オラリオに失望するのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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オラリオコソコソ噂話
ヴァルドは昔とある男神様に『正義』とは何か? と尋ねられた際自分ではなく正義の味方か英雄に聞けと返したよ。その後それを聞いた極東の姫様に自分をそう思わないのか問われ自分は『悪の敵』と言ったらしい。脛を蹴られたよ。どっちが痛かったんだろうね?極東の姫様に聞いてみ(居合


境地

 ブシュウウウウウと音を立て地面が溶ける。

 触れただけでヤバイと解る腐食液を含んだ芋虫はヴィトーの命に従い襲いかかる。

 

「ああもう、近づくんじゃねえ!」

 

 ルノアが拳大ほどの石を拾いぶん投げる。砲弾のような威力のそれは芋虫型の一部を貫き傷口から溢れた腐食液が撒き散らされる。

 

「──────!?」

 

 のた打ち回りながら腐食液を零す芋虫に、炎を纏ったアリーゼが接近し切り捨てる。腐食液は炎に触れ蒸発する。

 現状接近戦が行えるのは彼女だけ。

 

「誰か短文詠唱で攻撃系の魔法持ちはいねぇのかよ!!」

「ミャーは短文だけど幻惑系なのニャ!」

「ああそうかい黙ってろ!」

 

 悪態をつきながら芋虫型に爆薬を投げつけるライラ。リューが魔法詠唱を始めるが、長文詠唱なだけあり直ぐに撃てない。これがただのモンスターならリューも前衛に交じったのだろうが防御不能の腐食液が厄介過ぎる。

 

「っ! シル、危ないニャ!」

「!?」

 

 と、空中回廊から芋虫型がシル目掛けて落ちてくる。アーニャが咄嗟に槍で殴り飛ばすも槍が溶けてしまった。

 

「シル! 無事ニャ!?」

「う、うん…………」

 

 咄嗟に『獅子王の外套』を頭から被ったおかげで、腐食液による被害はなかった。芋虫型の腐食液にも耐えるらしい。

 

「リオン! 詠唱はまだか!?」

「こうニャったら、ミャーが歌うしか……!」

「「おい馬鹿ヤメロォ! 災害音痴ィ!!」」

 

 何をトチ狂ったのか歌いだそうとするアーニャをクロエとルノアが羽交い締めにした。

 

「フギャー!? 何するニャー!?」

「こんな時に何やってんだ!?」

 

 混乱からコントしだす3人に思わず叫ぶライラ。リューの魔法さえ完成すれば纏めて吹き飛ばせる確信はあるのでライラ自身、あくまで面倒という感想なので突っ込む余裕があった。

 

(だが、これだけか?)

 

 仮にもバベルの破壊なんて御大層な目的を抱えておいて、この程度で得意気になるか? ヴァルド・クリストフが来ているのも知っているだろうに崩れない余裕は何だ?

 後ろのあれが精霊だとしても、それで勝ちを確信するには根拠として弱い。まだ何かを隠している?

 

「【──空を渡り荒野を駆け、何物より疾く走れ。星屑の光を宿して敵を討て】!!」

「ッ! 下がれ団長! 吹っ飛ばせ、リオン!」

 

 疑問は残るが、リューの詠唱が完了した。今厄介なのは芋虫型。その殲滅を優先する。

 アリーゼが下がると同時にリューが魔砲を放った。

 

「【ルミノス・ウィンド】!!」

 

 深層のモンスターすら轢き潰す風を纏った光弾。その数58。第一級の『魔法剣士』の放つ風の暴乱は抵抗の間もなく芋虫型を蹂躙した。爆発し腐食液をばら撒こうにも、風に捉えられ吹き飛ばされていく。

 

「ノエル!」

「ッ!?」

 

 その隙にアーニャがノエルを取り返した。第二級とはいえ、『最速』の妹だけありかなり速い。あと単純に、ヴィトーが明らかにノエルに執着していない。

 

「ノエル!」

「お母さん!」

 

 シルがノエルを抱き締めノエルも抱き返す。麗しき母娘のやり取りを、ヴィトーはやはり慌てる様子もなく見守っている。

 

「感動的ですねえ。力を合わせ困難に打ち勝ち、偽りとはいえ母娘の絆を守ってみせた。素晴らしい! まさに私が憧れる英雄そのもの!」

「口を閉じろ下郎。憧れる? くだらん嘘をつくな、お前は英雄を嫌っているだろう」

 

 芝居染みた身振りで叫ぶヴィトーに対し、輝夜は潰れたゴキブリでも見るかのような目を向ける。

 

「随分余裕そうじゃねえか………で、次はどんな手を用意してやがる」

「そんなに睨まないでください。戦力の逐次投入は、数で圧倒してるなら当たり前の手段でしょう?」

 

 魔法で飛ばされた疑似雪(すいしょう)が降ってくる。薄暗いダンジョン内でさらに視界が奪われた。

 

「貴方方に敵わない『伏兵』も、これなら使い道がある!!」

 

 ヒュッ! と煙幕の向こうから飛来する短刀。1つ2つではない、四方八方から絶えず飛んでくる。

 かなりの業物。Lv.4の耐久を突破し傷を付けていく。

 

「ああくそ! 面倒臭え! この程度で第一級がやられると思ってんのか! やっちまえ、お前等!」

「偉そうにしないで頂きたいですねぇ。守る気も失せます」

 

 さらりと守られる側に移動し叫ぶライラに呆れる輝夜。

 確かに数は多い。視界も悪い。だが、それだけ。精々がLv.2程度が放つ投擲など、第一級が4人も居る彼女達に効くはずもない。

 Lv.2だけなら………。

 

「ッ! 危ない!」

「!?」

 

 元とはいえ()()だから気付けたクロエがリューに迫っていた凶刃を代わりに受ける。今の投擲は、明らかにLv.2を超えていた。

 速度に長けたリューならばギリギリ気付き、戦闘不能は免れただろうが動きに支障が出ただろう。

 

「手練……? 違う、暗殺者(アサシン)!」

 

 『隠密』の発展アビリティでも持っているのか、周りに余計な気配が多いとはいえ第一級の知覚を掻い潜った者が数名いる。

 

「ク、クロエ! だいじょうぶ!?」

「大丈夫!? 今治すから!」

 

 と、アーディがクロエに駆け寄る。

 

「【ディア・カウムディ】! って、え………あれ?」

「ニャ?」

「傷が癒えない? 不治の呪い!?」

「「「「!?」」」」」

 

 もしかしなくても、十分やばい。かすり傷一つでも血が止まらないなら致命傷と同義になる。血を流し過ぎれば人は死ぬ。明らかに血を失いすぎても動いた奴は、アリーゼ達が知る限り一人しかいない。

 

「ですが、ええ。それだけでは足りないでしょう?」

「【血と踊れ】」「【血と】」「【血と踊】」「【血】」「【と踊れ】」「【踊れ】」「【血】」「【血と】」「【血】」

「【闇に惑え】」「【惑え】」「【闇】」「【闇に】」「【闇に惑え】」「【に惑え】」

「均一化された詠唱!? 質が悪い!」

 

 本人の精神性や経験から生まれるはずのスキルや魔法。それが同文、同一効果になるとしたら、個を完全に廃し殺しのみに人生を捧げさせた証拠。個性を持つことを許されたクロエの元【ファミリア】もそれはそれで質が悪いが別ベクトルで悍ましい。

 

「体が、重い………異常魔法(アンチステイタス)呪詛(カース)か!」

 

 能力の低下と倦怠感の付与。Lv.差はあれどこの数はそれすら覆す。量より質の時代において、量を以って質を落とす生粋の殺人集団が動きの鈍った冒険者へと襲いかかる。

 

「っ! すいません、私のせいで」

「反省は後にしろ! どのみちあの状況では魔法に頼るほかなかった!」

 

 不用意に魔法を使ったことを悔やむリューに叫ぶ輝夜。暗殺者達の強さはLv.2。高くても3が精々だが、この数と異常魔法(アンチステイタス)の重ねがけは十二分に脅威だ。

 

「くっ、そ………ダリィ。体も動かし難い!」

 

 ここまで重ねがけされれば最早位階下降(レベルダウン)だ。ランクアップ後に体の動きにズレが生じるように、急激なステイタスの変化は冒険者達の感覚を狂わせる。

 

「【燃え上がれ(アルガ)】!!」

「ぐああ!!」

「馬鹿な、効いていないのか!?」

「………異常魔法(アンチステイタス)を覆す強化。魔法だけではありませんね」

 

 動揺する暗殺者達の奥で目を細めるヴィトー。アリーゼは得意気に胸を張る。

 

「フフン、よくぞ見抜いたわね! その通り、私のレア・スキル【正華紅咲(ルブルード・べギア)】の効果は──」

「アリーゼ! だから敵にスキルをバラしては駄目だ!」

 

 過去にも似たような事があり、その時同様リューが止める。

 

「ですがそれなら、更に重ねがけすればいい」

「ならその前に片を付けるまでよ!」

 

 と、アリーゼがヴィトーに向かう。

 まだ十分Lv.5に相応しい速度。Lv.5でも上位に位置する攻撃を、ヴィトーは剣で受ける。

 

「言い忘れてましたが私、これでもL()v().()6()()()()

「なっ」

 

 第一級の中でも、上位!

 単純な膂力の差を持って弾き飛ばされるアリーゼ。

 万全であれば【正華紅咲(スキル)】で迫れたかもしれないが弱体化したアリーゼでは遥かに劣る。

 

「【血と踊れ】」

「!?」

 

 更に重ねがけされる異常魔法(アンチステイタス)

 暗殺者達はその隙を逃さず襲いかかる。

 

「アリーゼ!」

「こっちの心配もしろバカエルフ! 非戦闘員もいんだぞ!」

 

 リューが生んだ僅かな隙に陣形の奥に押し入りノエルを抱き締めたシルへと斬りかかる暗殺者。ライラが暗殺者の首を切り裂く。

 

「形勢逆転という奴です。よしんば逃げ帰れたとしても、不治の病が貴方方を殺す。解呪など間に合いません。絶対。必ず。死ぬのです」

「ころ、す………? しぬ………?」

 

 ヴィトーの言葉にノエルは目尻に涙を浮かべ震える。傷付いていくアーニャやアリーゼ達を見て、今にも零れ落ちそうなほど目を見開く。

 

「ええ、ノエルさん。貴方を助けに来てくれた方々が、死にます。消えてなくなるのです。可愛そうですねぇ。哀れですねぇ。貴方と関わってしまったばっかりに、彼女達は無惨な亡骸を晒してしまう」

「あ、あぁぁ……」

「貴方が地上(オラリオ)に現れなければ………貴方があの酒場に行かなければ………!」

「わたしの………せい?」

「ノエル! 聞いちゃだめ!」

 

 シルがノエルを抱き締め叫ぶ。ヴィトーはそんな光景を嘲笑いながら言葉を続けた。

 

「何を思ってこの世界に現れたのか知りませんが、貴方はとても罪作りです」

 

 

 

 さみしいよ────

 わたしも──みんなみたいに──

 いつか──きっと──

 

 

「貴方のために、貴方の『家族』が死ぬ」

 

 

 

「や……やぁ…………そんなこと………いやああああああああ!!」

 

 光が溢れる。

 それは魔力の光。桁違いな魔力は道理を超え奇跡を起こす。

 

「傷が治った!?」

「ニャ? ニャニャ!? 体も怠くねーニャ!」

呪詛(カース)を一発でかき消した!? 『聖女』様じゃねえんだぞ!」

 

 傷が癒え、倦怠感が消える。理外の治療師(ヒーラー)と呼ばれるアミッドにも匹敵、あるいは凌駕する奇跡に、冒険者達も瞠目する。

 

「精霊の奇跡!」

「…………ノエル」

「はぁ……はぁ…………みん、な………」

 

 傷が治ったアーニャ達を見て安堵するノエル。ヴィトーは、笑みを深めた。

 

「────ようやく使いましたね?それも強大に、見境なく、取り返しのつかないほどの。同胞を呼び覚ますほどの、『力』を!」

 

 バキィ

 

 何かがひび割れる音が響く。

 

「え………ま、まさか………!」

 

 広間(ルーム)全体が音を立て揺れる。

 ヴィトーが精霊と呼んだ異形を覆う水晶がひび割れ砕けていく。

 

「さあ、目覚めの時間です! この世界で最も醜く、美しく! 何よりも清く、悪しき存在! 『穢れた精霊』よ!」

 

 ヴィトーの言葉に反応するように、穢れた精霊を覆っていた水晶が完全に砕け散る。『女』の体は艷やかな髪を靡かせながら天を仰ぐ。

 

『アアアアアアアアアア……アァァァァァァァッ!!』

 

 歓喜の叫びが迸った。

 疑似雪原(すいしょう)が吹雪のように吹き飛ぶ。

 

「ははははははっ! 素晴らしい、これこそ、私が求めていた破壊の化身! では、どうか精霊よ。視界に映る者達を存分に蹂躙してください!」

『【燃エ盛レ炎熱ノ槍】』

「っ!? 詠唱だと、この魔力やべぇ!」

 

 第一級の魔砲をも凌駕する膨大な魔力に青褪めるライラ。すぐに狙いを分散させる為に四方に散る。

 

『【我ガ名ハ火精霊(サラマンダー)炎ノ化身炎ノ女王(オウ)

「げぇー! もう完成した!」

 

 現れる緋色の魔法円(マジックサークル)。短文詠唱によって紡がれていい魔力量ではない。その砲身が向けられるは………

 

「アタシかよ!」

『【ファイア・ランス】』

 

 放たれる炎の大槍。既で躱すが槍が暴発しその衝撃だけで高く吹き飛ばされるライラ。

 

『アハッ………アハハ!』

「がっ!?」

 

 振るわれた触手がライラを吹き飛ばす。地面に激突すると同時に疑似雪原(すいしょう)が舞い上がる。それが面白いのか、穢れた精霊はケラケラと笑う。

 

『フフ。ハハ。アハハハハ!! 【突キ進メ雷鳴ノ槍】!』

「!?」

 

 

 

 魔法に触手。リュー達の知る階層主を超えた圧倒的な破壊力を持つ穢れた精霊は敵味方関係なく楽しそうに破壊の限りを尽くす。第一級が為す術もない。おまけに……

 

「冒険者達を道連れにしろぉ!」

「……………」

 

 命を捨てた闇派閥(イヴィルス)の死兵に、標的を殺すために命を惜しまぬ暗殺者達が生きた枷になろうと掴みかかってくる。

 

「どうやら、この舞台が向かう先は『惨劇』のようですねぇ。精霊の虐殺という名の」

「………貴方だって、ただじゃ済みませんよ」

 

 ノエルを抱きしめながらヴィトーを睨むシル。穢れた精霊は敵味方の区別をつけていない。ただ壊し、ただ殺す。それは恐らくヴィトーとて例外ではない。

 

「それも本望です。『彼女』を解き放ち、バベルを破壊し世界是正の礎になるというのなら。後は、それを確実にするために『生贄』を捧げましょうか?」

「………っ!?」

 

 穢れた精霊の起源はモンスターが数多の『精霊』を喰らい、精霊の自我が乗っ取るもモンスターの性質、即ち破壊と殺戮の本能に支配された存在。

 

「上位精霊である貴方を取り込めば、『彼女』はより強大になる………良かったですねぇ、ノエルさん。本当の『家族』と一つになれますよ」

「いや………そんなの、いや!」

「させません。ノエルを生贄になんて!」

「貴方に何が出来ますか? なんの力もない、嘘を見抜くだけの貴方に!」

 

 より強くノエルを抱き締めるシルを嘲笑うヴィトー。シルが穢れた精霊に視線を向け、再びヴィトーを睨む。その目に銀の燐光が灯りかけ

 

『──────アァ?』

「っ!」

 

 キョロキョロと穢れた精霊が何かを探すように攻撃を止める。シルの肩が僅かに震えるのを見て、ヴィトーは訝しげに首を傾げる。

 

「貴方………『精霊』が反応する()()がありますね。面倒ですねぇ…………殺しておきましょう」

「させるか外道」

 

 一歩シルに近付こうとしたヴィトーの前に輝夜が立ちはだかる。

 

「おや、貴方が立ちはだかりますか。いやぁ、因縁というやつですかね? オラリオ崩壊の前に、相応しい戦いだ」

「くだらん嘘をつくな外道。オラリオの崩壊? 世界是正? 貴様()()()()()()()()()()()()()()()()

「……………もしや単純に、私は嘘が下手なのですかねぇ?」

 

 シルと言い、輝夜と言い。己の本心を見抜く女達にヴィトーは肩を竦めた。つまり、興味がないことを認めた。

 

「以前貴方には話しましたね。私が抱える欠落を」

「………それがどうした」

「私はこれを世界の瑕疵としながら、同時に何か意味があるのではないかとずっと考えていたのですよ。私のような『悪』に堕ちるしかない者がいるのは、世界の瑕疵ではなく意味があるのではないかと!」

「………それで?」

 

 どうせくだらん答えだろうと言わんばかりの輝夜の目を気にすることなくヴィトーは言葉を続ける。

 

「そして見つけました。その意味を………私は英雄に打倒される『悪』であると」

「…………ヴァルドの敵になりたいわけか」

 

 ヴァルド・クリストフに憧れ英雄を目指す者が居る。並び立ちたいと願う者が居る。方向は違えどヴィトーも似たようなものだろう。

 『敵』として、『英雄』に打倒される存在として己の『欠落』には『意味』があったと言い張りたいのだ。

 

「巫山戯るなこのクソ野郎」

「ふざけている? 私が?」

「ああ巫山戯ている。巫山戯ているとも………あの男が英雄だと? 悪を打ち倒すべき世界救済の象徴にでも見えたか戯け。あの男が英雄なわけがないだろう!」

 

 あれは凡人だ。何をまかり間違って英雄に()()()()()()()かなど知る由もないが、ただの一般人として生きるべき、冒険者として劣等と呼べる才覚が精神性だけで覚醒してみせた結果だ。その精神性だって歪なものだ。

 

「私は彼奴が嫌いだ! 世界の為に命を捨てられる、誰かの為なら喜んで死ねるあの馬鹿が大嫌いだ! 本当は死ぬのが怖いくせにその結果誰かが生きれるなら恐怖を押し殺せてしまうあの愚か者が嫌いだ! 私は呪うぞ、奴を英雄に()()()()()()この世界を、己の不甲斐無さを!」

 

 この世界を愛していて、この世界に生きる英雄を誰よりも信じている愚か者。自分という弱者が立ち上がる姿を見せれば皆が後に続いてくれると信じ決して挫けず立ち上がり続け、誰よりも先頭に立ってしまったあの馬鹿が、輝夜は嫌いだった。

 自分が歪んでいる自覚を持っているくせに、それでも信じ続けて止まらないあの男が目障りですらあった。

 

「だがそれ以上に、彼奴の『運命』を気取る貴様が気に入らん。お前如きが、下らん思想で奴の前に立つなど認めるものか」

「認めない、と? 一体何の権利があって………」

「権利などないさ。ただ…………」

 

 小太刀を構え、輝夜はニィと凶悪に笑う。

 

「彼奴に惚れた女として、お前のような倒錯者を関わらせたくないだけだ」

 

 大嫌いだ。理想を追い求める姿が癪に障る。

 それでも、ゴジョウノ・輝夜は…………ヴァルド・クリストフを愛している。




因みにヴァルド遅くね?と思う方もいるでしょうが、その気になれば一瞬で道塞いでる瓦礫を吹っ飛ばせるけどやりすぎると下の階層に落ちるし、巻き添えに出来ない恩恵なしがいるのと、【アストレア・ファミリア】やアーディ、豊穣の女主人と街娘の護衛を信用してるから。これ極東と姫と猫には内緒ね?



とある英雄と猫と街娘のやり取り

「ヴァルド、聞いて! モンスターの影響で生まれた下界の植物の中に、とっても美味しい果物があるって噂を聞いたの。連れてって!」
「断る。今日はダンジョンに潜る」
「え〜! 私と強くなるの、どっちが大事なの〜?」
「強くなること」
「即答!? も〜、少しは迷ってよ!」
「………解った解った、引っ張るな。今回は予定を立てたから、また明日なら」
「うん!」



「アレンさ〜ん、お願いが──」
「嫌です」
「え〜……はぁ、解りました。今回は諦め…………なんですか、その顔?」
「いえ…………貴方は俺達相手だと諦めず勝手に行動する時が多いですが、聞き分けのいい時もあります…………ただ、あの野郎相手でそんな姿を見たことがない、と思いまして」
「親友には我儘言い放題ですから」
「……それだけですか?」
「………だって、私、ヴァルドの困った顔が好きなんです。………フフ、内緒ですよ?」
「………………」

 次の日の猫は何時もより苛烈に戦う姿が目撃されたという。


「………………殺気?」
「ヴァルド、どうしたニャ?」
「お前のあに………いや、何でもない」
「疲れてるのかニャ? ミャーが労ってやるニャ!」
「その気持ちだけで十分だ」
「ニャ? ンニャア………んへへ、もっと撫でるニャ!」

 次の日の(以下略




『ヴァルドが絡まれ続けられるよりマシか、って諦める時の顔が可愛いんです。この世界が好きなくせに、修行ばっかりであまり知らないヴァルドがオラリオの外………と言っても近くですけど、知らない場所を見て目を輝かせて、それを誤魔化すのが好きなんです。また何処かに行こうねって言った時、楽しかったから断りきれずぶっきらぼうに仕方ないって苦笑するのが大好きなんです』
Q.あの後懇切丁寧にここまで説明された猫の心境を答えよ
回答者『英雄』
A.知らん。
答え
次の(以下略

Q.街娘とデートするだけで猫のヤる気が上がるよ?
回答者『英雄』
A.その為に彼奴を利用するわけないだろう

なんか思ったより筆が進んでヒロインも増えたので聖夜祭デート再アンケート

  • 家族仲良く リヴェリア、アイズ
  • 一度実家へ アルフィア、ベル
  • 聖夜祭だろ シル、ノエル
  • 夫婦水入らず リヴェリア
  • 義母義父のみで アルフィア
  • 街娘と日常を シル
  • 最も美しい女神(ヴァルド評) アストレア
  • 聖夜と言ったら聖女 アミッド
  • ツンデレ大和撫子 輝夜
  • 一人で過ごす男達の為に オッタル
  • 一人で過ごす男達の為に アレン
  • あるいはこんな世界 ディース姉妹
  • 聖夜祭は店も大忙し 豊穣の女主人
  • 何やらおかしな実験に フェルズ
  • ダンジョンデートだ 椿
  • ドロドロ依存 フィルヴィス
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