デスゲームに巻き込まれました   作:神さまぶっ飛ばし隊

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今回長ぇ…。


草食動物

 

 

 

 

 

「キミたちの戦い、凄かった!鬼2体相手にすごい勇気だった!!」

 

合流直後に労いの言葉をかけたタンクマン。

確かに豆を相当数持ってても突撃できるかと言われたら首を傾げたくなる。

 

「ありがとう。でもこの作戦を考えたのは今死んだ男だったんだ……」

「え……」

「光を出す鬼は前方に発光してるから背後からいけば倒せると踏んだんだ。その為に鬼2匹を引きつける役をこいつが買ってでた。その時は絶対に逃げられると言ってたんだが、今思えば……」

「死ぬのを覚悟で引き受けたわけね」

「……あぁ、俺たちだけでも生き残れるようにって」

 

……カッケーな。誰かのために命を捨てられる奴ってのは。

 

でも、憧れはしない。死んだらそこまでだからな。別に死んだあの男をバカにしたい訳じゃない。ただ俺は命を捨てるってのは……好きじゃない。

 

「すごい…ね。そんな風に戦えるなんて。私には……出来ないな…」

「……」

 

そらそうだ。そう簡単に命を捨てるなんてできるわけが無い。できてたまるもんかって。

 

「でもお前たちの声が聞こえたから戦えたんだ。良かったら一緒に行動しないか?」

「お、俺の声だ!ラァァァイッ!」

「モチロンだ。こちらこそよろしく頼むよ」

 

とりあえずはこれで人数は増えたか。いいこと……なのか?

 

それにしても死体が多いな。直視したらリバースしそう。てか、匂いがもう凄い。焼死体の燻った匂いっていうのかなんというのか。……何も考えるな、俺。

 

と、その時に見つけたとあるもの。

あれは……。

 

「残るは手負いの"あったか〜い"鬼一体だけ。この人数なら上手くやれば犠牲無しに倒せる。お前ら『豆』持ってるか?」

「え、いや無いんだよ。もしかしてそっちもか?」

「あぁ、さっきので全部使っちまった。腕とかじゃなく頭とか急所に当てないと倒せないみたいだな。でも、鬼はこっちに『豆』がないことを知らない。つまりこっちが追う側、どうにかしてこの状況を利用したいんだが…」

「豆が無きゃな…」

「……探すしかないか」

 

つまりはさっきまでと同じように豆捜索ってことか。1番最悪なパターンは豆の在庫が無くなることだ。戦おうにも他の人の手に渡ってたらその人に頼むしかないし、他の人たちが見つける前にこっちが見つけんと。

 

「あ、待って藤春。体育館に生きてる人がいるかもしれない」

「マジか?確かなのかミツバ」

「いや、分かんないけどさっき通った時話し声が聞こえたから」

 

……ほなら行ってみる価値はありそうだな。

 

「……てことだが?」

「問題ない。行ってみよう」

 

方針は固まった。体育館だな。

さあ行こうか。新たに見つけた武器と共に。

 

「……ところでアンタ、それはなんや?」

「ん?"これ"?……金棒」

 

驚き顔で話しかけてきた大阪人に突き出してみせる。

"あったか〜い"鬼の持っていた金棒。それが死体近くに転がっていた。なかなかの重さ。手のフィット感。これはいい武器になる。

 

「そ、そうか」

「……あげねーよ?」

「要らんわ!」

 

手をビシッと出しながらツッコまれた。これが本場大阪のツッコミか。キレが違う。

 

「……重くないの?それ」

「ん?持ってみる?」

 

興味深そうに見てくる涙ちゃんに渡してみる。

出された手の上に持ち手を置いた瞬間。

 

「うわ…!」

 

涙ちゃんが重さに引っ張られてコケそうになっていた。

体を支え、金棒を持つ。あぶねー、こんなとこで怪我させてしまったら切腹もんだわ。

 

「お、重いね」

「俺はちょうどいい感じだけどね。てかもうちょい重くてもいいかな?」

 

そんなことを言いながら金棒を肩に担ぐ。

兎にも角にもこれなら豆を持っていなくても多少は鬼と闘り合える。いいもん手にできたな。

 

「よっしゃ、そんじゃ体育館行くか」

 

▽▼▽▼▽

 

てなわけで来てみたわけだが、

 

「おーい!誰かいるかー!……おーい!」

 

返事がない。ただの屍のようだ。

こうなりゃ、

 

「……壊すか?」

 

金棒を構えつつ前に出る。

 

「ダメだろ。脳筋思考やめとけって」

 

明石に止められた。脳筋思考……俺は脳筋思考なのか?

だがこのままだと埒が明かないし、

 

「……てか、鍵かかってんの?」

「「「え?」」」

 

 

 

 

 

開きました☆

鍵はかかってなかったよ。良かったわ。無駄に扉壊すとこだった。

 

「おじゃましま━━」

 

先陣切ったタンクマンの動きが止まった。どうしたのか、タンクマンの肩から中を覗き込んでみる。そこにあったのは……人の死体だった。

 

「な、なんだこりゃ…!」

 

うん、ほんとになんだこりゃ。何人もの死体が床に横たわってる。が、おかしい。

何がおかしいと言えば体を潰されてないし、凍らされてないし、燃やされてないし、ガスで死んだ感じもない。

 

体のどこかしらに穴が開き死んでいる。……なんの鬼にやられたんだ?金棒についてる針みたいなものでやられたにしては穴が小さいし。

そうして入口で固まった俺たち。

 

「何やってるんだァ!!!入るなら入るぅう!!!そんなところにゾロゾロいたら見つかるだろぉぉお!!!」

 

声のした方を向くとそこには十数人もの人が集まっていた。……変な陣形を組んで。

 

「お、おう。すまん。みんな中へ」

「んだコイツ…」

 

戸惑いつつも中へ。タンクマンと藤春と呼ばれていたアフロに続いた。

 

「……16人か」

「出た、明石の変態才能」

「誰が変態だ…!」

「……え?数えたの?一瞬で?」

「え?うん」

 

ともかく16人か。だいぶいたな。

ただ様子がおかしい……っていうか。コイツらは集まって何してるんだ?鬼と戦おうって様子もないし。

 

「ったく、ビビらせんなよ。鬼かと思ったし……」

 

そう言う先頭の男。ほっとした様なそんな表情を浮かべていた。

そんな中タンクマンが口を開いた。

 

「君たちに朗報だ!鬼の倒し方がわかったんだ!これは『豆まき』なんだよ!」

「知ってるし…」

「へ?」

「だってお前ら叫んでたので大体のルールは分かったし…」

「おぉ、なら話は早い!!一緒に戦おう!!」

 

タンクマンの言葉。確かに人数は増えれば取れる選択肢も増える。

しかしそれを聞いた男は、

 

「無理、断る」

 

豆カプセルを手に、見せびらかしながらそう言った。

 

「は?」

「やりたきゃ勝手にやれよ。俺たちは生き残れればそれでいい。『豆』は1個だけあるけどここでこうしてる。俺たちは戦わない…!だって戦わなければ死ぬことは無いから!俺たちは戦わずして生き残るんだ!!」

「……っ」

「え……」

 

明石と涙ちゃんも何言ってんだこいつみたいな顔してる。俺も呆れて物も言えん。

 

「……いやいや、ここに鬼が来たらどうするんだ?」

「散らばる。その時狙われたやつは不運と呼ぶしかない。そいつの犠牲で俺たち群れが生き残るならと全員が納得の上だ」

「……なんだそりゃ?」

「あれか、草食動物の発想か」

 

肉食に狙われる草食動物たちは1匹の犠牲の元に群れを生き延びらせる、みたいなそんな感じか。

なんというか……見通しが甘いというかなんというか。

 

「そうだ!さながらサバンナを生きるガゼルの如く!俺たちは専守防衛集団、TEAM・草食動物(ガゼル)!!!

 

……ポーズまで決めてかっこつけてるけどすげーダセー。

 

「お前らがクリアしたらそれはそれでラッキー。出来なきゃそん時はまた逃げ続けるさ」

「……でもぶっちゃけ16人いるけど、鬼に狙われる度に1人犠牲になるなら16回狙われたら全滅じゃね?」

「「「え?」」」

 

俺の言葉に素っ頓狂な声を出すガゼルさんたち。

 

「「「……確かに」」」

 

タンクマンたちは納得したように頷いていた。

だよね?だよね?俺の言ったこと間違ってないよね?

 

「う、うるせぇ!バーカバーカ!と、とにかく俺たちは戦わない!」

 

……めっちゃ罵倒された。泣いた。

 

「……分かったよ。じゃあその『豆』を譲ってくれ。俺たちが必ず倒してみせるから……」

「ムリムリムリ!!!ムリに決まってる!!!これは『ティームガゼル』の貴重な武器なのぉ!!!いざと言う時のために取っておくものぉ!!!」

「ちょ、どこまでビビってんの…!?」

「卑怯者!!!クズ!!!」

 

タンクマンと首領(ドン)ガゼルさんの言い合いに反応する涙ちゃんと芽衣ちゃん。

 

「うひゃひゃひゃ、光栄だねぇ。卑怯者で結構。どんな勇者も死んじゃったら意味無いもんねー」

 

……うわ、何アイツウザ。

 

「戦わないで生きてもそんなもん生きてる内にはいんねーよ!」

「うるせぇ!これが正直な人間だろ!このヒーロー気取りが!」

「全員がたすかる方法は無いの!?」

「キレイ事なら誰でも言える!!!」

「豆をくれればいいって言ってんの!」

「自分で探せ!そして死ね!」

 

ああ、聞いてらんないよ全く。

 

「……いや、リーダーそこはクリアしてもらった方がいいだろ」

 

……それはそうだな。ガゼルたちの群れの中の下っ端くんの言葉、俺も同意する。

 

そんな言い合いが続く中、ここで動いたのは、

 

「……あの、ちょっといいすか?」

 

我らが明石だ。

手を挙げ首領ガゼルの元へ向かう明石。

 

「その豆カプセルちょっと違くない?」

「はぇ?」

 

そんなことを言いながら首領ガゼルへ歩み寄っていく。

そんな明石の腰、そこに添えられた手を見る。指で何かを示してる。ハンドサインだ。昔公園でサッカーしてた時に使ってたハンドサイン。

 

……なるほど、意味は理解した。バッチコイ。

 

「俺は鬼を1回倒してるから解るけど、何か変だ……。もしかしたら偽物かも…」

「へ?嘘、何が?」

「え?だってー本物はここの裏に『豆』のマークがうっすら入ってるんだ」

 

……アイツ役者目指せばいいんじゃないの?

 

「ちょっと貸して。……あ、ほらここ」

「え?どれ?」

 

カプセルが明石の手に渡った。指で示すが当然そこには何も書かれてない。それを分からずに首領ガゼルは明石に渡した訳で、その真意は、

 

「……神崎!」

「はいよー」

「「「!?」」」

 

明石から投げ渡されるカプセル。それを苦もなくキャッチ。さっきのハンドサインはサッカーで"パスするよ"の意味の籠ったやつだった。幼少期の頃の俺と明石間で決めたサイン。まさかこんな形で役に立つとは。

 

「へ?あ……だ、騙したなぁぁあぁ!!??」

「神崎!着いてこい!」

「うぃ」

 

叫ぶガゼルを尻目に走り出す明石の後を追う。

 

「明石くん!?神崎くん!?」

 

涙ちゃんの声が聞こえたが今は無視。ごめんよ。

止まってたらガゼルに捕まるからね、しょうがないね。

 

 

 

 

 

さて、体育館を出て根拠もなしに校舎まで戻ってきた訳だが、

 

「おい明石、当てはあんの?」

「……無い」

「しらみ潰しね。計画性の無いことと言ったら…」

「お前には1番言われたくないんだけど…!」

 

兎にも角にも走り回って探すしかないのも事実。気合い入れて探す……の前に。

 

「明石ー、はい」

「ん?」

 

明石に豆カプセルを渡す。

 

「鬼見つけたら俺が金棒で強襲するから怯んだとこに豆当てな」

「……なるほど、分かった」

 

安直だが無策よりかはいいだろう。

さて、策も決まった。覚悟も十分。やる気は天元突破。後は鬼を見つけるのみ!

 

……まあ、それがすんなり行ったら苦労はしないんだけどね。

 

と思った時だった。

 

 

 

━━きゃあぁぁぁあ!!!

 

 

 

「「!?」」

「……聞こえた?」

「あぁ、上だよな」

 

どうやら明石もしっかり聞いたらしい。あれは紛れもなく悲鳴。つまり、

 

「鬼が上にいるってことだな…!」

「ああ…!」

「俺が先に行くぞ?お前はあとからで豆ぶつけろ」

「……任せとけ」

 

そうして、走る。全力で。豆を片手に金棒片手に廊下を爆走。

階段を上り、そして、

 

「見っけた」

 

見つけた、"あったか〜い"鬼。そいつは今まさに1人の女子に襲いかかろうと手を伸ばしていた。

 

かな棒を構え、鬼に向かって走る。

 

「よぉ」

「「っ!?」」

 

軽く挨拶すると驚く女子と鬼。そんな驚き固まる鬼の顔に目掛けて金棒を全力でぶち当てた。

 

「アウっ……!?」

「明石ィ!!!」

「こっちだオラァァァァアッ!!!」

 

休ませる暇を与えない。一気に畳み掛けろ。

顔を抑えつつも目は明石を見据えている鬼。上半身を右へ左へ動かし狙いを定めさせてくれない。明石もタイミングを見つけられていなかった。

 

だが唐突に体の動きを止めた鬼。明石もここぞとばかりに投げた。

 

「だらあぁぁぁぁぁッ!!」

 

そんな声とともに鬼へと向かう豆は的確に頭を狙っていた。このままいけば当たる。そう思った時だった。

 

「「!!??……は?」」

 

明石と声が重なった。なんたって"鬼が自分の頭を体から外して"避けやがったんだから。

 

そんなのアリかよ…!

 

「……っと、あぶね。3秒以上離すと死ぬとこ♬︎てか、お前は何僕ちゃんのマイ金棒使ってるわけぇ?」

 

……とりあえず豆を回収して、また攻撃を仕掛けないと。となると鬼の後ろ側にどうにかしていかなきゃ行けないし。

 

と、その時だった。

 

「ナイスパス」

 

階段から洗われた一人の男。

 

「丑三…!?」

 

手には明石から放たれた豆がある。

……これはチャンスだ。

 

「あ、え?」

「え、マジか。やば」

 

逃げようとする鬼。すかさず金棒で腹を横凪にぶん殴った。

 

「逃がしゃしないよ」

「うっ…!」

「ナイスアシスト……エンダ…タイジ(退治)!!!」

「おぎゃ…!」

 

その声とともに投げられた豆は見事に鬼の頭に命中。鬼の頭は弾け飛んだ。

 

「ぐぇ…」

 

そんなカエルが潰れたような断末魔を残し、鬼はピクリとも動かなくなった。

 

これは勝ったってことでいいのかな?




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