デスゲームに巻き込まれました 作:神さまぶっ飛ばし隊
「……何それ?」
芽衣ちゃんの言葉が響いた。
ハラカイの手に握られたカプセル。豆のカプセル。この場にいる誰もがそれに目を集めていた。
「何だろ?さっき廊下で拾ったんだけど…、何か関係ある?」
「それ中に何か入ってるんじゃない?開けてミソドレミファ」
「うん…」
伊集院君のゴビが特殊すぎる件について。そっちが気になって話が入ってこねーわ。
「あ、これ…!」
俺が伊集院君の語尾に気を取られる中、ハラカイがカプセルを開けていた。そして、中から取り出したのは、
「豆…だ…」
1粒の小さな豆。
「「「……」」」
うん、豆だね。
……みんな無言になっちゃったよおい。確かに反応に困るわな。だって豆だもん。
「ま、豆の中に豆?」
「どゆこと?」
「……」
「マメーメマー!マメマー!ハハ!」
「…さぁ?」
「さっぱりわからん」
なんだろう。なにかのヒントなんだろうけど……。もしかして食えってこと?食ったら力が溢れてくる系?仙豆?
「あ、ちょっと!?」
「「!?」」
褐色のツインテール、明日菜ちゃんの叫び声のような声を上げた。
視線を追うと豆を食べようとしてるハラカイが……って、
「おぉぉぉぉぉい!?」
「うわっ!?」
あ、あぶねー。既のところで横から分捕れた。
「何考えてんねん!食おうとすんなやボケェ!」
「え……毒味、的な…」
「アホかお前!一個しかないねんぞ!?クリアのヒントだったらどないすんねん!」
「いや、かじるだけ…」
「マジかコイツ……」
芽衣ちゃんがドン引いた。
「う゛ぅ゛……」
あ、明日菜ちゃんもだったわ。
いや、でもまあ無闇に食おうとするのはあれだよね。ホント、うん。
と、そうやってワーワー騒いでいると、
「あのー、それ。そのカプセルみたいなの他にもあったよ」
「「「!?」」」
明石が他にも見ていたらしい。
……もしかしてあの時、ロッカーを見てたのってそういうこと?
「俺もここに来る途中に見た!他にもいっぱいあるのかも!」
「でも、どういう意味なんだこれは?」
「いや、それはまだ分からないけど」
「じゃあ座れ。絶対なにかのヒントなんだけど…」
謎解きってやつだな。お生憎俺はこういうの苦手だからほかの人任せにしかできんからなぁ。頑張って、明石。
「てゆうか、そもそもなんでこんなとこに連れてこられたの?私は風邪で学校休んでただけなのに!なんでこんな人がいっぱい死ななきゃいけないのよ!?」
「これ昼間の事件とやっぱ関係あるよな。世界中で起こってるってゆーてたし。高校生を狙ったテロかなにかやできっと」
「
「じゃあさっきの『カミ』って子は何なの!?完璧人間じゃん!宇宙人とか言うつもり!?」
「Wait Wait Wait Wait……、そういう話はナシにしようって言ったよね?現状じゃ誰も推測の域を出ないよ。『そもそも論』はやめよう。落ち着いてみんな、クリアするために情報を出し合って状況を整理しよう」
……タンクマンしょごい。まとめ役がいるとここまで落ち着けるものなんだな。
とりあえず現状わかることは、
1、これは何らかのオーディション
2、1のために全国から高校生が集められた
3、オーディションなら合格する方法がある
4、でもその
話し合いで出たのはこれくらいか。
うーん、さっぱりだね!頭を使うのは俺の分野じゃないです。
「ねぇねぇ」
「おん?」
うんうん唸っていると袖を引かれた。
振り返るとそこには涙ちゃんがいた。
「どしたー?」
「みんな見落としてるかもなんだけど、あのカミが割ったくす玉から垂れてた幕に書いてた文字、『はらうはるはろう』ってなんかのヒントじゃないの?」
「「「!?」」」
「……そういやなんかあった気がするな」
鬼に追いかけられててよく見なかったけど確かにチラッと見た気がする。
「そーいえば書いてたかも……」
「え?マジ?」
「気づかなかった…」
「ナイス涙ちゃん!よく見てた!!」
「……目はいいんだ」
これで1歩前進やな!……でも、
「どゆ意味なの?はらうはるはろうって」
「『はろう』……ハロー?『こんにちは』的な?」
「あ、そーいえば"しりとり"がどうとかも言ってたような…」
「うーん、ようわからんな」
謎が謎を呼び深まる謎。……なんか今のカッケーな。
「確か鬼って4体いたよな?」
「そーだね、フフ。しかもそれぞれに
赤い鬼が"あったか〜い"で触れたものを燃やす。
青の鬼のしゃくれが"つめた〜い"で触れたものを凍らせる。
そして、
「黄色のちっこい鬼の能力はまだ誰も見てない、と。でも必ず何か能力があるはずだ。気をつけよう」
「気をつけるったって、どうするんですか?もし出会ったら…」
「とりあえず今は逃げとくしかないやん。それよりこの『豆』がどういう意味なんか考えるのが先や」
なるほど、つまり……何?ヤバい追いつけてない。と、とりあえず分かった風に頷いとくか。
てか、そんなことより、
「……なんか臭くね?」
「へ?」
「確かにくさーい。何これ?」
誰か屁でもこいたか……とは思ったけど教室中に漂う屁とかなかなかじゃね?
と思ってたら皆ハラカイに視線を向けていた。いや、まぁ……うん、そう思うのも仕方ないけど……うん、ごめんハラカイ。なにもフォローの言葉が浮かんでこねーや。
「な!違っ……俺じゃない!俺じゃなぁぁぁぁいっ!!」
大丈夫やで、俺はちゃんとわかってるから。
「ちょ、とりあえず窓開けようや」
「ほほほーい」
大阪人の言葉に伊集院君が窓を開けに行った。
その瞬間に俺の目に映り込むひとつの影。
「あ……馬鹿!開けんな!」
「え?」
と、俺の声虚しく伊集院君は窓の鍵を開けてしまっていた。
直後に窓が外からあけられ、中へと入ってくる小さな影。
「見つけた人間♪人間笑♪」
小さな黄色の鬼。
「きゃあぁぁぁぁあ!」
「出たー!!!」
お化けを見たような反応。いや、まあほぼ間違ってはないか。
「ははー!」
「うあ…」
不味い、近くの伊集院君に向かって手を伸ばす鬼。
このままじゃ捕まって殺される。幸いにもここは教室。物は沢山ある。
近くの椅子をひとつ掴み、振りかぶる。
「おい!」
「ん?」
俺の言葉に反応したチビ鬼と目が合った。
意識は伊集院君から逸れた。間髪入れずに椅子をぶん投げる。
「おっと♪ヤバスヤバス」
「にゃろ…」
空中にいるくせに避けやがったか。身体能力が高すぎる。
床に椅子の落ちる音が響いた。
でも、これで伊集院君は鬼から離れられた。最低限のことは出来たからよしとしよう。
「あ、ありが「感謝なら後で聞くから今は逃げるぞ!」」
「いけいけ!早く逃げろ!」
「きゃあぁぁぁ!」
皆が走り出したのを確認してから俺も後を追おう。そう思ったが、
「きゃわわわ〜♪」
「何がきゃわわだ。きっしょ…!」
俺に飛びかかってくるチビ鬼。
だがチビでよかった。リーチの短い相手だ。蹴りをかまして距離を取ろうと、
「っ!」
「油断笑♪」
蹴り出した足を踏み場にして迫ってきた。
「やべ…」
背中に嫌な汗を感じる。
チビ鬼はこちらに飛び掛りながら背中を向けつつ履いてるズボンを下げていた。
ケツがこっちに見える状態。そこには文字が書かれていた。
"くさ〜い"と。
「っ!毒ガスか!」
「屁ヴン屁ヴン♪ブ〜リブリウォッチングゥ♪」
そんな言葉と共にケツから吹き出してきた黄色い煙。
咄嗟に息を止め、片足のみで体重を支えながら上半身を後ろへ倒した。
「神崎君!?」
「神崎!」
涙ちゃんと明石の声が聞こえた。
倒れ込むようにそのまま地面に横になり転がりながらガスの中を抜ける。
「大丈夫だ」
「……ほっ」
「……ふぅ」
安心してくれる2人にピースをしながら立とうとするが、
「っ!」
視界が揺れる。足に力が入らん。ぎりぎり立てるが……、息も止めて体を倒して直撃はしてないにしても噴出の勢いが良すぎたせいで体内に少し入ったか。
「うわ避けられた♪笑♪」
……つかアイツ腹立つ口調だな。殴りたい、その笑顔。
また来るだろうからその前に体勢を、
「え?ちょ、なんで芽衣なの!?」
面倒な俺を後回しにして他を狙い始めたか。
やべ、足どころか腕にも力入んないから椅子も投げられない。
その時だった。
「神崎!お前豆持ってたよな!?」
「え?ああ、これ?」
ハラカイの持ってたカプセルから取り出した豆。
そういやハラカイから分捕って俺が持ってたな。どうやら明石はこれをご所望のようで。まあ何に使うかは知らんが明石なら何とかしてくれるだろう。
「……頼んだ」
「ああ!」
豆を受け取り走って向かう明石。
自信に満ち満ちたあの顔。鬼を倒す方法を見つけたみたいだな。てか豆で鬼倒すのか……ん?あれ?なんか思い出せそうで思い出せない。
「人間笑♪女子笑♪」
「待って!やだ!芽衣やだあぁぁぁぁあ!!!」
芽衣ちゃんの背中に捕まったチビ鬼。
そんなチビ鬼に対して明石は声を張り上げた。
「こっちだ!オラァァァッ!!!」
気合いの入った声と共に繰り出される明石の豆。
一直線に鬼の頭へと飛んでいく豆は、やがて鬼に当たるとそのまま中へとめり込み、
「わ……」
膨れ上がり、そして……弾け飛んだ。
理屈も何もわからんがとりあえずは鬼は倒せたってことでいいのかな?