オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ノエルが治療を終え、地上に戻る一同。ヴァルドは報告があるとギルドに向かった。
そして、ギルドの地下にてウラノスとフェルズと話し合う。
「フィン達が討伐したのに比べれば数段劣るが、それでもオラリオの冒険者大半を殺せる怪物だった」
「そうか………それが、複数」
「それだけじゃない。輝夜が打倒したが、Lv.6に至った
嘗てゼウスとヘラに破れ、残された第二級冒険者達が復讐のために第一級まで上り詰めた。それと同じように、闇派閥の残党もまたヴァルド達に復讐するために牙を研いでいた。
「死した者に会いたいと願う者がいる限り
「それを言うなら君が去った後見つけられなかった我々もだよ」
ヴァルドの言葉にフェルズも申し訳無さそうに返す。
「………穢れた精霊は地上に再び戻ることを願っている。赤髪のレヴィスとやらや
「…………おまえが帰還する前提かは知らんが、その上で立てた策だとしたら?」
「だとしても関係ない。どちらにしろ、勝利しなくては下界に未来がないのなら、勝つのは
オラリオの外、人とモンスターのバランスは未だ名のある派閥が動かなければ対等とは言い難い世界。その天秤を傾けた男の言葉だ、説得力が違う。
「それじゃあ、俺は戻る。祝勝会に遅れてるからな」
「ああ………ヴァルド、あの子はあのままでいいのか?」
「…………あの子がそうするといったんだ、俺は父親として、あの子の意志を尊重する………………母親に怒られそうだし」
「?」
「みんな方針が違うから、どれが正しいかなどやはりわからんな」
豊穣の女主人に向かうと、既に【アストレア・ファミリア】とアーディ達も来ていた。
「おっそい! もう食べちゃってるわよ。ミア母さんのご飯美味しい!」
と、アリーゼ。
「こんなご馳走久しぶりにゃ〜」
「馬鹿娘どもが一人もかけずに帰ってきたんだ、こんくらいやっても罰は当たんないさ」
実際、ヴァルドが居なければ誰かがかけていた可能性は十分にある。
「それって、あたし等が居ていいのか?」
「うちの娘の一人のために戦ってくれたんだろう? お礼もするさ。ほらノエル、少し季節からズレてるがケーキもある」
ライラの言葉に豪快に笑いながらミアはノエルにケーキを渡した。
「あっ……これ『ブッシュ・ド・ノエル』。ノエルの名前のもとになったケーキだよ!」
「ついでに言えば、昔ヴァルドが作ったレシピのね」
「これ、ノエル? わたしとおなじ! おとうさん、つくってたんだ」
「菓子作りに関してはあたしより上だからね」
「光栄だな。冒険者をやめたら、菓子屋でも開いてみるか」
「ヴァルドのお菓子!!」
と、アーディやアリーゼが反応する。
「今はねりきりしかない」
「逆に何故ある」
雪の結晶が彫られたねりきりを見て疑問を口にする輝夜。
「荷運びの礼に貰った材料で作れそうだったからな。ミア母さんに明日の客に出してもらう予定だったが、折角の宴だ……」
輝夜は懐かしい故郷の味に舌鼓をうつ。とても美味い。ノエルも目をキラキラさせて腕をブンブン振っている。
「おいしい! おかあさん、おとうさんのおかし、おいしいね!」
「ふふ、そうね。ヴァルドはお菓子作りがとっても上手なの」
「……………………どうしてノエルちゃんはヴァルドとシルさんをおとうさん、おかあさんって呼ぶの?」
と、アストレアが不意に尋ねる。輝夜が僅かに肩を揺らす。
「ヴァルドが小さい子にお父さんって呼ばれるのは何も初めてじゃないですよ」
「ええ、そうね。それは知っているのだけど………」
因みに一番多いのは歓楽街の子供達だ。多すぎて実は本物が交じってるんじゃないかと噂になってたりするが、ヴァルドがちゃんと一人一人調べたので全員ヴァルドの子ではない。
「その………どうしてシルさんをおかあさんと呼んでるのかしら?」
「それは私がノエルのおかあさんだからです。ね〜?」
「うん!」
「………………そうですか」
「にゃ〜………? はっ! そう言えば、アストレア様とシル会うの何気に初にゃ! だから警戒してるにゃ」
名推理! と豊かな胸を張るアーニャ。
「………そうね!」
「うわっ、びっくりした」
アリーゼは切り上げたほうが良さそうなのであえて大声で叫んだ。
「それにしても、こうしてみると大分雰囲気が変わったよね」
「…………?」
ノエルが放つ精霊の気配に呟くルノアにノエルは不思議そうに首を傾げる。
精霊とは、神と同じく対面したものに種族を察せられるほどの気配を放っているのだ。
「だからエルフ共が外からよってきてんのか………」
「うちのポンコツも距離取っておりますしねえ」
「せ、精霊に近付くなど恐れ多く…………」
エルフの里によっては神より崇められる精霊。その気配に一目見ようと店の外にエルフが集まっている。リューも距離を測りかねていた。
「これから面倒になるかもね。ノエルと契約、なんて言う輩が出てきそうだよ」
「わたし、おとうさんとけーやくしてるよ?」
「そうだな。そこもギルドを通して公表させるか」
エルフの一部が騒ぎそうだが………。まあ騒ぎ立てるエルフが束になっても、ノエルの自由のために負けるつもりはないが。
実は2柱目と知られたらもっと面倒なことになりそうだ………。
「………ふみゅ」
「あ、ノエル………こんなところで寝ちゃ駄目だよ。ほら、一緒に部屋に行こう? 一緒に寝よっか」
「むにゅ………おとうさんも」
ピシリと空気が凍る。ヴァルドはキョロキョロと辺りを見回す。ノエルも首を傾げながらヴァルドの服の裾を掴んだ。
「…………だめ?」
「いや………」
睡眠は
リヴェリアとアイズ、ベルやアルフィアの時とは違い面倒な予感しかしない、と外の気配を探るヴァルド。
「お願い、ノエルが寝付くまででいいから」
「……………解った」
「寝たか?」
「うん………これだけ深く寝れば、朝まで起きないよ」
ノエルが寝たのを確認すると、服を掴んでいた手をそっと放すヴァルド。音を立てぬように立ち上がり、シーツをかけ直してやる。
「…………本当は」
「………」
「この子は、あのまま居なくなってしまってもおかしくなかった」
「…………………」
精霊が人を真似る奇跡は、相応の力を有する。それこそ、初めてあった時ノエルから精霊の気配が殆ど消える程度には。
「本当に全部助けちゃうんだから、凄いなぁヴァルドは」
「俺一人では何も知らないまま終わっていた。お前がいたから気付けたんだ」
「ふふん、尊敬してもいいんだよ?」
「ああ………子供を想う時のお前は、尊敬に値する」
「……………………」
素直に褒められ気恥ずかしそうに押し黙るシル。
「…………ありがとう、ヴァルド。この子を助けてくれて」
「助けるさ………俺はノエルのおとうさんだからな」
ヴァルドはそういうと部屋から出ていった。おそらくは、ダンジョンに向かうのだろう。
Lv.8になって、それでもまだ強さを求めてる。それも当然か、彼は世界を救えると思っていなくても、世界を救いたいと思っているのだから。
「救えると思うけどなぁ、あなたなら」
今日だってそうだった。ノエルの頭を撫でながら、シルは今日を振り返る。
なんの説明もなくただ助けてと言った自分を助けてくれた。ノエルの願いを叶えた上で、ノエルを繋ぎ止めてくれた。
自分の命を顧みないのが難点だが、誰かを救おうとする時は何時だって死んでいられないとばかりに生き残る。ちょっと頭おかしいレベルで………。
「でも本当に、誰かのために必死になれるんだよね………」
もっと自分を大事にしろと言いたいが、そんな彼に興味を持ったのだから文句も言いにくい。
「ベルさんもサポーターの子を助けたり、似た者師弟だから、きっとまた誰かを救うんだろうね〜?」
「んぅ………」
救われた側である自分とノエル。でも、特別だから救ったわけではない。誰でも救う、その中の一人でしかない。
まあ、友人だしただ助けられる誰かよりは特別なのだろうが………それ以上は望めない。望んではならない。
ある意味ではリヴェリア達よりも特別視されているわけだが………その結果距離を取られるなど皮肉な話だ。
「…………………」
今の関係が、自分と彼の最良の関係。それを崩そうなどと、馬鹿なことを考えるな………。
『………助けて、ヴァルド』
『解った』
「……………」
ノエルは寝ている。護衛は、声が聞こえる距離にはいない。だからこれは、誰にも聞かれない独り言。
「好きだよヴァルド…………大好き」
決して口にはできない、既に諦めた街娘の恋の告白。
その頃の女神の従者は…………うん、言わぬが花な気がしてきたぞう!
なんか思ったより筆が進んでヒロインも増えたので聖夜祭デート再アンケート
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