オラリオに失望するのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ヴァルドを踏み潰した黒い巨獣。
竜すら簡単に屠った怪物だ、ここにいる者達に勝ち目はない。
全員が戦慄する中、怪物の姿が
「ふう………」
黒い霧となった怪物の体はヴァルドを踏み潰した場所に集まり、ヴァルドが一本の大剣を持ち姿を現した。
「ボ、ボルト先生………大丈夫なんですか?」
「爪や牙ならともかく、ただ重いだけの一撃なら問題ない。彼奴も、それがわかった上で拗ねたんだろ」
「拗ね………?」
「前回使った力はまだ納得できても、この程度の剣を自分の代わりにされるのが納得できないようだ」
そう言って溶け崩れた剣を放り捨てるヴァルド。大剣を背中に回すと布が現れ剣身を覆う。
「帰ったら調整を頼む。それで少しは機嫌も良くなる」
「心得た」
幼女はヴァルドの言葉に仕方ないというように肩をすくめた。
その後解散し、翌日。
魔法薬学の権威かつ魔法薬学法人団体会長兼マンドラゴラ保護会会長という肩書の多い校長と少し話してアイルズの授業を手伝いに行くヴァルド。
「…………?」
学院の空気が可笑しい…………いや、これはこの世界そのものが歪んでいる? 魔竜を倒した影響か?
疑問に思いながらも日中はこの世界に合わせている。教室の扉を開くと既にアイルズが来ていた。
「揃ったようだな………では、殺し合え」
「…………ん?」
「存分に、仮借なく、鮮血を撒き散らして。杖の歯の仕様はもちろん、撲殺絞殺毒殺爆殺、その他の殺し方は許可しない。扱うのは剣のみ。私が諸君に教えた剣学の全てを持って殺戮しろ。上手く殺し合えた者から単位を与えることにする」
「何を言って……」
と、アイルズの言葉に疑問を持つヴァルド。ただし周りは違ったらしい。
「「「はーい、アイルズ先生!!」」」
不気味なほど明るい声で応える生徒達。アイルズの始めという声と同時に近くの相手に飛びかかる。
剣戟の音が響き、鮮血が舞う。
「せーんせ、右腕を頂戴? 代わりにあたしの左足をあげる!」
「ああ、ボルト先生! あなたの心臓を抉り出させてくれ! それを食べて、私達はずっと一つになろう!」
「ボルト! 血の一滴までオレによこせ!」
「…………………ふむ」
ヴァルドはアイルズを切り裂いた。途端に生徒達が糸の切れた人形のように倒れる。
「………弱いな。本物の足元にも及ばん………しかし、面倒な」
「次の番人を速やかに倒すのだ」
と、何時の間にか現れる幼女。
「既にこの世界に合わせる道理はなくなったか。場所は?」
「小城」
「解った………む」
と、廊下から叫び声と足音が聞こえてくる。
「急げ! アイルズが倒れた! 『歪み』を正すのだ!」
この世界の住人達だろう。向こうの数も分からず、ソフィ達もまた可笑しくされる可能性がある中戦うのは避けたいが………
「嗚呼、ボルト先生………どうしてあなたはボルト先生なんだ! キリッとした横顔もかっこいいよ〜、はぁ〜ん!」
「フィル………フィリウス? お前、おかしくなっていたのではないのか?」
「フハハハハッ! 私の頭は最初っからおかしいわ!」
この世界を作った精霊達は一体どういう基準で偽りの人格を設定したのだろう。ただでさえ真面目なエルフ3人が、こんな痴態に………何かもう大きな悪ふざけめいた意志を感じる。
「この身は闇の権能から力を授かった、汚れし使徒! 世界の因果律が崩壊したところで汚染されることはない!」
「何? 既に別の汚れを背負っている?」
フィリウスの言葉の意味を正確に読み解くヴァルド。まあ頭がおかしくなってるのは確かなので深く考えても意味がないか?
フィルヴィスは現実でも明らかに何かを隠しているが、自分に知られたくないようだし…………彼女の主神に聞いてみたいが実はタイミングが合わず直接あったことは数回しかない。
(避けられているからな)
神威の効かないヴァルドは本来なら神がその気になれば人類には不可能に近い神殺しを簡単に行える。それ故にヴァルドを避ける神も珍しくはないのだ。
「まあいい、今のお前なら触れられない、なんて事は言わんだろう。運ぶのを手伝え」
「報酬は?」
「……………」
「後で体をクンクンさせてくれる?」
「もうそれでいい」
ヴァルドはフィリウスにセフィアとアクトを運ばせ、周囲を警戒しながら移動した。
「一先ずここで休むか……」
追手を撒いてセフィアとアクトを眠らせるヴァルド。フィリウスはヴァルドの胸に顔を埋めクンクン匂いを嗅いでいる。
「うっ………ここは?」
「あれ、私達………」
「起きたか」
フィリウスは気にせず後ろに回りうなじをクンクンしている。
「酷い悪夢を見てた気分だ………今も悪夢なのか? 頭痛が止まらねえ」
「ええ、ずっと耳鳴りもする。どうしてあたし達、あんなことを………」
「記憶があるのか?」
「………残念なことに。先生に、あんな提案しちゃったことも」
と、自己嫌悪から俯くセフィア。アクトも似たような様子だ。フィリウスが服を脱がせようとしてきたので流石に止める。
「一体、俺達になにが………」
「隠し立ては不要か。全て話そう………」
と、ヴァルドはオラリオの事、彼女達の本当の名前、この世界について話すことにした。
「つまり、今のあたし達は本当の自分じゃないと」
「ああ、正直正気に戻った時お前達の精神が崩壊しないか心配になるぐらい本来の人格と異なる」
おまけに3人揃ってエルフだ。心配、などといったが間違いなく発狂するだろう。
「………信じるよ。先生の言う事……不思議なんだけど、受け入れられるんだ」
「それで、俺達はどうするんだ?」
「小城に向かう。お前達はどうする?」
「もちろん、あたしは先生についてくよ!」
「オレもだ」
「私は………少し調べたいことがある。少し離れていいだろうか」
と、フィリウスだけは同行せず、一同は小城に向かった。道中モンスターや教師が襲ってきたがヴァルドがあっさり倒した。
「いいぞ、全て、導かれるままに進んでいる」
「うわ!? またどっから現れたんだこの幼女!」
と、唐突に現れた幼女に驚くアクト達。
「この先に居るぞ、番人だ」
「番人……あのボルトの剣だっつー化け物に潰された魔竜もそうなら、七不思議的に次は…………」
「悪狼だな」
と、眼の前に人影が現れる。
「よく来たな、ボルトとその仲間たち!」
現れたのはボールスそっくりなこの世界の住人ボールド。
「……お前が、悪狼?」
「俺の正体を見破るとは流石だな。そう、膝に矢を受けた話も満月の夜に姿を現さなかったのも全て
何一つ知らないのだが、その伏線。
「ていうか膝に矢は関係ないだろ!」
と、アクトが叫ぶ。確かにこの学院に悪狼に矢を放ったことがある誰かがいれば伏線になり得たが、そんな話聞いたこともない。
「俺は夜になると残酷な獣と化す人狼! 夜な夜なこの屋敷に足を踏み入れては迸る獣性を解き放っていたのだ!」
「聞いてもないのに説明始めた!?」
「そのあまりの凶暴さに誰もが恐れ、ついた渾名が──【
ベートが知ったらぶっ飛ばしに来そうだ。
「正体を見破られたからには、生きて帰すわけには行かねえ! ここで血祭りにしてやるぜ! ウオオオオオオオオオ!!」
「ほ、本当に狼に変身した!?」
「ふっ!」
「きゃいん!!」
「そして瞬殺された!?」
2体目の番人があっさり倒され、世界が歪む。同時にセフィア達が頭を押さえ苦しみ出す。
「『洗脳』も解けつつある。後は現実世界に紐付いた言霊をぶつけるしかない。ヴァルド、君の出番だ………ごにょごにょゴニョリータ」
と、幼女はヴァルドに耳打ちする。
「愛してるぞ、ソフィ」
「はあああ!?」
「数年ぶりの再会だったが、伝え忘れていた。綺麗になったな、アウラ」
「ひゃうっ!?」
「ふむ、流石は色を拒まぬ英雄。この手の言葉はお手のものか」
幼女が感心する中、二人の顔はどんどん真っ赤に染まっていく。
「「ひにゃあああああああああああ!?」」
そして同時に叫びだした。
「あああああああああああああああ!? なんで、私あんな破廉恥な性格になってヴァルド相手に汚らわしい真似をー!?」
「私など何故男になって同胞に恋慕の念を!? 過去に助けられたお方にあんな無礼なあああ!?」
「よし! もとに戻った!」
この世界の住民として過ごした自分の所業が
「「死ぬ! 死んでしまう! いっそ死のう!!」」
「いかん! 精神が死んでしまう!!」
「………まあ、知ってた」
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