悪の科学者を超える転生者 作:ヘルスパイダー
はじめましてと言っておこう。
私の名はボゲと言う。……言っておくがこれはふざけているのでも混乱して言っている訳でも無い。残念ながら正真正銘の私の名前だ。
こんな名前を授けた親の頭はおかしいのか狂っているのどちらかだと言いたいが、皮肉な事に私の親はこの地球上で見れば最高峰の頭脳の持ち主だ。
ただまあ、一般的に見ればマッドサイエンティストと呼ばれる類の人間なのでやはり狂ってはいるのだろう。
さて、愚痴が多くなってしまったな。改めて自己紹介の続きといこうか。
単刀直入に言おう。私は日本からの転生者だ。
前世の私は齢45という歳で病によって亡くなった。
呆気ない死に様だと自分の事ながら思ったものだ。痛みと苦しさにもがいているウチに気がつけば赤ん坊となってボゲなんて最低なネーミングをつけられた日のことを昨日のように覚えている。
それから何年もの年月が経った。赤子であった私は幼少期の子供まで成長し、両親の顔の面影が出てくる年齢にまでなった。
さて、ここまで私の独白を読んでくれている聡明な読者の諸君らならば既に私の親の正体に感づいているのではなかろうか?
まだ分からないから待ってくれといった方々には申し訳ないが、私は勿体ぶるのが嫌いな性格でね。
私の親はあのレッドリボン軍に所属する悪の天才科学者ドクター・ゲロである。
母親はゲーム『ドラゴンボールファイターズ』で初登場した人造人間21号で、両親共に研究に付きっ切りだった為に私の世話をするのはいつも雇われの家事代行サービスのおばさんだった。
だからだろうか、人造人間16号のベースとなった私の兄である彼が非行少年の道に走ったのは。
そうなれば、家庭内で暴力を振るわれるのは当たり前で、兄弟げんかは日常茶飯事ではないにしろ、時たま兄の機嫌が悪かったり、見解の相違でぶつかることはしばしばあった。
その度に負けるのはいつも弟である私で、そもそも自分には喧嘩の才能が無く、自分が兄と同じ強さへの道を進めばきっと一生追いつけないということを理解してしまった。
そんな彼がいたからこそ、私は力による未来でなく両親と同じ科学者の道を歩むことに決めた。
この決断に迷いがなかった訳ではなかった。子供の頃から好きだったアニメであるドラゴンボールの世界で主人公と一緒の道を歩むのを諦めるのは苦しかった。
何故サイヤ人に生まれなかったのか?何でドクター・ゲロの子供に生まれてしまったのか?
ずっとその考えがグルグルと頭の中を支配していた。
そんな呪縛のような苦しみから解放されたのは私が学校に通い始めてからだった。
当然のことながら、私は前世の記憶が存在しており、小学校などの義務教育ではトップの成績を誇っており、それに目を付けた父の名を知る教育者が次々と上の問題を出していき、ついには高校レベルを超えて大学レベルの問題まで解かされることとなったのだが、私はそれを苦も無くあっさりと解いてしまった。
齢5歳にして一流大学に所属する天才達と肩を並べられる神童と周りの大人達から評価を受けた。
これには私も最初は戸惑った。前世では一応大学は卒業していたとはいえ、精々が二流の下の方の大学で遊び人をしていた程度の学力しかない私が問題を読むだけで頭痛がしそうな難問を前にスラスラと答えを出せるという現状に困惑した。
だが、これが私に与えられたある種のチート能力なのだと考えるとストンと納得することが出来た。
まさに科学者として生きる私にとってふさわしい能力だと当時の私は思ったものだが、この能力には一つ欠点があった。
それは答えが既に存在している問題しかこのチートは機能しないということだ。
どういうことかと言われると、例えばここに世界最高峰の科学者でも作り出すことが不可能と思えるようなロボットの設計図が目の前にあるとする。
今の私ならばチラリと目を通すだけで何をどうすればいいのか必要なプロセスを脳内で瞬時に組み立てることが可能となる。
だけど、逆に存在しないロボットの設計図を作り出せと言われれば私には無理と言わざるを得ない。
もっと簡単に説明するならば、私は答えを出すのは得意なのだが
だから、私は大学を飛び級で卒業した後に、あらゆる企業の製品を分解改造し、それらを改良した案を企業へと売って回って研究資金と人脈の確保に専念して回った。
だが、その頃からだろうか。世間で軍隊よりも力を持った悪の軍隊レッドリボンの悪名が轟き始めたのは。
一応父親であるドクター・ゲロの存在は世間にはバレてはいないとはいえ、息子である私はそれが心配であると同時に不安でもある。
このまま原作通りに父親を放置していていいのかと考えることもあるが、説得はまず不可能だろう。
あの人は研究者としての矜持を最後まで貫く頑固な人だ。会ったことなど家政婦のおばさんよりも低い頻度でしかなかったが、私が大学に飛び級で進学したと聞いた時には嬉しそうな顔で祝いにやって来たし、自分の研究成果などを楽しそうに教えてくる姿には悪の科学者とはとても思えなかった。
きっと、下手な野望さえ持たなければこの人は悪に染まることは無いんだろうなと何度考えただろうか?
それでも、私がゲロを止めずにいられなかったのはレッドリボンの豊富な軍資金が科学者であるゲロを強く引き留めてしまっているからだと私の頭が理解してしまっているからだろう。
下手に頭が良すぎるのが災いして私は勝算の無い戦いには挑めない性質になってしまっていた。
だからこそ、私はレッドリボン軍に負けない程の軍資金を蓄える為に行動している。既に私の齢は18歳となり、そろそろ本格的に父親であるゲロを引き抜こうと重い腰を上げようとしたとき、一通の知らせが私の元に届いた。
それは、私の母と兄が揃って死んだという知らせだった。母親は不治の病で、兄は父親と同じくレッドリボン軍に兵士として入っていたらしく、敵の弾丸に撃たれて死亡したらしい。
正直言って母や兄にそれほど強い思い入れがあった訳じゃなかった。だが、それでもこの世界で同じ血を引く家族だったのは間違いない。
私は2人の葬儀に参加したが、結局父親であるゲロは最後まで葬儀に顔を出さなかった。
何故だ、2人はあんたの家族だろうが!?そんな思いが私の中で怒りと恨みに変わり、あの人を引き抜こうと蓄えた金は全て私個人の研究費用へと変わったのは当然のことだった。
そんな今の私の将来の夢……いや、野望は父親であるドクター・ゲロの全てを否定することだった。
そこで真っ先に思いついたのが父の最高傑作ともいえる人造人間セルを超える人造人間を造りだすことだった。
しかし、問題があった。私は既存の物を作りだしたり、改良することは可能ではあるが、新しく何かを作り出すといったことは難しいのだ。
なら別にドクター・ゲロの研究成果を盗んで改良してしまえばいいと言う者もいるかもしれないが、それは難しいのだ。
今のドクター・ゲロはレッドリボン軍の兵器開発に携わっており、人造人間は造り出してはいるもののその力はまだアドベンチャー編程度の物であり、それをただ改造したとしてもピッコロ大魔王を倒せる程度の人造人間しか作り出せないだろう。
なら、Z編の人造人間が出来上がった頃に盗んでしまえばいいと言う者もいるだろうが、それも無理だ。
17号と18号は元人間で、設定ではゲロに誘拐されて人造人間に改造された筈だった。
そんな悪役のような事を私ができる筈もなく、そもそもそれではセルの第一形態か第二形態程度の強さしか造れないだろう。
それでは駄目なのだ!あの完全体であるセルを超える人造人間でなければ意味がない!!
袋小路に入り込んでしまったかのような絶望にうなだれていると、ふと天啓が私の脳裏に舞い降りてきた。無いのならばあるところから引っ張てくればいい。それでも無理ならば別の物とくっつけて改造してしまえば問題無い。
そんな単純明快な答えに辿り着いた私は早速行動を起こした。
まず手始めに何をしたのかと言うと、超小型のスパイカメラの開発に着手したのだ。原作でもあった通り、セルを造り出すために必要な細胞はゲロが開発した虫型の小型スパイカメラで収集したのだと。
私は既にゲロの研究成果で虫型のスパイカメラの設計図は頭の中に入っているため、あっさりと造り出すことに成功した。
これを使って何をするのかといえば、主な目的は3つある。それは、1つ目は超えるべき目標のゲロの現状把握とその研究成果だ。これは私の知らない後の人造人間17号と18号の開発に必要な永久エネルギー炉の造り方を知るためだ。
2つ目はドクター・ウィローの居場所を探り当てる為だ。彼はゲロと同じマッドサイエンティストの科学者だが、その頭脳はゲロに負けず劣らずの優秀なもので、ゲロと違いバイオ研究を専門にしており、彼の過去の研究をひと通り見させて貰ったが、私の結論から言えばゲロが1から100を生み出す天才とするならば、ウィローは0から1を生み出す天才だ。
もし仮に2人が手を組んで人造人間の開発に着手していれば、恐らくセル以上の力を持った驚異的な人造人間が誕生していたことだろう。
そして、最後の目的はこの地球に封印されている筈の魔人ブウを発見することだ。かの魔人はセルと同等と悟空たちが言っていたダーブラをあっさりと倒すことができるパワーを持っており、封印状態とはいえその力を解析することが出来ればセルを超える究極の人造人間開発の大きな足掛かりになるだろう。
「さて、これから忙しくなるな」
作者は俺様がカイドウだ!!!!というハンターハンターの二次創作も書いてますので、そちらの方も読んでみてください。
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