オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
『不老』の取得条件。
前世においてノアール達が衰えから死を選ぶことを知っており、本人達からも衰えについて聞かされて、後進のためにも今のためにも衰えるわけにはいかないと強い意志で発現させた。要は気合。
因みに今更ながら、ヴァルドの年齢は27歳。見た目は20前半ほど
神々の宴。
言葉の通り神達が集う宴だ。神が多く住まうこのオラリオにて、誰かが言い出した暇つぶし。
商業系同士の取引だったり
ヴァルドの稼ぎは確かに多いし、料理も美味い。だけど自分だって彼になにかしてあげたいと………それでパーティーの料理を持って帰るのはまあご愛嬌。
「あ、でも流石に数日は持たないかな? う〜ん、一旦帰るべきか? でもなあ………」
「女神様、よろしければお届けしましょうか? 何か用があって、帰れないんですよね?」
と、唸るヘスティアに声をかけてきたのは人懐っこそうな蒼銀の髪の女。恐らくはガネーシャの眷属だろう。
「届けてくれるのかい? いやあ助かるよ。住所は…………」
「あれ、そこって………あの教会の?」
「知ってるのかい?」
「むか〜し、色々ありまして。はい、場所は解りました。宴が終わったら届けさせてもらいますね」
「ありがと〜!」
去っていく女の背を見つめながら、そういえば名を聞いていなかったことを思い出す。今度会えたら御礼と一緒に名前を聞こう。
「何をやってるのだ、お前は」
「あれ、ミアハ?」
そんなヘスティアに呆れたような声をかける神が居た。神の中でも女性人気の高いミアハだ。
「驚いたなあ、君も来てたのかい?」
借金のせいで零細。故にこういった催しでも
「ああ、うむ……少し気になる噂を聞いてな。少しでも情報を訊けぬかとこうして足を運んだのだ」
「噂………?」
「うむ。第一級冒険者が、失望を持ってオラリオに帰って来たと」
「ふ〜ん……ん?」
何処かで訊いたような?
「7年前の『死の七日間』、それもまた嘗ての最強が『失望』故に起こしたという。皆それを警戒しているのだ」
「ロキは怒ってるみたいだけどね」
と、ミアハの言葉に付け足すようにやってくる眼帯の麗人。ヘスティアが探していた女神、その
「ヘファイストス!」
「元気そうね、ヘスティア。ミアハも、変わりないようでなによりよ」
「うむ、お主も相変わらず美しいな」
「…………ほんと、変わらないわね」
流れるような口説き文句をその気が一切なく言い放つミアハにヘファイストスは呆れたようにため息を吐く。そして、ある方向に目を向ける。ヘスティア達もその視線を追えばロキが複数の神々に囲まれていた。
「かー! ほんまムカつくわ。ヴァルがオラリオに害をもたらす訳あらへんってのに」
「お疲れ様、ロキ……大変ね」
「んぉ? おお、ファイたん、ミアハ………んでドチビィ!」
ヘファイストスの声に駆け寄ってきたロキはヘスティアの姿を見て顔を歪め叫ぶ。呼び方から分かる通り、ロキとヘスティアはあまり仲が宜しく無いのだ。
ロキは絶壁ゆえの嫉妬もまじり、ヘスティアは天界でのやんちゃぶりに良い感情を抱いていない。
「ふむ、帰ってきたのはあやつか。であるなら、確かに余計な心配だったかもしれぬ」
「そうね………でも、良いタイミングで帰ってきたわよね。遠征も終わったばかりだし、次の遠征に備えて十分話せる時間もあるし」
「……………抜けおった」
「………え?」
「ヴァルの阿呆! 勝手に
「ぶふぅ!」
と、ヘスティアが思わず吹き出す。ロキが子供を大事にしてるとは聞いていた。天界の頃の彼女を覚えているヘスティアはまたまた〜と最初は思っていたが、話を聞いているうちにマジだと思うようになっていた。その子供を、意図せず自分が奪った事を思うといたたまれない。
「勝手にって………そんな事出来るの?」
「まあヴァルやし」
「それは…………そうね…………」
「そもそも『耐神威』がどの程度影響を及ぼすのかも解らん。それこそ神が眷属を縛る要因たる改宗不可を無視できても可笑しくないやろ」
「あの頃荒れてたわよね、あなた…………」
相当好かれていたんだなあヴァルド君。とヘスティアは遠い目をする。
「幹部、それもLv.6が勝手に出奔して【
オラリオでは冒険者の出入りが厳しく管理されている。暗黒期の終焉に都市が沸き立つ中、その貢献者を幾ら罰しにくいからと言ってなんのお咎めなしなどギルドと何か取引があったと考えるのが普通だ。
「そうね、あの子は何でも自分の中で解決する悪癖があったもの。そして、それを悪癖と自覚しても治す気がないから質が悪い」
「げっ、フレイヤ…………」
会話に混じってきたのは美形揃いの神の中でも群を抜いて美しい女神だった。ただそこに立ち微笑むだけで、この世のあらゆる芸術品すら霞ませる圧倒的な美。
美を司る女神、フレイヤだ。愛多き女神が多い美の女神の一柱、
「一応聞いとくがヴァル奪ったんお前やないやろうな?」
「確かにあの子も欲しいけど、残念ながら私じゃないわ」
ロキの睨みにあっさり微笑みを返すフレイヤ。神同士嘘は通じるとはいえ、折角手に入れたヴァルドを自慢しないとは思えないし、多分本当だろう。
「ロキはあの子がどの【ファミリア】に入ったか調べに来たのね」
「おう、ぶっ潰したる」
ヘスティアはダラダラと冷や汗を滝のように流す。
「と、言いたいところやけどなあ。まあわざわざうちに帰らずその神を選んだのにも理由があるやろ。ムカつくけど、ヴァルに免じて一年は様子見したる」
今度はホッと安堵の吐息を漏らす。
「さっきからなんやねん自分」
「いや〜、実はヴァルド君が入った【ファミリア】ってボクのところだからさ〜。ちょっとやばいなあって……でも心配し過ぎだったみたいだね!」
「『
「えええ!?」
何だ何だ、と視線が集まる。『
「なんでよりによってお前んとこにヴァルが入っとんねん!」
「あわわわわ! ぼぼ、ボクだって知らないよよよよ!!」
「ちょっとロキ! 落ち着きなさい!」
がくがく揺らされるヘスティアを見てヘファイストスが慌てて止める。フレイヤは微笑ましいというように笑みを浮かべていた。
「ぼ、ボクだって
「よく受け入れたわね」
「何でも人を待っているって………滞在費も払ってくれたし、嘘はなかったし。そして、その数日後街で勧誘断られてたベル君を見つけて恩恵刻んで帰ったらベル君の師匠だって言うんだから」
「何よそれ、その子が貴方の眷属になるって解ってたっていうの?」
ヘファイストスが信じられない、と言いたげな顔をするがヘスティアが嘘を付くとは思えない。何より相手は神々から『考えるだけ無駄な存在』と言われるヴァルド・クリストフ。まあそういうこともあるのかも、と思えてしまう。
「くそう! 何でその子ウチに来なかったんや!」
「門番に追い返されてたぜ、弱そうだからってね!」
「誰やその門番! 極東流や、腹ぁ斬らせたる!」
ヘスティアの言葉にまた発狂するロキ。ヘファイストスが煽らないの! と叫びながらロキを宥める。
「くぅ………まぁムカつくけど、ヘスティアんとこやったら変なことにもならんやろ。まあイシュタルには気ぃつけい」
「イシュタル? 何でまた」
「ヴァルドは昔、イシュタルに狙われたのよ。その際『魅了』に抗ってイシュタルを殴った挙げ句【イシュタル・ファミリア】の団員達を殆ど全員戦闘不能に追い込んだの」
「以来イシュタルはあの子を嫌ってるのよねえ。だけどあの子は普通に歓楽街に通うし」
「ええ!? ヴァ、ヴァルド君が………ボクの
ガーンとショックを受けるヘスティア。とはいえヴァルドは年頃というか世帯を持ってもおかしくない年頃だし………ああ、自分はどうすれば!?
「ヘスティア達は堅すぎるのよ。良いじゃない、一夜の夢に浸るぐらい」
「
フレイヤの言葉にヘスティアが叫ぶ。
「というか! 今更だけどベル君時折ヴァルド君のことお父さんって呼んでたぞ!? まさか27歳にして14歳の子持ち!?」
「お、お父さんやとぉ!?」
「落ち着きなさい!」
混乱するヘスティアとロキをヘファイストスが一喝する。
「ヘスティア、それにあの子はなんて答えてたの」
「ち、父親じゃないって………嘘はなかった」
まあ仕方ない、と呆れながらと笑っていたが。
「なら、違うんでしょ。父親代わりではあるのかもしれないけど」
「せやなあ………いやそれでもアイズたんになんて言えば」
「っ! ひょっとして、ヴァレン某はヴァルド君のことが好きなのかい!?」
「まあ異性っちゅーより兄とか父親に近い好意やと思うけどなあ……ほんま、なんで勝手に【ファミリア】変えんねん…………」
うぐぐ、と悔しそうに唸るロキ。
自分に当てはめれば、ベルやヴァルドが何も言わず出ていってしまったようなものか。うん、すごく嫌だ。まだ一ヶ月経っていない自分でそうなのだ、ロキはもっと………。
「あのね、ロキ。ボクも元の【ファミリア】に帰ったらどうだいとは訊いたんだ。まあ、帰らなかったけど………だから、嫌いになったのかも訊いた。ヴァルド君は『それはない』って言ってたぜ」
そしてそれにも嘘はなかった。それを聞いたロキはウンウンと唸り始める。
「まあええわ! ウチ等のこと嫌っての行動じゃないっちゅうなら、今は見逃したる! 一年後覚悟しとけよヘスティア!」
ロキはそう捨て台詞を残して去っていった。
「ふふ、それじゃあ私ももう帰ろうかしら」
「あら、もう帰るの?」
「ええ、聞きたいことは聞けたし………それともヘファイストス、貴女が今夜私と一緒にいてくれるのかしら?」
「…………私はもう美の女神に振り回されるのはごめんよ」
知ってるでしょ、と不機嫌そうに睨んでくるヘファイストスにフレイヤは笑顔でごめんなさいね、と肩をすくめる。
「相変わらずだな〜フレイヤは」
「気をつけるのよ? イシュタルは兎も角、魅了の効かない
一時期、彼を落とせば自分こそ至高の美を名乗れると手を出そうとした美の女神達が後を絶たなかった。最終的にヴァルドに「誰が一番美しい女神か」とか「私を美しいと称えれば望むものをくれてやる」とか言い出した。
「ど、どうなったんだいそれ………」
「……………私だったわ」
ヘスティアがその結果を尋ねようとすると、不意に新たな女神が現れる。
「あ、アストレア! ん? 私………?」
「ええ、ヴァルドは汎ゆる美の女神を差し置いて『一番高潔で美しい女神はアストレアをおいて他にいない』と言い切ったの」
知己との再会に喜びつつその言葉に首を傾げるとヘファイストスが補足する。アストレアはそう言われた時の事を思い出したのかほんのり頬を染めていた。
「あの時の騒ぎ様は凄かったわね。フレイヤやイシュタルみたいな一部の美の女神を除いた美神達の連合による【アストレア・ファミリア】への襲撃を、Lv.4成り立てのヴァルドが一蹴したんだもの」
「………もしかしてボクの眷属、結構やばい?」
「そうね………いい子なんだけど、ね………」
アストレアも困った、というような顔になる。
「でも、そうね。私にとっては恩人よ、可愛い
「そうなのかい? その時はボクの眷属じゃなかったけど、君の助けになれたなら良かったよ」
「ふふ。助けが必要な時は、何時でも言って? 私も、彼には恩を返したいから」
アストレアはそう微笑むと神々の会話に戻っていった。
「ヘスティア、貴方はどうする? もし残るならこの後久し振りに飲みに行かない?」
「あ、うん………その、実はヘファイストスに頼みたいことがあったから丁度いいな〜………なんて」
「………………」
その言葉にヘファイストスはすっと目を細める。地上に降りてきたばかりのヘスティアを世話してやったのはヘファイストスだ。その後あまりのぐうたらぶりに追い出したら今度はアストレアに甘えていやがったので教会の地下室という物件に押し込んだという経緯がある。
(ベル君、ヴァルド君! ボクに勇気をくれええ!)
「アミッド様、店の外にこんなものが!」
「これは………」
アミッドは店員が持ってきた箱を見る。上には一枚の上質な紙。『5年前の壁の修理代』そう書かれていた。
「………噂は本当だったのですか。5年間、一体どこで何を………」
と呆れながらも蓋を開く。『カドモスの皮膜』や『泉水』、及び下層、深層域で取れる素材。あの人何処まで潜ったのだろう?
また無茶をしたのではあるまいか。それはそれとして………
「ちょっと【ロキ・ファミリア】に行ってきます」
顔を出さないとはどういう了見か、きっちり話してもらおう。なお【ロキ・ファミリア】から
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アリーゼ「優しくて厳しくていかれててそれを自覚してるって面倒よね! 良い人なんだけどややこしい人だわ! 私には解るのよ、フフン!」
リュー「恩人です」
ライラ「英雄様だろうよ」
輝夜「私達を見ながら私達を見ていない。それを自覚して直せないと諦めているのが腹が立つ。何が英雄だ、あの破綻者め! 私を見ろ、妙な理想を押し付けるな!」
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