  • 何やらおかしな実験に フェルズ
  • ダンジョンデートだ 椿
  • ドロドロ依存 フィルヴィス
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