オラリオに失望するのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

65 / 87
中層の洗礼

 ヴァルド達が悪夢に囚われていた頃、ベル達は中層に来ていた。

 

「ここが、中層…」

「そういやベル、ヴァルドさんから中層での思い出とか聞いてないのか?」

「えっと………師匠はLv.1の時に臨時パーティーでおいてかれたってお義母さんに話させられてたかな」

 

 話していた、ではなく話させられていた。ここが重要。義母は自分が知らず他の誰か(主に女)が知っているのが我慢ならなかったようだ。

 

「………参考にならねえな」

「あと、ランクアップした後、謹慎が解かれてから水の都まで行ったって」

「参考にならないです………は? え、水の都って下層………」

 

 そのまま数日ほど潜っていたらしい。ただ、その時の事は詳しく話してくれなかった………あれは、義母ではなくベルに何かを隠していた……。

 

「っ! 来る………!」

 

 と、ベルが足音に気づく。この足音は………四足獣!

 ベルの感覚に狂いなく、現れたのは犬型のモンスター。口の中から煌々と輝く火が除く、5体のヘルハウンド。

 『放火魔(ヴァスカビル)』の異名を持つ火を吹くモンスターだ。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 一切の逡巡なく放たれた速攻魔法。先頭のヘルハウンドが焼かれる。

 その判断の早さに一瞬遅れるヴェルフとリリ。しかしすぐに追い付く。

 

「ベル様、突っ込んでください! ヴェルフ様、援護を!」

「おう!」

「うん!」

 

 先頭がやられても、駆け引きを行う深層のモンスターでもない中層種はモンスターの本能に従いベル達に襲いかかる。Lv.2の上がりたてとしては破格の敏捷を持つベルが特攻し再び火を吐こうとしていた個体の顎を蹴り上げる。

 ガチンと牙が折れる勢いで口が閉じられ口内の火が暴発する。残り3体が自分達のど真ん中に現れたベルに牙を剥く。この距離なら爪牙が先に届くと襲いかかるも、一匹の目に矢が刺さり、一匹をヴェルフが大剣で切り捨てる。

 最後の一匹はベルの『牛若丸』によって切り裂かれた。

 

「ふぅ………」

 

 戦えている。

 「じゃあとりあえず下層までいってみるか」とか考えるどこぞのキチガイめいた行いはしないが、もう少しだけこの中層に留まっていられそうだ。

 

 

 

「………ん?」

 

 と、ベルはふと複数の足音を捉える。リリやヴェルフがベルだとからかっていた色合いそっくりのアルミラージが周囲でピョンピョン跳ねているが、それとは別の振動。まだ距離はあるが、近付いてきている。

 二足のモンスター………いや、これは靴………複数の人間と……大量のモンスター!

 リィンと鈴の音が響く。

 

「ベル様…?」

 

 ベルのスキル、【英雄願望(アルゴノゥト)】。

 蓄積(チャージ)時間に応じて次の行動の威力を高める逆転のスキル。代償として体力と精神力を大きく消費するスキルをこの場で使うことに首を傾げるリリ。しかし、犬人(シアンスロープ)に変身していた耳がベルに遅れて足音に気づく。

 

「てっ、こっちに来てます!? ヴェルフ様、モンスターの大群が冒険者を追って…………!? 速度を上げて、まっすぐ!!」

「は!? くそ、押し付ける気か! おい、べ──!」

「【ファイアボルト】!」

 

 魔導士の長文詠唱に匹敵する魔砲となった紅蓮の雷が冒険者達の頭上を通り越し天井を焼く。赤く輝く瓦礫がモンスター達に降り注ぐ。

 

「援護します! そのまま走って!」

「ああ、もう! ベル様のお人好し!!」

「ははっ! まあ、こうなったら仕方ねえだろ!」

 

 困惑している冒険者の横をすり抜け瓦礫から這い上がってきたモンスターを蹴りつけるベル。すぐさまヘスティア・ソードと牛若丸の二刀流でモンスターの群を削っていく。

 

「ガアア!」

「っ!!」

 

 と、瓦礫から這い出したヘルハウンドが大口を開ける。炎が来る。防御、回避、迎撃、どれも間に合わない!!

 放たれる炎は………しかしベルが装備する火精霊の護符(サラマンダーウール)によりなんとか耐えられる。

 が、輝く目隠しとなった炎を突っ切りハード・アーマードが体当りしてくる。

 

 上層最硬のモンスター、ハード・アーマード。その中層種の一撃に吹き飛ばされるベル。

 倒れた獲物に、爪と牙を向けるハード・アーマード。鋭い一閃が柔らかい腹部を切り裂いた。

 

「助太刀感謝。ここからは自分も戦います!」

 

 ベルを救ったのは先程の冒険者の一団に交じっていた少女。動きからして、恐らくLv.2の上級冒険者。

 先の一閃からも読み取れる高い技術は、ステイタスに依存してない証拠。

 

「ヴェルフ様はリリを守ってください! ベル様、冒険者様! 援護しますので突っ込みすぎないで!!」

 

 ヴァルドの知り合いの小人族(パルゥム)から貰って来たらしい薬品の詰まった瓶を取り出すリリ。

 細長い瓶に入ったそれをボーガンで射出する。

 ガシャンとモンスターの額に当たり砕けると中の液体が顔を多い、モンスターが激痛で喚く。

 

「冒険者様、お仲間の皆様は!?」

「おかげさまで撤退できました………ですが………」

 

 何匹かは後を追った。あの数なら、恐らくは対処できると思うが自分達まで向かったら結局元の木阿弥。

 リリは事前に調べた中層の地形を思い出す。

 

「あちらに逃げます! ベル様! 冒険者様! やっちゃってください!」

 

 リリが示した道を塞ぐモンスターを一気にふっ飛ばすベルと少女。一瞬だけ空いた穴に飛び込みモンスターの包囲から抜ける。

 逃げ切れないにしても態勢を立て直せばまだ勝機はある………!

 

「………?」

 

 ビキリ

 モンスターが生まれる音がする。パラパラと落ちてくる砂埃。

 ベルは上を見て固まる。通路の天井に走る無数の亀裂は、生まれてくるモンスターが一体ではないことを示していた。

 怪物の宴(モンスターパーティ)

 最悪のタイミング、最悪の場所………迷宮の悪意が、先程我が子達へベルが行った事の意趣返しとでも言うように牙を剥く。

 

「頭を庇って!!」

 

 リリが叫ぶと同時に降り注ぐ岩雨。生まれたてのバットバットの羽音が哄笑の様に響き渡る。

 

「ぐぅ………」

「うう………」

「っ……」

「……くっ」

 

 4人とも、なんとか無事だ。リリの指示のおかげで頭を打ち意識不明、などという最悪な結果は免れた。

 だが、それは落石の被害による最悪。ダンジョンの最悪は、まだ更新されていない。

 

「っ!!」

 

 瓦礫の上に降り立ったヘルハウンド達の口が赤く灯る。一匹には対処できるかもしれないが、この数は………!!

 紅蓮の炎が冒険者達を包んだ。

 

 


 

 

ちなみにヴァルドはLv.2初の中層進出時にそのまま下層に向かい悲鳴が聞こえモンスターに囚われたハーピィとハーピィを助けようとするモンスター達を見つけた。

モンスターを襲ってた奴は強化種でマーマン・リーダー。冒険者から奪った槍を使う他、同種以外も操る、味方を狂化する咆哮を放つ、やられた配下(強化種含む)を喰うなど強化種として後に現れるモス・ヒュージ同様高い知性を宿す。能力値(ポテンシャル)はLv.4中位。

高い能力を持ちながら指揮官タイプで、常に退路を用意していたが最後は部下を退け、ヴァルドと一騎打ちの末敗れた。

この時他のモンスターとの戦いで多少負傷していたとはいえ何度もいうがLv.4相当。ヴァルドがダンジョン禁止にされ、地上でフィン達にランクアップ後の調整を受けていたとはいえLv.2なりたて………本人曰くどちらが勝ってもおかしくなかった。次のお前の台詞は「そこがおかしいことにまず気付け」と言う。

重傷を負って動けなくなったヴァルドは………この先を知ってるのはウラノスとフェルズとモンスター達ととある女だけ

何時か詳しく書くかもね

カーリー・ファミリアのバーチェがどうなるかは決めてるんですよ。アルガナはどうしよう

  • フィンに任せる
  • ヴァルドに調き─鍛錬されたティオネが勝つ
  • ヴァルド「戦士の作法を教えてやろう」
  • 船止めるためにぶん投げた石で船ごと沈む
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。