悪の科学者を超える転生者 作:ヘルスパイダー
あの日からラディッツの心境は大きく変化した。
以前にも増して、以前より先を見据えて、以前と違い誇りを胸に持って生きている。
ボゲから課される頭のネジが吹っ飛んだようなイカれたトレーニングを文句はつけるものの、全て予定通りに……時には想像以上の結果を叩き出していった。
「普通にこれサイヤ人でも死ぬぞ……」
「はっはっは、君はもう普通のサイヤ人じゃないから問題なかろう」
ボゲから課されたトレーニングメニューは常軌を逸しており、手始めに100倍の重力に設定された部屋で筋トレしながら時折襲いかかってくる小型ロボットを倒すといったものだったり……。
「ぐっぬおおぉぉ!! 1……2……3……」
「ただの筋トレでは効率が悪い。ほれ、追加だ……」
「ピピピ……、ターゲットロックオン! 排除シマス」
「なにっ!? ぬわあああ!!?」
通常の水の80倍もの水圧による負荷を生み出す謎の液体で満たされたプールの中に酸素ボンベを装着させられ、数時間の潜水と時折壁から発射される魚雷を爆発させずに避けるというものや……。
「ブクブクブク(確かに普通の水よりも動き難いな……)」
「あ~、これより特殊魚雷を発射する。当たれば爆発して酸素ボンベが無事ではすまない為に回避に専念するように……」
「ピピピ……、ターゲットロックオン! 追跡シマス」
「モガッ!? (はぁ!?)」
気を探る練習として目隠しした状態で無数の強化サイバイマンたちとの無限組み手を強制させられたりと……。
「な、なんだコレは……!? 何も見えんぞ!!」
「強制視覚シャットダウン装置だ。無理に取ろうとすれば瞼の皮膚ごとベリッ! とめくれるから注意してくれたまえ」
「ふっざけんなぁぁ!!?」
「はっはっは、私はそっちじゃなくて後ろだぞ。やはり、視覚が機能しない状態では背後を盗られやすいな。少々手荒だが荒療治でいかせてもらおう。出番だサイバイマンたちよ……」
「「「「「キキキィィ!!!」」」」」
「ぬぅおっ!? こっちか? そっちか? ええい、クソったれめぇぇぇ!!!」
終始ラディッツの悲鳴が聞こえていたがデータを見る限り問題は無いので私は無視している。
ちなみに、最後のトレーニングでは半日という短さでラディッツは気を感じる力を手に入れておった。(まあ、サイバイマンに滅茶苦茶ボロボロにされたが……)
「チクショウめ……、何度飲んでもあの超神水とかいう水だけは慣れんな……」
「おお……、トレーニングお疲れ様だな……」
青ざめた顔をしながらも、初めて飲んだ時よりもマシな顔つきでよろめきながらやって来たラディッツに労いの言葉だけかけると、さっさと作業に戻って集中する。
「今日までこの研究所で暮らして様々な発明品を見てきたが、今キサマが作ってるこれはなんだ? 宇宙でもこんなもの発明されておらんぞ」
「だろうな、これは私のスパイカメラ約5億台と宇宙で最も性能の高いAIを組み合わせ、そこに更に私の未来知識を混ぜ込んで作り上げた観測装置だ」
地球を模った模型に、その周りを絶えず変化する無数の0と1で構成された巨大な輪が2つ展開されている。
他にも周りには様々なグラフやメーター等がモニターに表示されていた。
「確か前に言っていたアレか? 世界中の情報を記録して擬似的に未来予測すら可能とされるとか言っていた……」
「その通り、今はまだ未完成だが実用の目処は立っている。証拠にほれ……」
手元の装置を操作して稼働させる。すると、地球の模型の上部から光が浮かび上がり、空中にSFなどによくある光のモニターが2つ出現する。
そこに映し出されるのは何処かの街の道路だ。だが、よく見れば右のモニターと左のモニターでは同じ景色でありながら、少し内容が違う。
右のモニターに赤色の車が通り過ぎたと思えば、左のモニターにも同じように赤色の車が通り過ぎる。
普通ならただ単純に同じ映像を時間差で流しているだけと思うが、この装置の機能を知っているラディッツから見てみれば、驚愕に値する内容だった。
「今はまだ単純な未来予知しか出来んが、開発を進めて行けば戦闘の際に、敵の動きを99.9%近くの精度で予測し映し出す」
「そして、その結果を改造した俺の脳に直接送り付け、疑似的な未来予知を可能とさせるだったか……?」
「その通りだ……」
「まったくデタラメだな。世界中全ての情報を取得するというのもデタラメだというのに、そこから得た情報で疑似的に未来を予測するなどフリーザ軍の科学者でも出来ん偉業だぞ……」
「はっはっは、宇宙でもトップクラスの科学力を持つフリーザ軍以上とは光栄だな」
笑って誤魔化してはいるが、このボゲの持つ科学力は凄まじ過ぎる。
あまりに行き過ぎた科学は魔法と区別がつかないと称されるが、まさしくこの男の科学力は魔法と遜色ないほどに行き過ぎている。っというかやり過ぎている。
今はまだ単純な行動パターンしか未来予知出来ないとはいえ、これを使えば世界中の事故や事件を未然に防ぐことが可能となる。
もし売りにでも出せば国の1つや2つ余裕で買えてお釣りが出る程の金が転がり込んでくるだろう。
だが、この機械の使用目的はあくまでドクターゲロの造り出す最高傑作であるセルを倒すため。
歪んだ野望に燃えるボゲの熱量は計り知れず、このような発明をいくつも作り上げている。
「それで、この機械に名前はあるのか?」
「ああ、勿論あるとも。世界近未来観測システム……通称ワールド・エピタフだ」
「また大層な名前をつけたものだな……」
「なぁに、今はまだ名前負けの性能だが、数年後にはこの名にふさわしい性能になっているさ……」
そう言って再び作業に戻るボゲを見ながらラディッツは戦慄する。
この男は一体どれほど先を見据えているのか? そして、どれだけ常識外れのアイデアを頭の中に秘めているのか?
俺の身体を改造した人造人間化は父親の研究成果をかすめ取ったものといったが、それでもこの肉体は凄まじい。どれだけ激しく動こうともスタミナ切れはおこらず、痛みといた痛覚も以前よりも鈍い感じがする。
この男、頭脳だけで神の領域に至っているといっても過言ではない。
「俺も負けてられないな……」
「ん? なにか言ったか……?」
「いや、俺もトレーニングに戻るだけだ……」
「ふむ、あまり無理だけはせぬようにな……」
分かってるとだけ返事してラディッツは再びトレーニング室へと戻る。
「うおおぉぉぉ!!!」
強くなる! 強くなりたい!! という願望を胸に次々と現れる強化サイバイマンを倒していく。
今の俺の戦闘力はあの遠い存在だったエリート戦士であるベジータを遥かに上回るほどに高い。
しかし、まだ足りない。フリーザはボゲが言うには今の俺の5倍は強いと言っていた。
夢とはいえ、戦闘力の低い親父に経験と精神力の差でボコボコに叩きのめされた。
「俺は……!? もっとだ! もっと強くなって誰にも負けない戦士へと……!!」
今の俺は弱虫ラディッツじゃない! 誰が何と言おうと戦闘民族サイヤ人の戦士なのだ!!
ピッ!
トレーニング室の監視モニターの電源を切る。
「監視する必要もないか。夢とはいえ、父親からの叱咤の激励は効いたということだな……」
安心したように作業に戻るボゲは、ふと隣に置いてある時計についてあるカレンダーをチラ見する。
「あと数日でベジータ達が地球にやって来るか……。はてさて、ラディッツを生き返らせたことで今後のストーリーがどう変わっていくか見物だな」
ザ・ワールドという名前はディオ様から取りましたけれども、違和感とかこっちの名前の方がいいって意見があればドンドンちょうだいね♪
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