きっと落下のようなものだろう。
色を持つとすれば、赤くて白いはずだ。
本作ではチャージマン研!第4話「謎の美少年」に登場する星君を描く。また第3話「蝶の大群が舞う」のできごとに触れる。
死とはどういうものだろうか。
少年は漠然と考えていた。
きっと落下のようなものだろう。
その落下が、もし色を持つとすれば、赤くて白いはずだ。
そのように、少年は思っていた。
街は混乱に陥った。
はためく赤色と白色が、光の筋を残して飛び交う。それとも青か、黄色だったろうか。
蝶の大群が舞っている。
人に群がり、肉を食らう。
その他、一切のことは分からない。
素早く飛んでは集まって、人を襲う。
一つ一つの咬み傷は小さい。
小さく、却って恐ろしい。
恐怖が恐怖を呼び、逃げる人々がつっかえては、蝶の餌食となる。
もはや、これまでか。
少年は、不思議なほど冷静に見ていた。
少年、美少年というのが正当な評価であろう少年に、あまりにも早い死が訪れようとしていた。
そんな時のことだった。
同年代の小柄な少年が、堂々と立っているのを見た。
叫んでいるのを聞いた。
「チャージング、GO!」
赤色と白色が目を眩ませる。
大宇宙の深淵が口を開ける。
技術の装備が、そのすべてを征する。
勇ましい旋律が空気を震わせる。あの少年は装いを変えてゆく。
科学の武器を手にとって、正義のために英雄が立ち上がった。
美少年は、小さな英雄を見た。
アルファ・ガンなる銃を手に、蝶たちを一掃する。
広く展開した蝶を、直線的な攻撃が撃ち落としてゆく。
蝶が自ら光に吸い込まれていくのだ。
ほんの数十秒で、蝶の大群は全滅した。
死とはどういうものだろうか。きっと落下のようなものだろう。色を持つとすれば、赤くて白いはずだ。
「こういう」ものなのだろう、と美少年は思った。
少年、「星」君は、そう思ったのだ。
校内対抗アメリカン・フットボール大会である。
「えいっ」
くだらない、と星少年は思う。
早く走る。得意技だ。風を受けて速さを感じるのは気持ちがいい。
高く跳ぶ。得意技だ。解放感には生きていることを実感すらする。
ここまではいい。
少年ただ一人で、一試合一八点を獲得する。
それがどうした?
人にできないことができるぐらい、ちっとも大したことじゃあない。
こんな声援が何になる。
大したことというのは、もっと恐ろしいほど隔絶したものを言うんだ。
「泉君」
教室でその小柄な少年を見つけ、話しかけた。
先の大会でも、勇敢に食らいついた少年だ。
「頼みたいことがあるんだ、ちょっと」
もっと重要なことには、かのチャージマンだ。
「憧れているんだ。チャージマン研に」
研を後ろに乗せて、バイクを走らせる。
星少年は、バイクのスピードが好きで、安全さは好きではなかった。
もっと危険だった数十年前の機械を運転できたら、どんなにいいだろう。もちろん免許無しでだ。
人気のない、放棄された建設現場かどこかに着いた。
「ぼくにチャージングGOを見せてくれ」「ね、ね。いいだろう」「ぼく絶対に喋らないよ」
「……ばかにしないでくれ。君のはもっと格好のいいやつだ」
星少年は泉研という人物を十分に知らなかった。
大したことじゃあない跳躍に目を見張り、くだらない声援を羨むぐらいには、研は幼かったのだ。
星少年はチャージマン研を十分に知っていた。
どうすれば、その力を出して見せてくれるか。
この身を、落とせばいい。
「じゃ。ぼく悪いけど先に帰るよ」
「待て!」
星少年が、否、ジュラル星人が鋭く呼び止める。
「フフフフフ、ハッハッハッハッハ」
「驚いたか研、このまま帰れると思っているのか?」
あの星少年はなく、今やここにいるのはジュラル星人である。憧れているなどという口実で、研を呼び出したというのか。
「おかしいと思っていたら、やっぱり! お望みとあらば見せてやろう!」
赤色と白色が目を眩ませる。
大宇宙の深淵が口を開ける。
技術の装備が、そのすべてを征する。
寂しげな旋律が空気を震わせる。少年は装いを変えてゆく。
「チャージング、GO!」
科学の武器を手にとって、正義のために英雄が立ち上がった。
ジュラル星人は、強大な英雄を見た。
すべてのジュラル星人を殺すため力を振るう、天敵だ。
バイクに乗って突っ込めば走って避ける。殺人光線も跳んで避ける。
再びバイクで突っ込む。
ただし乗り手は離脱する。
速やかに跳んで駆け上り、吊られた鉄骨に登る。
ジュラル星人は落下する。風を受けて敵に向け加速する。
アルファ・ガンが待ち受けて、迎え撃たれた。
落下攻撃は、致命の光に飛び込むも同然だった。
光と熱に身を焦がし、ジュラル星人は溶けてゆく。
「危ないところだった」
こうして今日もチャージマン研は、ジュラル星人に勝利した。
死とはどういうものだろうか。きっと落下のようなものだろう。色を持つとすれば、赤くて白いはずだ。
「ね。君のは、格好のいいやつだ」
某月某日。
十代前半の少年の姿をとったジュラル星人を退治。
人的被害なし。
**建設工事現場に中度の損傷あり。
撃退数:一