デスゲームに巻き込まれました 作:神さまぶっ飛ばし隊
さて、なんの試験を選ぶか。
目の前で試験票をめぐって罵詈雑言が飛び交う学生たちを見ながら頭をひねる。
明日の朝までに決めればいいって言われてもあんな勢いで受験票を取られるとこっちが選べなくなっちゃうし。
「お、おい。どーすんだ?どれを選ぶのが正解だ?」
「私達ももう行った方がいいんじゃないの?」
やっぱりみんなも悩むよな。神崎、動きます。……やっぱもうちょい考えさせて。
そんな中、あの男はいつも通りだった。
「果たして何を選ぶべきなのかと考えるのが
うん、さすがお前だ。いつも通りでちょっと安心したよ。
「……多数決をとろう」
明石の言葉にそれぞれの意見で分かれてみる。
すると、
「『いすとり』がいいと思う人が9人、『あやとり』が
ちなみに俺は『すなとり』派。
明石とアフロとタンクマンと芽衣ちゃんと涙ちゃんが俺の仲間です。
「おいおいなんでお前ら『いすとり』なんだよ!?生き残れる確率を考えろよ!!!"24/32"だぞ!?」
「そうだそうだー」
「……っ」
「私はアカッシーと一緒ならどこでもいいかな?」
!?……明石ィ!許さんぞ貴様ァ!何で芽衣ちゃんといい雰囲気になってるんだ!ちくしょうめ!……ちくしょうめぇ…。
「でも、音楽室で『いすとり』ってあれでしょ?他はよく分からないし…」
「せやせや、『あやとり』はまだ分かるが『すなとり』ってなんやねん」
「なるほど、生き残る確率より種目への慣れを優先したのか…」
ハラカイやら大阪人やらのその言葉に納得するアフロ。まあ、理屈はわからんでもない。
「……か、神崎さんが『すなとり』なら私もそうしようかなぁ?」
明日菜ちゃんがこっちをちらちら見てる。
あの時助けたから頼られてるのか。……フッ、でも今回俺足でまといになりそうだからやめておき。
それにしても意見がバラバラだなぁ。はてさてどうするか。と、その時だった。
「楽しいねー」
隣でそう呟いた涙ちゃん。
その目からは涙がこぼれていた。
「……?」
「え?ちょ……どしたの?」
「涙……ちゃん?」
「へ?……あ、いや、なんでもない。ごめんね」
戸惑うみんなに涙を拭いながらそう言うがなんでもないわけなかろうて。……まあ、突っ込むのも無粋だ。そう言うのならそういうことにしとこう。
「クライベイビ?」
「なんでもないの!!」
おい丑三やめろ。
くそ、クライベイビとかとある"サクラ"を思い出したじゃねーか。
「……じゃあ『すなとり』と『いすとり』で決選投票しよーぜ。それなら文句ねーだろ」
とアフロがそう言うが、
「ちょい待ち。こっからは各々で行くべ」
俺がアフロの肩に手を置きそうストップをかけた。
「え?」
「……俺もそれがいいと思う」
明石も同意。以心伝心やな。
「でもせっかく仲間になったんだし…」
アフロがそう言う。おめー良い奴やな。俺は好きだぞ。
「仲間だ仲間。でも俺たちって全員で20近くの人数だ。どこかひとつの試験に密集したら死ぬやつも多く出てくるだろ。それならバラけて各々でクリアを目指した方がまだ可能性はある、と思う。それに誰かに決められて受けた試験で死んだら納得いかないだろ。自分で選ぶ道で戦って悔いのないようにした方がいい」
「……なるほどそれが
やめてその言い方。すごくダサいと思います。
「まあ、確かに。言われてみたらそうかもな…」
「……じゃあ明日。それぞれの受験票を持って……またここで会おう」
そんな明石の言葉でその場は解散となった。
宿泊棟。そこに集まった生き残りたち。
女と男で別れてるためにむさ苦しい空間になっていてとても憂鬱だ。
花園へゴートゥーしたい…。
「結局みんなはどれにすんの?俺は『いすとり』だけど…」
「俺は一応『あやとり』だけど…」
「俺は『すなとり』にしたで」
修学旅行のようなノリで次のゲームの話をするみんな。
アフロと伊集院くんが『いすとり』、ハラカイが『あやとり』、タンクマンと大阪人が『すなとり』か。
「明石はどうすんの?」
「え?あ、まだ貰ってないや…」
となると決まってないのは俺と明石だけか。
ぶっちゃけどこに行ってもいいと思ってるからな。どこでもいいからどこか1つを選べない状況。結局死ぬ時は死ぬんだし。
「あれ?そういえば丑三は?」
ハラカイが辺りを見渡しながらそう言った。
そういや見てないなあの男。トイレかどっかででけえもんでも出してんのか?
「あー、確かに。どこ行ったんやろ?」
「女子たちのところでは?」
「……ありえるな」
「……え?」
マジかよおい。
……様子見に行くか。
「神崎、どこ行くんだ?」
「ちょいと便所だ。すぐ戻る」
「?おう」
そんな会話を明石としながら部屋を後にする。
……出たはいいけど女棟の場所を知らん。どっちだよ。……サンタにでも聞くか。
そんな風に思いつつ廊下を歩いていると、
「歌ァ〜〜唱ォ〜〜力ィ〜〜〜ッ!!!」
「うぉッ!!??」
背後からいきなり聞こえた大声。
恐る恐る後ろを振り返ると、
「あはは、ビックリした?ごめんごめん」
そこには涙ちゃんがいた。
「あのクソガキかと思ったわ。あ〜、死んだ思った…!……あ、そういや丑三見なかった?」
「え?……ううん、見てないよ。芽衣ちゃん達すぐに寝ちゃったから暇なんだ、私」
丑三はほんとどこいったんだ?まあ、涙ちゃんに特に何も無かったから良しとするが。
「……ちょっと話さない?付き合ってよ」
外を指さしそう言われる。
「……いいよ」
断る理由もないしね。なにより美少女空のお誘いは乗ってやれとうちに代々伝わる言葉ですから。
さて、その外のベンチへとやってきた俺たち。
今なおゲームを何にするか悩んでいる人たちを見つめながら2人並んで腰かけていた。
「あ、あの…、やっぱり『すなとり』で…」
「よかろう」
「俺も変更で…」
「やっぱりまだ皆悩んでるんだねー」
「でしょうね」
そりゃ自分の、まさに命運を分ける選択なわけだから悩む。悩まない方がおかしい。
こっちを選んでいざ始まったらあっちが良かったかもと思うことになるだろうし、それを考えるとなかなか決まらないのも普通だろう。
「……涙ちゃんは決まったん?」
「んー、分かんない。別になんでもいいんだよね」
「……あれまあ、自分の命に執着しないタイプ?」
まあ、初めましての時にこの状況を楽しそうって言ってたし、頭のネジは外れてるっちゃ外れてる子だもんな。
「……自分の命、かぁ。……私ほんとはさぁ、死ぬつもりだったんだよね」
「おん?」
なんかいきなり重い話が降り掛かってきた?
どうしたどうした?
「なんか生きてても楽しい事ないし、全部どうでもよくなっちゃって…、そしたらそこに『にの』が来てなんか面白そうだったからついてきちゃっただけなの。だから何でもいいの私。死のうと思ってたあの日常より、今が楽しいから」
「……」
ふむ。……なんかすまんな、こんなアホな男がそんな話聞いてしまって。もっといい相談相手ってか話し相手ってか、そーゆー奴いたのにね。ほんとごめん。
「死ぬぐらいで脅そうだなんて、神さまも大したことないよ」
「……」
「なーんてね。私、神崎くんといると楽しいよ」
「……っ」
……ふ、ふーん?なるほどね。……いや別になんも思ってないよ?別にね?うん。照れてなんかないし。
……実際めちゃめちゃ嬉しひゃっほい。
「だからね。迷惑かもしれないけど、これからも神崎くんと「じゃあ一緒に行動すっか」…へ?」
「こんな馬鹿な男でいいなら一緒にいよ。んで、一緒に生き残る、OK?」
俺の言葉に惚ける涙ちゃん。
目と目が合い、そして、
「……うん、そのつもりです」
笑顔でそう頷いた。
「よし来た。そんじゃどこに行く?俺もまだ決めてねんだよねー」
「んー、どうしよっか」
「堅実なのは生き残る確率75%の『すなとり』なんだけど、ある程度ゲーム内容を予測できる『いすとり』もあり。でも結局は全部詳細までわからんから『あやとり』を選ぶのもいいんだよな」
はてさて、これは悩ましい。
俺一人ならどこでもなんだが涙ちゃんといるとなるとやっぱり慎重になってきちゃうな。
そうやって頭をひねっていたわけなんだが、
「ダメだよ。それじゃあ楽しくないじゃん」
「……おん?楽しく?」
何言ってだコイツ?
「"どれにしようかな?"で決めるってのはどう?」
……まじ?
流石俺の見込んだ涙ちゃんだぜ…。常人には考えつかないことを思いつく。そこに痺れる憧れるぅ!!!
「だはは!いーよいーよ!それで行こう!」
「うん!それじゃ一緒にやろ!ほら、指!……せーの♪」
──どーれーにーしーよーうーかーなー♪
感想、評価待ってます。