デスゲームに巻き込まれました   作:神さまぶっ飛ばし隊

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はらうはるはろう

 

 

 

 

 

 

「「「……っ」」」

「……すげ、倒した…?」

 

頭の形が歪になった鬼。地面に横たわり動く気配がない。

明石が鬼を倒した証だ。なんつって。……死ぬか。

 

「あ、あり…がと…。でも、え?今どうやって…」

「はぁ…はぁ……、よしビーフだ…!」

 

え?ビーフ?牛肉?いきなりどした明石。後で牛丼でも食いに行こうな。

 

「へ?」

 

ほら芽衣ちゃんも困惑してるぞ。そらいきなり牛肉言われたら『?』なるわ。

 

てかほっとしたのか座り込む芽衣ちゃんが明石を見つめてるし……なんかいい雰囲気じゃね?おいおい、ふざけんなよ?そういうのはいいから。明石、わかってるよな?な?

……俺より先に彼女作るとか許せん(本音)

 

「あぁ、いやなんでも……、ただ分かったよ。"はらうはるはろう"の意味」

 

流石だ。流石明石。さすあか。聞かせてくれ。

 

「鬼、豆ってきたら…よく考えたらコレかなって思ってさ。でも今鬼を倒せたことで確信したよ。『豆まき』だこれ!

 

……豆まき?節分の……あー、そうだ!豆まきだ!俺もさっき出かかってたやつだそれ!

……でも、はらうはるはろうとどう関係が?

 

「……え?どーゆーことや?」

「えーと…鬼と豆で俺がピンと来たのは節分の『豆まき』で、あの……節分って厄を"祓って"、"春"を"迎える(ハロー)"するから、"祓う""春""迎える(ハロー)"で"はらうはるはろー"……"はらうはるはろう"!!!」

「「「……」」」

 

……?え、わからん。どゆこと?

 

「……あれ?違うか?」

「お前説明下手くそやな……」

「もう一度言ってくれ。ゆっくりでいいから」

「あ、ゴメン。あのね」

 

あ、良かった。皆も分かってなかったみたい。ほっとする。

 

「俺たちを追ってくる『鬼』、『豆』の入ったカプセル。鬼と豆と来たら『豆まき』かもと一瞬思ったんだ。それであのくす玉の文字(はらうはるはろう)と照らし合わせてみた。さっき誰かが言ってたよね?"はろう"は"こんにちは"って」

「あ、それ多分あたしだ」

「それが効いた。"はろう"は英語の"ハロー"ってのが耳に残ってた。豆まきってのは節分に鬼に豆をぶつける行事でしょ?あれって確か季節の分かれ目に厄を祓って春を迎える為なんだ。……厄を祓って、春を迎える。祓って、春を、迎える(ハロー)……」

「なるほど、それで『はらう・はる・はろう』。やっぱりクリアのヒントやったんや。お前天才か?」

 

……なるほどなぁ。流石に俺でも理解出来たわ。つまり豆を見つけて鬼にぶち当てて全滅させたらクリアってことか。

 

「でも、てことは学校中に隠されてるであろう豆を探して鬼を倒すってのがクリアの条件ってことなのか?」

 

あ、俺の思ってたことタンクマンに言われた。

 

「うん、多分」

「じゃあそれを踏まえて作戦を立てていこう。とりあえず豆探しになりそうだけどね。さて、皆で一緒に探しに行くか、2手に分かれて探しに行くか…」

「え……あ、私も皆と一緒がいいです。だって怖いし…」

「せ、せやな。俺もそう思うわ」

「お、俺も」

 

うんうん、方針は決まったな。頑張ろうね。

 

「ところで……神崎と涙ちゃんは何してるの?」

「「ん?」」

 

何って……涙ちゃんにほっぺたムニーっと引っ張られてるだけですが?

 

「危ないことしたからお仕置き」

「いひゃい…」

「あ、うん……そっか」

「でもおかげで俺は助かったから……ありがとう」

「いいっへほほよ」

 

親指を立てて伊集院君に返しとく。そしたら、ほっぺの痛みが増した。

 

「ルイひゃん、いひゃい…」

「何も良くないでしょ。現に今君が動けなくなったじゃん」

「すーふんたへばらいひょーぶ」

「むむむ」

 

……怒った顔が可愛い。

あ、溜息吐きながら離してくれた頬がジンジンする。

 

実際体の調子も戻ってきた。毒ガスって言っても至近距離で大量に吸わない限りは大丈夫だったのかな?

 

「……とりあえず皆で豆を探しに行こう」

「他の人がいたらどーすんの?仲間に入れてあげた方がいいんじゃない?」

「そーだね。それにこれが豆まきだって事も教えてあげなくちゃ」

「兎にも角にも鬼には気をつけて。豆を持ってたら戦えるけど持ってなかったら逃げる。これは徹底だな。散り散りに逃げることになったら理科室(ここ)を集合場所にしとこ」

「よっしゃ…」

「分かりました」

「OK…」

 

俺の言葉に頷くみんな。目には覚悟が宿ってる。

そして、締めはやっぱりタンクマン。

 

「……俺たちは生き残る。行くぞ皆…!」

 

▽▼▽▼▽

 

と、まあそんな感じで始まった豆探しなわけだけど、

 

「トイレは生理現象だからしょうがないよね」

 

俺はいま皆と離れてトイレに来ていた。

いやもう普通におしっこがしたかった。晩飯食ってからいままでトイレに行ってなかったからね。そらそろそろ行きたくなるよ。てか、だいぶ我慢してたわ。

 

「……スッキリしたぁ」

 

恍惚な表情をうかべてトイレから出る。

とりあえずサッサと合流はしておきたい。ソロプレイ中に鬼と鉢合わせたら泣いちゃう。

 

「確か、あっちの方探すって言ってた……ん?」

 

皆のいる方へ向かおうと足を踏み出した時、

 

 

 

━━ペタ……ペタ……ペタ……ペタ……

 

 

 

これは……足音?……っぽいな。

でも人じゃない。いや人の可能性はある。でも、ペタペタ音の足音なんて靴履いてたらなるわけがないんだよな。

ここに集められた人達の誰かが靴を履いてなかったって可能性も無きにしも非ずだが、考えずらいよな。

となると、可能性が高いのは……鬼。

 

まずい、この先は皆がいるであろう場所だ。鉢合わせちまうぞ。だからといって俺オンリーで行って勝てるか?

 

いや、死ぬ可能性の方が高い。特に"あったか〜い"か、"つめた〜い"の鬼だったら豆がなきゃほぼ無理ゲーだろ。だって触れたら燃やされるか凍らされるんだろ?ムリムリムリ。

 

「……とりあえず後を追うか。ヤバそうなら……何とかしよ」

 

計画性無し。でも俺の頭じゃいい案なんて浮かばんよ。

 

とりあえずコソコソ歩きつつ廊下の壁から少し覗いて見てみる。

 

「っ!」

 

居たわ。しゃくれ顎の青い鬼。あれは"つめた〜い"鬼か。

最悪の鬼だな。金棒も手にしてる。どうしたもんか。

 

と、その時、目に入ってきたとあるもの。

"これ"なら一発なら行けるか……?いや、やるしかねぇ。

 

そのとあるものの中身を取り出す。

音を極力立てないように床に置き、からになったそれに手をかける。

 

うん、行ける。

確信した俺は早速持ち上げ、肩に担ぎながらその場を後にし鬼の後を追った。

姿は見えない。でも行先はもうわかってる。

 

「……急ぐか」

 

小走りで移動し、曲がり角を曲がった時、

 

「っ!」

 

居た。青い鬼。

その鬼もまた曲がろうとしていた。瞬間、

 

 

 

━━あ、あきさみよぉ…!

 

 

 

この声と訛りからして明日菜ちゃんか。鉢合わせたか…!

俺は走り出し、鬼の元へと向かう。

距離にして10mもない。1秒もかからない。

振り上げた棍棒、それが振り下ろされる前に、

 

 

 

 

 

「ロードローラーだァァァッ!!!」

「ぬっ!?」

 

手にしていた"掃除用具入れのロッカー"を鬼へとぶつけながら走りの勢いそのままにぶち当てた。

 

「オラァッ!」

「グッ…!」

 

壁に押し当てながらダメ押しでロッカー越しに蹴りを入れる。

そのまま横にいた明日菜ちゃんを担ぎあげながらその場を離脱。廊下の先に見えた皆の元へ駆け寄った。

 

「無事か!」

「神崎!早く!こっちだ!」

 

とは言っても、俺は余裕だが大阪人とハラカイもだいぶ鬼に近い位置にいる。このままじゃ追いつかれるだろ。

仕方ない。

 

「明日菜ちゃん、ちょいと失礼」

「え?」

 

抱き抱えていた明日菜ちゃんを小脇に抱え、ハラカイと大阪人をすれ違いざまにズボンのウエスト部分を掴み持ち上げる。

 

「うわわ…!」

「ちょ、食い込みが…!」

「我慢しろ!それとも死ぬか!?」

「「「嫌だ!」」」

 

うん、皆同じ気持ち。良かったよ。

背中越しだがわかる。シャクレ鬼も起き上がってこっちに向かってる気がする。

 

そんな中目の前に見える明石が何かを手にしながら構えてる。あれはカプセル。豆を見つけたのか!?

 

「馬鹿かお前!?『豆腐』は効くかどうか分からないんだぞ!?」

 

とぅーふぅー(豆腐)!?……いや、まあ確かにあれは大豆から作られてるしな。……いけるか?

 

「行っけー!アカッシー!」

 

アカッシー!?芽衣ちゃんが明石のこと親しげに呼んでるぅ!?抜け駆けってやつですかコノヤロー!!

 

「ぬぉ……らあぁぁぁぁあ!!!」

 

気合いの入った一声。それと共にシャクレ鬼へ飛来する豆腐。シュールな画だなおい。

 

ベシャッと音を立てて鬼の頭にあたるが、

 

「……効かぬわ」

「「「!?」」」

「勝算も無い中攻めに転じるとはいやはや……阿呆か、お前?」

「くっ…!」

 

やば、明石が捕まる。

近くの扉を外してあいつに向かって蹴り飛ばすか?いや悩んでる暇は無い。

そう思って教室の扉に向かって足をかけようとしたその時だった。

 

「ぬぐっ……!?」

 

鬼の体勢が崩れた。

良く見れば口に縄のようなものが引っかかってる。

その先を辿れば、そこに居たのは、

 

「〜〜♪」

 

丑三だった。

そのまま縄を引っ張り自分の方へ鬼を引き寄せる彼。そして、

 

「ヴンッ!」

 

力を込め縄を振り回し、窓ガラスを割り鬼を外へと放り出した。

しかし、そのまま鬼のを投げ出さずに窓と窓の間のちょっとした柱に縄を結び鬼を固定した。

 

はえー、豪快。見た目以上にパワーあるんだなアイツ。

そんなことを思いつつハラカイと大阪人、明日菜ちゃんを地面へと降ろした。

 

そして、丑三と目が合う。あ、逸らした。

明石を見てる?……ときめき運命の出会い?

……俺コイツにいい思い持てないんだよなぁ。




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